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みんみん



 大工さん

Oさんのブログにあった、

みんながみんなそうだとは思いませんが、経験的には建築家になりたいと思うのと大工になりたいと思うことは≒で結ばれると思います。もともと何かしら作ることが好きで、それを職業に緊密に結びつけると現代的には建築設計屋となるでしょうか。
http://thoughts.exblog.jp/m2005-12-01/#2256154

という一文を拝見して、思い出したこと。

母の旧姓はTという。ローカルな姓で、地元には同族同姓が多い。必然的に各家の呼び名は世帯主の名や屋号になる。
25年ほど前に亡くなった母方の祖父は、某地方鉄道の営繕の仕事をしていた。ケンチクの人である。
会社ではもっぱら図面を引いていたのだろうが、そもそも大変器用な人だったらしい。休日など、人から頼まれて家の修理をしてあげたりしていたそうだ。自宅もしょっちゅう改造していて、ちょっとした家具を作るのはもちろんのこと、母が学校から帰ってきたら階段の位置が変わっていたということもあったそうである。

祖母の通夜の折に、菩提寺のご住職が亡き祖父(祖母のつれあい)を称して、「大工さん」と呼んでいた。ご住職が幼い頃、お父様(先代さんでしょう)に「今日はT(姓)の大工さんのうちに行くぞ」などと言われていたそうだ。
それを聞いて私は、あ、やっぱり大工さんなんだ、と思った。
大工さんで食べていたわけではないけれど、地域の人には大工さんとして認識されていたのだろう。

祖父の血は、隔世遺伝で孫であるいとこに受け継がれたらしい。そういえば彼は子どもの頃、祖父が作ったベッドに寝ていたような気がする。
祖母よりもひと月半早く、伯母が亡くなった時、久しぶりに会ったのだが、「おれが本当にやりたいのは大工さんみたいな仕事」と言っていた。今やっている仕事は「大工さんみたい」ではないみたいだ。

大工さん寄りのケンチクの人、ではないりー氏だけれど、物を作るのは好きらしい。

2005年12月28日(水)
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