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+ rat rhyme +



    






もう 確めたいことなどなにもない
きみの放った言葉が残した
傷跡も痛みも
なかったものにしてしまえるから


だけど きみの口癖が
もはやすっかり僕のものになっていて
消せない時間を
その言葉の中に
時折見たりするんだよ











    









たいせつなものを
捨てたと同時に出来た空洞が
また別のなにかで埋まってゆくので
捨てきることができないのです


あたしの中にあるものは
いつだって
それに代わる何かなのです


それはあまりに深く大きい空洞なので
いろんなものを埋めずにはいられないのです


そこにあるものは
いつだって
それに代わる何かだからこそ
完全に捨て去ることなど
永遠に出来はしないんです


あたしが消えてしまわぬ限りは








    







キミがくれた
小さな紫の花は


もうすっかり枯れて
触れれば今にも
散り落ちてゆきそう


あの時 
ぼくの心に生まれた
あたたかでささやかな気持ちは
少しも消えてはいないのに









    






ゆっくりと 肺に吸い込まれてゆく煙が
あたしの中の全部を通って
まるで何もなかったかのように
すぅーっと静かに吐き出されてった


あたしの全部を通ってったくせに

そんな静かに出て行ったりしないでよ













    








ぬかるんだ世界に足を取られて
何もかもずるずる引き摺ってる


汚いことをたくさん考えちゃうから
いまにも溢れてしまいそうだよ


溢れ出したものが
ぼくの大切なひとたちまでも
汚してしまわないうちに
あの光を手繰り寄せよう


ぬかるんだ世界より
もっとぬかるんでたのは
ぼくのほうだったのさ


止まないと思い続けていた雨は
もうとっくの昔に止んでいて
虹さえ覗かせてくれてたのにさ










    







ため息の封印が
知らぬ間に解けていた


キミのことを考えた途端に


どうやって抵抗すればいいのさ
気づかないうちに
スルスルと封印を解いてゆくキミを
どうやって警戒しろっていうのさ











    








それとなく なにげなく

日々は過ぎていくのに

ふと振り返った日々が

大袈裟で ビックリするような

思い出になっているのは

どうしてだろう










    








近くを見てると 

少しだけ不安になるから

今 この目に見えている 

出来るだけ遠くに 視線を向かわせて 

自転車を走らせる



そこに辿り着いたところで 

誰が待ってる宛てもなくて

それは絶望という言葉に

置き換えられもするんだけど

あんまりカンタンすぎちゃうから

最期の手段に

とっておこうじゃないかと思う



さぁ ゆっくり ペダルを漕ごう

カゴの中に 不思議に気の合うネコを連れてさ



追い風も向い風も

角度を変えれば ただの風さ

誰にも同じ 風が吹いて

誰もが同じ 遠くをめざす










    








明日 突然 

すべての記憶がなくなったら

あなたも 消えてしまうだろうか



泣くことを忘れて

笑うことを忘れて

愛することも忘れて

ぜんぶぜんぶ

濁りなき光の中に

吸い込まれていったとしても



その美しい濁りなさに

わたしは

あなたを思い出すだろう








    









いくつもいくつも 

言い訳せずにはいられなかった

ここに辿り着くまでぼくは




キミを好きになったことに

理由や後悔は微塵もなくて

そういうなんにもないところに

ムリヤリ意味を見つけようとして

見つからない言い訳ばかりを

探していたんだ




キミが好きだという以外

気持ちのいいほどなんにもない

広々とした場所を

ありもしない言葉で埋めて

いっそうやむやにしようとしていた











    







何か足りない と 思ってしまうのは


満たされすぎて 余ってしまった部分が


月夜に見せる 幻影 であり


すでに充分 満たされている自分に


気づけずにいる 不幸 でもあり












    









あなたに会えてよかった と


まだ 言えないわたしがいる



幸せでいて欲しいだなんて


苦し紛れに出た嘘だ と


見抜いて 欲しい 


見抜かれ たくない












    








どうしようもなく


他愛ない運命に


振り回されて


泣いている




僕が キミを想うかぎり


この運命は 続いていく














    








誰かが見せた ほんの僅かな綻びをみつけて


うれしくなって そっと眺めた


均衡の取れた 美しいラインの中の


あってはならない綻びに


とても 惹きつけられるのはなぜだろう










    








わたしは


わたしという真実しか 知らない


だから


キミの真実を


時々 見誤る











    






忘れてはいけないことと


忘れ続けなければいけないことが


あるのだと 知った











    








もう 逃げ道などないのだとわかった

散る花びらの 地に降りるまでの

ほんの僅かな時だけが

わたしに与えられた揺らぎだった

いつか 地に着くよりほかはない




何を選んでも どう望んでも

風がわたしを運んでも

やはり 地が 待つ




そして わたしの落ちた地の上に

また とめどなく降り続く 花に埋もれる









    








とても 難しい公式と


向かい合うような気持ちで


恋に向かい合った



みんなは あの公式に


どのようにして どんな顔して


風穴をあけているのだろう


また 風穴はあくのだろうか?








    









忘れられないんじゃなくて


忘れないだけ


それはあなたの罪ではなく


忘れないわたしの咎だ
















    








無数に連なる偶然を


一つにまとめて運命にしたがる


こんな自分が大きらい










    







望んでも手に入らぬものを思って泣く


くるまれた思いが


いつも


ちょうどいい温もりを保つから


そのきもちよさに


離れきることができない











    







ぼくの見ている現実を
だれかが
"それは夢だ"
とささやいた


だれかが見ている現実のほうが
ぼくにとっての夢であるのに


永遠に交じり合うことのない
あまたの夢と現実が
世界のそこかしこで出会う


ああ どうか
ぼくにとっての夢が
きみにとっての夢でありますように











    







さまざまな色をした
後悔の咲くを見る


一つ一つ摘みあげては
ほのかな香りに名前をつける


一つ一つ摘みとっては
すべきはずだったことを
思い返す


とりわけ
一番美しい後悔に
目を奪われる


こんなカタチを見るのであれば
後悔するもさほど
悪くはないかと思う













    






このまま
せつなさの限界を
目に焼きつけにいってみようか


気を抜くと
漏れ出そうになるためいきを
どこへ逃がしてあげたらいいのか
もう見当さえつかないから


そっと何処かに
そっと小さく
逃がせる場所を探しにいこうか
このまま此処にとどまっていても
わたしは何にもなれないから


力を込めて閉ざしても
開いていくこころ
けれど
どこにも混じりあわないこころ


その正体をあばきにいこうか











    








ただ楽になりたかった


語られなかった言葉が
ちりちり燻って傷んでも
ぜんぶ抱えて生きていけると思った


生暖かい感情が
ずっと温度を保ったまま
気づかずにいられるほどの熱を
絶えず発していた


しばらくは
曖昧だったきみの残像が
日ごとにクリアになっていく
この気持ちに
意味を見つけられない


それなのに


ぼくはまた
深い深い闇に向かって
きみの名を呼びつづけてる










    







誰かを恨んだりするよりも
諦めるほうがラクだっただけ
思い込みを貫くよりも
鍵をかけてしまうほうが簡単だっただけ


道はおそらく
いくつかあったのだろう


けれど
何もしないでいることを
選んだのはぼくだ


きみに撃ち抜かれた傷を
ただじっと
宝物を守るみたいに
大切にしていた



















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