妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2004年08月29日(日) |
『犯人に告ぐ』(小) |
【雫井修介 双葉社】
現在、高村薫の合田刑事シリーズにはまっているので、刑事物ばかり読んでます。 しばらくそんな理由で刑事小説が続くかと思われます。
本格ミステリと呼ばれる物ばかり読んで来たので、こういったミステリは目新しく、またどう読んだものか戸惑いも覚えつつ、なかなか面白かったのではないかと。 映画化しそうな内容ですね。
捜査が難航する連続児童殺人事件を解決する打開策として、現場の刑事がニュース番組に出演して犯人を煽るという劇場型捜査。 そこに警察内部のごたごたも絡みつつ・・・と。 巻島刑事のキャラはよいのですが、周囲のキャラはなんだか型通りなのがいささか残念。とくに犯人ですか。 姿なき犯人の不気味さとか恐ろしさがないなら、犯人サイドからも書いてくれればもう少し緊張感があったかもしれません。 そして好みとして、植草には心中何度も、お前はいっぺん死ね、と呟きました。 いやあ、爽やかに嫌いだ、と言えるキャラです。 曾根ならまだマシ。 巻島への絡み方はちょっとセクハラくさいところが良し。 津田が植草に「叩けば誰でも痛いんですよ・・・」と唐突に現れ告げていくシーンは、あんたはどこの長老か住職だ、と思わずにはいられない演出であります。あざといよ。
連続児童殺人事件でなければならないという必然性は、冒頭の巻島の担当した事件以外にはないという気がして、少々引っかかりました。 例えフィクションでも嫌ですねぇ。こういう事件。 普通の無差別でもいいだろ、と言う気がした。
面白かったと言った割りにあまり褒めてないなー。 面白いんだけど、ネタ一本勝負な雰囲気が気になるのかもしれません。
なにはともあれ巻島さんが死なないでよかったです。あそこで死んだら最悪だったな。 彼はこの後、警察内部でどういうところへ行かされるのでしょうか。そこが気になりました。
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