妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
目次前のページ次のページ


2006年06月25日(日) 『雪が降る』(小)

【藤原伊織 講談社文庫】

この間の『ひまわりの祝祭』が面白かったので続いて短編集へ。
面白かったです。
これはなかなか拾いもんなのかしら。

「台風」

こういう冒頭でどうして、こんなセンチメンタルというのかロマンティックというか、夢見がちな過去話に流れていくのか。
うら寂れた商店街の古びたビリヤード屋にくる、青年と、店の少年と、店のバイトの女の子。
冒頭の陰鬱な予感をうまくかわして、切ないような甘いラスト。

「雪が降る」

サラリーマン好きにはたまらない感じの話しで。
ええ、別に私サラリーマン好きじゃないんですけども、好きになってもいいかもしれない。
いい年になったおっさんの、男の友情ってどうしてこうむずむずするんでしょうねぇ!
途中、私は山田ユギの漫画を読んでいるのかと思いましたよ。
ネクタイ借りたり、ネクタイ締めてあげたり。
高橋は北海道から戻ってきたら、志村と住んだらいいんじゃないですか。
浜野さんと結婚しなくていいから。

「銀の塩」

『テロリストのパラソル』の島村さん登場。
ちょっぴり五條瑛な印象がするのは、ショヘルの存在のせいでしょうか。
きらきら純粋な話しでした。

「トマト」

こういう不思議テイストな話しも書くのねぇ。
解説で黒川博行が言っていたように「あなたが一番むごたらしい顔をしてたからなの」というセリフが、イオリンだなぁと。
むごたらしい顔、なんてさらっと書いて悲惨な感じがしないのが凄い。

「紅の樹」

解散した組の組長の息子と、その組を預かることになった組の若頭のキャラ及び関係性に、にやにやが止まりません。
なぜ、こうなのか、藤原伊織のキャラは!

「ダリアの夏」

本当に藤原小説の子どもとおっさんの関係はかわいい。
それは、やっぱり、黒川氏が言っていたように子どもを書くのが上手だからなんでしょうか。

大変満足な一冊でございました。



蒼子 |MAILHomePage

My追加