妄言読書日記
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2005年05月21日(土) 『嗤う伊右衛門』(小)

【京極夏彦 中公文庫】

角川版にしたほうが、本棚に並べたときにきれいに並ぶんだろうと思ったのですが、表紙がこちらの方が好きだったので、中公版で。
中身は一緒ですよ。値段も一緒。

巷説シリーズの又市が出てるというので、急遽読むことに。
正確に言えば、こちらの本が先なので順序が逆になったんですけれど。

さて、京極版お岩さん、もとい四谷怪談です。
読み終わった感想は、怖いんだか悲しいんだか
怖いですね怖いですね、でも悲しいんですね、となんだか故淀川さん風に言いたくなる感じです。
よくよく考えてみれば、四谷怪談を読んだことがあるわけでもなし、ほとんど知らないと言っても良いので、どこがどう違うのかということは全く気にせず京極夏彦の小説として読めたのは良かったのかな、と言う気がします。

京極小説なので、幽霊やら怪奇現象というような恐怖ではなく、少しずつ周囲の人間の思惑やら思考が絡み合いながらもずれていく様が、もどかしくもあり、怖くもあり。

しかしやっぱり、ラストの「御行の又市」から「嗤う伊右衛門」にかけての、伊右衛門の薄気味の悪い怖さときたら。
お岩さんは健気です。烈しいとは思うけれど。
映画はどんな感じだったんでしょうね。この雰囲気を出すのは難しそうだ。

巷説より若い又市のちょっとしたトラウマ話もあり。
まだまだ青い駆け出しの又さんが、新鮮。この事件があったからこそ、巷説の又さんがあるんだなぁと納得。



蒼子 |MAILHomePage

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