妄言読書日記
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※ネタバレしています
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| 2004年10月03日(日) |
『てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書』(小) |
【黒川博行 講談社文庫】
上手く関西弁を書き言葉で表すことに定評のある黒川氏の本、初読みです。 関西弁のニュアンスが耳によみがえるようなテンポのよさが、読んでいて気持ちよいです。 刑事の出てくる小説も本当に色々ですねぇ。ここの刑事はしんどい時も飄々としてます。 本書は刑事小説よりはミステリー寄りですがね。
「てとろどときしん」 黒マメコンビが可愛い一話目。 お仕事を離れて単独捜査というのは推理小説的です。 驚きの展開、というのはないので黒マメの漫才めいた会話が一番楽しい。
「指輪が言った」 叙述トリックですかねぇ。 だまされたと言えばだまされたかなぁ。 実は事件としてはさっぱりひねってないじゃん!と読み終わってからツッコミました。
「飛び降りた男」 デコちゃんが可愛いけど、刑事さんそんなんでいいのか、と思わなくもない一編。 話は指輪が〜の後だったので疑心暗鬼になっておりましたので、わかりました。
「帰り道は遠かった」 再び黒マメコンビ。 どの話も締めがあんまり好きじゃないのですが、これは好きでした。 黒マメ苦労損と言う感じで。 話の中身もなかなか面白かったです。
「爪の垢、赤い」 犯人のひっかけ方がありがちでしたけど、謎部分は面白かったです。 でもやっぱり黒マメの全然関係ない漫才会話が一番面白いんだなぁ。主客転倒のような・・・
「ドリーム・ボート」 真相は藪の中、というのを目指したそうですが、ならばもう少し別の可能性も残しておいてほしいところ。 ちゃんと書き切っていないのかと思ってしまいます。
黒マメコンビは長編でも活躍しているそうなので、ちょっと読んでみようかなと思います。 にしても、グリコ森永事件で呼ばれた作家、なんですね。黒川氏。ちょっと可笑しかったです。一番のオチだったかも。
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