singersong professor KMの日記

2007年12月29日(土) 当たり前のこと

 いつも言うことだが,人間「当たり前のこと」ができない。これができる人間は大成する。私など,大成しない「フツーの人」だと思ってしまう。そういう意味では,今日の日経プラスワンで「来年こそ改めたいこと(何でもランキング)」というのを掲載していたが,あちこち思い当たる。まさに,「フツーの人」の感覚があふれている。これから,一歩でも抜け出せたら,人間として成長するはずだと思う。

 1位は「整理整頓や部屋の片づけができない」は全く私に当てはまっている。2位は「ダイエットや運動など、飽きっぽくて長続きしない」だが,これも該当してはいるが,私はさほど気にしていない。「やるべきことを先送りする」が3位だが,これも該当している。4位は「1日の時間の使い方が下手」,5位は「物が捨てられない」だが,いずれも該当している。

 「自分に甘く、まあいいやと思ってしまう」(6位),「過ぎたことをくよくよと気にし続ける」(同)というのもかなり当てはまっている。「短気ですぐにかっとしてしまう・怒鳴る」は高齢の男性と子育て世代の女性に多く8位,だと書かれていた。私はそうではないと思っていたが,わが女房殿に言わせると,これも当たっているそうだ。9位「心配性,小心者」となっているが,これも少し当てはまる。10位「衝動買いや浪費癖」というあたりになると,これは当てはまらない。11位以下にも当てはまるものやそうでもないものが並んでいる。

 とにかく面白い特集記事だ。



2007年12月27日(木) 人間のキャパ

 人間にはキャパシティがある。可変的でこれを伸ばすことはできるが,生まれつきのものもありそうである。いろんな所から由来する。環境,性格(これも環境に左右される)などなど,様々な要素で決まる。環境といっても,家庭環境,地域の環境,友人関係など,これも様々である。努力でかなりカバーできるとしても,それ以前の環境に左右される部分もあって,なかなか思い通りには行かない。

 それにしても,つくづく自分の能力不足,努力不足を感ずる。運には恵まれていたように思う。いろいろ経験してきたから,若い人に気になるところをアドバイスすることも多い。自分もそうだったが,若いときには気づかなかったことが多い。後で気づくことが多い。「後の祭り」という時も多い。だから,若い人が折角のチャンスを逃しているのを見ると,ついつい,言いたくなる。でも本人が気づかなければ,そのチャンスはつかめない。結局,消極に流されてしまう。

 先日のゼミ補講でも言ったのだが,どれほどの将来見通しを持つか。パースペクティブの大きさで,かなりが決まる。何ら計画無く,日々が過ぎていっている場合,まさに,「後の祭り」になる。「わかっちゃいるけどやめられない」馬鹿なことをするのも人間だが。ある段階にはがんばっておく必要があるのも事実だ。そういうことが若いときには多い。



2007年12月25日(火) いつか来た道?


 下記ニュースを読んで,思い出しました。1980年代末,日本のバブルが燃えさかっていたとき,その末期に起こったことを思い出しました。ワラント債が盛んに発行され,資金コストが安いというので,企業に重宝されたことを思い出します。しかしそれは,とんでもない間違いで,その後株価が暴落しました。ワラントが行使されたら株式に転換され,資金負担もなくなると,企業は期待していたのですが,株価暴落で株式転換が進まず,償還のための資金が必要になりました。今回の「低コストで資金を調達できる」というコメントは過去の経験に照らしてみれば,誤りでしょう。

 大型株の増資などが行われたら,相場も末期だという教訓があるように,こういったワラント債のような証券が大量発行されるときも相場的には末期的であることが多いものです。バブル最末期の1989年後半から1990年初頭にかけて,鉄鋼各社のワラント債が発行されたのを思い出します。来年の世界経済が思いやられます。

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中国で社債発行相次ぐ、上海汽車や宝山鋼鉄、引き締めに備え手元資金厚く。2007/12/25, 日本経済新聞 朝刊, 9ページ

 【上海=張勇祥】融資の総量規制が行われている中国で社債の発行が相次いでいる。乗用車大手の上海汽車がこのほど六十三億元(約九百八十億円)のワラント債を募集。宝山鋼鉄も最大で百億元のワラント債を発行する見通し。来年以降の金融引き締めに備えるほか、株式市場が本格的な調整を迎える前にできるだけ多くの資金を手当てするのが狙い。
 上海汽車は債券発行によって調達した資金を自主ブランド車の生産や国内外でのM&A(合併・買収)に充てるとしている。宝山鋼鉄は調達資金で親会社傘下の新製鉄所を百四十三億元で買収する。手元資金を厚くする目的も大きいとみられる。
 鉄鋼大手の唐山鋼鉄は既に三十億元分の転換社債(CB)を発行。農業大手の黒竜江北大荒農業も十五億元のCBを募集した。ワラント債やCBは利率が年一―二%と七%台の融資金利や普通社債より低く、低コストで資金を調達できる。



2007年12月24日(月) ゼミ補講

 昨日23日はゼミ補講を行った。わがゼミ恒例の就職対策ゼミで,午前中に私,(今年は元)キャリアセンター職員,就職の決定した4回生らによる話で,午後は卒業生を交えての「模擬面接」であった。

 昨日も話したが,本当はこの話を聞かせたいゼミ生に限って欠席するという問題はあったが,来年の「成果」を期待したい。ゼミ生には有用であったと思う。終了後,これも恒例の懇親交流会となった。こういう形で毎年続けることができるのは,卒業生の諸君の熱意のおかげである。有り難いことだ。



2007年12月22日(土) 学生論文読みなど

 木曜日午後,朱雀での経営管理研究科執行部会議,それを終えて急ぎ,大阪へ,そして大阪駅前第2ビルでの社会人向けセミナーを2時間行い,年内はこれで修了。後は年明けに1回行えば,これで全7回を終了。金曜日は午前中修士課題研究論文の口頭試問を副査として4人こなした。口頭試問は通常,副査が質問を主導する。事前に4本の論文を読んだが,時間はそれなりにとられる。しかも質問をするつもりで,丁寧に読むわけで,どうしても時間がとられる。日記を振り返ると,12月8日に読み始め,ぼちぼちと読み進めてきたわけだ。それ以前は,先週の証券ゼミナール大会に参加する学生論文8本を読んでいたわけだから,ここのところ,そういう仕事(学生・院生論文読みの仕事)に追われている。

 もちろん,その間にも社会人セミナーや講義の準備をしているわけだから,忙しいはずである。口頭試問はまだ半分残っている。それでも,講義も後のこすところわずかだから,今日あたり,ようやく一段落したという感じだ。先送りしてきた原稿を,これから書き始めたいと思うが,果たして,頭がそれに速やかに戻るかどうかだ。まだ,明日はゼミの補講・コンパを行うなど,もうしばらくするべきことをして,それから論文などに戻りたい。



2007年12月19日(水) 能力と努力

 誰でも,人にはそれぞれの能力があり,努力をしてさらに能力を伸ばしていく。能力を超えた仕事を引き受けると,どこかでし残しが生じる。もちろん,し残した仕事は重要性の低い仕事(と本人が思っていること)ではある。しかし,他の人から見れば,その引き受けてもらった仕事は重要だと思っているかもしれない。ここが難しいところだ。本人は重要性の高い順に仕事をしていると思っていても,人間は感情の動物だから,どうしても,好きな仕事から片づける傾向がある。そうすると,嫌な仕事が残るから,先送りになりがちである。これが悪い結果をもたらす。

 だれしも,そのあたりの折り合いをつけて仕事をしているのだろう。もちろん,仕事を引き受けなければ,そういう矛盾は生じない。ついつい,引き受けてしまってから,失敗に気づく。そういうことがよくある。重要度の高い仕事から片づければよいのだろうが,しやすい仕事,好きな仕事から片づけがちだから,問題が残る。つくづく「能力と努力」の不足を感じる。でも自分としては,これが精一杯だと思うこともある。難しいところだ。



2007年12月17日(月) 証券ゼミナール大会

 14,15日と東京で証券ゼミナール大会の指導講師を務めた。私は第2テーマ「日本におけるM&Aのあり方」Bブロックで指導講師を務めた。8チームの参加であった。2日間にわたる報告・討論につきあい,最後には懇親会で,学生諸君とも盛り上がった。その前日13日夜には大阪での社会人セミナーで2時間の講義をしたから,休み無く働いた感じだ。

 懇親会後はもう1泊して,翌日の日曜日,親しくさせて頂いているS先生宅を訪問した。そこで,長時間の話となった。もう大学を定年退職されてからかなり年数もたつが,未だに第1線で企業・経済を分析され,雑誌連載を続けておられる。官庁や会社での経験が長かっただけに,現場感覚が鋭く,すごく参考になる。われわれ経営学を研究するものにとって,そういった現場感覚を身につけておかないと,とんでもない間違いを犯すことになると思う。

 でも,前日のセミナー,2日間の濃密な報告・討論会,そして懇親会を終えてからの長話で,良かったのだけれども,さすがに疲れた。今日月曜日は午前10時から日経MM社からの来訪があり,いろいろと話した。研究室に戻ると,今度はN社A氏の表敬訪問を受けた。午後1時からはO先生の訪問で来年度の話を打ち合わせたりした。5時間目には専門演習もある。そんなこんなで結構忙しい週末から週初である。まだ月曜日。今週を乗り切れば,年末年始の休みに一歩近づく。



2007年12月11日(火) こういうときに限って

 こういうときに限ってJRが遅れる。今日は少し家を出るのが遅れた。ほんの10分あまり遅れただけだけれど,そうなると,嵯峨野線とびわこ線の接続が良くない。嵯峨野線も少し遅れたが,びわこ線が大幅に遅れていて,2時間目の講義(卒業研究)に対して,ぎりぎりの時間となって,かばんなどを持ったまま教室へ行った。とにかく,時間にぎりぎり間に合ったものの,相変わらず,卒業研究受講生の出席が少なかった。やはり,もう少しゆとりを持っての通勤でないと,心せわしい。

 最近久しぶりに奥村宏先生の本を読んだ。この夏に出た「会社学入門−実学のすすめ」七ツ森書館,というのがそれで,経済学部のO先生からすすめられて読んだのだが,一気に読み終えた。奥村先生とは古くからおつきあい願っているが,最近はあまり交流が薄くなっていた。この本に書かれている所有論研究会には毎月出させて頂き,いろいろと勉強させて頂いた。だから,先生の考え方,ビヘイビアはよく知っているので,なつかしく,また容易に感情移入できた。

 とくに,「実学のすすめ」というサブタイトルには興味をそそられた。大学で行われている通常の講義,経済学にせよ,経営学にせよ,それらは欧米の著書の翻訳に過ぎず,「虚学」であると喝破される。私も共感するところだ。京都大学の名誉教授T先生(この先生には大変教えられた)もいわれていたが,「あれは横のものを縦にしただけだ」つまり翻訳しただけでオリジナリティがないとよくいわれていたが,これは日本の多くの学者に共通するところのようだ。私なども気をつけなければならないと思い,まさに「実学」(奥村先生が言われるように,日本の現実をふまえた学問という意味だが)に精を出してきたものだ。

 その本の中にも書いてあったが,日本の大学の先生が社会人大学院生に教える内容を持たないという。「現実感覚をもったこれら社会人に教えることができるような人を大学院の教授にすることが必要なのだが,……日本の大学教授市場はそうなっていない」(同書,194頁)といわれる。幸い私の大学院での講義は社会人の皆さんには評判がよいと聞く。そういう意味では,私は奥村先生の言われる「実学」を重んじてきたと言えると思う。今後も,私は日本の現実に有効な理論を考え,講義をしていきたいと思っている。



2007年12月10日(月) 一件落着?

 「船場吉兆」の最終報告書が提出されたという(下記記事参照)。不正表示は「販売用カタログに記載されている食品のほぼ全部だった」という。相当ずさんだ。「料亭の経営に専念する」というが,果たして客は戻ってくるだろうか。第一,こういう料亭経営がバブル崩壊後きわめて厳しくなってきている。だからこそ,多角経営に乗り出したのだろうと思う。とすれば,料亭経営一本では成り立たないはずだ。よほどの新機軸を打ち出さないと無理だ。板前さんらの雇用確保のための開店かもしれないが,良い板前さんはすでに流出しているのでは無かろうか。とすれば,残ったメンバーでできることは限られている。果たしてどうするのだろう。このままでは,結局廃業するよりほかないように思えるのだが。この料亭のことを私はあまり知らないのだけれど。

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<船場吉兆>経営陣の責任認める 農政局に改善報告書
12月10日11時1分配信 毎日新聞

 食品の産地偽装や不正な品質表示が次々に明るみに出た高級料亭「船場吉兆」(本店・大阪市中央区)は10日午前、一連の食品偽装が湯木喜久郎取締役(45)ら経営陣の責任と認める改善報告書を農林水産省近畿農政局に提出した。その後、同社は京都市内で記者会見し、農水省や同社内の調査で、本店取り扱いの販売用の食品計37品目で不正な品質表示があったことを明らかにした。販売用カタログに記載されている食品のほぼ全部だった。

 今後は、問題の多かった食品の販売は当面撤退し、料亭の経営に専念する方針。

 改善報告書では、湯木正徳社長(74)、妻でおかみの佐知子取締役(70)、社長の長男喜久郎取締役、次男尚治取締役(38)の4役員の責任について「不適切表示を認識しながら、漫然と放置していた」とした。家族経営の問題点として、法令を検証する部署がない▽指揮命令系統がない▽役員の権限が明確でない−−などを挙げ、4役員とも辞任する。今後は弁護士などの有識者に社外取締役へ就任してもらうことも検討している。

 船場吉兆は、持ち帰りや贈答用の「牛肉みそ漬け」で、佐賀、鹿児島、熊本産の牛肉を使いながら、但馬牛、三田牛として販売し、大阪府警が先月16日、不正競争防止法違反容疑で家宅捜索。改善報告書によると、牛肉の仕入れについては4年前から九州産を使うようになり、だんだん九州産の比率が上がっていったという。(以下略)



2007年12月07日(金) マイクロソフトの新OS・ビスタ

 いつの間にか師走。昨日は大阪駅前第2ビルでのセミナー講師。例によって熱心な社会人の皆さんへの講義で力が入る。質問・感想を書いてもらうのだが,好評ではある。それでますます力が入る。ここのプレゼンテーション用パソコンがOSはVista(ビスタ)。先週など,突然のダウンが続き,最後はパワーポイントなしの講義となった。それでも,ハンドアウトをお渡ししてあるのと,パソコン・ダウンがかなり後半だったので被害は少なかった。

 今週は冷や冷やだったが,パソコンは落ちなかった。ビスタが悪いのか,ソフトが悪いのか,ま,相性の悪いソフトか何かが入っているのだろう。以前書いたと思うが,エクセルも2007が入っていて,これは設計思想が全く違う。2003とはまったく別物になっていて,これも使い勝手が良くない。マイクロソフトは王様だ。何でも庶民は受け入れてくれると思っているようだ。きっと「裸の王様」だと思う。ユーザーをバカにするなと言いたいところだ。

 それでも買わざるを得ない,そして,それになれざるを得ない悲しさ。王様には勝てないのだろうか。フランス革命ではないが,王様をギロチンにかけないと解決しないだろう。でも国王の軍隊は強そうだ。



2007年12月04日(火) 一目均衡

 日本経済新聞は,毎日目を通す。毎週火曜日に掲載される「一目均衡」というコラムは結構注目して読んでいる。その今日の「一目均衡」では,末村篤「2008年はドル支配の『分水嶺』?」というコラムが掲載されていた。その中で,やはり私も注目していたし学生諸君にも一読を薦めていた,11月30日掲載の野村證券元会長田淵節也氏の「私の履歴書」最終回から引用されている。

 田淵節也氏は,イラク戦争への厭戦気分が蔓延しアメリカの「軍事力に翳りが出れば,ペーパーマネーのドルの信認が低下し,米国は金や原油,穀物などの実物資産を裏付けとする新しい通貨制度を考え出すのではないかと思う」とされ,「そうなれば,金本位制が『ドル紙幣本位制』に変わって以来の大変化だ。世界中が混乱し,アメッポン(田淵氏はニッポンがアメリカに振り回されてきた国だという意味でこう言われる)の日本は一番大きな影響を受ける。」こう言われている。

 この田淵氏の言葉を承けて,末村氏は,来年2008年は「ドル本位制」が退位するパラダイム転換の「分水嶺」の年になるのではないか,とされている。注目しておくべきだと思う。



2007年12月03日(月) 1週間が始まった

 週末は,例の大阪でのセミナーの準備,共著の執筆などに追われた。その間にも土曜午前にはN先生の訪問を受けたり,日曜の夜は4回生学生諸君のゼミコンパに出たりで,結構スケジュールが詰まっている。

 今日月曜日も,午前10時から大学院経営管理研究科の「営業」で銀行に行ったりで,午後は3回生ゼミ,そして18時以降は急遽入ってきた講義担当で2コマがそれにとられる。

 そんなこんなで,またまた1週間が始まった。


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