妄言読書日記
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2004年03月20日(土) 『妖怪博士』(小)

【江戸川乱歩 ポプラ社】

少年探偵団シリーズって、なんで他の会社とか、単行本で出ないんでしょうか。
大人だって読みたいんですよ。

さてさて、出ました妖怪博士。
=二十面相なんですけどね。
二十面相って、いつも奇怪な老人に変装しているので、そういうイメージがずっとあったんですが、今改めて読みますと、本当は若いのですよね。
それが本当の顔かどうかはわかりませんが、一応元の顔は美青年らしい。

このシリーズを読み返して、子どもの頃に感じた黄昏時の不思議な感じを思い出します。
ふと誰もいなくなる瞬間の不気味さとか、茜色の町とか。
いつも二十面相は黄昏時に奇怪な姿で現れるのです。
私は子どもの頃、その瞬間を待っていたような気がします。

二十面相の少年探偵団への報復は毎度、大人気ないなと思っていたものですが、今読むと、子どもにとって最も安全な遊び相手なのかもしれません。
明智先生と二十面相君は裏で組んで、子ども達と遊んであげるんじゃないかとすら思えます。
いやいや、ひょっとしたらこの二人、本当はひとりなのかもしれません
そんな風に思えるのです。

明智先生と二十面相の対決はいつも、明智先生が勝ちますが、本当に望むのは先生の勝利ではなく、二人が常に拮抗していること。
正直、少年探偵団には興味薄かったですね。昔も今も。



蒼子 |MAILHomePage

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