冒険記録日誌
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2015年03月29日(日) ゲームブックの読み聞かせ

 ファン開拓企画!ということでゲームブックを子どもたちに読み聞かせてみましたよ!
 といっても実際にやったのはたいぶ前の話しですけど。
 もちろんパラグラフ400とかのゲームブックをサイコロを振りながら読み聞かせるわけじゃないです。それじゃあ疲れるし時間がかかりすぎるし、TRPGのファン開拓企画になってしまう。
 昔から参加している団体で、子どもや親子への芝居観劇や遊びを手伝っているんですが、そこで子どもや親子20人くらいを相手に、普通は絵本とか読むところを、試しにゲームブックの読み聞かせをしたのです。
 このゲームブック読み聞かせは日をあけて2回しました。最初の読み聞かせ作品は、このプリン部屋にも載せている自作ゲームブック「ドナウ川の妖精」。パラグラフ50のゲームブックなのでボリューム的に丁度よかったのと、実際の民話をベースにしているストーリーなので、読み聞かせに相性がいいと思ったからです。
 やりかたは普通に読み聞かせを始め、選択肢に差し掛かると、「こちらを選んだ方がいいと思う人は手を上げて」と挙手の多い方に進行するという方法。
 この自作だけに暗記していたので、何も準備なしでやったのですが、絵心があれば、印象的なシーンだけでも紙芝居みたいに描いたイラストを見せてもいいかもしれません。
 結果は上々で、読み聞かせは無事エンディング2の結末までたどり着きました。みんなの反応も好評だったと思います。
 そして2回目に選んだ作品は「猫といじめっ子反撃大作戦」(2004年06月19日の冒険記録日誌参照)。これは原書をベースに、自分が読み聞かせ用に、戦闘ルールや細かい分岐を省略してパラグラフ50くらいにギューーッと圧縮した簡易版を作成したもの。
 後は前回と同じように読み聞かせをしたのですが、こっちは失敗。ちょっとダレてしまいました。
 反省点としては、今回はみんなの選択の結果、途中でゲームブックオーバーになることが何度もあり、それがバッドエンドだけに中途半端感があったのですよね。それで少し前のシーンから再開して、最終的にはエンディングまで誘導したのですが、その分長引いてしまい、みなさんちょっとお疲れになったようで。
 反省点としては、途中ENDの展開はNGということですね。どの選択でも結局ハッピーエンドではゲームとして面白くないので、最後の結末がバッドエンドになるのはいいとは思います。ボリュームはしっかり遊べるゲームブックにしたいのですが、時間の都合から考えるとパラグラフ30くらいの作品がいいのかな。
 読み聞かせの題材についてですが、「猫といじめっ子反撃大作戦」を選んだのは、ゲームブックには珍しい、身近な日常光景を中心とした世界観が、子どもたちにわかりやすいだろうと思ったからですが、剣と魔法のファンタジーものでもありなのかもしれないです。また、そのまま読み聞かせに使えるまさにピッタリといったゲームブックに「かぎばあさんの家みつけた」(2002年07月03日の冒険記録日誌参照)がありますが、子どもの教育用といった内容なので、読み聞かせ会で使うかは会の趣旨を考えてから決めましょう。
 また、私のような大勢を相手の読み聞かせだと、双方向システムのゲームブックは避けた方がいいですが、1対1の読み聞かせなら藤浪智之さんのミラクル・タイム・アドベンチャーシリーズなどもいいかと思います。
 桃太郎や眠り姫などの子ども達にお馴染みの昔話をベースにして、もしもこうなったらの展開を味あわせるのもありでしょう。ただ、会場のみんなが素直に正史通りの行動の選択肢しか選ばない可能性はありますので、アクシデントで本来の通りに主人公が行動できなくなったとか、オリジナルのシーンも混ぜると良いかと思います。
 もし、自分がゲームブックの読み聞かせをする機会がまたあるようなら、次は近代映画社から出ていた「騎士と魔法使いシリーズ」でやってみてもいいかも。ただし、かなり内容に手を加える必要はありますが。過去に戻る魔法を使ったら、失敗して主人公が赤ちゃんになってENDとか、子どもたちのボーゼンとした姿が目に浮かびますw


2015年03月28日(土) 都会のトム&ソーヤ ゲーム・ブック 「館」からの脱出(はやみね かおる/講談社)

 「都会のトム&ソーヤ ゲーム・ブック 修学旅行においで」(2013年06月16日の冒険記録日誌参照)に続く、都会のトム&ソーヤゲームブックの第2弾です。
 本書も人気児童小説「都会のトム&ソーヤ」シリーズの作者、はやみねかおる氏自身によるゲームブックです。
 前作の紹介の時に説明しましたが、作者本人が書かれているから二次創作ではありません。これは凄いことです。しかも第2弾とか奇跡みたいな話です。本の帯の「こんな画期的な本があったとは!!」とかの10代読者達の感想コメントがまぶしいです!
 さて、ちょっと落ち着いて内容の方も説明しますと、今回の冒険の目的は、栗井栄太というゲーム制作集団の館に招かれた内人と創也、そして「きみ」の3人が、館から脱出するゲームに挑戦するというものでした。最近、脱出ゲームって流行りなのかなぁ。
 ちなみにこの館でのゲームは、小説で内人と創也が挑戦するエピソードがありまして、今回は新装された館で2度目の挑戦ということになります。小説版を読んでいなくても一応遊べますが、栗井栄太のメンバーが変人揃いなこととか、いろいろ知っておいた方がストーリーが楽しめると思うので、小説の2巻までは読んでいた方が良いでしょうね。
 ゲームルールの方は、少数のアイテム管理くらいで簡単です。外出先でも手軽に読める……といいたいですが、謎解きでスケルトンパズルを解かないといけない箇所があるので、それは難しいかも。

 遊んだ感想ですが、今回はちょっと不満が残りました。
 まず、ストーリー面。事件の真相に関する云々とかは、小説版も似たようなノリの事件が多いのでまあいいんですが、「きみ」つまり主人公の存在感が薄いのです。
 具体的には館を捜索しているときの様子は、全体的に内人と創也の間だけの会話が多く、2人は時々思い出したように「きみ」に話しかけてくるくらい。
 また、本作は前作と同じく、パズルみたいな謎解きがところどころ存在するのですが、解法がわからない場合は、創也がヒントをくれ、それでもわからない場合は、創也が回答して先の展開に進むのです。謎解きで行き詰った読者への救済措置でしょうが、そのために「別に主人公がいなくても、内人と創也だけで十分じゃん」的な印象を与えてしまってます。
 前作は修学旅行がテーマだっただけに、主人公はクラスメートの一人として、それなりのポジションが見えていたのですが、本作は内人と創也に加えて主人公の「きみ」まで館に招待される動機が弱いので、2人の冒険にただお邪魔させてもらっているだけに感じてしまいました。本作は小説と同じく、主人公は内人でよかったのではないかなぁ。

 そして、ゲーム面。前作の「修学旅行においで」は、一方向システムのゲームブックでしたが、今回は館の中を自由に動き回れるということで、双方向システムを採用しています。
 問題なのは、館の中を自由な順番で見て回れても、先に進むための方法は、先にあの部屋でイベントをこなして次にこの部屋、という風に一つの手順しかないという事です。要するにどんなプレイでも、ゲームオーバーになる選択肢を除けば、結局同じ展開なんですね。
 このアイテムは取らなくても進めるが後半でちょっとだけ苦労するとか、多少そんな部分があるくらい。もっとこう、このルートなら別の謎解きに挑戦することになるとか、こう進めればここで登場してくる人物が違ってストーリーが変わるとか、そんな大きな変化が欲しかったところです。もしくはあちこちで収集した情報を総合してやっと解ける謎解きにするとか、どちらの障害から解決していっても良いとか。
 誤解のないように言うと、一方向システムより、双方向システムが劣るという意味ではないですよ。私はどっちも好きですし、一方向システムでも、ほぼ一本道のストーリーしかなくて不満を感じるゲームブックはありますから。ただ、双方向システムは、一見自由に動けるように見える分、作者に実はほぼ一本道な展開ということに気づかれずに(あるいは双方向システムだからストーリーは一本道でもいいだろと)作られた作品が多い気がします。
 いろいろ文句ばかり書いてしまいましたが、なんだかんだいいつつもゲームブック版も本家の小説と同じく、(ちょっぴりゆるい雰囲気で)冒険を楽しむことができる作品です。はやみねかおる氏の後書きを読む限りでは、ゲームブック第3弾も考えているようなので、次回作はこうあって欲しいという願望を書いたようなものです。次も期待していますよ!


2015年03月25日(水) スパイ指令 陰謀団Xをつぶせ!(スーパー頭脳集団アイデアファクトリー/桐原書店)

 本作は世界連合秘密情報局なる組織に所属する主人公が、地下組織をぶっつぶすという、007のような内容のゲームブックとなっています。
 この主人公というのは、過去には数々の任務を失敗してきて、局の受付嬢まで失笑を買ったことがある伝説をもつ男。プロローグでは、局長からナチスの残党が作り上げているとされる謎の組織の調査を命じられますが、そもそも組織が実在するのかも怪しいレベルの情報なので、下っ端の主人公にお鉢がまわってきたのです。続くルール説明でも、能力値を決定するくだりでは「君は天性の勘で練習不足を補ってきた感があり、いまいち安定性に欠ける。体力にしても、何かというと下痢を起こす体質で、いささか心もとない」と説明されています。いや、もうなにか散々な感じです。
 ゲーム中の様子では、腐っても秘密情報局員らしく、4・5人のチンピラ相手くらいはサイコロによる戦闘なしで倒せる実力はあるようですが、トイレに隠れた敵幹部に気づかずに捜索をやめて帰ってしまうなど間抜けなシーンもあり、性格も「もし地下組織の噂がガゼだったとしても、経費で旅行できるからラッキー」とか結構適当です。本書発売当時の言葉で言えば、スチャラカ社員とか新人類みたいな奴でしょうか。遊んでいて、火浦功のライトSF小説、スターライトシリーズを連想しました。
 それにしても、こんな主人公一人に壊滅させられる地下組織とか、なさけなすぎる。実際、主人公が捜査に行き詰っているのに、わざわざ主人公を襲って手がかりを与えてくれる親切な展開が何度かあり、どっちもどっちなレベルの戦いな気がしなくもありません。

 ルール面は、ファイティングファンタジーシリーズのような戦闘ルール(運試しにあたる要素はなし)と、装備品に“万年筆型拳銃”や“ライター型手榴弾”や“盗聴器”など10点の中から5点を選ぶくらい。スーパー頭脳集団アイデアファクトリー作品では、ルールが無駄に複雑ではないというだけでも素晴らしく感じます。(装備品を使用する際に消耗する操作力点という能力値と、主人公の愛用するワルサーP5の残り弾薬数の管理のルールもあったのですが、さほどゲーム的に重要に思えなかったので、2度目以降のプレイは省略して遊びました。)
 話しのタッチは主人公に合わせたのか軽いノリで、中の作者が違うのかもしれませんが、同シリーズの「暗殺ゲーム」(2005年02月23日の冒険記録日誌参照)に比べると、ハードボイルド的な行動は一緒なのに、全然雰囲気が違っています。地の文章はこっちの方が読みやすいです。
 主人公はスチャラカといいつつも、実際の行動は真面目に組織の手がかりを求めて、時々敵に襲われたりしながらも、フランクフルトやリオデジャネイロと世界中を移動していきます。
 クライマックスは、終盤のリオデジャネイロでリオのカーニバルに遭遇するシーン。サンバのリズムに乗って、小さな布きれの衣装で踊りまくる女たち、主人公もスーツ姿のまま、思わず一緒に踊りだしてしまうというものです。カーニバルに参加する展開は、捜査に行き詰って単に気分転換でパレードでも見に行くという、実は意味がない行動なのですけど妙に印象に残るシーンです。編集者もそう思ったのか、ここは本書の表紙カバーの絵にもなっている場面です。営業的にスパイもののタイトルの本で、この表紙カバーはどうなのかとは思わなくもないですが、いろんな意味で本書を象徴していますね。

 ゲームバランスは厳しめで、特に最初に選ぶ装備品の選択次第で、クリアが困難になったり、ゲームオーバー確定になったりします。理不尽といえば理不尽ですが、それをいえばファティングファンタジーシリーズの大半だって、死んで覚えろな高難易度ですし、それよりは楽な方です。パラグラフ210でさほど長くない作品だけに、どの装備品が重要なのかは数回挑戦すればわかってくると思います。
 数々の珍ゲームブックを生み出してきたスーパー頭脳集団アイデアファクトリー作品ですが、本作は遊んだ感じでは意外と良く出来ていました。そりゃ鈴木直人とかスティーブジャクソンのような、ゲームブックの代表的メジャー作品に比べると、みそっかすみたいなものです。知ってます。でも、スーパー頭脳集団アイデアファクトリー作品は普通に遊べること自体が凄い事なのです。真面目に言っても、私が同シリーズで遊んだ中では「猫といじめっ子反撃大作戦」(2004年06月19日の冒険記録日誌参照)に次ぐ良作だと思いますよ。


2015年03月22日(日) 奪われた竜の卵(ダグラス・ナイルズ/富士見文庫)

 ファンタジー小説「ドラゴンランス戦記」の外伝的なゲームブックです。ギルサナスというエルフ戦士兼魔法使いを主人公にした冒険談となっています。
 富士見のAD&Dゲームブックシリーズは、他にもいくつか「ドラゴンランス戦記」に絡んだエピソードの作品がありますが、本作品は特に原作を読んでいないと物語の背景がよくわからずにプロローグから話しにおいていかれる感じでした。なんとなくレベルで理解しながら遊びましたが、小説未読者のために、簡単な粗筋でいいから主人公の社会的立場とか過去エピソードについて補完して欲しかったところです。
 本作の重要な設定として、ヒロインはシルヴァラというエルフの女性ですが、その正体はドラゴンの化身というのがあります。2人は過去に共に冒険したこともあるようですが、本作のプロローグ時点で主人公は、あえて彼女から距離を置いている状態です。なぜなら主人公はシルヴァラに惹かれている一方、その正体を知ってからは嫌悪も感じて一緒にいると混乱してしまうからなのです。この二人の関係は冒険の内容とは直接関わりはないのですが、主人公の葛藤の様子が度々書かれるのでゲームブックには珍しいロマンティックな雰囲気が全体に漂っていますね。
 久しぶりにシルヴァラに出会った主人公は、暗黒の女王に人質にとられているシルヴァラの一族の子ども達、つまり竜の卵を敵の拠点から救出してほしいと頼まれます。なんだかんだ心ではいいつつ、彼女の頼みを断れないので冒険に旅立つわけですが、最初の陸路と海路とどちらを選ぶかで敵の拠点までの行程が全く変わりますし、拠点についてからも無事に潜入できたか捕虜として連行されたかでも展開が変わりますので、そこそこ繰り返しプレイも楽しめる内容です。
 主人公の能力値は、シリーズ定番の生命点(ヒットポイント)、経験値(消費してサイコロの目に修正できる効果)の他に、戦闘技術点(戦闘の強さ)、知覚技術点(何かを発見する能力)、魔力点(魔法の使用回数)の3つがあり、7点を自由に割り振って決めます。
 物語重視のためか難易度はそれほど高くないのですが、最初のプレイはゲームオーバーになりました。最初の冒険は魔力を最大の5点で割り振って、魔法が使えるシーンは惜しまず使う作戦だったのですが、わずか2回しか魔法を使える機会がないまま、経験値を使い果たした状態で最終戦に突入してしまい、詰みになってしまったんですね。能力は戦闘重視の方がいいのかもしれません。あと陸路ルートにバグがあったのがちょっとマイナスです。
 途中でフィズバンという、これまた過去に主人公らと一緒に冒険していたらしい老魔術師が登場しますが、イマイチ何の役にも立っていないような気が。
 魔法を使えばマウスとハウスを間違って戦闘中に家を突然登場させてしまうなど、大昔のアメリカンコメディドラマみたいなキャラで、ちょっと認知症でも入っているんじゃないか?といいたくなる性格ですが、小説版では重要な役でもあるのだろうか。主人公たちがみていない時に限って、いつの間にか敵を倒しているシーンがあるので、底が知れない老人ではあります。
 ラストのドラゴン対ドラゴンの戦いはもっと描写に力を入れてくれると、クラマックスが盛り上がったのにな。物語重視だけに惜しまれるところです。
 卵の救出に成功すればゲームクリアですが、暗黒の女王との戦いはまだまだこれから、もちろんギルサナスとシルヴァラの関係もこれからという感じで終わっています。やっぱり小説と合わせて楽しみたい作品です。

 最後に、AD&Dゲームブックシリーズは、この作品で全て冒険記録日誌に感想を書いたことになります。コンプリートです!
 発売当時はファミコンの代用としてゲームブックを求めていた私にとって、あまり興味のないシリーズでしたが、今は結構気に入っています。出来に当たり外れはありますが、シリーズの中でも「クォーラス城からの脱出」なんかは全ゲームブックの中でも上位のお気に入り作品です。
 これで富士見のゲームブックは結構遊び終わった感はありますが、スカイフォール・シリーズは未プレイなので、まだまだ楽しめそうです。


2015年03月21日(土) ゴーストタワー魂の石(ジーン・ブラッシュフィールド/富士見文庫)

 富士見のAD&Dゲームブックシリーズの第2作目。冤罪(というか罠)によって投獄された主人公の戦士が、釈放と引き換えに魂の石を手に入れるため廃墟と化した城への探索を命じられるというストーリーのゲームブックです。
 主人公カーステン・ソルダーには、ハーフリング(ホビットのこと)の女、フリップと、祈祷師の男、サレックスという2人の仲間がいます。職業的に言うと、戦士、盗賊、僧侶のパーティといったところ。
 AD&Dゲームブックシリーズで、仲間を連れての冒険というストーリーは、他作品にもあります。しかし、大抵の作品は主人公1人だけの能力値を管理すればよいのに対し、この作品は3人の能力値をそれぞれ設定する必要があるという、シリーズでは珍しく、ルール的にも本格的なパーティ制を採用しているのが特徴です。それぞれ独自のヒットポイントがあり、なくなれば死亡しますし、サレックスの使える魔法にも数に制限があります。
 当然、管理する項目は増えますが、戦闘をサイコロ一振りで決着をつけるようにするなど、他の負担を極力減らしているので、パーティ制とは思えないほどルール的には軽く、快適に遊ぶことができました。
 パーティ製のゲームブックは、創元推理文庫のゲームブックのスーパーブラックオニキス、ワルキューレやウルフヘッドシリーズなどが有名ですが、そちらが戦闘メインでTVゲームのRPG的な雰囲気なのに対し、本作はこの場面では誰が危険を冒すのか?など、仲間の体力や能力も考えながらの行動が多いため、TRPGのパーティプレイの雰囲気が良く出ています。序盤の展開なんかは、罠探知に、ランダムで相手が変わる敵との遭遇など、まさにTRPGのダンション探索そのものです。
 でも、城内の冒険なのに海に浮かぶ小島へたどり着いたり、チェスのコマみたいに動かなくてはならない部屋など、冒険は真面目なのにヘンテコなシーンもいっぱい。「すべては“魔法の力”で説明すればいいんだよ」で済ませているようなノリです。T&Tソロシナリオもそうだったけど、海外ゲーマーによるTRPGって大雑把なノリで遊んでいるのかな?
 物語はあくまでも主人公視点で進んでいくのですが、主人公は序盤で警告を受けるのです。仲間のうち1人は裏切り者で、魂の石が手に入れば命を狙われるだろうと。そのため常にフリップとサレックスの様子を伺う描写があり、警戒しつつも協力し合うという緊張感がある展開となっていてなかなか良いです。
 主人公らに探索を命じた邪悪な伯爵や魂の石の正体について、最後まであまり説明がなかったのが若干モヤモヤしますが、囚人扱いされていた主人公に詳しい事情を知る機会があったはずもない、と考えれば現実的なのかも。
 ゲームバランスは厳しめ(特に魂の石の防衛装置についてはサイコロ運に頼る部分が大きい)ですが理不尽というほど難しくはありません。序盤である体力チェックの判定に失敗すると、矛盾する展開になる小さなバグがありましたが、総じて良作といえる作品でしょう。
 しかし、ラストは良作が台無しになるレベル。終盤の重要な選択肢で、選ぶつもりだった選択肢が存在しなかったのです。裏切り者の正体については、最初から想像していた通りだったので、あの選択肢がないのには納得できません。ゲームブックじゃなくてTRPGだったら思い通りにできたのに!と、久しぶりにゲームブック形式にもどかしさを感じてしまいましたよ。エンディングは数パターンあるのですが、ベターエンディングはあっても、ベストエンディングはない気分です。
 序盤で、城に潜入する前に衛兵を振り切り逃亡に成功する、という冒険が始まる前に終了してしまう展開があるのですが、ある意味これが一番のハッピーエンドかも。
 


2015年03月08日(日) もしもソーサリーがライトノベルだったら その11

 子ども達に食料も金貨も魔法の発動体となるアイテムも全部とられてしまった。さすがに君は落ち込む。
「ジャン!空からガキどもが見えないか見てちょうだい。」
「わかったよー」
 路地を囲んでいる粗末な家々の上を目指してジャンが飛んでいく。
 アリアンナが君を引っ張り起こしながら怒鳴る。
「いじけてる暇があったら、さっさと追いかけるんだよ!」

 しばらくの捜索にもかかわらず荷物を取り戻すことはできなかった。街の狭い路地を知り尽くしている子どもたちに追いつけるはずもない。
 かろうじて子どもたちの一人を見つけたが、残念ながらそいつは荷物をもっていなかった。アリアンナが縄で縛りあげて聞き出したところでは、もう今ごろは荷物は街で売りさばかれているだろうとの事だった。
 残ったものを確認しながら身支度をする。ガザムーンから預かっている手紙は無事だった。今日にも届けるつもりで荷物から出していたのが幸いだったようだ。
「お人よしじゃなくて、ただのまぬけだな。ロータグとかいう学者を探して手紙を渡すために旅に出たのかよ。」
 アリアンナの毒舌にも反論する気力もなかった。
 すると、縛られていた子どもがロータグさんの居場所なら知っていると言い出した。この辺りの子どもたちに、よく勉強を教えてくれるそうだ。
「じゃあ、そこへ案内してくれないか?そしたら解放してあげるから」
 君がそういうと、子どもは石とモルタルでできた大きな建物まで、君たちを案内してから飛ぶように逃げ去った。よほどアリアンナが怖かったらしい。

 正面玄関でノッカーを鳴らすとガウンをまとった老人の男が出てきた。この男がロータグらしい。用件を伝えるとすぐに中に通してくれる。アリアンナは子どもの教育が足りないだのロータグに無礼を言いそうな気がしたので、あらかじめ喋らないように強く言い含めておいた。
 居間に入るとその光景に一瞬硬直した。
 壁には見たことのある人物を描いた大きなタペストリーがかかっていたのだ。ぽっちゃりした体型と大きな胸、そのにこやかな笑顔は、シャムタンティの丘でロータグへの手紙を託したガザムーンだ。よく見るとテーブルの上にはガザムーンを模した小さな陶器が飾られている。棚をみると飾り皿に大きく描かれたガザムーンの顔の絵が、こちらに向かってニコヤカに笑っている。
「なにかな?」
 ロータグがいかめしい声で聞いてきたので、なんでもないと返す。老人は微笑んだ。
「そうですか。この街を少しでも未来のあるものにしようと、子どもたちに学問を教えていますが。そのせいか私は少々変わり者扱いされていましてな。今しがたのあなたのように妙な顔をされるのには慣れていますよ。さっ、お茶でもどうぞ。」
 椅子に座り、出されたお茶を飲み干すと、カップの底にあらわれたガザムーンの笑顔を見つめることになった。話しをしようとロータグを改めて真正面から見ると、首にかかったガザムーンの顔が写ったロケットを見つめているロータグがいた。思わずアリアンナと目を見合わせてしまう。
「ガザムーンからの紹介と聞きましたが、それが本当なら私も喜んで手を貸しますよ。」
 ロータグがそういうと、君はおずおずと託された手紙を出す。老人はかすかに震える手でそれを受け取ると、手紙を読み始めた。
 途中から歓喜に震えたように顔を輝かせ、こちらに目をあげた。
「素晴らしい連絡だ!しばらく待ってください!」
 手紙を握りしめたと思うと、老人とは思えない身のこなしで、奥の「研究室」と書かれた部屋に飛び込んでしまった。
 後に残された君たちはボー然としていたが、顔を寄せ合わせて小声で話し合う。
「今のうちにこの家から出て行かないか。なんであの女の顔ばかりなんだ?気味が悪いを通り越して怖いよ。」
「僕は人間はみんな変だと思っているから気にならないよ」
「お前には言ってねぇ!」
 君もアリアンナに同感だったが、気になるので様子を見ることにする。

続く



2015年03月06日(金) 闇の黄金郷(高千穂遙原案、森田繁作/富士見文庫)

 原案はダーティペアなどで有名な高千穂遙です。人気作家が関わっている小説の要素が強い現代冒険物ゲームブックということで、前回感想を書いた「魔境遊撃隊─ナイル川の呼び声─」に似た雰囲気を感じる作品です。魔境遊撃隊を遊んだついでに、こちらも遊んでみました。
 主人公は第一次世界大戦に大陸で活躍した秘密諜報員で、今は楽隠居をしている神崎史郎という男。以前、借金のカタに取り上げた古い壺を売ろうと手に取ったら、中に黄金と謎のメッセージが隠されていたのを発見、黄金郷を目指して上海に旅立つというストーリーです。
 主人公が元スパイという特殊な設定なのに、冒険のキッカケが全然関係ないですね。某小僧名探偵が探偵事務所に依頼されてきた事件より、なぜか偶然遭遇した殺人事件ばかり解決しているようなものでしょうか。
 上海でのハードボイルド的な展開、事あるごとに主人公を襲ってくる大日本帝国陸軍の特務機関やフランスの情報部、中盤以降はゾンビや触手もある謎の化け物の登場、ありえない程の超技術をもった古代の遺跡など、やっぱり魔境遊撃隊に近い感じでした。違いは美女とのコンビの冒険という事と、目的が財宝さがしという点で、そう考えると和風インディジョーンズといってもいいかも。

 ゲームのルールですが、主人公の能力値は、生命力、知力、戦闘力、経験値の4つ。所持品管理は武器とお金(上海が舞台だけに通貨単位は元)くらいです。サイコロを振って互いの体力を削り合うような戦闘はクリアまでに1回か2回くらいしかなく、戦闘の大半は○○がいくつ以上ならとか、サイコロを一つ振って○○との合計がとかで勝敗が決まって展開が分岐します。能力値の変動はそれほど多くありません。ゲームバランスも易しめで、本作のようなストーリー志向の強いゲームブックでは、これくらいの方がほどよくて好きですね。1回目のプレイでは闇の迷路で抜け出せずにゲームオーバーになりましたが、2回目でクリアできました。
 ただ、ハードボイルドな世界観のくせに、金銭管理だけは喫茶店に入る度に2元減らせとか細かい。途中で3000元とか入手するのに、2元とか誤差レベルですよ。遊んだ感じではゲームの進行的にも所持金の有無はさほど重要ではなかったので、金銭管理は無視して金はあるものとして遊んでもいいかもしれません。

 終盤の黄金郷では大きく2つの展開が用意されており、敵やエンディングも違っています。分岐点は、どっちの道を歩くかという、どうでもいい選択肢でして、それでどこの情報機関が黄金郷まで追ってこれたのか正体が変わってしまうのが不思議。できれば「前半でフランスの情報部に荷物を奪われてしまったから」とか、「あの日本人に話したから、帝国陸軍に黄金郷を嗅ぎつけられたのだ!」みたいな因果関係がある理由で分岐してほしかったところです。ただ、ルート分岐自体は2周目のプレイも楽しめるので良い工夫だと思います。
 あと終盤に一つバグがあります。パラグラフ42からは42へ移動となっていますが、正しくは43へです。ありがたいことに前のプレイヤーがエンピツで修正をしていました。ゲームブックの古本ならではの特典ですな。
 全体の感想としては、ストーリーや設定がベタな冒険小説風なだけに爽快感はあります。ヒロインは古武術の達人で雑魚ギャングくらいは自力で倒せて、飛行機の操縦までこなす有能さのくせに、言葉使いとか普段のふるまいはお嬢様というギャップがあるキャラで割と好み。
 誰が壺にメッセージを残したのかとか、この派手な仕掛けの動力はなんだとか、いろいろ突っ込みたい気もしますが、細かい理屈なんて考えずに楽しめって作品です。


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