冒険記録日誌
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2013年08月27日(火) ソーサリーの魔法レッスン その18

 夏編ソーサリーの魔法レッスンも今回が最終回。
 今回は変わりネタでいきましょう。判断が難しく、答えを見てもなにが正解なのかわかりにくいかもしれません。
 元ネタは山口プリン小学生時代の実体験です。
 下の例題を読んで適切な呪文を一つ選んでください。魔法に必要な道具は全てもっているものとします。


(例題)
 あっという間に夏休みも終わりが近づいてきた。しかし、学校の宿題はこの時期になっても終わりが見えない。
 君はじんわりとした焦燥感を味わいながら、今日こそは宿題をしようと思った……朝の決意を思い出しながら、夜になって机に向かっていた。
 昼に予定外のプールの誘いがこなければ、こんな夜中まで宿題をする必要はなかったのだが。そうだ、誘った奴が悪い。
 君は空しい結論を出すと、漢字の書き取りを進めていった。親はとっくに寝てしまって、この部屋には一人しかいない。時計を見るともう真夜中で、もうすぐ12時になるようだ。
 そのとき突然、カラッカラッと窓の外の道を下駄で歩いているような音がするのに気がついた。それも複数の下駄の足音だ。
 今日はお祭りなどない日である。それも今は深夜で、こんな田舎道に人が歩いているだけでも珍しい。
 なんだ、こんな時間に?と思っていると、お婆さんの声が聞こえてきた。それも「しわがれた」「老婆」といった形容詞の似合う声。

 「こわ〜い」

 すると、続いて3〜4歳くらいの小さな男の子の少し甲高い声が聞こえてきた。

 「こわ〜い」

 男の子の声に優しく答えるように、またお婆さんの声。

 「こわ〜い」

 そして男の子とお婆さんが繰り返し繰り返し、「こわ〜い」、「こわ〜い」、「こわ〜い」、「こわ〜い」と声をあげるのが続く。ゲタの足音と謎の声はゆっくりと窓の前を横切っていく。
 怖いのはこっちだよ!
 心で突っ込みながらも、恐る恐る君はカーテンの隙間から外の様子を見てみたが、窓は擦りガラスで外の様子は見えない。
 それに窓の外の道路は街灯が遠く暗いのだ。たとえ窓を開けても外の様子は良く見えないだろう。むしろ謎のお婆さんと男の子に、こちらの姿を一方的に見せる結果になるだけだと君は思った。
 この状況で使える呪文があるなら一つ選べ。

MAG
JIG
HOW
FOF
SUN

 選んだら下を読むこと。君の運命は?



































(MAG)
 体力点を2減らす。君が呪文を唱えると、ちょうど声をあげていた男の子の声はふっと掻き消えた。
 続いてお婆さんの悲しげな吐息のような意味不明なつぶやき声が聞こえたかと思うと消え、後には外から何一つ声や物音は聞こえてこなかった。


(JIG)
 体力点を1減らす。君は震える唇を無理矢理落ち着かせ、恐怖心を吹き払うように竹笛で陽気な曲を吹いた。
 外からの声は続いていたのか、竹笛の音色にかき消されてしまったのでわからない。効果は出ているのだろうか?
 「やめなさい!夜中になにやってるの!」
 奥の部屋から親の怒鳴り声が聞こえ、なにやらドスンバタンと床を踏みしめる音が聞こえる。呪文にかかって踊っているらしい。
 曲を止めると、外は静かになっていたが、ほどなく親に大目玉をくらうことになった。


(HOW)
 体力点を2減らす。呪文を唱えても何も起こらない!
 外からはかわらず、お婆さんと男の子の声が聞こえてくる。
 君は軽い恐慌に襲われたが、謎の二人はそのままゆっくりと道の先へと歩みを続け、しだいに声は遠のいて行き、やがて消えた。時間にして5分ほどだろうか。
 HOWは危機から脱出するのに有効な呪文だが、初めから君に危険はなかったのだ。と、君は後になって気づいた。


(FOF)
 体力点を4減らす。呪文を唱えると、君のまわりに君を守ってくれる力場が発生したが、お婆さんと男の子の声はあいかわらず聞こえ、君は取り乱し始める。
 この魔法には精神的な防御力はないのだ。魔法での体力の消耗もあって、翌朝になって君は床に気絶していたところを親に発見された。


(SUN)
 体力点を1減らす。君が取り出した太陽石に向かって、急いで呪文を唱えると昼間のようなまばゆい明かりが発生した。
 これなら外の様子がわかる!
 光の助っ人に勇気を得た君は、大胆にも勢いよくカーテンを開き、窓をあけた。
 しかし、その時にはもう何の声も気配もなく、空っぽのアスファルトの道が見えるだけ……。


2013年08月22日(木) ソーサリーの魔法レッスン その17

 今回は普遍的な夏がテーマといっても、キャンプ、プール、肝試し、花火大会、高校野球などなど、いろいろありすぎて迷います。今年はどれも自分には無縁でしたが、みなさんは楽しい夏を過ごせましたでしょうか。
 さて、今回も下の例題を読んで適切な呪文を一つ選んでください。
 今回は魔法に必要な道具は一切もっていません。

(例題)
 君は仲間たちと海水浴を楽しんでいた。照りつける太陽。暑く焼けた砂浜を水着姿で走る君たち。
 海に飛び込めば冷たい海水が心地よく身を包みこんだ。今日ばかりは猛暑も気にならないな。そんなことを考えながら海面でクラゲのように浮かびながら、君はのんびりしていた。
 そのとき周囲から叫び声があがった。君の周囲で泳いでいた人たちも、みんな我先にと海岸に向かって必死に泳ぎだした。何事かと思う間もなく、海の家のスピーカーから大声で警告が繰り返される。
 「サメが接近しています。急いで陸にあがってください!」
 あわてて沖を見つめると、なんと運悪くこちらに向かって映画のように背びれが向かってくるぞ!サメだ!
 さあ、生き延びるために役に立つ呪文を一つ選べ。

NAP
DUM
LAW
ZEN
ZAP

 選んだら下を読むこと。君の運命は?



































(NAP)
 体力点を1減らす。君は「真鍮の振り子」を持っていないのでこの呪文の効果を発揮できない。
 だが、振り子を持っていても、サメに対してそれを揺らそうとは、君もなかなか大胆である。
 その無鉄砲な勇気に免じて、後で君にRESをかけてくれる人がいるかもしれない。


(DUM)
 体力点を4減らす。呪文は効果を発揮し、サメは不器用になった。サメが剣や鉾を持っていても、それは無様に落としてしまうだろう。
 しかし、サメは気にせずに鋭い歯を見せながら突っ込んできた。
 君にできることはリーブラ様に祈るだけだ。


(LAW)
 体力点を4減らす。呪文は効果を発揮し、サメは君の命令通りに向きを反転させて沖へと去っていった。
 君はゆうゆうと砂浜へ向かって泳ぎ出す。


(ZEN)
 体力点を1減らす。海面から飛び上がって避難するのはいいアイデアだったが、残念ながら今は「宝石をはめ込んだメダル」を持っていないので効果がない。
 目前にせまるサメに対して、君にできることはリーブラ様に祈るだけだ。


(ZAP)
 体力点を4減らす。君の指先から勢いよく飛び出した稲妻は狙い通りサメに当たり、見事に打ち砕いた!
 木端微塵になったサメの内臓が飛び散り、それが陸上の海水浴客までにかかったことによる若干の顰蹙はあったが(なに、君は別にシルバークルセイダーではないのだから英雄点など気にするな)、無事にすんだのだから上々の出来だろう。


2013年08月14日(水) ソーサリーの魔法レッスン その16

 忘れた頃に復活するソーサリーの魔法レッスンのコーナーです。
 ソーサリーを知らない人にはあいかわらず意味不明ですが、この日記を読むくらいの人ならわかる人が多いと思うことにします。
 さて、前回は芸能ネタ3連発でしたが、いま読み返すとすっかり元ネタが風化していました。今回は普遍的な夏をテーマにしてみましょう。
 下の例題を読んで適切な呪文を一つ選んでください。
 今回も魔法に必要な道具はすべて携えているものとします。

(例題)
 君はうだるような真夏の暑さの道を、家に帰るために徒歩で歩いていた。
 目的地まであと10分というところだが、住宅街であり、道中には途中に涼める店や木陰は一切ない。
 時間は正午頃で、天気予報でも今年で一番暑いと予報がでていた。あまりのつらさからか、アスファルトの道はかげろうのように歪んでみえはじめた。
 「たまらん、、、涼しくなる魔法はなかったかなぁ」
 魔法の触媒を全部持ち歩くのをやめれば、今よりはずっと荷物が軽くなってましと思うのだが、君はそのことに気づかぬかのように重いスポーツバックを肩にかけ直した。
 そのとき、空の一片から雲がみるみるこちらに広がってきたと思うと、突然バケツをひっくりかえしたような豪雨がやってきた。焼けたアスファルトから雨が蒸発した独特の香りが立ち上った。
 思わぬ涼に、最初は嬉しげに雨にあたっていたが、傘なんか持ってないことをすぐに思い出した。
 君がこのまま家まで歩けば、この豪雨だ。傘もなしでは、風邪をひいてしまうだろう。
 この状況を切り抜けられる呪文を一つ選べ。

FOF
NIP
WOK
FIX
DUM

 選んだら下を読むこと。君の運命は?



































(FOF)
 体力点を4減らす。万能の力場が君を包むと、雨は完全にシャットアウトされた。
 定番だが実に役に立つ呪文だ。君は濡れることなく家に帰りつくことができた。


(NIP)
 体力点を1減らす。黄色い粉を吸い呪文を唱えると、君は雨の中を家に向かって走り始めた。
 呪文の効力のおかげで3分の1の時間で家にたどり着くと、乾いたタオルで濡れぼそった頭をふいた。服もいくらか濡れてしまったが、そのまま帰るよりはずっとましだったろう。


(WOK)
 体力点を1減らす。君は金貨を手の甲にのせ呪文を唱えると、金貨はたちまち軽くて丈夫な盾となった。
 これを傘代わりにして君は無事に濡れることなく自宅に帰りつく。
 しかし、君を出迎えた妻がこれを知ると呆れ果てていう。
 「ちょっと〜。傘の代わりに金貨1枚も使うなんて、信じられない。使い捨ての傘なんて500円もしないのに!」
 使用した金貨はもう使えないのだ。君は給料日までソーメンで我慢しなくてはならない。


(FIX)
 体力点を1減らす。君は若木の杖を突きだし、降りしきる雨を止めようとしたが、相手は無数の水滴である。当然ながら無理だった。
 雨の中で杖を空につきあげ、呪文らしきものを唱える君を、気の毒そうに見ながら他の住民が通り過ぎていく。


(DUM)
 体力点を4減らす。これは相手を不器用にする呪文だ。強力だがここでは役に立たない。
 君は魔法の使いどころを間違ったようだ。しかたなく、君は呪文で消耗した身体にムチ打ち、必死に家に向かって走り始める。


2013年08月13日(火) 豊臣秀吉 名将の決断(オフィス・イディオム/学研)

 昨日書いた、織田信長偏と同じシリーズのゲームブックです。
 中盤に織田信長の息子に犬死同様の命令を出されるとか、終盤は別の形のハッピーエンドになることもあるとかは多少ありますが、基本的に正史以外の展開には進みません。
 ほぼ一本道展開で進むか即ゲームオーバーの選択肢が続くという、良くも悪くも織田信長偏とほぼ同様の作りです。

 システムが一緒なので、織田信長偏との違いは織田信長と豊臣秀吉という人物の違いそのものと言っていいでしょう。
 うつけと言われながら最初から織田家の跡継ぎとして育った織田信長より、農民の少年時代から物語が始まり、序盤は士官を目指すため針売りをしながら一人旅をする豊臣秀吉のほうが、ゲームブック的な意味で感情移入はしやすいかな。
 信長の草履を温める話しや一夜城の建築などは当然のように入っていますが、その一方で竹中半兵衛とのエピソードはほとんどなく、欄外の解説で竹中半兵衛と黒田官兵衛が「二兵衛」と呼ばれ、豊臣秀吉の天下取りの力になったことが書かれている程度です。
 しかし、明智光秀を倒した後、忠義を誓っていたはずの織田家を乗っ取る展開がしっかり書かれているなど、子ども向け伝記のように秀吉が善人と書かれているわけではないのは好感がもてます。
 また中途半端に終わった感のある織田信長より、こちらは天下を取った時点でゲームが終わるので、ゲーム的にもキリがよいです。ちなみに朝鮮出兵などの老齢期は、エンディング後にその後の秀吉として、エピソードが紹介されている程度。

 本書は別の歴史を楽しむのではなく、歴史を学ぶためのゲームブックと割り切って楽しむべきでしょう。
 このシリーズは織田信長と本書の2冊で終わったようですが、もし続いていたら次は徳川家康とか伊達正宗あたりでしょうかね。
 新企画として次は明治維新の志士あたりを取り上げるのもありかと思いますよ。学研さんどうですか?


2013年08月12日(月) 織田信長 名将の決断(オフィス・イディオム/学研)

 発行日が2010年10月ですから最新刊とまではいきませんが、今回も最近になって新品で購入できたゲームブックの紹介です。
 タイトルだけで想像がつきそうですが、戦国時代を舞台に織田信長を主人公にしたゲームブックです。
 実はゲームブックで戦国ものというのはありそうでないですね。ゲームブックブーム当時も学研あたりくらいしか出してなかった気がします。と、思ったらこの本も出版社は学研でした。さすが学研。

 内容は信長のうつけといわれた少年時代から、京にのぼって、やがては天下に号令をかけるまでのストーリー。桶狭間など、有名どころの戦いは再現していますが、安土桃山城を建築するあたりで終了しているので、本能寺の変はなし。エピローグ後に信長のその後として参考に紹介している程度です。
 なんとなくゲーム性よりは教育向けな内容かなーという、予想ができていたのですが、やっぱり想像どおりな出来でした。
 一応、ちゃんとしたゲームブックの体裁は整っていますが、展開が史実通りのほぼ一本道です。
 史実と違う選択肢を選んだ場合は、家臣の不興を買ったり、計画がとん挫したため反省するなどして、結局同じルートに戻されます。
 戻らない時は戦に負けて切腹して死亡とか、その後の信長はこのような生涯を送りましたと締めくくられるとか、いずれにせよ即終了。
 歴史にifはないとはいいますが、ゲームくらいifの展開を楽しみたいところなのです。それがまったくないのはどうもね。
 残念ながらゲームブックとしては、少し前に書いた「子どもなめるな!」というレベルと同じと言わざるえません。

 でも、ここは単なる批判はしないのがモットーの冒険記録日誌。
 そこで視点を変えて、本書はゲームブックの形式を利用した歴史学習本と見るとどうでしょうか?
 この作品では史実通りの選択肢を選ぶとポイントがつき、その総得点が評価されるシステムです。つまり読者が信長に代わって選択するというより、信長が歴史でどう決断してきたかを知ることが目的なのです。
 これはクイズ形式でも十分代用できそうですが、ゲームブックという形の方が、信長視点になれるという点で選択にリアリティが増すので覚えやすいという効果はあると思います。
 また新しい武将や場所が登場すると、欄外に解説が出てくるのはとても覚えやすい。小中学生向きの内容ではあるので、もう少し掘り下げて書いて欲しいと感じる個所もありましたが、信長の伝記として問題ない出来とは思います。

 などと、ほどよくフォローしたところで、また一点不満を。事前の情報だけでは判断の難しい選択肢はやめてほしい。
 例えば桶狭間の戦いの直前、信長は策の出ない会議を打ち切って家臣たちを下がらせた後、戦うか降伏するか籠城するかの3択があるのですが、史実を知っていれば「戦う」が正解とはわかります。しかし、事前の情報ではただ戦況が圧倒的に不利としか書かれていません。援軍がくる見込みとか、今川軍の様子とかヒントを入れてほしかったところです。
 小中学生向けならいろいろ詰め込みすぎるのも良くないと判断した可能性もありますが、んー、やっぱり本格的な戦国ものシュミレーションゲームというものの実現は難しいものでしょうかね。


2013年08月06日(火) ミラクルタイムアドベンチャー2 忍者軍団と吸血鬼のなぞ(藤浪智之/ポプラ社)

 最新刊の児童向けゲームブック第二弾です。
 前作「白銀の騎士と恐竜のなぞ」でお馴染みの小学生(中学生かも?)3人組(主人公のユウキ、利発そうな女の子アスカ、ガキ大将タイプの男の子タケル)が、今度は日本の戦国時代にタイムスリップします。
 戦国時代というと、織田信長や徳川家康やらが登場して歴史の勉強のような展開になりそうですが、そんな教育漫画的要素はまったくなく、今回の使命は忍びの里(忍者の本拠地)の中で吸血鬼退治をするというもの。
 ドラゴンに続き、吸血鬼の登場です。今回登場する吸血鬼とは、未来にのみ存在するはずのVウィルスに感染した患者のことだそう。
 んー、ゾンビ映画とかバイオハザードみたいな展開でしょうか?

 到着早々、吸血鬼と戦っている忍者の頭領(正確には頭領代理)に遭遇した3人は、結果的にですが頭領を助けたことになり、忍者の里に歓迎してもらえます。
 この忍者の頭領というのが、美少女くノ一の風花。ここしばらく謎の吸血鬼達に忍者たちは襲われて、忍びの里は壊滅の危機と打ち明けてくれ、吸血鬼退治を条件に忍びの里を歩き回る許可をもらいます。
 他にも何かと喧嘩腰な火吹に、謎めいた水鏡、気さくで人のよい性格の土鬼と個性的な忍者が登場しますが、吸血鬼のなかには昼間は味方になりすましている奴がいるかもしれない!なんて書かれています。
 まるでこの中に混ざっている吸血鬼を探せと言わんばかりだなーと思いつつも捜索開始。
 ゲーム中は、忍びの里のマップがあるので、気になる場所に対応するパラグラフ番号に移動する双方向システムです。
 最初は昼の時間帯ですが、ゲームが進行すると夜の時間帯になり、忍びの里のマップがかわります。
 必要なアイテムを持っていないと吸血鬼に襲われてゲームオーバーという展開もあり、危険を無視して前作のようにマップ総当たりで調査しよう、などと考えているとクリアは不可能です。
 調査をしていると、いろんなアイテムや、謎の書きつけなどいろんな情報が出てきます。中には吸血鬼とは関係ないヒントもありますが、無実の証明にはなるので容疑者の絞り込みに有効。
 到着して3日目の夜までに、吸血鬼を発見できないと、これもまたゲームオーバーとなります。
 前作よりも個性的な登場人物達との会話が多いので、アドベンチャーゲームっぽくなっていますね。また今作は大半が双方向システムなので、少ないパラグラフ数でもボリューム感が出ています。
 クライマックスの戦闘は割とあっさり目ですが、気になるほどではありません。

 ただ、ネタバレに絡むので詳しく書けませんが、終盤の展開によって設定が変わってしまうのはどうかな。
 これは主人公の行動によって相手がどう動く、などという変化ではなく、そもそもの事実の前提が変わってしまう。例えばいかにもそれらしいヒントが、あるルートでは本物だが、別ルートでは敵の流した偽情報だったということにされてしまうというもの。
 前作でも展開により、登場する恐竜の種類が変わるという事実の変化はありましたが、あれは別々のストーリーとして楽しむだけでした。しかし、推理要素が高い今作では、その要素を壊してしまう結果になったのじゃないかなと思います。
 何度も楽しめるようにした工夫の結果なのでしょうが、それならゲームスタート時に犯人を固定するようにして、ヒントもそれによって変化させて欲しかったかな。例えば出発時に選んだアイテムで、どのシナリオになるかが決定するとか。クリアすれば、今度はもう一つの冒険も遊んでみようとか言ったりして。

 そんな欠点も感じる作品ですが、私は前作よりこちらの作品の方が好きです。登場人物が魅力的ですし、なによりゲーム性が上がっています。
 今回のエンディングからすると風花の再登場も期待できますし、藤浪さん、ぜひとも続編をお願いしますね。 


2013年08月05日(月) ミラクルタイムアドベンチャー1 白銀の騎士と恐竜のなぞ(藤浪智之/ポプラ社)

 タイトルと出版社から想像がつくかもしれませんが、本書は児童向けゲームブックです。
 児童向けゲームブックは、ゲームブックブームの頃にも何冊かありましたが、これは最近刊です。
 新刊のゲームブック。実にいいですねぇ。
 古本にも味はあるでしょうが、私の場合は古本屋めぐりをするのも、絶版の本を発掘するためであって、同じ本を買えるものならば真新しい本を購入して読む方が好きです。
 今思えば、ファイティングファンタジーシリーズやスーパーアドベンチャーゲームブックの真新しい一冊を買っていた頃が、私が一番ワクワクして本を購入していた記憶ですね。

 しかし、ゲームブックとはいえ子ども用となると、普段は買う時に不安をよく感じます。つまらなかったら嫌だなーと。
 極端な例をあげると、ほぼ一本道で進むかゲームオーバーの二択続きというゲーム性だったり、ストーリーや文章が適当というかしょぼい内容だったり、そもそも絵本にパズルがついただけでこの冒険記録日誌でいうゲームブックとは別物だったりする作品は、よくありますから。全て実際に経験したものです。
 最後のはともかく、1・2のパターンのものは「子どもなめるな!」と言いたい。絵本など他のものでもそうですが、児童向けでも良い作品というものは、大人も面白いと感じるものである、というのが私の持論です。
 ただし、藤浪智之さんは少し前にも、「バニラのお菓子配達便!」のシリーズを角川つばめ文庫で出されていますし、過去にもだんしょん商店会や、雑誌ウォーロックにゲームブックを掲載していたこともあります。
 その独特のほんわかした世界観は、読み手によって好みが分かれるような気もしますが、少なくともゲームブックとして及第点が保証されているようなもので、今回は安心して注文できました。

 結果は満足。パラグラフ数は100に満たないルールも簡単な作品ですが、ゲームブックとしてバランスよくできています。
 内容は小学生の仲良し3人組が、タイムトラベルをして別の時代の事件を解決しようとするストーリー。
 なにやら藤子・F・不二雄の漫画「T・Pぼん」や、学研の雑誌にある歴史の勉強を連想するような設定です。
 初めてゲームブックをふれる子どもを対象に、ゲームブックがどうゆうものかの軽い解説もあり、読者ターゲットが絞られているだけあって、先日紹介したテキサス・ゾンビーズなどの、グループSNEが出しているネオゲーム文庫のシリーズより、とっつきよさではこちらが数段上でしょう。

 さて、短編ですし、詳しく書くとネタバレしそうなのですが、遊んだ感想を少しだけ書きます。
 冒険に出る小学生3人組ですが、利発そうな女の子アスカと、ガキ大将タイプの男の子タケル、そして主人公のユウキ(君自身)となります。
 主人公はイラストを見ると、男の子っぽいですが、ボーイッシュな女の子にも見えなくもなく、読んでいてもわかりませんでした。読者が感情移入できるようにあえてそうしてるのかもしれません。
 本書のタイムスリップの目的地は、中世ヨーロッパ。剣と魔法のファンタジーのイメージに近い世界ですね。
 最初に田舎から出てきた少年騎士ジャンと仲良くなった3人は、彼の案内で本物の城にたどり着きます。
 ここで城のマップを見て、気になる場所になるパラグラフ番号へ進むという双方向システムになります。
 台所に潜入して昔の食事を味わったり、城門の構造を知って感心しながら中世の世界を見学するところは、まるで学習マンガみたい。
 友達になったジャンが馬上試合に出場するというので、甲冑に着せるのを手伝って応援します。見事勝ち残った(ちなみに甲冑の着せ方を間違えると、ジャンは負けてみんなで安宿に泊まる展開へ進む)ジャンと一緒にお城のパーティに参加し、翌朝お城を出発して目指すはなんとドラゴン退治!
 なんと!現実にドラゴンがいるのか!?って、書きたかったけどタイトルでネタバレしてますね(汗)
 後半は分岐小説風の一方向システムですが、偶然発生したタイムトンネルからやってきた恐竜に、少年騎士と3人が立ち向かう展開があったかと思えば、別のルートでは恐竜を利用する悪者を成敗するとか、展開が変わることがあり。エンディングも複数あります。
 難易度は低く、前半はマップを総当たりで調べ、後半は今までちゃんと読んでいれば答えられる問題に間違えなければ、そんなにゲームオーバーにはならないとは思います。
 欠点として、双方向部分の前半はともかく、割とあっという間に終わってしまう後半が残念といえば残念。少ないパラグラフ数で、マルチな展開を用意しているので仕方ないことではありますが。
 

 ただし、同時発売された同じ3人が登場する2巻「忍者軍団と吸血鬼のなぞ」では、若干パラグラフ数が増え、クリアにかかる時間が少し伸びているので、この不満点は解消されています。
 ストーリー的には独立しているので、どっちから先に読んでも問題ないですが、2巻の方が難易度がやや高いので、1巻から楽しむのがお勧めです。
 シリーズものとして3巻以降の発売もありえるかもしれません。実現の為にも売上に協力してあげたいような気もしてきます。
 ゲームブックブーム当時からのゲームブックファンの方々、お子さんに買ってあげるのにちょうどいい感じですよ、一冊いかがですか?


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