妄言読書日記
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2005年04月30日(土) 『上陸』(小)

【五條瑛 講談社】

ようやく一冊にまとまった上陸シリーズ。
一冊にまとまるとシリーズと言うより連作になっちゃったようですが。
あちらこちらのアンソロジーに収録されていたので、2作品ほど読んだことがあったのですが、事の発端である「上陸」を読んでいなかったので、ようやく読めて嬉しいです。

一冊にまとめるに際して、「上陸」を一番最後に配置したのが面白いなぁと。
おそらく、今までの話の中で一番地味といえば地味な感じのする小説でしたが、私は好きでした。
五條の連作短編集が好きなのかも。
密航に加担した、工事現場で働く三人組の話です。

「上陸」が密航の話で、その他は金満、安二、アキムの話。
「東の果て」が切なく、加筆された短編の合間にある金満の現在の話が余計に、じんわりときます。

いつもの五條のように、派手なキャラはいませんが、しみじみしつつ、いつも五條小説を読み終わった時のようにこの国について考えてみたりします。



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