妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
目次|前のページ|次のページ
| 2004年05月29日(土) |
『亜愛一郎の狼狽』(小) |
【泡坂妻夫 創元推理文庫】
ミステリは面白いなぁ、と久しぶりに思った一冊。 奇妙な謎と軽快なテンポの短編集。 亜愛一郎という探偵の名前は知ってたのですが、いつもどこで切るんだろうと思ってました。 亜・愛一郎なんですね。
「DL2号機事件」 逆裁のDL6号事件ってここからきてたんだなぁ。名前だけですけど。 たまらなく面白いタネ明かしでした。 そんな馬鹿なと一瞬思うのですが、冒頭の羽田刑事の思考に違和感を覚えなかった読者は、そんな考え方しないよ、とは言えないのです。 うまいなぁ。
「右腕山上空」 密室というにはお粗末ですが、展開の仕方が面白いのでそんなことはあまり気になりません。
「曲った部屋」 ちょっと不気味なシチュエーション。私が虫嫌いなだけかもしれませんが。
「掌上の黄金仮面」 こんな警官大丈夫かいな・・・と。 聞いてしまえばどうってことない話です。
「G線上の鼬」 亜くんの性格がいまいちつかめないのですが、案外がめつい人のようで。 普通の推理小説なら、強引な推理だなと思うところを、亜くんだと、妙に納得。
「掘出された童話」 本格的にがめついな、と思った作品。 オチは結構好き。
「ホロボの神」 ちょっと悲しい感じが好きでした。 冒頭で、中神の「視界が開けるのを覚えた」というところ好きでした。 事件とは関係ないところですけど。
「黒い霧」 仕掛けが面白いです。 商店街でコントさながらの光景が繰り広げられるなんて、このシリーズじゃなきゃ、失笑もの。 最後も好きです。全編、オチが効いてていいですね。
全体的に強引な流れのようにも感じられますが、面白かったからそれでよし。 雰囲気が大事。私は。
|