singersong professor KMの日記

2009年02月27日(金) 日本の将来構想

 先だって,日経2月25日号の経済教室で,佐々木毅学習院大学教授が「経済危機が映す政治の貧困 脱却へ大変革の決意示せ」という論考が掲載されていた。全く同感だ。正確な状況認識のもと構想力をもって適切な処方箋を政治家が示すべきだと言う主張である。ところが日本では状況認識と構想力が貧困であるという。全くその通りだ。現在の経済危機の原因は外需依存でどうにか成り立っていた経済がグローバル市場の急速な収縮で破綻したことにある。「昨年の秋以来の事態は,内需の貧しさを外需依存で覆い隠し,同時に政府の施策の貧しさを覆い隠すという「二重の隠蔽」が限界に達していることを示した。」という。そうだと思う。ではどうすればよいか。同論文は主義主張より具体的な政策論争をするべきだし,社会保障番号制度の導入といった国民を公平に取り扱うためのインフラを早急に整備する必要がある,と主張する。内需拡大なども主張されているが,さらに踏み込んだ主張はされていない。

 そこで,私が年来思っていることを書いておこう。少子高齢化は言われ始めてから相当になる。だからこそ,流通再編が進むし,製造業も外国の市場に目を向けざるを得ない。そして外需依存がはげ落ちて今回の不況となったわけだ。とすれば,内需はどうすればふやせるのかということにつきる。市場や労働力という両面からいえることは,女性の社会進出と子育ての両立を保証することが必要なことは火を見るより明らかなことだ。ところが,そこに踏み込んだ議論がされない。政治の怠慢である。ひとつはアファーマティブ(女性優遇)で,全上場企業の役員・役職者の何割は女性でなければならない,などという踏み込んだ制度を作る必要があるだろう。そこまでのドラスティックな政策を打ち出すべきだろう。そして,子供を産み,育てられる環境を整備すべきだろう。未だに希望すれば,子供を安心して保育所に入れられるという仕組みができていない。安心して子供を産めるような仕組みも不十分だ。むしろ悪化してさえいるように見受けられる。産婦人科医をもっと優遇して良いのではないか。

 また,同一労働同一賃金など言われて久しいが,いっこうに実現していないむしろ逆行している。契約や派遣社員,パート社員がいかに冷遇されているか。正社員中心の年功賃金はもはや維持不可能だろう。今すぐそこへもっていくことはできないだろうが,方向性は示すべきではないか。未来に希望がもてる社会であってこそ,需要も喚起できるはずである。これらを総合したトータルなバランスのとれた政策を政治家が打ち出すべきであると思う。少子高齢化のいっそうの進展が言われており,楽観的予測に基づいた現行年金制度のもとでは,年金不安など解消するはずもない。これでは需要が盛り上がるはずもない。日本人の特性としてみんな貯蓄に励み,そして,その貯蓄は米国人の消費に回されたのではなかったか。そのあげくのサブプライムショックであり今回の不況ではなかったか。



2009年02月21日(土) 営業マン?

 ここのところ,何をしているのだろうと思ってしまう。19日は東京への日帰り出張。官のお仕事。20日は午後大阪で学会プログラム委員会。夜は以前書いたかと思うけれど,関西社会人大学院連合が経済産業省平成20年度「産学連携人材育成事業(産学人材育成パートナーシップ「経営・管理人材分科会」プログラム開発・実証)」の受託事業として行う企画の一部で私の担当する講座の,今回は第4回目。私は1,2,4回担当と言うことになっている。

 明日は大学院入試で,今日はその準備のために修士論文を4本読まなければならない。他にも仕事があるが,そこまで手が回るかどうか。明日日曜日はその入試を終えてから,大阪でのMBAの皆さんの勉強会・懇親会に出席することになっている。これは泊まり込み。で,月曜日は午後大学院の自己評価委員会を朱雀キャンパスで行い,夜は再び大阪のキャンパスで課題研究指導・それに少しの懇親会をすることになっている。

 だから考えてみると,19日(木)から23日(月)の5日間での移動は,19日,東京1往復。20日大阪1往復。21日BKC1往復。22日はBKC,から大阪へ。23日は大阪1往復半という移動になる。何ともはや移動の多い最近である。

 これって,まるで営業マン。



2009年02月18日(水) 地震,政治も地震?

 今朝早く,福井・岐阜の県境を震源とする地震があった。それで目を覚ました。京都は震度2だと報じられていた。実感通りだった。

 それにしても,昨日の中川財務相辞任劇はお粗末だった。朝には続投を表明し,午後になって予算案通過後辞任といい,夜になってから即時辞任となった。その行動を支持し,かつ成り行き任せにした麻生首相。何ともお粗末で,今朝のテレビなどでは,麻生政権はもうおしまいだと報じていた。

 この経済危機に際して,国際会議の後の記者会見で泥酔状態をさらすという危機感のなさは情けない。しかもそれを首相が支えるという,世論とのずれ,危機感のなさは何とも言いようがない。昨日の報道でも2008年10−12月のGDPが年率マイナス12.7%という落ち込みだという。この経済危機に際しても危機感がないのだから話にならない。しかも,同じ時期の米国のそれはマイナス3.8%でしかない。日本のマイナスがいかに大きいか。震源地の米国をすら大幅に下回っているのだからひどい。

 麻生首相は先だっての演説で,日本は米国ほどひどくはない,と話していたのを思い出す。どうしてそういえるのか。GDPは内閣府が発表しているのだから,そんな情報が首相にも伝わっていないとすれば,それで正しい政策が打てるはずもない。相変わらず,国民給付金がどうなどといっているが,まだ経済対策はほとんど何も行われていない。経済危機だから,経済対策が先だと行って政権にしがみついているのだが,実は何もしていない。地位に恋々として,私益優先で,国民,国家のことは何も考えていないと言わざるを得ない。

 だいぶ以前,麻生首相が首相の地位についてはしゃいでいると書いたと思うが,はしゃいでいる場合でないことは誰が考えても明らかなのに,相変わらず軽い。経済危機,官僚辞任を目の当たりにしていながら,深刻さが感じられない。脳天気である。この国の国民はどうしたらよいのだろうか。こういう有様では,クーデターが起こっても不思議はない。そういう怖さがある。



2009年02月15日(日) 実務家

 前回小泉発言について書いた。小泉「改革」の善し悪しは別にして,それが何かを壊し,何かをつくったことは間違いない。しかし,問題はそれからである。この新たな組織を定常的にワークさせていくのが,実は一番難しい。政治家は壊したりつくったりすることに熱中するけれど,その後その新たに作られた組織を維持発展させていくのは人任せである。しかしこれが難しい。従来これを官僚その他実務家が行ってきた。革命でもそうで,その後新しい制度を継続的にワークさせることが実は大変なのである。

 これは政治に限らない。企業その他でもそうで,組織改革や組織作りに熱中する人が多い。けれども一旦作り上げた組織を維持発展させる方がはるかに難しいことがある。そこまで考えて組織作りがしてあれば,まだしも,しばしば「改革」者は事後のことをそれほど考えていない。そうなると実務家が工夫しながらこれを管理運営していかなければならない。いわゆる後始末である。私など,どちらかというと後始末ばかりをしているのかもしれない。また,改革するとしても,その後ワークするかどうかを考えて行う方だと思う。経営・会計の実務に関心のある人間としては当然のことかもしれない。しかし,世の中みんなそうであるわけでもないようだ。



2009年02月13日(金) 小泉発言

 昨日の小泉発言が話題を呼んでいる。反麻生発言で,早くも麻生引き下ろしという観測も報じられている。この発言の直前に私が思っていたシナリオが現実のものになろうとしているかに思った。今の麻生首相では自民党は選挙を戦えないことは明白だ。でも,麻生首相が自発的に降りないとなったら,引きずり降ろすしかない。そして,小池百合子氏を立てて選挙に臨む,これが考えられるシナリオだ。

 私がもし自民党だったら,あるいはまた民主党にとって一番戦いにくい相手は誰だろうと考えたら,それは小池百合子氏擁立だという結論に達した。しかし,首相がそう簡単に降りないとすれば,そのシナリオも不可能だ,などと思っていたところへの,この小泉発言である。勝負師小泉氏一流の賭けに出たのだと思う。今は自民党の混乱を喜んでいる民主党にとって,自民党小池百合子氏擁立ということになったら,一挙に情勢は変わるのではないかと思う。小池百合子氏擁立で,間髪をおかずに解散総選挙を行うというのが,自民党生き残りの究極的手段だろうと思う。それが日本の政治経済にとって良いことかどうかは全く別だが。あるいはむしろ,望ましくはないとも思うが。

 そんなことを考えさせる,最近の政治の混迷ではある。

閑話休題

 今日は早くも春一番が吹いているようだ。大分県日田では,今朝の最低気温3.4度,最高気温21.1度だ。まさに急転直下の激変。果たして時代も激変するのだろうか。




2009年02月09日(月) 2月に入っても

 1月に後期最終講義,試験などがあって,2月にはいると少しは時間的にゆとりができるはずだが,今年は何かいろいろある。とくに,こういう時期だから,集中的に作業しようなどということになって,入ってくるものがある。その代表的なのがいわゆる「野村プロジェクト」で,野村證券との高大連携プログラムに関わっての作業がある。

 また,2月なら何とかなると思って引き受けたものに関西社会人大学院連合が主体となって行っている「経済産業省平成20年度 産学連携人材パートナーシップ事業」というのがある。その「会計・財務管理」プログラムの主任的役割を務めている。それで,昨年末からプログラム作りに関わってきたが,その実施が1月末から2月一杯まである。私の担当講義は2回プラスαで,2月6日に2回目の講義を終えた。この講義は大阪駅前第2ビルで午後7時から午後9時までとなっている。2月6日,同じ日に野村プロジェクトの会議をこちらは京都駅前コンソーシアム京都で午後3時から5時半まで行った。だから,最後は次の仕事のために,ほんの少しだけれども私だけ切り上げなければならなかった。

 2月7日,8日は経営管理研究科入学試験と採点,そして教授会と続いた。この間にも,期末試験の採点がある。それに,「現代企業の財務戦略」第5版の最終仕上げも並行して行った。もちろんそれ以前の2月4日のインスティテュート執行部会議,5日の経営管理研究科執行部会議と続いていた。2つの学内組織で執行部を務めるのも大変だ。この大学もよほど人材が不足しているのだろう(!?)。来年度も引き受けている仕事で忙しくなると予想される。

 最近は,この歳でも,いろいろと仕事ができるのは有り難いことだと思うようになった。若いときなら,文句の一つも言っていただろうけれど,この歳になると,割り切って,できることなら,仕事は仕事として引き受けてしまうようになった。前にも書いたが,スケジュールが空いていれば引き受けてしまうが,後でしまったと思うこともある。



2009年02月02日(月) 物忘れ症候群

 先だって,名刺入れをなくしたことをここでも書いた。今日,Y先生と話していたら,やはり同様の「症状」を呈しているという。やはり,歳のせいだろうか。先だっては,C先生の退職記念講演会と懇親会があったが,その際も,傘を忘れそうになった。取り置いて貰っていたので,何とかセーフだった。2,3ヶ月くらい前だったか,折りたたみのジャンプ傘をなくした。Y先生も言うように,安物の方がなくさない。ちょっとコマシなものほどなくすようだ。これもY先生と同じ「症状」だ。しかも,ここに書いたのは代表例でしかない。もっと他にも物忘れで困ったケースもある。


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