管理人の想いの付くままに
瑳絵



 証明


証拠がほしい
僕が人だという証拠
生きているという証拠

誰か証明して
僕はここにいると
温もりがあると

お願いだから……
誰か僕に気付いて下さい

2005年02月06日(日)



 失恋


 髪を切った。理由はなんともベタな失恋だ。
 付き合って、何年経ったかなんてあまりにも馬鹿らしくて数えてもいないが、ただ髪を伸ばし続けてた。
 この髪の長さの分、アイツへの想いが詰まっているのかと思うと、嫌悪感まで抱いてしまいそうで、急いで美容院へ駆け込んだ。「短く」それだけを願った。
「終わりましたよ」
 そう言われて覗いた鏡に映った自分を見て、思わず顔が綻んだ。
 昔の自分に戻ったみたいで、歩けば何だか気分が軽かった。ふわりと流れる風に、首筋が寒い気がしたのは、あえて無視した。

 次の日、私の顔を見たアイツが、一瞬驚いた顔をしたのに、少し心が躍った。
「どうしたの?」
 心配して聞いてきた友人に、
「失恋した」
 そう答えたら、軽く頭を叩かれた。
 学校からの帰り道、アイツが女の子と歩いてた。それを見た瞬間、私は逃げるように走り出した。
 家に駆け込んで、鏡に映った自分を見て、堰を切って流れ出た涙に、心に浮かぶのは悔しさだった。
 どんなに髪を切っても、涙を流しても、頭が少しだけ軽くなるだけで、心の重さを思い知らされて、頭も心も痛かった。
(……分かってる)
 私が、この空間から消えて無くなりでもしない限り、アイツへの想いは消失しないし、今の私のはそれができないことも。
(分かってるけど……)
 この痛みを消すには時間をかけるしかなくて、私がきちんと自分の中で決着をつけて、消化して、昇華させなきゃいけないことも。
(分かってるのに、)
 もう、誰かに手を伸ばすことしかできないんだ。





無糖ブラックのつもり(汗)

2005年02月05日(土)
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