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■ 間取りの手帖
清磁家二階一番奥の部屋。戸を開けると、中ではベッドを挟んで千明と六時が向かい合っていた。言いたいことは少し思い浮かんだが、この二人に告げる気力もなかったので黙って中に入って戸を厳重に締める。持っていた盆を慎重に机に置いた。 改めてじーっとにらめっこをしている二人を観察する。もう一度確認するが、ここは清磁家の一人娘、守の自室。 「あの」 張り詰めた空気に小さな隙間を空けてみる。 「何?清磁(守)」 呼び名は異なるが、とにかくハモって返事された。なんだか続けにくい。 「何っていうか、にらめっこしてるの、それ」 清磁の部屋は少しレイアウトが変わっていて、部屋の真ん中に柱がある。誰に言っても邪魔だろうと応えを返されるその邪魔な柱を頭に、窓の方に向かってパイプベッドをぽんと置いていた。朝日が差すとまぶしくてたまらないから、窓側には足を向けて寝ている。 ベッドを挟んで押しいれがある側には、三つ下の友人千明が座っていた。 「だってさ、清磁。ロクちゃんが」 ベッドを挟んで清磁の机が置いてある側には、五つ上の友人六時が座っている。 「むっちゃん」 また少し呼び名は異なるが、六の付く年上の友人は頭を掻く。 「いや〜、別に何もしてないよ、私は」 「じゃあ、とりあえずベッド挟んで向かい合う配置はやめにしてよ」 真ん中に置いてる自分が悪いのかも知れないが、長年の伝統は今更どうしようもない。六時はにこやかな顔で千明を呼び寄せた。 「ほら千明ちゃん、こっち側に集合だってさ」 「片側に三人寄ったら狭いよ」 「なら向こうに二人が押しかけるかい?」 ちらっとまだ膨れてる千明を見ると、 「でかい二人に押しつぶされるのはヤだ」 と両腕でバッテンを作った。 「じゃあ……」 「その話をしてたんだけどね」 「何が?」 「ベッドの上に座れば案外広いよって話してて。千明ちゃんが、ここに座ったことあるのかって聞くから」 「うん?」 清磁はなんとなくお盆を手に取り直した。 「座るっつーか寝たことあるよって言っちゃってさ。そしたらみぞおちに」 今度は六時の頭に木製お盆(使用年数3年半)が叩き込まれた。
今、カウンターがぴったり1000でした。やったー。
2003年09月13日(土)
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