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■ 真夏の夜の悪夢4
とりあえず老婆を頼まれた場所まで送らなければならない。いぶかしげな三人を尻目に、代表して颯爽と社長が車から降りて行った。 「なぁ、三鞍」 さっきから微妙に老婆から視線を外している医者が低い声で言う。 「この辺りに街か村はあったか?」 「いや。国道1○○号線といえば何もない荒野を一本ぶった切る道として有名だ」 「なら、あのばあさんどっから来たと思う?」 三鞍は何も言わない。医者とは反対に、サングラスを外して老婆を凝視してみた。さっきから何も言わないが、高田も怪訝な顔をした。 外では老婆と社長が対面していた。窓を開けて、会話に全聴力を傾ける。 「さぁ、行きましょうかレディ」 車の中の三人はなんとなく脱力した。 「あんなあやしいばあさんにまで紳士気取りとは……本格的におかしいんと違うか」 「社長らしいよ」 「見ろ!」 運転席で大人しく黙っていた高田の腕が、フロントガラスに伸びた。 「え?」 「なんだなんだ急に……って」 社長が爽やかに左手を差し出す。しかし老婆はその手を取ろうとしない。少し間が空いた後、更に歩を進めて老婆に接近する。老婆は動かない。 そして。 高田は決定的瞬間を見てしまった。 「すり抜けた……」 後に残されたのは勢い余って地面に転げている社長の姿だった。
2003年06月19日(木)
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