妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2004年10月08日(金) |
『RIKO 女神の永遠』(小) |
【柴田よしき 角川文庫】
いやはや、強烈なのがきました。 人気作家ですから、前々からチェックはしていたのです。でも粗筋だけで、もうお腹いっぱいというヘヴィーさに、私はこの本を読むことはないだろうと思っていましたが、刑事小説がマイブームになってしまったので、避けては通れまいと読みましたよ。
ヒロイン緑子(リコ)は、警視庁の刑事時代に、上司と不倫の上刃傷沙汰に巻き込まれ、その上同僚との二股疑惑がもちあがり、新宿署へ。そこでは年下の恋人ができ、そして婦警の麻里とも恋人関係に。
と言う風にしか書けないが、こう書くととんでもなく奔放と言うか無節操な女であります。 読むとそういうわけではない・・・・少なくとも最初からそういう人だったわけではないし、性に対して不道徳でも不謹慎でもないと思う。 というのがわかっていても、強烈です。
そしてそんな緑子が担当したのが、ビデオ店から押収された少年が輪姦される数本のビデオテープとそれにまつわる殺人事件。 正直もういいです と粗筋読むだけで辟易してしまいます。 この小説、読めない人はまるで読めないと思います。
それでもこの小説は面白かったんですよねぇ。 解説には 「魅力あるキャラクターと斬新な作品世界とを創造することに対する、迸るような情熱がある。新人処女作のみが孕み得る、恐らくは一度きりの貴重な熱気だと思う」 とありますが、まさにそういう熱意がある小説。 けっこう表現に稚拙さは感じるところ多々なのですが、補って余りある力があります。 その力が過剰なので、読めない人は読めないし、読んでも不快感を覚える人もいることでしょうが。 私もできればこういうのは一作だけにして欲しい。 面白いんだけど、きついので。 女の人なら無条件で理解でき、男の人には永遠にわからないかもしれない(というより分かってもらいたくはない)。 そういうヒロインが新しい。 共感し難いけれど、否定はできないなぁと思います。
そしてミステリーとしても読ませます。
次回作で一児の母になった緑子がどんな風になっているのか気になります。
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