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■ 綾那争奪戦2
ケース2「大量出血の場合」
外がやけに明るい。窓からは日が差し込んでいて、顔に直接当たっている。寝かせてくれたのはありがたいが、直射日光にも配慮してほしかった。薄暗い所愛好家の綾那としては、心底そう思う。 起き上がってみると、見慣れたいつもの部屋。視界は低いほうが落ち着く、いつもの下のベッド。無意識のうちに、時計を確認していた。10時過ぎ。とっくに授業は始まっている。 「まぁ、それはいいか」 学生としては不真面目なほうなのは自覚していた。どのみち、自分の中では割とどうでもいい部類に入ってしまうのは変えようがない。進級するには十分な成績は残しているし。 誕生日だのなんだのと言いつつ、自室で寝転がって過ごす。まぁ、自分らしいかと特に気にも止めていなかった。それより気になるのは、おそらく頭突きをかまして自分をぶっ倒した後、ここまで運んできたらしいはやてのことだ。今は姿が見えない。授業があるから学校へ戻ったのだろうか。 ぼんやりと宙を見上げていた視線をふと横にずらしたら、灰色の髪の毛みたいなものがベッドの二階から垂れ下がっていた。数秒、濃い灰色のソレを黙って見つめてしまった。 「うわぁぁぁぁぁぁ」 ここは叫ぶところだ、と自覚するまで10秒はかかっただろう。髪らしきものは人間の髪そのもので、しかもなんか見慣れた色をしていた。二階から、真っ逆さまの頭が覗いている。 「やっほー、綾那」 非常識な登場をしてくれたのは、同室の順だった。一体いつから上の段にいたのだろう。逆さまになっていることなんか気にしていないようで、呑気に手なんか振っていた。 「何してんの。授業始まってるよ」 「それはそっくりアンタに返す」 今朝、はやてに呼び出されて早くに部屋を出た時は確かに部屋に順はいた。その後、ごく普通に登校したとばかり思っていたのに。それよりここに運ばれてから、まったく気づかなかった。普段から神出鬼没だけど、ついに部屋にいても気配を感じさせなくなったか。 「はやてちゃんと朝からデートなんじゃなかったの」 朝から眠たさ全体の顔をしながらも出かける用意をしていた綾那に、順はまったく同じことを言っていた。つい朝だから気が立って、トレーニング代わりに斬り捨ててしまったけど。 「そのクロなんだけど……」 「あ、そうそう。綾那をここまで運んだの、はやてちゃんだよ」 逆さまの頭がふらふら揺れる。順いわく、登校時間間際に小柄なはやてが必死に綾那を背負ってこの部屋の戸を叩いたらしい。揺れる順の頭を見て、綾那はまた眠気に襲われた。 「それで、アンタはどうしてここにいるんだ」 「まぁまぁ。それからちょっとした続きがあってさ」 順が逆さまのまま、にやっとたまにするエロい笑みを見せる。知りたいような、知らないままのほうがいいような、複雑な気持ちになった。
2005年09月15日(木)
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