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| 2013年08月06日(火) ■ |
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| 「夢を売る男」百田尚樹 |
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自費出版の会社の話。
なんつう口の上手い編集者! 1000部つくるのに200万円って高すぎだろう。 と思ってたのですが、年金暮らしのお婆さんの出版を「断れ!」って言ったり、最後の1行でいい人に思えてきたり。
あとから出てきたライバル社なんか、書店に配本しなかったり、1500部の約束で500部しか刷ってなかったり、もっとひどかったので、主人公の会社はだいぶマシかも、と洗脳されてしまう(^^;
しかし、自己満足のために200万…お金持ちの人が多いな。同人誌を刷ってイベントに出るか、ネットで公開すれば安あがりなのに。
「『俺の本は売れなくてもいいんだ』って言ってる小説家はブログにでも書いてろ! あと、売れっ子や漫画家を馬鹿にする作家! その人らのおかげで、売れてないお前の本も出版できてるんだっつーの! 感謝しろ!」って毒吐きすぎ(^^; 百田さんは作家の友達はいないのだろうか…。
東野圭吾の、出版界の内幕を描いた小説に似てる。 けど、東野圭吾の方が、作家に対する愛情があると思う。 百田さんは出版業界が嫌いなのか? と思いました。
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| 2013年08月05日(月) ■ |
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| 「日本に恋した中国人オタク 脳残君ものがたり」 |
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日本大好き中国人オタクが、日本留学の日々を綴った、コミックエッセイ。
父親に留学を許可してもらう条件が「結婚して、子どもをつくること」なのがビックリ! それまで彼女無しだったのが、100人以上とお見合いして、本当に結婚しちゃうのもビックリ。 なんてよく出来た奥さんだ…さみしいだろうに。
安定した仕事(新聞記者)を捨てて、身重の奥さんを置いて、そこまでする日本への猛愛っぷり凄し。 中国人の、勉学に対するガッツは見習いたいです。
「外国から見た日本はこんな風」っていうのも面白いし、中国では漫画を描く人の地位はめっちゃ低い、とか、へーと思うこと色々。
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| 2013年08月04日(日) ■ |
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| 「耕せど耕せど―久我山農場物語」伊藤礼 |
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80歳のおじいちゃんが、せっせと庭で野菜を作るエッセイ。 ただ、それだけなんですが、丁寧で脱力系な文章が面白い。
小型耕運機買ったよ!って自慢してたら、広大な農場と誤解されて、アメリカで大農場持ってる人から詳しく質問されて焦ったり。
網はどこで売ってるんだ! 東急ハンズ? 高い! ホームセンターに半額であったー!と一喜一憂したり。
クワイを育てるための大きな箱を求めて、アマゾンのレビューを見たり。
「わたくしは、もう歳なのだから」と何度も書いてはるけど、こんなに元気で、好きなことに夢中だったら、年取るのも楽しそうだなと思います。
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| 2013年08月03日(土) ■ |
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| 「光の教会―安藤忠雄の現場」平松剛 |
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低予算だから質素な建築を! とバブル時に、工務店&設計事務所が奮闘して、大阪の茨木に教会を建てる話。
安藤忠雄が、 考え事しすぎて、車に三度はねられるとか、 「窓ガラス入れない! 暖房入れない!」と、美しさ重視で、住む人の心地よさ二の次だったり、 『芸術家』のイメージ通りで面白い(笑) 犬の名前が、コルビュジエってのも笑える(笑) 。
コンクリートは単なるコンクリートだとしか思ってなかったのですが、細かいこだわりがあるんですね!
「住吉の長屋」の審査員のコメントが「この不便な家に住んでる人に賞をあげたい」って、笑えるなぁ(笑)
吉田修一の「路」に光の教会のことがチラッと出てきたのと、 平松さんの他の著書「磯崎新の『都庁』」が面白かったので、読んでみました。
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| 2013年08月02日(金) ■ |
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| 「沈黙の町で」奥田英朗 |
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読後感が重い。
「『いじめられてた側にも問題がある』みたいな視点なので、打ち切りになった」という噂があるみたいですが。
しかし、この小説が言いたいことは『被害者が悪い』ってことでは無いような。 被害者の性格が悪いのは、プライドが高いせいなので、気持ちが分からなくもない。
けど、自分が中学生だったら、なんでこの人、人の親切を無駄にしたり、年下や女子に暴力振るうの!?(怒)としか思わないだろうなぁ。
一つの事件を、色んな人の視点から見るという意味で、「悪人」を思い出す。
親は、子どものことをわかっていない。 子どもの世界は狭く、周囲の人間関係に流されやすい。 親は、自分の子どものことしか考えてない。 という様子が、非常にリアルだった。
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| 2013年08月01日(木) ■ |
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| 「黙示」真山仁 |
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出だしはとっても面白く、最後はすーっとフェードアウトするように終わりましたね。
ミツバチの大量失踪に、農薬が関わってるのではないかと訴える、元戦場ジャーナリストの養蜂家。 農薬の開発者だが、自分の息子が農薬でアレルギーを起こしてしまったことで悩む男。
農業を取り巻く環境ってこうなってるのか…ということが、ストーリーにぐいぐい引っ張られながら学べる感じ。
ところで、平井さんの不倫は、何かの伏線(ハニートラップだとか家庭が崩壊するとか)かと思ってたら、そんなことは全然なかった(^^;
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| 2013年07月28日(日) ■ |
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| 「路(ルウ)」吉田修一 |
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台湾新幹線をめぐる、日本と台湾の友情物語。
出だしを読んで、プロジェクトXみたいになるのかと思ったら、全然そんなことなかった!
春香と人豪の「君の名は」ばりのすれ違いは、じれったく切ない。 春香が、日本に居る鬱病の彼氏を捨てられないって悩む件は、(1)桜木紫乃の小説みたく分かれてしまう、(2)彼氏が自殺してしまう、のどちらかではないかと、ヒヤヒヤしてました。
9年前に一度あっただけなのに、相手の国で震災があると行ってボランティアしたり、相手の国で働いたりって、純愛すぎる。
春香が、「台湾の人が日本を好きなことに比べると、日本人は台湾に関心をもっていない」って感じてるけど、今はそんなことないと思うよ。
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| 2013年07月27日(土) ■ |
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| 「血の轍」相場英雄 |
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かつて所轄で先輩後輩だった二人が、公安と刑事部に分かれて、一つの事件をめぐって激突する話。
※ネタバレ注意※
前半、回想が細切れに入る・メインの登場人物が多くて視点が次々変わる、のが読みにくい。
最後の方は、話が一気に動くので、面白いです。
が、公安への仕返しはやり過ぎだと思う。 曽野の個人的な情報を公にするくらいならともかく、広範囲に仕事をつぶすなんて…同じ警察官やろ? と言いたくなる。
SITのパソコンに詳しい男が、アニメおたくってのは、テンプレ過ぎるなぁ。
兎沢の娘の主治医が、公安に逮捕された件。 もうちょっと、公安側にも納得のいく事情があればなぁ(医者がテロリストに重要機密渡したとか)。ビラまいてただけで逮捕って! 意味ねえ! 公安は、ただの市民いじめの無能集団に見えてしまう。
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| 2013年07月16日(火) ■ |
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| NHK土曜ドラマ「七つの会議」1話 |
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NHK土曜ドラマ「七つの会議」1話を見ました。
これも池井戸潤原作。 画面が青みがかってて暗くて、NHKならでは? あと、またネジなのか! (ハゲタカも半沢直樹も、中小企業というとネジ)
といいつつ、良かったです。 最初、東山さんが主役ってイケメン過ぎ? と思いましたが、画面が暗いおかげで地味ーに仕上がってました。
坂戸と原島は、原作だとあそこまで仲良くはなかったような。 (「お前は会社にとって必要だ!」って熱く語ったり) さすがNHKドラマは「熱い男」補正がかかってる。
「たかがネジです。でも、うちのネジはどこにも負けません」というネジ六社長のセリフにウルッときた。
しかし、原島が、 「納期厳守」 「単価下げるな」 「早く転注終わらせろ」 と営業部からも製造からも詰め寄られるシーンは、無茶振り!って感じ(^^;
原作だと、章ごとに語り手が変わるのですが、ドラマではずっと原島主人公なのかな?
前に、横山秀夫が「読者を惹きつけるコツは、冒頭で主人公を窮地に立たすこと」って言ってましたが、
ドラマ版は、半沢も七つの会議も、問題勃発後→過去に遡るっていう構成ですね。
七つの会議は、原作1章を読んだ段階では、予想しない展開だったので、ドラマでは最初っからネタバレなんだな! と思いました。
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| 2013年07月15日(月) ■ |
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| 「ぼくらの近代建築デラックス」万城目学, 門井慶喜 |
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<大阪> 高麗橋野村ビルディングの1階に、コーヒーチェーンが入ってるのを評して、 「いい男が、安物のビーチサンダルを履いてるようなものだ!」と言うのに吹いた。
近くの新井ビルには、1階に「五感」が入ってるので、「近代建築の1階テナントはこうあるべき!」と絶賛してて、これまた笑う。
中之島・中央公会堂は一人の寄付によって建てられ、その人は完成を見ずに自殺してるなんて知らなかったです(株の仲買商で、相場に負けたそうです)
<京都> 「石を投げたら、武田五一建築にあたる」 「いい人だったから、京都で受け入れられたんでしょうね」 「京都人はそれだけでは評価しませんよ! 東大卒で、偉い教授だからです!」 という会話に吹いた。
万城目さんは、やけに京都に冷ややかだと思ったら、
デビューしたての時、サイン本持って書店周りをしたら、どこも置いてくれなくて、冷たくあしらわれたそうです。 東京では、新人ということで優しくしてくれたそうですが。
「学生時代に、京都が優しかったのは、僕がお客さんだったからなんですねぇ」としみじみ書いてあって、笑った。
万城目さんが思い入れタップリの、綿業会館も素敵ですよね! 昔一度行きました。
2代目京都駅の話が出てたので、ネットで検索してみたら、可愛い建物だった。 東京駅みたいに、外壁だけでも残ってれば!!
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