妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2003年02月15日(土) |
『三国志2 吉川英治歴史時代文庫34』(小) |
【吉川英治 講談社】
アホな董卓に、アホな呂布で、こんなのに一時でも国を取られたのかと思うとなんとも。 アホなりにかわいいですけどね・・・。 貂蝉は好きでした。 最期もまた潔く。
趙雲が出てきました。 おお、かっこいいなーと思っていたら、乙女!? 劉備と初めて顔を合わせ、微笑み合う二人(何事!?) 劉備が公孫サンの元を離れると聞いて、
「私はあなたとお別れするに忍びない――それほど心中に深く押したい申しているわけです」 と鬼をあざむく豪傑が、処女の如く、さしうつむいていうのであった。
そんなに惚れてしまったのかい・・・。 乙女な趙雲(でも豪傑)の今後の活躍を楽しみにいたしております。長坂をね。
堅パパがーー・・・。あっさりとした死に様。 私が三国のうちのどこにつきたいかと言うと、堅パパ時代の呉なのです。 そのパパが亡くなってしまいました・・・。なんだかあっさりと。 そして、息子達登場。 17歳、孫策、「紅顔の美少年」との描写。おおー。なんだか嬉しい。蒼天の孫策がどうしても納得できなかったもので・・・。髪型だけね。 大史慈との一騎打ち、もうちょっと見たかったです。
で、で、どうしても曹操様の動向ばかりが気になってしまいます。 殿は今回も、けっこう負け負けです。全身火傷。痛々しいお姿に…。 蒼天では想像できない、無謀な曹操様がそれはそれで素敵だと思うのは、ほれ込んでいるからなのでしょうか。 テンイやキョチョ、ジュンイクやらその甥やら、人材も揃ってまいりました。 にしても、キョチョの愛されようは、どの作品でも同じですね。 三国一の癒し系なのか。 あの丸い顔に癒されるのでしょうか。さすがの殿も。 にしても可笑しいのが、戦功を立てたキョチョの背をたたいて、褒め称える殿を見て、「自分も生涯に一度は、曹操の手で背中を叩かれてみたいという気持ちを起こした」諸将の皆様。 「士を愛すること、女を愛する以上」の殿ですけど、愛されることもまたひとしおのようです。 私も戦功を立てて褒められたい。 「あはは、可愛い奴だ」と朗らかに言われたい。 あ、そう言えば徐晃も出てまいりましたよ。 宛城は蒼天の方が感動的。
張飛が主役なのかと思うほど、張飛が可愛らしくてならない。あんなに大暴れなのにな。 毎回懲りることなく、兄者と関羽に羽交い絞めされ、退室。 ついに兄者に 「駄々っ児」呼ばわり。 致命的な敗北に落ち込みまくる張飛が可哀相なくらい。 張飛が悪いのですが・・・。明らかに。
今回のお気に入りシーン。 公孫サンを助けに現れた劉備たち。 「われは平原の劉玄――」 「速やかに降参せよ」 「死を取るや、降伏を選ぶや」 兄者の名乗りを最後まで言わせてやらない、弟達。 せっかくの見せ場だったのに。 この桃園三兄弟が可愛くてなりません。なんだか、戦乱の危機感がこの人たちにだけ感じられないし。 誰も彼もが本当に魅力的であります。
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