冒険記録日誌
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2013年06月23日(日) 徹夜

 週末ぐらい子どもの世話をするさー。と一人、徹夜でおむつ交換やミルクをあげていました。
 というのは表向きの理由で、徹夜になった主な理由は、昨日中古ショップでPSP本体ごと衝動買いした「俺の屍を越えてゆけ」のせいです。これだけもくもくとやり込んでしまったのは10年ぶりくらいで懐かしい気分。最後にはまったのは、なんだったかな。スーパーファミコンウォーズ?風来のシレン64?
 どっぷりモード、娯楽部門以外に復興投資なしのしばりプレイで引き続きプレイ継続中。
 ただ、PS版を遊んでいた頃の暇していた当時の感覚でいると、社会人的にやばくなるのでこれからはほどほどに遊ぼうと誓います。

 しかし、元はとるつもりとはいえ、予定外の手痛い出費です。
 DSi版「悪夢の妖怪村」をやりたい為だけに3DS買ったときといい、自制心が身についてないなー、俺。

 それにしても、このキャラならこんな行動をするだろうとか、勝手に作った脳内設定にしたがって遊びながら、RPGならやっぱり自分は、ウィザードリィとか妄想を膨らませながら遊べるタイプが好きなんだなと再認識しました。
 ゲームブックが好きなのもその理由もあると思います。しかも、ゲームブックのプレイでも、クリアが楽な展開よりドラマティックな選択肢を優先して選択することは私はよくやります。
 子どもの頃はもっとこだわりが強くて、例えばドルアーガの塔1巻「悪魔に魅せられし者」では、最初の罠に対して何度目のプレイでも、「主人公にとっては初めてくる場所だから、ここは当然調べるのが自然の行動だろう」という理屈でわざと引っかかってました。当時はクリアできないゲームブックが多かったのも、今思えばこのへんの理由が大きいのかも。

 実はゲームブックで何年かごしで挑戦と中断を繰り返している某ファミコンRPG原作の大作があって、最近また再開したりなんかもしていたのですが、俺屍のおかげでクリアはまた延期になりそうです。


2013年06月18日(火) ソード・ワールド2.0サプリメント ミストキャッスル ─蛮都からの生還─(川人 忠明/富士見書房)

 今日は自分的に最近遊ばなくなってきつつある、サイコロなどを使って戦闘をしてはヒットポイントを回復させながら冒険するような、いわゆる腰を据えて遊ぶゲームブックを話題にしたいと思います。
 本来は重量級のゲームブックは大好きなんです。でも遊ぶ時間がないんですよ。
 そのように忙しい現代人は私以外にも世間に沢山いらっしゃるようです。(ここでいう世間はアナログゲームファンの間とでもしましょうか)
 最近発売されるゲームブックの新刊は手軽さが重視されたものが多いのもそのあたりの事情があるのでしょう。旧来のゲームブックにしたって、戦闘ルールなどは適当に飛ばして、単に読み物としていて読んでいる方もそれなりにいらっしゃるようですし。
 手軽な新刊はこれはこれで嬉しいけど、やっぱり一抹の寂しさを感じるところがあります。名作といわれた鈴木直人や林友彦作品も、今の時代には受け入れられないのでしょうね。きっとファミコン版時代のウィザードリィを今遊ぶようなもんでしょうね。ソーサリーの魔法暗記システムも厳しいだろうなぁ。新訳旧訳がどうのといっていた頃ですら今となっては懐かしい。
 でもそんな時代にあっても、がっつり系のゲームブックがうけているケースもあるようです。それが今日紹介するネタである「ミストキャッスル」をはじめとしたシリーズです。
 ミストキャッスルは、大型本で人気TRPGであるソードワールド2.0のサプリメントという位置づけです。
 TRPGファンを中心に一定の人気があるようでシリーズ化され、年に1回のペースで新刊が発売されています。今年の春も5作目でありミストキャッスルの続編である「ミストグレイヴ−蛮都への復讐−」が新発売されているようです。

 山口プリンはTRPGには興味が薄く、我が本棚にある大量のゲームブックに比べると、TRPG系の本はあまりありません。「クロちゃんのTRPG千夜一夜」のシリーズと、元祖ソードワールドの方のリプレイ小説、あとはゲームブックつながりで、社会思想社などから発売されたファイティングファンタジーTRPG関連やT&Tソロシナリオといったところでしょうか。
 当然、TRPGのサプリメントは本来なら管轄外ですし、実際に本書もTRPGを遊ぶときのシナリオとして使うのが主な目的です。
 ただ、普通のシナリオ本と違うのは、本書はソロプレイも可能。つまりゲームブックとしても遊ぶことができるのです。
 発売当時、3000円の高額にしばらく購入を躊躇していましたが、ネットでの評価が高かったのにも心動かされ、最終的に購入してしまいました。
 ところが、買ってわかったことは、「ゲームのルールはソードワールド2.0のものだから、遊ぶならそっちのルールブック(文庫本全3巻)も買ってね」という衝撃的な事実。おかげでしばらく物置行きになりました。
 今思うと、T&Tソロシナリオは簡易ルールが掲載されていて親切設計だったなぁ。ゲーム自体は不親切だったけど。

 しかし、その後TRPGのリプレイ小説がちょっとしたマイブームになった時期がありまして、そのときにソードワールド2.0のルールブックを購入したのです。
 そんな長々した事情のあと、やっと遊んだミストキャッスルの感想ですが、ソロプレイの場合は本の指示をゲームマスターとして遊ぶ形になります。パラグラフが分岐するタイプではなく、街のブロックごとにこの地域の情報や、こう行動したときはこうなる、ここを調べればこんな敵にあう、といった指示や結果が書かれていますので、これにしたがっていく形です。
 街のどの部分に、どんな施設があるかは、新しい場所へ移動するたびにランダムで決まっていくシステムをとっています。このため、例えば噴水を探し出して水を汲んでくるという行為でも、すぐとなりのブロックにあるのか、街の反対側にあるのか、移動中に危険な地域(ブロック)を通過する羽目にならないかで難易度がかなり違ってくるため、何度繰り返しても新鮮にゲームを遊ぶことができます。
 しかし、中には本文の指示では判断がつきかねるシーンなど、プレイヤーのアドリブが必要なところもあり、本書をゲームブックと呼ぶかは判断の難しいところです。

 舞台の方ですが霧の街(ミストキャッスル)という街の中に絞られます。
 この街は300年ほど前に、蛮族(人外のモンスター)に占領され、そのまで現在にいたるまで支配された街で、この町では人間は蛮族の食糧や奴隷として最下層の扱いを受けています。一言で説明すれば北斗の拳の世界です。ヒャッハー!
 蛮族のレストランにいけば、人間が生きたまま鉄板で焼かれるとか、見たことあるシーンが結構あります。モヒカン男並みの知能の蛮族もウヨウヨいますし。普通に歩いているだけで、蛮族に殺されかねない荒廃した世界観ですが、他の蛮族の奴隷は勝手に食ってはいけないなど蛮族には蛮族なりの秩序はあります。こういった世界観はTRPGやゲームブックの題材としては、今まで意外にありそうでなかったので結構良いのではと感じます。
 街中で発生するイベントが多彩で充実しており、主人公がかかわる数々の事件や人間ドラマ的なエピソードも粒ぞろいの内容で飽きさせません。個人的には蛮族の宴用の生贄に予定されているハイネという少女のエピソードが特に印象的で、これは藤子・F・不二雄の知る人ぞ知る短編漫画の傑作「ミノタウロスの皿」のオマージュではないかと思います。

 さて、ゲームの主人公はこの街の住民だったり、依頼を受けて街に潜入した冒険者だったりと複数の設定があります。種族や職業(スキル)の選択に制限はなく、自由にキャラクターを作ることができますが、ルール通りだと主人公は駆け出しの冒険者なので、雑魚相手はともかく、名前のある蛮族と戦うにはレベル的に相当厳しいゲームバランスです。
 TRPGならゲームマスターがある程度手加減してあげることも可能でしょうが、ソロプレイは、よほどよく慎重に行動しないとあっという間に絶滅します。
 殺されても救済処置はありますが、狂った科学者タイプの蛮族に魔改造という、身体にモンスターの肉体をくっつける施術を受けた状態で復活するのでクリアしてもハッピーエンドといえるかどうか。でも、この魔改造はゲームブックファンとしては、スティーブジャクソンの傑作「モンスター誕生」に出てくるマランハの魔法を思い出しますね。
 正義感だけでは生きていけないと割り切って、物騒な蛮族たちに怯えながらも街をあちらこちらとさ迷い、味方となる住民を見つけては依頼を受け、使命を達成して経験値を稼いで成長し、少し強くなればたまに強い蛮族も退治してみるという展開になりそうです。
 なりそうです、と書いたのは私自身はあんまりやりこんでないから。やはり純粋なゲームブックではないので、やりこむには私の守備範囲外という気持ちが大きいです。
 ただ、箱庭的な世界の中で小さな依頼をこなしながら成長するというTRPGのキャンペーンゲームを一冊で再現したゲームブックは、ゲームブックブーム当時の私が待ち望んでいたものです。もし元祖ソードワールドが流行っていた当時に、この手の作品が出ていたら、夢中で遊んでいたと思います。個人的に世界観も2.0より元祖の方が好きでしたし。
 私は勝手にレベル15のプレイヤー(「滅びのサーペント」というリプレイ本に登場する英雄のステータス)に設定して遊んでいました。このレベルだと、さすがに楽勝でケンシロウ気分で蛮族どもをなぎ倒せるので、これはこれで楽しかったです。戦闘技能は拳で戦えるようにグラップラー(拳闘士)を取得。エンハンサー(練体士)技能もとって、戦闘前に怒りに筋肉を増やし、服をビリビリやぶるという脳内演出をしてました。こんな自由な遊び方もできるよ、という一例と思ってください。(笑)

 最終的には霧の街を脱出すればゲームは終了してエンディングに進みます。冒険中には霧の街を人間達が奪還するヒントをいくつか、ゲーム中で発見できますが、本編では霧の街が陥落するところは書かれていません。冒険者がもともとメインとしていた使命を果たしていればハッピーエンドといえるでしょう。
 霧の街のその後の運命については続編「ミストグレイヴ」の方に期待というところでしょうか?
 やり込みの足りない私ですが、奥深い設定があり読み物として隅々まで読むことでも満足のいくものでした。完成度は高い作品だと思います。

 ちなみに、このシリーズ第二弾は「フェアリーガーデン ソードワールド2.0サプリメント ―妖精たちの空中庭園―」という、妖精の世界を舞台にした冒険です。
 こちらはうって変わって明るい世界観でして、戦闘バランスもゆるくなっています。
 冒険を進めると妖精郷の機能が増えていく仕掛けが面白く、前作とは違いゴールになる明確なハッピーエンドが存在するので、こちらの方がややゲームブックの感覚に近いかもしれません。
 3作目以降は未購入。ここから先は新ルールに対応していて、さらに拡張ルールブックも購入しないと遊べないらしいので、結構な出費になりそうだからです。
 商売だからもうけないといけないのはわかるのだけど、もうちょっとユーザーに優しくしてくれないものかなー。


2013年06月17日(月) 今日もゲームブックライフ

 この前に放送していたゲームセンターCXで、ダービースタリオン(FC版)に挑戦していたのを見て、急にダビスタが遊びたくなり、今日は通勤中にファミ通ゲーム文庫のダービースタリオン(2011年05月03日の冒険記録日誌に紹介済)を遊んでいました。
 2つくらいのG1レースで優勝したけど、そのあとずるずる落ちて行って、最後は破産しておしまい。でも面白かった。
 淡々としているのでもっとドラマ性を出してほしいとか、ランダム性がないので飽きる、予備知識がないと馬の種付けが運任せ、といった意見も見かける作品ですが、このサクサク遊べる快適さは今の仕様だから成立すると思うんですよね。やはりファミ通ゲーム文庫の傑作だと思います。

 他に今は、マイケル・クライトンの小説「パイレーツ−掠奪海域−」を読んでいるのですが、その影響で今度は「海賊船バンジー号」を遊びたくなってきています。でもここはあえてまだ未プレイのT&Tソロシナリオ「魔の海域」に挑戦してみようかと考えてみたり。


(追記)
 翌日以降もダビスタのゲームブックをしてましたが、結果は、唐突に脱税が見つかって強制捜査を受け破産、「おいおい俺って脱税してたのかよ!?」てなゲームオーバーが1回に、G1優勝を数回繰り返して、アメリカに本拠地を移すノーマルエンドっぽい内容が1回でした。
 凱旋門賞は遠いなぁ。


2013年06月16日(日) 都会のトム&ソーヤ ゲーム・ブック 修学旅行においで(はやみね かおる/講談社)

 本書は人気の児童書シリーズ「都会のトム&ソーヤシリーズ」のゲームブック版です。
 去年本屋でぶらぶら本をあさっていると、児童書もコーナーで当時新刊だった本書がポンと売っていたのでビックリして買ってきたわけです。
 そのときにすぐ遊んだのですが、今はその本が自宅の本の山のどこかに埋もれているので、記憶だけで感想を書いています。どこか間違っていたらごめんなさい。

 さて、ゲームブック版を買った時点では、都会のトム&ソーヤは読んだことがありませんでした。
 シリーズの存在は知っていたのですが、児童書なのであまり関心はなかったのですね。同作者の別のミステリー作品を読んだことはありますが、そちらがちょっと好みでなかったせいもあります。
 ちなみに今は、ゲームブック版を遊んだあと、文庫版で本編も2巻まで読んでいますよ。
 シリーズの内容を単純にいうと、サバイバルに優れた内藤内人と大富豪で秀才の竜王創也の中学生コンビが、現代版トムソーヤの冒険のような活躍をする話です。侵入した夜のデパートで謎の追跡者から逃げ回ったり、罠の仕掛けられた廃ビルの中を登って行ったりと、子ども心をくすぐるようなシュチエーションの冒険が多くて、小中学生の頃に出会っていれば夢中になって読んでいたと思う小説です。

 さて、ゲームブック版の話しに戻すと、本書は結構凄い作品ですよ。
 原作つきのゲームブックというのは、よくあるものですが、これは原作者のはやみねかおるさん自身が執筆しているのです。新人が書いた二次創作的な外伝作品とは扱いが違います。
 これに匹敵するのは、宮本恒之さんが書いたザナドゥのゲームブック版くらいじゃないでしょうか。
 しかも、ゲームブックでは修学旅行を題材にしています。学園ものとしては、これ以上なく美味しい修学旅行というイベントを、惜しげもなくゲームブックに使うなんて本当にいいの?と心配になるくらいです。

 興奮するのはこれくらいにして、内容と感想をいいますと、主人公はオリジナルキャラであり、あなた自身。内藤内人や竜王創也らと同じ学校へ通う男子中学生です。
 そして修学旅行に行くことになったあなたが、一緒に行動することになったグループのクラスメイトというのが、内藤内人と竜王創也はもちろん、他にも堀越美晴を始め本編のレギュラー陣ばかりというファンにはたまらない設定です。旅行先は修学旅行の定番中の定番、京都です。
 修学旅行初日の朝からゲームは始まり、旅行中に挑戦してきた栗井栄太(本編で対決した謎のゲームクリエイター集団)の出す謎を解いて、指示されたお土産を手に入れるのが目的。旅行を終えて栗井栄太に旅行のお土産を渡したらエンディングです。
 こう書くとすごく普通みたいですし、実際後から読んだ小説本編と比べても地味目な冒険です。というか、こんな挑戦してきた栗井栄太は暇人だな。
 旅行中に発生する事件というのも他愛のないものが多いです。バッドエンドは存在しますが多くはなく、集合時間に遅れて置いてけぼりとか、悪ふざけがすぎて水道で旅館の部屋を水浸しにしてしまい、旅行から強制送還とか現実的にありそうな内容ですし。
 ただ地味といっても、力量のある原作者の執筆だけあって、十分に読ませる力はもっています。ホテルでの夜なんていかにも、小・中学生の修学旅行みたいなノリと展開でにやついてしまう。どこに旅行しても殺人事件が発生する某小僧名探偵みたいな非現実感よりも、こちらの方がリアルな修学旅行気分が味わえて案外良かったかもです。
 原作ファンとしての楽しみ方としては、あなたという一般人の目をとおして、普段の内藤内人や竜王創也を見ることが出来る点でしょうか。
 人付き合いの嫌いな竜王創也は修学旅行中も一人で本を読むなど皆と距離を置いてますが、行動が一人だけ浮いていたり、竜王ファンのクラスの女どもが騒ぐので、何かと目立っていますね。
 逆に本編の主人公である内藤内人は、ゲームブックの主人公であるあなたに、何かと気さくに話しかけてきますが、原作を知らないと普通の人みたいでまるで印象に残りません。本来は、謎のお婆ちゃん仕込みのサイバイバルテクニックで凄い活躍をする人ですが、平和だと力の発揮場所が限られるからでしょうかね。原作を読んでから改めてゲームブックを読み返すと、水道の蛇口に細工したり即興で役に立つ小道具を作ったりと、要所要所でさらりと小技を使っていたのがわかりますが。

 ゲーム的なルール面でいうと、能力値の存在はないですが、所持品管理は必要です。特にエンディングへの分岐の鍵となるお土産は、それぞれ番号が振られているので、メモくらいはしたほうがいいでしょう。
 謎のメッセージを解読しては、清水寺などの観光名所に向かい、正解していればさらに隠されたメッセージを見つけ出して、栗井栄太の求めるお土産がわかるという繰り返しです。
 パズル要素が強い作品ですが、ゲームブックとしての出来も悪くなく、大まかな流れは一本ですが、細かい展開はいろいろ変わるので、繰り返しプレイにも耐えられます。真のエンディングというのも存在しますが、あんな指摘をされるオチとは思わなかったよ。
 嬉しいのは、はやみねかおるさん自身がゲームブックファンみたいで、後書きでゲームブックそのもののPRに努めてられていたこと。ゲーム中でも、パラグラフ14でドラゴンファンタジー(グレイルクエスト)のことを語っちゃったりしています。
 これを読んだ都会のトム&ソーヤファンが、他のゲームブックも遊んでくれるといいですね。


2013年06月15日(土) スペイン屋敷の恐怖−ゴーストハンター13 ゲームノベル−(安田均・柘殖めぐみ/新紀元社)

 NEOゲーム文庫3つ目の紹介です。
 ルールは前の2作と基本同じ、さらにホラーな屋敷を探索するという内容なので、「キャット&チョコレート」とコンセンプトがかぶっているようにも見えますが、もちろんまったく同じということはありません。そもそも世界観のベクトルが真反対でこちらはホラー色が強いです。
 まず原作として、本作には「ラプラスの魔」というゲームや山本弘さんの小説などがあります。その後もゴーストハンターシリーズとしてTRPGを始め、沢山の作品が出ているとのことです。私も「ラプラスの魔」という作品は聞いたことがあります。ジャンルが私の苦手なホラーなので関心はなかったのですけど。
 本書にはそういった原作で登場したキャラがメインです。舞台は現代、美人記者で気の強いモーガンという女性が主人公です。さらに恋人である私立探偵アレックス、クールでカッコいい系霊能力者の草壁、他が美男美女キャラばかりのせいか1人だけ三枚目扱いで気の毒な気もする心霊学者のビンセントが登場。
 初っ端からつぎはぎだらけの人造少女に食べられそうになるとか、不条理かつ気持ち悪い系のホラーの世界であり、私にとっては苦手なホラーの中でもさらに嫌いなタイプなのでやっぱり楽しめなかったかも。このあたりは好みの問題なので仕方ないですね。

 さて、ルールや構成の話しですが、本書はストーリーのつながった短編ゲームブックが3つ収録されており、どれも屋敷などの屋内探索がメインとなっています。
 最初にも書きましたが、6つのアイテムや情報の中から2つを順に選んでパラグラフ移動するというのもこのレーベルお馴染みのものです。さらに建物の見取り図を見ながら探索していくのや、部屋の捜索順を選べるといっても結局はほぼ一本道シナリオである点。アイテム選択で正解が判らない場合はゲームの進行が止まってしまうので、パラグラフ総当たりで探さないといけないのも、「キャット&チョコレート」と同じです。
 ただ、前の2作に比べると難しい謎解きが多かったので、パラグラフを総当たりする羽目になる回数が多くて少々面倒でした。
 
 本書だけのルールとしてはメンタルポイントというものが存在します。
 これは主人公が恐ろしい目に会うとだんだん恐怖が募っていき、限界を超えると発狂してゲームオーバーになるというシステムで、ホラー系ゲームブックによくあるものです。
 ただし、メンタルポイントは数値管理ではなくなぜかトランプを利用して管理します。細かいルールは書きませんが、ハイ・アンド・ローというトランプゲームがベースで、ゲーム中に「恐怖判定」をする指示が出るたびに挑戦しないといけません。
 私としては遊ぶのに負担のかかるトランプを使うより、普通に能力値1つくらい暗記させるルールにした方が簡単だったと思いますね。しかもストーリーがほぼ一本道である以上、もしこのルールでゲームオーバーになった時、繰り返して遊ぶのが苦痛なだけな気がします。
 ルール説明では、面倒ならメンタルポイントのルールは使わなくてもいいと書かれていますので、それに甘えた方がよさそうです。 
 せめてこの部屋を避ければ「恐怖判定」をしなくて良いとか、この選択肢を選べばメンタルポイントを減らせるとか、攻略できる要素をもっと出せばゲーム的な意義がでたと思うのですが残念です。

 ただ女性主人公のモーガンというキャラはベタだけど嫌いじゃないかな。
 恋人のアレックスとの新居にしようとノコノコ幽霊屋敷に出かけるノー天気さや、適度に健全なお色気があったかと思うと、最後のボスとの1対1の対決は読みごたえがありましたし。今回は黒幕にいいように利用されるだけの結末だった気もしますが、戦いはまだ続いており、TRPG専門誌「Role&Roll」に続編が掲載されているようです。なんだかんだ言いつつ、続編も文庫化されたら買うと思います。
 最後に本書はゴーストハンターシリーズのファン向けという気もしますが、ストーリーは独立しているので、原作を知らない人でも問題なく遊べます。その点はご安心を。


2013年06月14日(金) 魔女館からの脱出−キャット&チョコレート ゲームノベル−(秋口ぎぐる/新紀元社)

 前回のテキサス・ゾンビーズに続きまして、NEOゲーム文庫第一弾作品「魔女館からの脱出−キャット&チョコレート ゲームノベル−」の紹介です。
 もともとはキャット&チョコレートという同名のカードゲームが原作として存在しているそうです。
 内容は、学校で意地を張ったがために幽霊屋敷を探検することになった女の子が、友達の男の子を強引に巻き込んで屋敷に忍び込みます。すると屋敷に閉じ込められてしまい、怪しい3人組の男女や化け物がいる屋敷を脱出しようとするもの。
 ちなみにテキサス・ゾンビーズは、キャット&チョコレートのカードゲームを海外販売向けに直したもので、そのとき生まれた世界観だそうです。日本人と外人の趣向の違いをここにもしみじみ感じますねぇ。そもそもテキサスとゾンビって意味不明な組み合わせのタイトルも、ラテン系のノーテンキさを感じますし。
 もっともキャット&チョコレートというタイトルも、猫にチョコレートは食べさせたら死んじゃう組み合わせだから、意外に怖いけどね。

 ルールはテキサス・ゾンビーズとほぼ同じで、能力値やアイテムの管理は必要なく、要所要所で6つの品物や情報の中から順番に2つを選んでパラグラフジャンプするというものです。
 グループSNEのサイトにあるNEOゲーム文庫の解説では、「鉛筆もサイコロも使わない」のがモットーというこだわりがあるそうです。
 確かにゲーム性を出しつつ遊ぶには良いルールかもしれません。ただシリーズの他作品にはトランプを使うものもあって、必ずしも「鉛筆もサイコロも使わない」=「手軽に遊べる」とは限りませんけどね。それでも遊びやすさを重視しているのは伺えます。確かに流行っているアプリゲームとかみてると、現代向けにはやり込みより手軽さが重視されるのかな、とは感じてます。
 私としてはやり込み系も好きなのですが、自分自身も新旧作にかかわらず、ゲームブックは手軽な作品を遊ぶ方が最近多いのも事実なのですよね。それに、やり込み系の新作は創土社さんのレーベルがあるからまだいいか。

 さて、本書の話しに戻りますと、ルールがテキサス・ゾンビーズと一緒とはいえ、ゲーム性はガラリと違います。
 こちらは長編一本シナリオですし、基本は屋敷の見取り図をみながら、好きな部屋を探索していくという、グレイルクエストなどで見かけるような双方向システムを採用しています。
 バッドエンドは基本的になし。先に化け物のいる部屋に入ってしまったとしても、6つから選ぶシーンでは失敗の展開がなく、正解がわからなければただ廊下に逃げ戻るだけですみます。一旦あきらめて他の部屋を探索していれば、いずれ攻略のヒントが入るようになりますのでちゃんと推理力を働かせていれば簡単です。それでもどうしても正解がわからない個所があれば全パラグラフ総当たりで続きを探さないと進めなくなりますが、パラグラフ総数が多くはないので大変でもないでしょう。
 なんだかんだと結局すべての部屋を探索する必要があるので、探索順を選べるとはいえ、ある意味では展開はほぼ一本道といえます。繰り返し遊ぶ感じではありませんね。
 あと世界観がテキサス・ゾンビーズと違ってとても可愛らしい。
 途中で登場する幽霊の少女モニカをはじめ、3人の主要登場キャラはみな優しい性格で好感がもてますし、イラストもまたこの世界によく合っています。
 大まかに言えば少年少女が悪い大人に立ち向かうというストーリーであることもあり、小学生のころよく読んだ児童向け冒険小説を連想しました。
 子どもにゲームブックを初体験してもらうなら、こちらを紹介した方が、断然とっつきが良いでしょうね。
 あと、パラグラフいちいち全部に、章タイトルがふっているのがまた無駄に凝ってますな。(笑)

 エンディングは一応ハッピーエンドで事件も解決しているのですが、第一話完!という感じなので、続きがものすごく気になる内容です。
 悪役も絶対このままでは引き下がらないだろうし、主人公達はそのときどうなる?どうする?その後のモニカはどうなった?ってハラハラ。
 ゲームブック云々とかの問題じゃなく、続編は出して欲しいところです。


2013年06月13日(木) ゾンビーズ?ゾンビーズ!−テキサス・ゾンビーズ ゲームノベル−(友野詳・グループSNE/新紀元社)

 ネットをろくろくしない私よりも、もしかすると皆様の方がずっと詳しいかもしれませんが、最近ネオゲーム文庫というゲームブックレーベルが新たに誕生しているのは、ご存じでしょうか。
 単発の企画作品として発売される新作ゲームブックなら、今までもたまにありましたが、ゲームブックブームも去って、20年もの時を経過したこのご時世に創土社以外からレーベルですよ。現時点で4作出ています。素晴らしい。
 と私としては大歓迎すべき存在のレーベルなのですが、存在自体は去年から知っていて新刊の発売のたびに購入もしていたのですが、全然遊んでいませんでした。
 このレーベルの作品は今までの一般的なゲームブックとは少し違う感覚があったのですよ。後書きを読んでいても、カードゲームから生み出されたとか、TVゲームになる脱出系アドベンチャーゲームをゲームブック化したものである、というような事を書かれているのも理由の一つです。
 パラグラフ数が飛んでいたりとか(下1ケタの7〜9と0がないとか。例えば11,12,13,14,15,16,21,22,23,24,25,26,31,32,33……という感じ)、レーベルの4作のうち剣と魔法という王道系ファンタジーを舞台にしたのは1作だけ(この作品はトランプの使用を求められるので少々面倒くさい)、というのもとっつきにくさを感じた原因かもしれません。
 しかし、このたび重い腰をあげてこれらの作品を遊んでみると、出来不出来の差はありますが、どれもなかなか面白いのです。
 また従来のゲームブックとは違うという点も、「人狼村からの脱出」のようなほぼ内容がパズル本だったり、「ミスト・キャッスル」のようなプレイヤーのアドリブを求められるゲーム性に比べれば、はっきりと従来からあるパラグラフ分岐型のゲームブックといえます。
 4作全部遊んでいますが、まずは一番気に入ったかつ、ゲーム的にも完成度の高いと思われる「ゾンビーズ?ゾンビーズ!−テキサス・ゾンビーズ ゲームノベル−」の紹介からいたします。

 この作品は昨年の末頃に発売されたゲームブックです。作者の友野詳さんは雑誌ウォーロックでも名前をみたことがあるので、TRPGなどのアナログゲームの世界では、おそらくベテランの方でしょうね。
 本書の元ネタはTRPG的な要素のあるカードゲームらしいですが、そのあたりはまったく気にせずに遊んで問題ありません。
 世界観というかストーリーは、ゾンビだらけの現代の街に閉じ込められてしまった主人公が脱出を試みるというもの。簡単にいうと、B級ホラー的ゾンビ映画もしくはバイオハザード(BIOHAZARD)の主人公になるわけです。
 助けた女性がゾンビ化するとか、コリコリ美味しそうにゾンビに食べられたりと、他にもえぐいシーンが多いのですが、文章がとても軽妙に書かれているので、重ぐるしい雰囲気はあまり感じません。むしろテンションが軽すぎて、逆に合わない人もいるかも。
 主人公は一般人なので重火器も持っておらずそんなに強くないです。ただ、ゾンビ側も脳みそが腐っているのかスキが大きいので、なんとか逃げたり渡り合えるようになっています。

 ゲームのルールは簡単で、能力値や所持品の管理は必要ありません。ランダム要素がないのでサイコロやトランプも必要なし。
 ただ、部屋を捜索するとか、ストーリーの要所要所になると、そのシーンで使用できる6つの品物や情報が表示されるのが本書の特徴。ここで6つのうち2つを決め、使う順番を決めてパラグラフジャンプするのです。
 例をあげると、ゾンビが襲ってきたとき、「1.大量のバスケットボール、2.古い鍵、3.殺虫剤、4.オルゴール、5.AED(自動体外式除細動器)、6.ゴムバンド」という表示があったとします。このとき、「バスケットボールをぶち当ててゾンビをけん制しつつ、古い鍵の合う扉を探そう」と思うえばパラグラフ12へ進めばいいのです。もし「オルゴールを流し、続いて大量のバスケットボールを床にまいて混乱させる」が正解と思えば、パラグラフ41です。直観で選ぶこともあれば、ヒントがどこかに隠されていることもあります。
 もし進んだ先が無関係だったら不正解。シーンによっては何回か再チャレンジも可能ですが、それでも不正解の場合は指示されたパラグラフに進みます。安全に引き返せることもありますが、情報を入手しそびれることや、最悪ゾンビに食われたり大抵悪い結果になるでしょう。正解の場合も実は数パターン用意されていることもあり、その後の展開に優劣がでることもあります。
 この6つのアイテムや情報から2つを選ぶというシステムは、ネオゲーム文庫4作品のうち、本書を含む3作品で採用されていますが、他作品は不正解の展開が用意されていないなどもあり、本書が最もゲーム的に練りこまれています。

 次に主人公には4人の味方が登場しますが、序盤の選択肢の結果そのうち1人と出会い、その相棒と共に冒険をすることになります。
 冒険の内容は仲間によってまったく違う内容でして、冒険の目的から、街がゾンビ化した原因までまるで違います。要するにゾンビの街をテーマにした4つの短編ゲームブックが収録されているようなものです。
 仲間別に4つの冒険の感想を書いておきます。

<アイカの章>
 仲間は金髪の女の子アイカ。主人公の幼馴染である彼女は、勝気な性格でよく主人公を罵倒してくれるが、一方で主人公に密かに惚れているという、ベタなツンデレキャラ。
 主人公が死ぬバットエンディングでも、主人公の髑髏をそばに置いて暮らすその後の彼女が見られるほどで、一歩間違うとヤンデレになりかねない気も。
 街を探索して情報を収集し、ゾンビ化現象を引き起こしたボスを倒すという、もっとも王道のゲームブックを感じさせる内容です。ゲーム的には一番やりごたえがありました。

<ジョージの章>
 仲間はオタク青年ジョージ。緊張感にかける性格で、ゾンビ映画ならこうでしょう!とか、死亡フラグがどうのと、とにかくうざい発言が多い。主人公的にはゾンビよりこっちの方がつらいらしい。 
 この章では主人公は天才的方向音痴ということになっており、しぶしぶ彼を道案内につれて、遠くの街にいる主人公の彼女を心配して会いに行くという展開。
 クライマックスでのジョージの決め台詞「ここはまかせて、早くいけ!」は、確かにオタクの憧れ的セリフかもですな。一番簡単にクリアできたけど、ベストエンディングはモヤッっとするね!

<リサの章>
 仲間は主人公を心配して追ってきた恋人リサ。黒髪ストレートで、大人しく気立ては優しいが芯は強いという正統派ヒロインです。
 ストーリーの方も定番ゾンビ映画そのもの。避難所の教会に逃げ込んだら、雪崩うって侵入して神父を襲って食うゾンビらとか。
 他の章と比較するとシリアスな展開が多く、映画のようなホラーとラブロマンスを味わえます。ベストエンディングはこの章が一番好き。 

<ラッシュの章>
 体育会系の男ラッシュ。今回のゾンビ騒ぎに前々から準備していたそうで、戦闘から読唇術までなんでもこなす。主人公曰く「完璧過ぎて怖い」ほど頼もしい仲間。
 街の住民がゾンビ化した原因が、4つの章でもっとも電波的意味不明さ。銀河ヒッチハイク・ガイドかよ!と一人つっこんでしまった超展開もあり。だが、そこがいい。
 謎の機械のボタンを押したら、地球が消滅してしまうバットエンドは「悪夢の妖怪村」を遊んだことがある人なら「核のボタン」を思い出さずにはいられないだろう。

 1回のプレイに時間はあまりかかりません。
 ただ、ゾンビに食われるバッドエンドまで含む、全てのエンディングには最大15点までの点数がついていて、3回のプレイの得点総計によって3種類の真のエンディングに到達するという仕組みになっています。
 このため一回だけ遊ぶのは簡単でも、真のベストエンドまで達するには、やりこまないと難しいでしょう。
 食わず嫌いの人も多いかもしれないけど、とりあえずやってみてほしい作品。でもアクはあるので合わなければしょうがないという作品。
 本屋で見かければ立ち読み確認が出来るんだけど、なかなかないでしょうね。注文するのも一種のギャンブルと考えて購入も検討してみてはいかがでしょうか?


2013年06月12日(水) あの頃のワクワクは今も現役

 妻の入院中の子育てということで、しばらくネット環境のない実家暮らしだったのですが、一段落ついたので久しぶりに自宅へ帰宅しました。
 いや、自分の家庭もあるのに日中の子守りをしてくれた妹に感謝です。店の助っ人からクイーンズブレイドの対戦相手まで、本当にマルチにやってくれる妹だわ。

 さて、そんな慌ただしい毎日ながら、最近のゲームブックプレイ状況は、なんと新作を中心に次々と遊んでいました。
 新作には、独特の世界観やパズル要素を取り入れたというゲーム性の作品が多くて、最初はそれに苦手意識を感じてなかなか手が出なかったのですが、やってみると意外と遊べます。
 手軽に遊べながらゲーム性も出るようにルールも工夫しているので、通勤時間などスキマの時間に出来るのがありがたかったです。ストーリーも深みこそあまりないものの、最初から引き込ませる展開で、短くサクサクと何パターンも楽しめるようになっているのが多いですし。
 止まったジャンルと言われるゲームブックも、まだまだ現代人の趣向に合わせて進化をしているのかなと感じましたね。
 実際、今もし昔の鈴木直人作品のような最新刊が出たら、喜んで買ったまま、なかなか遊べずに本棚の肥やしになりそうな気がとてもします。というより、実際にその手の古本ゲームブックが、いくつも本棚に積読になったままです。いつかはやるつもりですが(汗)

 遊んだ新作の感想は次回あたりに書きますが、一方で昔に一度は遊んだゲームブックも、また遊びかえすことによる発見や趣向の変化などで、新しい感想がいくつか出てきています。
 新鮮さなどは、さすがに昔のようにとはいきませんが、やっぱりゲームブックは楽しいなぁ。


山口プリン |HomePage

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