妄言読書日記
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2005年05月20日(金) 『続巷説百物語』(小)

【京極夏彦 角川文庫】

堤版のドラマ観たいなーと帯を見て思う。
栄子ちゃんのおぎんさんと、渡部又市が特に観たいー。

2年ぶりくらいの、巷説シリーズです。
一作目は、連作というより短編色が強かったように感じましたが、今回はそれぞれの話が密接に絡まっていて、長編に近い趣があったと思います。

「野鉄砲」
百介の兄上登場の話。
百介の生まれって、一作目で説明されてましたっけ?
覚えていないだけのような気もするし、武家の生まれで、店子に養子に出され、今は悠々自適の若隠居だというところまで、説明されなかったような気もする。
治平の過去が明かされます。
続は全体的に重くて凄惨なので、ちょっと辛い。

「狐者異」
おぎんさんの出自が明らかに。
いい人に拾われてよかったよねぇ。おぎんさんは。
そりゃ悪党には違いないけどさ。
おぎんさん大好きです。
又市や百介にはもったいない。

「飛縁魔」
丙午の女は云々は、今でもまれーに聞きますね。
今で言うところの、血液型性格診断のようなもんですか。
「みんな知ってて言ってるンだ。難癖つけて差別したいんだよ」というおろくのセリフになるほどなーとなんとなく得心。
切ない話しです。
岡場でおろおろしてる、百介がかわいいです。

「船幽霊」
おぎんさんと、百介の二人旅が珍しく、この二人が並んでるのはなんとなく微笑ましい。おぎんさんの方が、きっと腕っ節も強いでしょう。
百介、おぎんさん危機一髪で、おぎんさんにヘボだと罵られても、やっぱりいつもいいとこ取りな、又市です。
なんだいなんだい、かっこいいじゃないか。
しかし、この時一瞬だけ、百介は又市一味の仲間になれたと思ったのにねぇ。
つれないよ。又市。じゃあ、なんで船に乗せたんだよ。
なんだか詰りたい気分です。

「死神 或は七人みさき」
百介じゃないけど、私も血腥い残酷な話は嫌ですよ。
右近さんが、こんなに酷い目に合ってしまうとは、やりきれない。
ここまで徹底的に悪行三昧されると、又市のお祓いでもなんだか、すっきりした気分にはなれませんでした。
それをぐっと飲み込んで、収めやすい場所に収めるのが、又市の仕掛けなんでしょうが。
それでもやっぱり、嫌な話だな。

「老人火」
前の話から、いきなり六年の歳月が経ちました。
その間になんと治平さんが死に、百介の前から又市一味が姿を消してしまったという。
住む世界が違うってことですかね。
ラストは涙を禁じえないです。
馬鹿野郎ッてな気持ちも禁じえないです。
こういう形の別れが来るだろうと予測は出来ていたけれど、やっぱり
山岡百介が御行の又市の声を聞いたのは――それが最後であるという。
なんて一文を見ちゃうと、切ないです。
今生の別れなんてなぁ。

果たして、後巷説はどういう話になっているのでしょうか。



蒼子 |MAILHomePage

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