妄言読書日記
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2004年03月25日(木) 『黒を纏う紫』(小)

【五條瑛 徳間書店】

相変わらず見事に様々な書店から本出てますねぇ。
今回は、東スポに連載していた話、ということで、いろんなとこで書いてるなぁ。

五條瑛、初の近未来物はやっぱり東京でした。
暴力的な部分が多くて少々、読むのが遅くなりました。これでも私、そういうの苦手な方なのです。
五條氏は、常々ファンタジーなんて書いたらよいんじゃないかと、本気で思っているのですが、次辺りどうでしょう?
キャラがファンタジーめいているからなんですけれど。別に魔法を使えと言ってる訳ではなく、架空の五條ワールドがあったら楽しそうです。
元防衛庁の経験と知識を活かし、SFでもよさそうです。
現代を舞台にすると羽を広げきれないんじゃないかと言う気がするのです。
まあ、今でも充分自由にやってるようにも読めますが。

五條瑛なので、夢も希望も無い近未来です。
そんなことあるわけない、といえないのがまた怖いところ。
しかし、五條氏の社会問題を扱いながらも問題提起小説にならずに、娯楽小説として書上げる手腕はいつもながら見事なものです。

こたびの主人公は、かなり薄いです。
後半になってもまだ名前を覚えていない始末。
そのうえ、かなり薄幸です。
五條小説って、なんだかんだとハッピーエンドっぽいのですけれど、今回のは…?
めでたし、とは言えそうもないですね。
これはこれで、よかったんでしょうけれど。
最後の「抱いてくれ」のセリフに、どうしてか胸キュン(…)でした。
潔くて逆に男前、なセリフのように思いますが。

女性キャラはいつもながら男前でした。
強いなぁ。
なぜか、女性キャラより男性キャラの方が色気がある五條キャラ(私の偏見ではない、と思う)
五條小説において、美しさ=強さなのだなぁ、とクウを見てあらためて実感しました。
そのへんは菊地秀行っぽい。



蒼子 |MAILHomePage

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