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■ 少しでいいのさ
真夏の太陽に照らされて、静久は汗を拭う。額のハチマキはこんな季節は汗が流れ落ちるのを防いでくれる。やはり、精神的な面以上に、装備には実用性が伴っていなければ。 生徒会室へ向かう途中、風景に黒いシャツを着た人物が映りこんでいた。 真夏に黒シャツは、太陽の光を集めていかにも暑そうだ。見ているだけで暑い。よくよく顔を見たら、その暑そうな人物は知り合い。 「今日も暑いですね」 「……」 黙って振り返った彼女は、不機嫌そうな顔。 「お前なぁ、ご近所同士のあいさつじゃねーんだから」 「?」 「ま、いいや」 静久の歩みに合わせて、後ろからふらりとついて来る。まるで道端で出会った野良猫が、気まぐれに後をつけてきているみたい。機嫌が悪いわけではないらしい。学内の人影は少なく、夏期休暇中に制服を着ている者はもっと少ない。静久の白い制服は、ほぼオンリーワン。希少価値が高い。 『暑くないか(ですか)?』 ほぼ同時。お互いの指が、着ている物を指している。 「え? 神門さんの方が暑そうですよ」 「お前こそ、さっきから光が反射してまぶしーんだよ」 光。強い日差しを見事に照り返して、本人はともかく周囲の人間に被害が及んでいるらしかった。生徒会役員専用制服の、意外な攻撃方法。玲は目をしかめている。 いつもは白い玲が、黒服を着ていると迫力が増している。じっと見つめられて、静久は少し気後れした。 「白は膨張色なんだよな」 「あ。逆に黒って引き締まって見えるんですよね」 玲がすっと真横に寄ってきた。そのまま手を静久の頭の高さに合わせてかざした。 「小さいんだな、意外と」 玲の頭の方が、わずかに上に位置していた。 「ち、小さくないですよ!」 思わず声もでかくなる。小さい。NGワードも甚だしい。静久の中の、NGワードランキング10位以内に入っている。 「……急にでかい声出すなよ」 「でも、小さくはないです」 昔々、初対面でそう言い放った人は、今でもやっぱり静久より大きいまま。あれから月日は流れ、背もそれなりに伸びたというのに。今度は、ライバル同然の玲に言われてついムキにもなる。 「あ、ほら。背筋を伸ばせば神門さんとほとんど変わりませんよ」 実は目一杯、限界以上に背筋をフル活用しているのだけど。顔だけ平気な顔して、びしっと固まる。視線は確かに、同じぐらいと言えないこともない。必死な静久の様子に、玲は何とも変な表情になった。 「じゃあ、きっちり比べてみるか?」 「え?」 背筋を伸ばして固まっている静久の背後に、玲が回りこむ。そのままでいろよ、と背中からぼそっと声がした。背中に、玲の背中が合わさる。 「??」 背中合わせ体勢に何の意味があるのか、静久が振り返りかけると、動くなと言われた。 「背ェ伸ばしてろ」 玲も、姿勢を正したのが感触でわかる。再び手が頭に当たる。 「やっぱり、1センチぐらいあたしの方が高いな」 「1センチ……」 玲の背中が熱い。体温が伝わってくる。こんなに接近したことはないし、することもないだろう。仕合いで間合いを詰める時以外は。 思ったより長く感じた瞬間はすぐに終わって、背中がふっと涼しくなる。 「あ、悪ィ」 離れてすぐに、玲が頭を掻いて気まずそうに言った。この暑いのに、背中をくっつけたりしたから。ばさっ、と大きくシャツを振る。一瞬だけ、ほんの一瞬だけ白い肌が垣間見えた。 「やっぱり黒はあっちーな」 この時期、誰だって汗が滲む。 自分の白い制服の背に、静久はそっと触れた。うっすらと湿っている。それはどちらの汗だったか。太陽のせいか、心臓の鼓動が大きくなる。 「宮本、牛乳飲め、ぎゅうにゅう」 ぼーっとしていた静久の後頭部に、ポンとぞんざいな一発が当たった。
ミカどん×もっさん……とこれは言い切れるのかどうか。ミカどんはもっさんより背がちょっとだけ高いのがいいな、という願望を込めて。ミカどんよか、いのりんの方が背が高そうだよなぁ。もっさんの背が綾那や順とそう変わらないところが微妙に可愛い。
聖さま、リクありがとうございました。
2006年07月03日(月)
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