ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ

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2003年07月23日(水) トゥルウトゥエルブ
サキちゃん、ねえ。
笠木の澄んだ、鏡をいくつも使って反射させたような声。参っちゃうなあ、わたしは云う。続

2003年07月17日(木) トゥルウイレブン
ヨリコのことはどうでもいい。今は笠木だ。
わたしは驚くほど笠木のことを知らない。こんなに心は近いのに。
わたしは笠木にたずねてみた。
自分のこと喋りたくないの?と。
笠木は笑って
「そんなことしたって、なんにもならないじゃない」
と、答えた。続

2003年07月15日(火) トゥルウテン
わたしは夢の中でヨリコを殺した。何度も何度も。
消しゴムで消すみたいに。
ヨリコは今どうしているだろう。
夏の昼間、ばいばい、と云って別れたっきりだ。

2003年07月09日(水) トゥルウナイン
ヨリコはいつも笑っていた。だからわたしは幸せなんだって勘違いしていた。でもヨリコは云った。
「あたしほど不幸な人間はいないわ」
嘘だ、わたしは云った。だけれどヨリコは笑ったまんま、首を横に振った。続

2003年07月07日(月) トゥルウエイト
チヨコ、かあ。
わたしは思いをはせてみる。
笠木はチヨコが好きなんだなあ、本当に。
わたしも誰かにこれほどまでに好かれてみたいものだ。
笠木にはいいと云ったけれど、チヨコが誰なのかすごく気になってきた。あ、聞こうかな。やめとこうかな。
不思議な気持ち。
こんな気持ちは初めてな気がする。
いや、違うな。
ヨリコとのことがあったから。
わたしはヨリコのことを思い出していた。続

2003年07月03日(木) トゥルウセブン
会いたかったんです、ずっと。
そう素直に云えたらいいのに。
「チヨコはショートカットなの。本当に短いのよ。サキちゃんより」
わたしの肩までの髪をやさしく触ると、
「こんなに短いのよ」
そう云った。
チヨコって誰なんだろう。本当は気になってる。
チヨコ、サキ。
チヨコ、サキ。
笠木はどっちを見て話しているんだろう。
最近チヨコの話が増えた気がする。
わたしの知っているチヨコの知識と云えば、わたしと同じ十六で、髪が短くて、目が小さくて、要するにわたしに似ていて、素直でいい子ってことぐらい。どんな子なんだろう。続

2003年07月02日(水) トゥルウシックス
笠木がいつもの席にいた。
「サキちゃん、ここよ」
そんな大きな声で云わなくても、わかりますってば。
笠木は嬉しそうに笑うと
「サキちゃん、だなんておかしいでしょう?でもそんな気分なのよ」
相変わらず移り気な人だ。まあいいんだけど。笠木は笠木だから。
ねえ、と云う笠木になんですか、と答えると、チヨコって誰だか知りたい?と、逆にきかれた。
いえ、別に。
「そう。サキちゃんが知りたくないのならいいのよ」続


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