妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2004年11月16日(火) |
『それでも、警官は微笑う』(小) |
【日明恩 講談社】
作者の名前、音読みだと思っていたら“たちもり めぐみ”さんだそうで。 難しいなぁ、日本の苗字。
最近は刑事物を中心に読んでいるというのは、前にも言いましたが、これが一番私好みだったかもしれません。 ちょっとキャラクターがみんな、いい人すぎるような気もしますけど、それもまた小説の楽しさと言えますか。
舞台は池袋署、強行犯係。 武本刑事は、31歳巡査部長。いかにも刑事と書いてデカと読め、といった感じの刑事さん。とても生真面目、だけど考えるのは苦手で無骨。忍耐力はあるので、発作的に何かすると言うことはない人。 現代日本では絶滅しかけている武士を感じさせる人です。武本の武はもののふの武。 潮崎くん曰く「清々しいまでにシンプル」。確かに。 かっこいいです。刑事を目指すなら武本刑事です。
その相棒は、潮崎くん。28歳、警部補。 キャリアじゃないけど、ちょっとした曰くありのため、警視庁の治外法権と呼ばれ持て余されて、我慢強い武本さんと組まされる。 ミステリマニアで、薀蓄王。 でも可愛いから何でも許す。
こんな二人が大規模な拳銃密売組織を追う話ですが、二人の刑事の成長物語という色合いの方が強いかもしれません。 武本さんも潮崎くんも非常に真面目で、心根が優しいがゆえに、いろいろなことで悩んだり罪悪感を感じたりしつつ、お互い励まして捜査していく姿にほろりとします。
そして刑事ではないけれど、元動物のお医者さんの麻薬取締官、宮田さんもまた二人と同じように捜査していきます。 冒頭の武本さんと宮田さんの出会い方には、びっくりしますけど。 私はまたボーイズラブ買ってしまったのかと、確か帯にはメフィスト賞と書いてあったはずなのに・・・とちょっとばかり戸惑いました。 宮田さんも可愛い人でした。メガネで白衣で動物のお医者さん。完璧です(何が)
最後もなかなか好きでした。 みんなが結局何かをちょっとずつ失って、その分もっと軽くなった。そういう前向きなラストはいいですね。 林は今後出るのでしょうかね。
ラスト付近で、流しの下から引きずり出される潮崎くんが可愛いです。 首根っこ持ったまま公園に引き摺っていく武本さんも、デリカシーがなさすぎて素敵です。
次の話で、潮崎くんが無事にキャリアになっているのを読むのが楽しみ。 一旦、刑事を辞めて、試験を受けなおすというのは、なかなか盲点でした。そういうのも有なんだなぁ。
ところで、潮崎くんはミステリマニアなので、時々色んな刑事を引用してくるのですが、全部分からないのが悔しい。 わかったもの、合田刑事、緑子、安積さん、鮫島。ドラマでは太陽にほえろと、あぶない刑事ネタがちょっと。 わからないのが、リンカーン・ライム・・・と思って今調べたら、『ボーンコレクター』でしたか。ああ、そういやそんな名前だった。映画は観たけれど、読んでいないと覚えていないものですね。 それと、岩崎白日夢。翔んでる警視シリーズの警視なのか。 百舌は、逢坂剛のシリーズらしい。 これで、潮崎くんの引用は全部だったはず。見逃しがあったら教えてくれると嬉しいです。 読んでいないものはこれから読んでみようかな、と思います。
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