池ポエム
ハンス



 配達屋と名無しのこども

 「おばーちゃーん、どうしたの?向こうから誰か来る?」
 「うんにゃ。誰も来ないよ」
 「もぅ、ぼーっと真っ直ぐ前見ちゃってさ。当分配達屋さんも来ないんだよ」
 「わかっているよ。ただ、こう真っ直ぐな道ってのもいいもんだなぁって」
 「道?」
 「鈴寧、道ってのは世界中にあるんだよ」
 「そんなこと言われても、世界ってどれぐらい?」
 「世界は、世界さ」
 乾いた土地の上に、一本の道が伸びていた。少女と老婆は立ってそれを眺めた。この道をつたって、人里離れた彼女たちの村にもよそから人がやって来る。その大半が月一度の配達屋である。
 「おぱあちゃん、日が暮れるよ」
 老婆はやっと少女の方を向いた。二人は静かに、たくさんの仲間が待つ家へと向っていった。


2003年05月31日(土)



 正しくない髪の毛講座

 「陸ちゃんさぁ」
 「ん?」
 「この辺が……」
 「な、何?いきなり頭なんか撫でちゃって」
 「あ、嬉しそう」
 「べ、別に」
 「まぁ、頭ぐらい言ってくれればいつでも撫でますよ」
 「結構です。で、何」
 「髪の後ろっかわがさ、短くなってない?」
 「なんか描きやすいから、とかいう理由で短くされた」
 「描きやすいって……」
 「というのは置いといて、いい加減うっとおしかったんだよね。寝ると色んな方向にはねるしさ」
 「一応言っとくけど、短い方がはねやすいんだよ?」
 「えっ!」
 「誰に言われたの」
 「浅葱が、なら短くすればいいだろって」
 「浅葱はねぇ。あれは髪質が硬いから。陸ちゃんみたいな犬っ毛が中途半端な短さにしたらはねるわ」
 「髪質かぁ。考えてなかった」
 「佑なんか、ふさふさの犬みたいな髪でさ。撫でるとなかなか和むよ。あれは癒し系の髪の毛だね」
 「髪の毛ひとつで人一人癒すなんて偉大だなぁ」


2003年05月28日(水)
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