妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2004年06月06日(日) |
『月魚』『今夜はパラシュート博物館へ』(小) |
【三浦しをん 角川文庫】
エッセイばっかり読んでるとそろそろ、妄想炸裂なしをんがどんな小説を書くのかが気になってまいりました。 そんなわけで、一番定評のあるであろう本書が文庫化したので読んでみました。 ハードカバーの方が雰囲気あったな。表紙。 これも可愛いですけど。金魚・・・じゃなかろうよ。
粗筋だけみると耽美系かと思って身構えましたが、そこはしをんです。耽美、というわけではない。 閉鎖的な感じはなく、開いた雰囲気。 耽美のよどんだ水槽覗いてるような息苦しさはない。 シチュエーションだけ見れば十分耽美なんですけどねぇ。 むしろこのストーリーでよく、こんなさっくりとした読後感を出せるなと思うくらいです。
そうそう、面白かったんですよ。 最近、当たりがいいなぁ。愉快なことです。 ただやっぱり、エッセイのことを思い出しちゃうんで、古本屋という主人公二人の職業も、自分のアルバイトの経験が生かされてるのかなぁとか、余計なことを思ってしまいますね。
どうも古本屋主人=京極堂なもので、冒頭、真志喜のビジュアルイメージが京極堂になって少々薄ら寒かったです。 照れる真志喜とかねぇ。見た目京極で想像したら寒いでしょう。やっぱり。 すぐに美青年に軌道修正されましたけれど。
解説はあさのあつこ。 お互いの著作に解説書いてることになりますね。 今月はバッテリー2巻が文庫になりますよ、早く読みたい! って、本書には関係ありませんでした。 私はあさのさんほど、濃密な空気は感じませんでしたね。月魚には。ただそこが良かったと私は思うのですが。 読み方、感じ方はそれぞれですなぁ。
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【森博嗣 講談社文庫】
ひたすら読書に励む週末でした。 ダミアンの誕生日だし(全然どうでもいい)
「どちらかが魔女」 久しぶりの犀川先生&萌絵ちゃん。 いつものミステリパーティーの話。 キリストの問題は珍しく、最初から答え知ってましたよ。 メインの謎の方は解けませんでしたけれど。 大御坊さん、結婚おめでとうございます。 相変わらずおいしい諏訪野、そして素敵な叔母様と萌絵ちゃん。
「双頭の鷲の旗の下に」 犀川先生たちの高校時代がうかがえる話。 先生方も少年だったんだねぇと思うと微笑ましい。 犀川先生が学祭なるものに参加してたのかどうかわかりませんが。
「ぶるぶる人形にうってつけの夜」 小鳥遊くんと萌絵ちゃん初共演。 二人が並ぶと絵になりそうですねぇ。 練ちゃんとしこさんの間はどうにも進展しそうにもないですね。相変わらず。 しないんでしょうね。きっと。
「ゲームの国」 タイトルも中身も『キノの旅』のような。 はあ・・・と言って読むしかない話。 面白かったですけどね。 キャスリング、一応知ってますが、ゲーム中に使えるほど理解してないルールです。
「私の崖はこの夏のアウトライン」 ゲームの国あたりから雲行きが怪しくなってきましたが、これ以降はファンタジーですね。 まあ、森小説にファンタジーだのミステリだのSFだのという区分は野暮ですが。 好きな話でした。 またわけわからなまま終わるんじゃないかとひやひやしましたけれど。
「卒業文集」 本当にタイトルどおりの中身です。 なんとも不思議な読後感、じんわりとした感動。 不思議な話ではないですよ。 こんなのも書くんですね。森博嗣は。
「恋之坂ナイトグライド」 こういうのが一番森博嗣っぽいのかもしれません。 この人なんで、ミステリでデビューしたんでしょ。改めて。
「素敵な模型屋さん」 解説で羽海野チカが言った通りの素敵な話でした。
いつもながらバラエティにとんだ、よい短編集でした。
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