singersong professor KMの日記

2006年11月30日(木) 日本のプロ野球の大リーグファーム化

 下記記事のように阪神の井川選手が30億円でヤンキースに「買われた」ようだ。松坂選手の60億円と言い,高値がついたものだ。誰かが言っていたけれど,日本のプロ野球が米大リーグのファームと化しているようだ。日本のプロ野球は今後衰退していくのだろう。そう予感させる最近の動きだ。実際,日本のプロ野球のテレビ視聴率は低下の一途をたどっている。BSでの米大リーグの中継を日本人が応援して,日本のプロ野球中継を見なくなってきているのだろうか。

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井川vs松坂 90億円投手戦!…ヤンキース史上2番目30億円落札

 阪神は29日、ポスティングシステム(入札制度)でメジャー移籍を目指す井川慶投手(27)の落札球団が、松井秀喜外野手(32)所属のヤンキースであると発表した。入札額は2600万194ドル(約30億円)で、松坂の5111万1111ドル11セント(約60億円)に次ぐ史上2位の落札額だった。今後は代理人のアーン・テレム氏とともにヤ軍と入団交渉を行うが、契約成立は確実。レッドソックスに落札された松坂と同じア・リーグ東地区への移籍で、過去3度しかない日本人先発投手同士の“90億円対決”が、全世界の注目を集めそうだ。



2006年11月28日(火) 気がかり

 今日11月28日日経朝刊,「大機小機」欄で「米国経済構造の三大異変」と題して,アメリカの経済構造の最近の問題点が指摘されていた。第1に,中間層が喪失していることであり,第2は,この10年間金融・証券,サービス業の生産性がIT革命により上昇したがウォルマートに見られる低賃金構造をもたらしたこと,第3に,IT関連のサービス労働がインドなどへの外注で成り立っていること,これらにより貧富の差が拡大していることが指摘されていた。

 貧富の差の拡大はアメリカだけではない,日本でも構造改革の結果,「格差社会」が生み出されたことは多くの人たちが指摘しているとおりである。日本の場合,アメリカの比ではなく,問題は大きい。今後少子高齢化,人口減少の時代に突入する。日本という国柄のせいか,成り行き任せである。いつも言うように国家戦略がない。T先生の言われるように,日本は美しく衰退するのではなく,醜く衰退するだろうと言わざるを得ない。確かに難しい時代である。だからといって,成り行き任せでよいということにはならないと思うが,どうもそうでもない。日本という国の将来が気がかりである。



2006年11月27日(月) 証券研究関西学生連盟秋のセミナー

 昨日,一昨日の土日。土曜日は経営学部校友会のセミナー,懇親交流会を主催した。日曜日は証券研究関西学生連盟秋のセミナーの指導講師として朝早くから出かけた。会場は阪急・上新庄駅から歩いて15分の大阪経済大学であった。これが,我が住所京都・花園からはかなり不便。もちろん,今から考えると阪急・西院までタクシーで行けば良かったのだが,公共交通機関を利用するとかなり不便なのである。それに阪急のダイヤも昔と違って不便になっている。

 何となく,毎日通いなれたJR花園駅を起点に考え,二条駅へ行き,そこから歩いて阪急・四条大宮へ行った。今は四条大宮が不便になっている。以前は特急が止まったが,今や急行と言っても普通並の急行が止まるだけだ。この「急行」,高槻市まで各駅停車し,その先から急行になるだけなのだ。だから,「急行」で一端桂駅まで乗って,そこで,特急に取り替え,高槻まで行って,そこで普通電車に乗り換えて,「上新庄」まで行くわけだ。この「上新庄」が急行停車駅である「淡路」の一つ手前ときている。おかげで電車の中でセミナーの準備ができた。

 テーマは「日本におけるM&Aのあるべき姿」。学生諸君はこういう題を付けるのが好きなようだ。本来「あるべき姿」などない。第一,誰にとっての「あるべき姿」なのか明示されていない。だから,混乱する。ただし,セミナー指導講師としては,あまり最初に答えを言ってしまうと,学生諸君が萎縮してしまって,議論を引き出すことが出来ない。そこが難しいところでもある。

 いずれにせよ,「あるべき姿」は,この主催団体からいえば,証券業界にとっての「あるべき姿」ということになる。しかし,それも正確に言えば,証券業界にとって「望ましい姿」「あらまほしき姿」と言った方が素直である。当然,M&Aを仕掛けられる被買収企業の経営者からすれば,M&Aはそもそもしてほしくない,ということになる。だからこそ,「買収防衛策」が講じられる。買収企業の立場に立つと,M&Aがうまくできるよう,制度整備をしてほしい,と言うことになる。証券業界としてもM&Aがビジネスとして活用できるよう制度整備をしてほしいと言うことになろう。そして,その制度整備はすでにかなりなされている。だから,「あるべき姿」など言うまでもなく,現に行われているのが実情だ。そうすると,ここで何を論ずればよいのか,参加学生諸君も惑うはずである。これを交通整理しながら指導したわけだ。ま,講師としては頭の体操にはなった。決して無駄ではなかったと思う。



2006年11月22日(水) 就職支援

 例年,ゼミナールにおいて,年末に学生の就職支援のための補講を行っている。今年も12月23日(土)に企画している。学生諸君の危機意識が希薄なように感じる。景気が良くなってきたせいだろうか。一生を左右するほどの大事なのだが,なかなか実感できないようだ。

 今週月曜日にたまたま卒業生のT君が訪ねてきてくれた。ゼミナールにも出席してくれたが,本格的な就職対策は,12月の証券ゼミナール大会参加の後になる。今はゼミナール大会参加へ向けての取り組みが中心となる。しかし,就職対策としても,ゼミナール大会参加が意義あるものとして貰うためにも,来週には少し,そんな話をSCDR4回生諸君に手伝って貰って,してみることにしている。

 学生諸君がここで気づくのと,気づかないのとでは,大きな差になってくる。人生の先輩としてそのことがわかっているだけに,なぜ,今その取り組みをしないのかと,尻をたたくわけだ。就職のために大学があるわけではないけれど,就職活動という機会は,学生諸君にとって,自分の人生を振り返り,今後を展望する良い機会であり,大学での学習の意味も再確認できる機会だと思っている。

 閑話休題

 こんな記事を発見しました,こんなことあるんですね。狂犬病など考えたことなかったのだが,これが死に至る病であるなどと言う認識は全然なかった。

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比国で犬にかまれた男性が狂犬病発症、国内2例目

 厚生労働省は22日、フィリピンで犬にかまれた横浜市の60歳代の男性が、狂犬病を発症したと発表した。

 男性は重体。今月17日には、やはりフィリピンで犬にかまれた京都市の男性が、国内では36年ぶりに狂犬病で死亡しており、同省は「海外で犬などにかまれたら、速やかにワクチン接種をしてほしい」と呼びかけている。通常は人から人への感染はなく、感染拡大の恐れはないという。



2006年11月21日(火) 今日の日経

 今日の日経,なかなか興味深い記事が出ていた。第1に,日本の株価がさえない。独歩安だと報じられていた。企業業績の先行き不透明が原因だという。「国内景気は個人消費の弱さが目立ち,楽観論が後退しつつある」という三井住友銀行の宇野大介ストラテジストの弁が紹介されていた。

 これとも関連するが,第2に,第1面,第5面に新たに制定する「労働契約法」にリストラなどで整理解雇できる条件,いわゆる「整理解雇の四条件」という最高裁判例をゆるめようとする方向が報じられていた。明示的には「解雇ルールの透明性を高める」と言うことのようだが,最近の自由化の風潮の中では,どちらかというと解雇しやすくする方向に見受ける。これが雇用不安,格差社会などを生み出し,先の個人消費の弱さをなお促進する原因になりはしないか,懸念される。

 最近の政策の方向を見ていると,せっかく盛り上がってきた景気を再び冷却する方向が出されると言った景気抑制基調ばかりが目立つ。最近の増税の方向などもその典型だ。政策に整合性が見られない。今日の新聞を見ていてそれを感じた。



2006年11月19日(日) 学会を終えて

 ようやく日本財務管理学会第23回秋季全国大会を終了することが出来た。大過なく終えることが出来て,ほっとしている。終了後,安心して京都でだいぶ飲んだ。本当においしいお酒だった。

 もっとも,まだ精算が済んでいない。ま,赤字覚悟だけれど,いくらの赤字になったのか,さっぱりわからない。もともと会計学を専攻していて,自分も税理士の資格は取ったのだから,計算に強いと思われがちだが,そうでもない。よく先生や友人に,税理士のくせに計算が出来ないと冷やかされる。ま,丼勘定だと言うことだ。評論は出来るが自分ではあまりうまくない。典型的な評論家タイプだ。自分でもそれはわかっている。だから,あまり大口はたたかないようにしている。天につばするようなものだからだ。



2006年11月16日(木) 今日も学会準備

 昨日もそうだったが,今日も,朝から晩まで,学会準備作業に追われた。次々と問題点に気づく始末で,あれやこれやで時間がたつ。大学院生のN君とほとんど2人で準備をしている。学生諸君の協力も得るが,準備作業の大半は,やはり,2人ですることになる。

 名札作り,受付名簿作り,当日のための様々な事前手配,次から次へと気がついて,また作業,そういう繰り返しだ。何と言っても人手不足。この分では,大会当日もてんてこ舞いとなりそうだ。はたして,何人の参加があることやら。多すぎず,少なすぎずが望ましいのだが。それともう一つ気がかりなのは,当日の天気だ。降らず,寒くなく,が望ましい。



2006年11月14日(火) 学会準備

 学会準備の話ばかりになりますが,実際,そのことで頭がいっぱい(というのは大げさでしょうが)で,気がつくとこんなことを忘れていたなどと言うことに,次々に気がつく。それで大あわてで,準備をしたり,連絡をしたりという始末である。

 だいたいが,せっぱ詰まらないと何も出来ない性分だけれども,そしてまた,えてして,せっぱ詰まらないと気づかないことも多いものだけれども,実際今になって気づくことがある。ま,最後は「ゴメンナサイ」というよりほかないわけだけれど。



2006年11月12日(日) 学園祭どころではない

 土日がここBKCの学園祭のようである。学生諸君その他近隣住民も大勢が参加している。自分の子供が小さい頃は,学園祭に連れ歩いたりしたが,今では,学園祭も少し縁遠く感じるようになった。仕事も抱えている。それどころではないという感じだ。

 ここの所時々書くように,今度の土曜日18日には学会を主催しなければならない。プログラム作成の最終段階である。送られてきた原稿を印刷するだけでよいのだが,目次に当たる部分などは作成しなければならない。最近はパソコンで凝ればいくらでも凝れる。ついつい,地図などをつけて,少しでも便利なものにしようと手を入れる。

 そんなこんなで,時間がすぐに過ぎていく。一昨日など,気がつくとバスに乗り遅れそうになって,大あわてで終了させてバスに乗り込んだ。で,いつもの時間のJRに間に合ったが,一昨日の場合,一昨日の日記にも書いた卒業生のK君とそこでもばったりあって,車中話し込んだ。



2006年11月10日(金) 卒業生

 時々研究室に卒業生が訪ねてくる。今日も元(今でも?)パソコン・オタク(?)のK君が来室。話した。卒業生とのこういった交流は楽しい。

 例年,12月下旬に3回生ゼミで就職対策補講と称して,若干の卒業生を交えたりして,自己PRの書き方などの訓練をする。今年も卒業生らに手伝って貰って,就職対策ゼミ,とその後の懇親交流会をしようと思う。また,卒業生らに声をかけて交流を図りたいものだ。現役学生諸君にも良い刺激になるはずだ。



2006年11月09日(木) 日本財務管理学会

 日本財務管理学会を来週18日(土)に主催する。その準備作業に結構手間をとられる。というか,やはり精神的に負担である。滞りなく終わらせることが第一だ。成功裏になどと大それたことは考えていない。滞りなく終わればよい。プログラムがまだ完成しない。完成しないわけで,報告要旨の原稿がまだ全部集まっていないからだ。今日も印刷・製本について,生協と相談した。デッド・ラインを聞いた。最悪,白いままとなる。でも,ちょっとみっともない。でも,こればかりは,自分でつくるわけにはいかない。何とか原稿の届くのを待つばかりだ。

 看板だとか,懇親会の料理だとか,これらも注文しなければならない。で,後で気がついたことなのだが,18日というのは観光シーズンのピークだそうだ。こちらは観光などとは縁遠いものだから,気がつかなかったのだが,このシーズン宿が取れないようだ。学会参加の先生方も宿の確保には苦労されているのではなかろうか。それであきらめられたら大変だ。参加者がそれで少なくなるのも困りものだ。現にそうなりつつあるかに思える。

 ま,あれやこれや悩ましい。



2006年11月08日(水) いじめ自殺予告への対応

 いじめ自殺予告に対する対応が要約下記のように報じられている。何となく本当に調査しようと言う気概が感じられない。一片の「緊急」アピールで済まそうとしているような気がしてならない。たしかに,いたずらかもしれないが,「緊急」アピールの方にも切迫感がないように感じるのだが,どうだろう。これで自殺を防止できるという感じがしないのだが。

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<自殺予告>東京都教育長が緊急アピール「いじめを許さず」

 いじめを苦にした自殺予告の手紙が伊吹文明文部科学相あてに届いた問題で、東京都教育委員会の中村正彦教育長は8日、「いじめを許さず、尊い命を守るために」と題する緊急アピールを発表した。これまでに、予告手紙の送り主と思われる子どもはいないという。



2006年11月07日(火) 教育問題

 いじめ自殺を予告する手紙が文部科学大臣宛届いたというので,大きく取り上げられていた。ここのところ,教育問題がよく取り上げられている。教育基本法を変えたいという首相の意向を反映しているのだろうか。

 そういえば,先週末,非行・薬物問題に積極的の取り組んでいる「夜回り先生」水谷先生のことがNHKで深夜2時半頃まで取り上げられていた。こういう先生には頭が下がるが,社会全体からみると,少数派であることは間違いない。

 いじめ自殺予告にしても「夜回り先生」にしても,テレビで取り上げられると,反響が大きすぎて,よほど慎重にこれらを見ないと,危ないのも事実だ。情報がこれほど氾濫している社会は,よほどしっかりしていないと,自分を見失う。テレビがそれを増幅する。これはこれで怖い話だ。

 北朝鮮核実験問題,拉致問題しかりで,うっかりしていると,ファシズムに流れていく。ファシズムは民主的にやってくる。国民の総意の下でファシズムは成立する。誰もが反対できないイッシューで迫ってくるのが常だ。こういうこともこの際考えておくべきだと思う。誰だって,いじめはいけないと思うし,核実験はいけないと思うし,拉致はけしからんと思う。そこから先,この感情をうまく利用する人間が出てくると怖い。




2006年11月06日(月) 心許ない

 3回生のゼミ生諸君を見ていると,これから就職活動だというのに,何となく心許ない。当たり前のことをできれば,問題ないのだけれど,それが出来ない。人間誰しも,不合理な存在で,「わかっちゃいるけど,できない」というのが実情だろうけれど,着実に前進している君もいる。この差は大きい。

 自分自身,わかっちゃいるけど,出来なかったことも多いので,あまり強くも言えないが,せめて学生諸君には大失敗はして貰いたくない。で,出来るだけのことは伝えたいと思うわけだ。就職対策合宿のようなものがキャリアセンターの主催で行われているようだ。それに参加した学生諸君に聞いてみると,私が言ったようなことは,そこでも言われているようだ。まさに,王道,定石があるわけだ。早くからそれに気づいてくれれば問題ないのだけれど,なかなかそれに気づかずに,最後にあわて出す諸君がいる。

 で,もっと早く言っておくべきだったと悔やむわけだ。就職対策などゼミで話すのもゼミの本旨ではない。だから控えるのだけれど,どうももっと早く話しておくべきだったように,今にして思う。

 閑話休題

 また,必修単位不足で校長が自殺したという。こういう記事を見るとやりきれない。どういうプレッシャーがあるのだろうかと思ってしまう。
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愛媛の高校長が自殺、「必修逃れ」ほのめかす遺書

 6日午前7時30分ごろ、愛媛県新居浜市の県立新居浜西高校の政岡博校長(60)が、同県松前町の自宅で首をつって死んでいるのを家族が見つけた。

 愛媛県警伊予署の調べでは、同県教委高校教育課長あてで、必修逃れをほのめかす内容の11月5日付の遺書が校長室に残されており、同署は自殺とみて調べている。県教委によると、校長室に残されていた遺書には「自分の認識不足や怠慢があった」と書かれていた。……

 同校から、県教委には必修逃れの報告はなかったが、政岡校長は、「地歴」の必修逃れについて県教委に2回、相談に出向いていたという。

 同校は愛媛県内で有数の進学校。(読売新聞) - 11月6日14時13分更新



2006年11月03日(金) 世間は連休

 世間は連休だという。いつも言うように,大学も世知辛くなって,今日の文化の日も開講日だ。なにせ,文部科学省がこれだけの単位数なら,何日講義をしなさい,と言うようだ。最近の高校履修不足問題と同じ構図だ。つじつま合わせになっていはしないか。時間数さえこなせば中身は問わない。もっとも,中身までわかるはずがない。高校までなら,文部科学省は中身も検定教科書で干渉してくるわけだ。

 最近,分権化,地方分権,などと叫ばれているが,相変わらずの中央集権だ。否むしろ,中央集権化が進んですらいる。確かに,地方の暴走もある。それはそれぞれの部署が責任を持てるようになっていないからだ。干渉がつよいと,自立心が損なわれる。甘えの構造だ。夕張市など典型だ。許認可業種でもよくそれが見られる。銀行などの金融機関が甘えの構造から不良債権を放置しておいたことは記憶に新しい。学校も文部科学省の許認可のもとにある。そこに甘えのあることに気づいていない向きも多い。こういうもたれ合いはいつまで続くのだろうか。

 底辺の大学では定員充足の出来ていないところも多い。それでも変われない。文部科学省の縛りもある。偏差値のない大学で,授業が成立していないとも聞く。底辺高校もそうだが,大学でもそうなってきている。それでも大学経営の立場から学生を受け入れざるを得ない。しかも,それへの対応策もないまま,受け入れるから,そうなる。学生,生徒の自己責任原則を明確にすべきだと思う。勉強しなければ,卒業後どんな人生が待っているか,よくよく自覚させるべきだと思う。いずれ,卒業してからわかるのだけれど,もう遅い。高度成長時代と違って,皆が希望を持てなくなっていることも一因ではあろうが。



2006年11月02日(木) 白川静先生

 我が立命館大学が誇るべき学者,白川静先生がなくなったと報じられている。享年96歳。天命と言うべきだろうが,その強靱な精神力で最晩年になってようやく世に認められ,今日に至っていたわけだ。一度しかお話をうかがうことは出来なかったが,実に含蓄のあるお話だった。昨年ここBKCでも,白川静展が行われていたので,早速足を運んだものだった。立命館大学の中でも,決して恵まれていたわけでもなかったと聞く。その業績が大学をして白川先生を認めざるを得なくしただけである。この大学人の不明を恥じるべきだと思う。純粋の立命人で文化勲章をもらった人が他にいるか。考えてみればわかるはずである。私財を投じて大学内に研究所を開設された。本来大学自身がそうすべきはずだと思う。

 閑話休題。

 下記記事を読んで,戦後日本の住宅政策の軽薄さを思う。50年で「老朽化」して建て直さなければならない建物って何だろう。それも当時の高級住宅だったと言うから恐れ入る。バラックのような建物ばかり建てて,少しもストックとして蓄積されない。しかも,この阿佐ヶ谷住宅がバラックであるとは言えないようである。建物というのは本来文化のはずである。それは日本の古い寺院を見ればわかる。欧米の教会でもそうだ。そんな寺院だけではない。戦前の民家の中には,民俗文化財になっている家もある。それも木造である。

 それともう一つ。現在の阿佐ヶ谷住宅が建て替えを必要としているのかどうかという問題がある。これを補修維持することも可能である。実際下記で紹介したように,建て替えに反対している人もいる。それから判断すると,「老朽化」は口実の可能性がある。こういう建て替え「文化」のもとでは,いくらでもバラックを容認することになる。とにかく建物はバラックで良いという発想となる。事実最近の建て売り住宅などを見ていると,バラックまがいのものがある。建築基準法にも問題がありそうだ。
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高度成長期に分譲、築半世紀の阿佐ヶ谷住宅取り壊しへ

 緑豊かな空間に赤いトタン屋根のテラスハウス(庭付き連続住宅)が並ぶ東京・杉並区の「阿佐ヶ谷住宅」が老朽化に伴い、来年にも取り壊される。

 高度成長の初期に都市近郊型の分譲住宅として登場、モダンなデザインが話題になった。増築もできるゆったりした庭と、住民の触れ合いの場として緑の共有地を設けたテラスハウス群は全国的にも珍しく、取り壊しを惜しむ声も上がっている。

 同住宅は建築界の巨匠・前川国男らの設計。1958年に日本住宅公団(現都市再生機構)が計350戸を分譲した。

 田んぼや沼地を造成した約4万8000平方メートルに、3〜4階の中層棟7棟と、2〜8戸の2階建てテラスハウス45棟が並ぶ。大卒初任給が1万2000円足らずのころに、分譲価格は143万〜183万円。「高価なため、部課長級の社宅として法人が購入するケースが多かった」と昔からの住民は言う。(読売新聞) - 11月2日10時43分更新

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■阿佐ヶ谷住宅とは?
阿佐ヶ谷住宅は、杉並区成田東にある全戸数350世帯の日本住宅公団の分譲型集合住宅である。地上3〜4階建て鉄筋コンクリート造の118戸と、地上2階建てテラスハウスタイプ232戸(陸屋根タイプと傾斜屋根タイプが混在)で構成され、うち傾斜屋根型テラスハウスの174戸は前川國男建築設計事務所の設計による。1958年(昭和33年)竣工と同時に入居が始まり、2006年冬に取り壊され再開発される予定。現在は空き室も多く、350世帯のうち160世帯ほどが入居している。築47年(2005年現在)。 (http://www.geocities.jp/asagaya_jyutaku/page/what/index.htm)

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阿佐ヶ谷住宅の写真などは下記サイトにある。

http://cabanon.exblog.jp/965032/

http://tfblog.blog6.fc2.com/blog-entry-19.html

http://www.index.co.jp/chiehou/blog/archives/000065.html

http://blog.goo.ne.jp/yoshidaho-muzu/e/4c0b1da09a977022cc0588a3133524f6

建て替えに反対している人のサイト

http://asagayajutakukaihatsunews.blogspot.com/



2006年11月01日(水) 高校履修不足

 下記記事を発見しました。京都でも未履修問題があったわけですが,今や全国的に問題になっているのは周知の通りです。それにしても,問題は複雑です。今や国公立大学でも,東大,京大以外,入試科目として,社会1科目,理科1科目でよくなっている。ましてや私学では昔からそうなっている。

 かくいう私も高校では,世界史は履修していません。当時はそれでも良かったのでしょうね。いつから世界史が必修になったのか知りません。後年,H.G.ウェルズの「世界史」を岩波新書で読んだ記憶があります。それはこういう世界に入ったから読んだのではなかったかと思います。

 それにしても,今回の問題ですが,指導要領が問題なのか,入試制度が問題なのか,高校の対応が問題なのか,最後は父兄に行き着くのでしょうね。高校,とりわけ私立高校は父兄の要望に応えざるを得ないわけですから。

 そういった根元的な問題を棚上げにしたまま,「犯人探し」をしても仕方ないと思いますが。

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高校履修不足:新たに私立3高校も 計4校903人に /京都

 ◇平安女学院、京都成章、同志社国際
 全国の高校履修単位不足問題で30日、府内でも新たに私立3校で履修不足が分かった。平安女学院(14人、地理歴史)▽同志社国際(562人、理科)▽京都成章(234人、保健)で計810人。既に判明した京都市立塔南高校(南区)と合わせ、影響は4校903人に広がった。
 府教委によると、いずれも2〜3年生。必修科目ではなく、他の教科を履修させていた。未履修は02年度入学生から続き、既に計391人が卒業したという。今後、京都成章は0・5単位のため未履修分を後期に履修させるが、残り2校は単位数が多く卒業までに補修で必要な授業を受けさせる方針。【小川信】

10月31日朝刊
(毎日新聞) - 10月31日16時1分更新


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