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やすみ日記
梅子
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2006年04月02日(日)
木原音瀬「プレイス」

木原音瀬「プレイス」
天使の羽を持つ男。なんちゅう設定や。しかし、心理描写が丁寧で、地に足の着いたお話でした。
意地っ張りで臆病で、好きな相手にはいつも冷たくして嫌われてた加賀。最初は嫌な奴だなーと思ってたのに、途中からはあまりの不器用さにホロっと。「恋なんてなくなればいい」って、切なすぎるよ…。
「恋愛時間」みたいな、優しい話やと思ってたら、続編で「HOME」ばりのすれ違い。加賀の無神経さに唖然。違う人みたい。さおりさんが、ただの「良い親友」で終わらなかったのは、リアルだなぁと思いましたが、それより、横山さんと加賀のラブラブがもっと見たかった。終わり方が中途半端だ。
役割は、逆だと思ってましたよ! なんで横山さんが…そんな可愛い羽を持っているのに。
でも、胸にしみる良い話でした。木原さん、いつもこんな話を書いてくれたら、ページを開くときに身構えなくても済むのですが。しかし、その痛さもまた、病みつきになっているのでした。



2006年04月01日(土)
梅田でお茶

今日は河原町で買い物した後、梅田に出て友達と会いました。

京都はすごい人でしたよ四条大橋、歩くのも大変。
財布がすりきれてきたので、新しく買いに行ったのですが、がまぐち専門店の「まつひろ商店」、人がぎゅう詰めでした。人の隙間から商品を見る感じ。不便な場所になるのに、すごい人気だ。

その後、梅田に出て、旭屋書店の先、御堂筋沿いの「CAFE DI ESPRESSO珈琲館 曽根崎店」でお茶。初めて入ったのですが、セルフサービスでゆっくりできるし、窓が大きくて、良いですね。24時間営業だし。レポートを書いたり、新聞を読んだりしてる人が沢山。
友達は、先に10月に決まってたお芝居の他に、6月にも公演をすることになって、脚本の締め切りが一週間後で四苦八苦してるとのことでした。「ま、本当に才能があるなら、こなせるわよ♪」と言って、どつかれました…。ええ。言うだけなら簡単ですものね。私が書くわけとちゃうからね。
友達が奥田英朗の小説を読んで、「心理描写が全然無いし、ああいうのは小説とは言わない。脚本みたいなもの」と言ってて、そういう風に思う人も居るんだーと思いました。私はああいう無駄のないテンポの良い文章は好きだ。しかし、最近、奥田英朗がインタビューで「プロットも作らないし、取材もほとんどしないんですよ」と答えてるのを見て、めまいが…。才能がある人は良いねえ。どうやったら、あんな構成上手くなれるんですか。乙一さんが「小説なんて、ノウハウが分かれば誰にでも書ける」って言ってるのを読んだときも、ブルーになりました。私はノウハウ本読むのは好きだが、それだけじゃ、上手く書けんよ。

木原音瀬さんの「プレイス」手に入りました。わーい。「箱の中」落丁本も、冊子小包着払いにして、今日、ポストに投函してきました。



2006年03月26日(日)
「メゾン・ド・ヒミコ」と「SAW2」

今日は、せっせと映画を見てました。「メゾン・ド・ヒミコ」と「SAW2」。
「ヒミコ」は、オダギリジョーがやたら美しくて、柴咲コウがブスッとした顔で撮られてた…。雰囲気は良いんだけど、冗長な印象。もっと、一つ一つのエピソードを膨らませてくれたらいいのに。容易に、恋愛物や泣きのドラマにしない姿勢は好きです。オチもほのぼのして良い。
「SAW2」は…知的推理系を期待してたので、その辺は物足りない。数字の隠し場所、そのまんまやん! 「虹の彼方」って結局何だったのよ?



2006年03月25日(土)
「あいの、うた」「ROSE GARDEN」

ここしばらく、木原音瀬さんを集めていてたので、本になってる分は、ほぼ全部読めちゃいそうです(「プレイス」だけ手に入ってないんですが)。今日も木原さん日記。

「あいの、うた」
芸能物なのに、地味でシビアな話でした。→雑誌は廃刊。バンドは事務所と契約切れって。←わあ、なんて救いのない。でも、最後の、恋の成就には、ちょっと気持ちが温かくなりました。
曲の感想を言ったら殴りかかってきた、バンドのボーカル・久保山を指して、「ミュージシャンは滑稽なほど、自分の曲に自信を持ってる。だが、聞き手に伝わらなければ誇大妄想に終わる」と評してるところが、きっつー…と思いました。だから、ある音楽に共感する人間には、相手への「受け皿」がある。というようなことが書いてあって、なるほどと。
久保山を、最初、周りの見えない勝手な人だと思ってたのに、最後はだんだん可愛く思えてきた。小菅が、井上に失恋するくだり、現実にありそうな状況で、胸が痛くなりました。

「ROSE GARDEN」1・2巻
天使と悪魔の話なんですが、天使がごっつう人でなし。献身的な悪魔にたいして、やってもらって当然の態度で。横っ面をはり倒したい気分。→天使のために、大けがを負って、更に羽まであげようとした悪魔が、騙されたと知った後も「…でも、生きててくれるならいい」←という場面で泣きそうになりました。
ほとんど恋愛以外のエピソードなので、「グリム童話風ちょっといい話」になってました。萌えはないけど、凄く良かったです。BLというより、善悪とは何か? 人を見かけで判断して良いのか? ということを突きつけてくる話でした。
心優しい娼婦・クローディアのエピソードが好き。ええ話や〜。→しかし、私はクローディアが助かると信じてた…だって、これで死んだらあんまりやろ?と。天使の力でどうにかならんの!?って、なりませんでしたね…。けど、あの性格の悪かった天使が、自分の羽をもぎ取ってでも、クローディアの魂を天国に送ろうとしたことに感動。

ところで、Don't Warry mamaがCD化されるそうですね。音でどうやってデブさんを表現するんだろう。



2006年03月22日(水)
「箱の中」木原音瀬

「箱の中」木原音瀬
痴漢の冤罪で刑務所に入った男の話。認めて3万円の罰金を払えばすぐ釈放されるが、やってないと訴え続けたために「反省の色無し」とされて、10ヶ月の実刑。
もう、この刑務所の描写が辛くて辛くて…リアルで細かすぎる。寝るときも顔を布団で隠しちゃダメとか、受刑者同士でチリ紙ひとつやりとりしちゃダメとか。やっと信じられる人に出会ったと思ったら騙されて、堂野が追いつめられて、頭を壁にぶつけたり、泣くのをこらえるために手首噛んだりしてる姿は、ギリギリ心臓を振り絞られてる気持ちに。おまけに、風邪を引いても薬ももらえず、チリ紙もすぐに無くなるって、悲惨の一言。
喜多川の親切に心が安まるも、子どものような愛情のぶつけ方に、押され押されて…。堂野が、ああいうことがあっても、喜多川に住所を教えようと思ったのは、本人が気づいてないだけで、かなり愛情があると思うんだけど。とは言っても、出所後の堂野の行動は、仕方ないのか…。ラストに泣きそうになった。クッキーのシーンが好きでした。
続編の「脆弱な詐欺師」。出所後、堂野の行方を捜そうとする喜多川の話。
ろくに物も食べずに、ボロボロになるまで働いて、探偵に頼む費用を稼ぐ喜多川。や、やめて…痛々しすぎる。あれで本当に騙されて終わりだったら、後味悪すぎるよ。「…神様」の台詞に泣きそうになりました。
この、凶暴なほど純粋な恋心(というか、親を慕う子どものような心)の行き着く先はどこだろう。続編、「檻の外」の発行が楽しみでなりません。

事前に、五ヶ所抜けがあるって聞いてたんですが、昼休みに京都の旭屋書店で買ってきましたが、正誤表は入ってませんでした。公式サイトで抜けの分は確認できますが。これから買う方は注意された方が良いかも。28日以降に正しい分が出荷されるそうです。すでに買った方も、出版社に問い合わせれば交換してくれはるそうです。



2006年03月21日(火)
アナタとヨエコ

ANATAKIKOUと倉橋ヨエコさん(at 心斎橋クラブクアトロ)のライブに行ってきました。
お客さん、やっぱり帽子率高いです。メガネのかわいこちゃんも多い。開演待ちで文庫本読んでる人が居て、びっくりしました。スタンディングのライブで、そんな時間のつぶし方は初めて見ました。
そして、クアトロは飲み物がオロナミン系ばかり。オロナミンポカリを飲みました。オロナミンビールとか、どんな味なんやろ。

最初はヨエコさん。ちゃんと聴くのは初めてなのですが、べらぼうに歌の上手い方ですね。矢野顕子みたい。華奢で可愛い方なのに、この迫力は一体。終演後CDも買ったのですが、やっぱりライブの迫力は再現できてないよう。「卵とじ」と「春の歌」が好き。MCも、聞き易い感じの良い声だと思いました。でも、歌は情感たっぷりすぎて時折怖い…「花いちもんめ」とか。
アナタの「アーチ越えて」を弾き語りでカバーしはったのですが、全然違う。暗い、感情的な歌になっててビックリ。いい意味で、ヨエコさん色に染まってました。

次にアナタ。三人そろって妙なポーズ決めながらの登場。なかなか演奏に入りません。
曲は、モネラ氏の庭園、キューティーホン、甘い種の秘密、いけないところで、WOMAN RECORD、最後の夕景色、シンデレラ、幻想港町。
最後の夕景色、シンデレラは初めて聴きました。最後の夕景色、いい歌だ〜。松浦さんがMCで、「良い歌でしょう? 僕、歌いながら泣きそうになるんですよ。皆さん、そんなこと無いですか?(ぐるっと見渡して)全然そんなこと無さそうですね☆」と言ってはりましたが(笑)サビの歌詞から、てっきり飛行機雲という歌かと思いました。シンデレラも好き。

それにしても、曲が少ない…。アナタもヨエコさんも聞き足りない。しかし、ヨエコさんはCDの音源だけじゃ、好きにならなかったろうな。ライブがものすごく良いです。気持ちの良い声。

アンコールのヨエコさんは、羽織ってた着物を北條さんに着せ、お花の髪飾りを松浦さんの頭につけはりました。松浦さん、照れてはってかわいかったです(笑)仲良しさんだ。



2006年03月20日(月)
「窮鼠はチーズの夢を見る」

水城せとな「窮鼠はチーズの夢を見る」
あちこちで大絶賛だったので、購入。…圧倒されました。単純に面白かったって言うより、凄いもん見たって感じ。
流されやすいダメ男に、執着しつづける男。ということで、木原さんっぽい?と思いきや、透明感のある絵柄で、印象が違う。でも、その執着の書き方が、暗いというか痛い。でも、胸にしみる。不思議な読後感でした。
女性が存在感のある、嫌な役で出てくるのも印象的。好きな男の元カノとの対立とか、背筋凍りそう。
「身体の中に隠し持ってる欲望と情熱、それを俺にください…!」の台詞で胸をかきむしられました。台詞が何だか、すごいなぁ。斬りつけられてるみたいな気になる。
レディコミに連載されてただけあって(注:BLです)女性が生々しくて、強かです。
水城さん、初めて読みましたが、心理描写に迫力のあるマンガ家さんですね。綺麗な絵なのに、仄暗い情念漂う描き方が、尾を引く。



2006年03月19日(日)
藤子・F・不二雄の短編

藤子・F・不二雄の短編に、食欲と性欲の価値観が逆転した世界の話があります。
昔、週刊誌の書評で見かけて気になってたのですが、最近タイトルを知って、短編集を買ってきました。「気楽に殺ろうよ」というタイトルです。
この短編集、他の作品も、えらいブラックかつ皮肉たっぷり。定年退食のラスト、キツすぎです。明るく優しく夢いっぱいの、ドラえもんの作者とは思えない。それにしても、発想の豊かさに舌を巻きました。今更ですが、天才だったんだなぁ。少ないページで、強烈な印象を与えられる。
で、「気楽に殺ろうよ」ですが、食事がすごく恥ずかしいことで、真っ暗な部屋でカーテン引いて、こっそり食べたりしてるんですよ。代わりに、性欲がオープン。人殺しも、スペア(赤ちゃん)を作って、許可をもらえばOK。
なんじゃそりゃ!って感じですが、作中ではちゃんと合理的な説明がされてます。地球は人口増えすぎなんで、間引きしてくれた方が良いのだとか。食欲は個人的独善的な欲望で、性欲は種の繁栄に直結する、公的な欲望だとか。常識って言うのも、結構曖昧なもんね…。他のSF短編集も読んでみたいなぁ。



2006年03月18日(土)
英田サキ「エス」

英田サキ「エス」を読みました。
前半は、ひたすら拳銃を追い、情報収集に明け暮れてたので、一体これのどこがBLなのかと思いました。警察内部の縄張り意識、極秘潜入を行う捜査官の苦悩、拳銃密輸の背後に中国政府…ハードボイルド部分がやたら面白かったです。捜査対象の組織に内通者「エス」を作ることで、情報を得る、捜査官のお話。表紙も渋くてかっこいい。
といっても、後半しっかりBLなのですが。義兄は、椎葉に含むところがあるのではないかと思う。最初は、安東と椎葉の話だと思ってたので、途中で、ええ?と思いました。安東、ちょっと不憫…。窮地に陥っても、決して挫けない、椎葉の気の強さが好きです。

追記。
2,3巻も読みましたが、いまいちだった…。引き延ばしされ、話は進まず、椎葉は同じ手に引っかかって捕まってるし。本当に優秀な警官なのか? エリートとかヤクザとかルポライターが紋切り型に描かれてるのが、気になるなぁ。一巻の椎葉と宗近の攻防は好きだったんだけど、恋愛関係になってからは、馴れ合ってるように見えて、面白くないというか…。



2006年03月17日(金)
「脱がない男」

占いのとおりに、今日もBL日記です…。

「脱がない男」上・下(木原音瀬)を読みました。
人の肉体的欠損をネタに脅す話だって聞いて、読むのよそうかな…と思ってたのですが、中をパラパラ見てたら面白そうだったので購入。実際、コメディタッチで面白かったです。
甲斐谷、お前は進歩の無い奴だな!と思いながら読んでました。反省したくせに、もう一度脅してどうするのよ。課長も流されてる場合じゃないでしょ。KASHAのデザイン案はともかく、シャングリラのフレグランス案まで通してあげる必要ないのでは? 課長が拒絶してからラブラブになるまでが、もっと読みたかった。あれじゃ、課長が惚れた理由がよく分からない。
前から、課長も甲斐谷が気になってて、じっくりそのことに気づいていく…っていう展開なら良かったなぁ。甲斐谷も、脅しなんかじゃなくて、誠意と根気でくどいてくれたら見直したのにねえ(ため息)
心配していた脅しのネタですが、甲斐谷が、そこもひっくるめて課長のことを好きになる話だったので、読後感は良かったです。ただ、最初は本当に「あんた、人としてどう?」と引きましたが。後書きにも、「笑い事じゃないよ…」と。

木原さんといえば、現在、雑誌の方にすごい話を連載中ですね。
前科三犯、ヤクで自殺しようとしたオヤジ。それ本当にBLの主人公!? あのキラキラした小説B-BOY誌に載ってるの!? すごい読んでみたいけど、後編が痛いことになりそうで恐ろしい…単行本になるのを待つべきか。もうすぐ刑務所物の「箱の中」も出ますね。木原さんはどこまで限界にチャレンジする気かね。