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| 2005年04月30日(土) | 藤棚 |
陸橋のあたり
遅れて出てくる
ひろたさんを待った
階段をのぼってプラスチックの囲いの破れた穴から
家のほうを覗く
風に吹かれて男が次々やってくる
「みんな、パパが変装してるみたい」と
ユイ何故かうれしそうな声
でかけた先が
たまたま以前住んでいた家の近所で
遊びにゆく家族と別れて
以前、早朝よく通っていた馴染みの廃屋へ
数年ぶりの再会である
かの家
外壁一面にぶざまな補修がなされ
ちいさな庭は庭らしく整頓されていた
玄関の鉄柱の前に看板
<七々扇ヒデ花舞踏研究所>
| 2005年04月29日(金) | こくのある絵 粘土の絵 |
原美術館前
電話
いやに重い受話器だなあ
と
これも作品であった
「どうしてそうくわわろうとする？」
| 2005年04月25日(月) | 竜骨 |
足がようやくなおってきたので
朝走り
ふたたび
気温
がはるさきとまるで違って
そして
いちばん
は虫だ
あるところには虫が密集している
□□□
なんだかのうみつな四月でした
ながかった
もうこれ以上
四月が続いちゃ
もたん
すこしぼんやりしたり
ゆっくり読書したり
したいです
『鏡の中の鏡』(エンデ)
『頭脳警察』(須田諭一)
『武』(井上雅彦・甲野善紀)
を読んでいたなあ
『<絶望>の授業』(柄本明)や
『現実入門』(穂村弘)も
『バッテリー』(あさのあつこ)も
甲野さん、先日テレビに出ていて
その動きの速さ、うなるよ
「天狗たちが理想」と語っていた
かっこいい
あの技、かけたい
肩甲骨のあたり、首、背中、
このへんの血流をよくする
声が出ます
もっと
きっと
よかった、五月がきた
□
□
| 2005年04月23日(土) | フラフープリレー |
遊びをまかされました
なんという青い空
ツナガッテ
テヲツナイダママ
フラフープ
ヲ
クグレ
クグレ
マザレ
マザレ
子供会新入生歓迎会
レク係のひろたです
後半は室内でビンゴゲームなど
たっぷり時間かかる
空白に数字をかきこむところから
はじめたから
ランダムに数字をかいてゆくって
新いちねんせいには
とても難しい
勇気のいることだったりするのですね
わからなかった
わすれていたのか
| 2005年04月21日(木) | みづのそしゅうの |
平原綾香は
きみのみむねに
だかれてきくは
ゆめのふなうた
とりのうた
と歌っている
『蘇州夜曲』作詞は西条八十、とりのうた、が正解
(Ｎ市のひと提供)
楽譜では
こいのうた
とある
これは霧島昇・渡辺はま子さんが歌っていた時代
文語のうた、いいよなあ、とママさんコーラスのほうに
『蘇州夜曲』をもってきてみたら
ユニゾンの楽譜が
フルヤ先生とふたりのピアニストさんたちの手によって
あれよあれよという間に
合唱のオリジナル・スコアになって
びっくり
次の週にはヤマギシさんが
うつくしいピアノ伴奏をつくってきてくれて
またびっくり
わたしたち
みしらぬ異国の春爛漫を
唄っています
| 2005年04月18日(月) | 歌助さんとともに |
朝から学校へ
校長、副校長先生とともに
ＰＴＡ実行委員会
初顔合わせ
おもいきり場違いな気がして
緊張する
新会長さん(落語家さん)も緊張気味
「不安どおし、がんばりましょう」
「挨拶だけならまかせてください」
今日は和服じゃなかった
あかるい色のスーツ、恰幅がよくておのずと滲み出る愛嬌
今年度の予算案を、、云々、、パイオニア校として、、、なんたらかんたら、、、
(『タイガー＆ドラゴン』みてますか？)
(こんど落語をならいたい)
| 2005年04月17日(日) | 鈴の祭 |
新宿
レッドクロスへ
正午
地下のくらい密室へ潜ってゆく
企画ライヴ
青空日和�ぁ埆佞竜彿討気鷓廚蝓�
東さんも朗読出演、というので
わたしとしては《裏・東さん祭り》
というか《ぷらむ祭り》？？
しっちゃかめっちゃかな
熱量のおおい一日でした
久米さんのねじれるような不思議な声
カホンの響き
東さんのほやほやの新作朗読
ロックライヴのなかで
短歌はすずしいひかりを放って立っていた
会場がしん、となる
最後のセッションでは
真っ黒毛ぼっくすの面々と
東さんがミュージシャンとして共演
これ、これが、ものすごく面白い絵だった
(この春いちばんの絵！)
わたし物販の席でほぼ真正面で見ていたのですが
なんていうのかな
みんなの自由なパワーが、こう、わっー、とやってきて
久米さんの暴れサックス、大槻さんの熱いヴォーカル、若者たち、五歳のパーカショニスト、のよこで東さんが鈴をふっている
そして
大槻さん作曲の
東さんの連作『夏のロビンソン』が圧巻
ロ、ロビンソン、ったら
こ、こんなふうにもなっちゃうのっ？！
と驚き
アナタガ、スキダ、ムネサケル、
スキダ、スキダ、
と唄うひとたちの
てんでんばらけた声となにかせつない感じが
いつまでも胸にのこっていた
終演後
某飲み会の幹事だったので
あわてて横浜へ帰らねばならず
ちいさなイタリアンレストランの二階から
飛びあがってしまいそうな浮遊感があって
でも飲みすぎず勤めました
帰宅して
ワイシャツや給食当番の白衣のアイロンがけなど
していたらなんだか眠れなくなる
淑恵さんに電話する
告別式のことなどゆっくりと聞いて
すこしおちつく
| 2005年04月14日(木) | ストレット |
早朝の訃報
ふくらんでは消えて
と昨晩《キリエ》を唄っていたときの
音がふくらんでは
消えて
という指揮の先生の言葉がよぎる
このまえの夏
お見舞いにゆこうと思ってゆけなかった
そしてその
まえの、まえの夏のこと
| 2005年04月13日(水) | みっつの印 |
印鑑をなくし紛失届を出し
届を出したときの印鑑なくし
幾日かあたふた捜索、さいしょの印鑑を見つける
ひろたさんは粗忽な妻を叱るタイミングを逸した
何度も朝はやく、清潔な銀行の窓口で
朱色の文字をティシュに押した、
わたし使い物にならない印を持ち込んで
しろい繊維
すこし
(けばだってる)
じっと何度も文字をながめて
うなづきあう
(もくてきが)
ごめんなさい
窓口のひと
「では、これは」と
横浜銀行のひと
「印鑑の、発見、ということで処理いたします」
| 2005年04月12日(火) | しんかわ |
新玉葱の
うすい皮といったらどうだろう
つやつやとしていて
粘りがある
甘皮を
ゆびにつけたまま
なにかをしていたら
ママ、きょう、学校きてね
そうか、新年度クラスの顔合せだね
「はやくお母さんの名前と顔をおぼえたい」と熱心な
一年生の若者先生
わたしたち名札を手にもってひとりひとり撮影される
「囚人のようね」
こういうときの顔、って
どこかにしまいたい
失笑
なりゆきで役員になる
夜
明日もってゆくから、と姉妹の工作板をつくる
図工のとき机に敷くもの
新聞紙を重ねてガムテープでとめるだけ
内気な姉には
<独り また去り行き>
くいしんぼうの妹には
<勝ち組コシヒカリ>
と見出しのある新聞紙を選んだ
| 2005年04月11日(月) | きもち |
丸い形のお座布団を携えて
ホールにあらわれた老婆
あ、おひさしぶりです
入院していた、と言う
治療を受けて、そういうときの気持ちを
えんえん聞く
わたしはずっと
やまいだれにコトブキ、と思っていた
この脳味噌のおめでたさよ
やまいだれにテラ、だった
| 2005年04月08日(金) | 追熟 |
「ピンクが見えてきたら桜です」
この並木、露店の、籤にはずれて
桜の下でゆうに二十分は泣いたね、
と、いつか
懐かしげに言うのかな
亀が
川を泳ぎ渡るのをずっと見ている
ほまれや酒店経由
桜のはなびらが沈んでいるお酒をもとめた
| 2005年04月07日(木) | 新人係 |
耳をすましてる
新人係のひとの真横に立って
異国の言葉の発音を正しくうつしとろうと
新人係のひとはふかいアルト
やわらかな艶のある声
あら、パワーはおちたのよ、13キロ痩せたの、と
去年、胃癌を切って、と
ここでも病気を告白されるわたしである
茶目っ気たっぷりに
でも、ふっかつしました、と
夜の稽古場はすき
金沢Ｐスペースのことを思い出す
夕刻
楽譜をもって走ってゆく
留守中、女の子たち
巨大おにぎり山をこさえたり
しゃぼん玉して床中べとべとにしていたりしている
かまうものか
いつもアルトのはしっこ、指揮のせんせいの右側面をとらえる
そこは戸口のそばなのだ
仕事を終えて駆けつけるひとびとを
気配を感じながら
唄っている
遅れてほつほつほと ひとたち
背広やコート、なにか、脱ぎかけて、
もう戸口のむこうから
唄をくちずさみながら
| 2005年04月06日(水) | 御温情 |
いろいろなお礼状を書いた
書き終えた
御温情、とか、たまに書くと
いい
昼下がり
桜道をのぼってゆくと
ちょうどコミニュティハウスの前庭のちいさな空間に
ひとが立ち尽くしている
葉影が隠していてよく見えない
ひとびとが黙って立っている
気配
とても静か
一歩ずつ近づいてたしかめる
ひとり、ふたり、さんにんのひとが
ただ空をみあげている
気配
なんだろう
近づくまでわからなかった
手を動かしている
とてもゆっくりと
とまっているような
とまってしまうような
桜をうつしとろうとしている人がいる
| 2005年04月05日(火) | 高座 |
入学式
清明
つつがなく終えたあと
ＰＴＡ会長さんの挨拶
なんと新会長さんは地元の落語家さん
体育館にめぐらされた紅白の幕の似合うこと
ＰＴＡ活動、苦手だけどまじめにやろう、と
ちょっとだけ思った
「子供達の成長の助けとしてみなさんとともに・・・」
お父さん、として壇上に立ちつつも
どこか芸人さんらしさが滲む
なんてことのない言葉のはしばしに
笑いがふんわりおこった
| 2005年04月04日(月) | 「自由の店長」 |
女神(米)が
思い出せないレイ
はシンボルをこう呼ぶ
朝
花にそって歩くと
やってくるものがみな見える気がする
しかし、
この時期、足を挫くとは不覚だなあ
桜並木のしたをさあっーっと走りたかったのに
春休みもおしまい
ユイのぱらぱら漫画『はりがねくん』も
いよいよ佳境である
ひろたさんはいよいよ忙しく
休みのあいだ、仕事で新幹線や飛行機に幾度も乗って
姉妹にうらやましがられていた
いつ、どこで、見てもいいように、
家のなかにいろんな伝達メモを貼ってある
| 2005年04月03日(日) | メサイア |
ソプラノの最前列に
しっているひとがいた
ヘンデルのメサイア、全幕
休憩をはさんで三時間余
唄うほうも聴くほうもちからがいる
花粉はここにもやってきたのだろうか
チェロのひとが演奏の途中、たて続けに、
舞台の上で
くしゃん、くしゃん、くしゃん、
ああ、気の毒に、と思いつつ
驚いたのはおおきなくしゃみをしながら
首から下は
しっかりはやいテンポの♪を追いかけていて
音楽のなかにいる
終演後
そとにでると
さすがにぐったり
でも心地よい疲れだった
たくさんの音を浴びた顔
音楽堂から坂を下って
あるいは上って
駅にむかうひとたち
夜
こどもたちを寝かしつけていると電話
天上にとどくような声を鳴らしていたひとだ
「きょうはきてくれて・・・」と先輩
「堂々たる復活祭でした」
| 2005年04月02日(土) | 玉こんの悲劇 |
カラサワさん、ずっと飲んでいる
手伝ってくださいよーと、
おいちゃーん、と
わたし、ふるふると
町内会の助っ人はすでに赤い顔
お醤油の美味しいタレの大鍋に
玉こん団子ひしめいて、一本五十円也
ひとり玉コンニャクを売る一日
桜道
串刺しにしたものを両手に
石段を下っていて
こける
足を挫く
玉こん無事
桜祭り
さくら、いまひとつ
校庭にマーチングバンドくりだされ
足がだんだん痛くなってくる
屋台の花形 焼きそばやタコヤキ、焼きとりには人々が列ついてるのに
玉こん、いまひとつ
鍋のもの、あったまりすぎるよ
それでも
小さい子やお年寄りに渡すときは
どきどきする
玉こん、
喉につまりませんように
気をつけてね
やわらかい、あるいはしわしわの声帯を
塞ぐ玉こん、
そのどうしようもない弾力を
(玉コンニャク殺人事件)
子供達、駆けてきて
指輪を見せびらかす
フリーマーケットで買ってもらったらしい
二個で五十円也
「これは、えみちゃんに」
とひろたさん
たまこんしき、ってあったっけ
鍋の前につったって
ぼんやり考える
(花曇り、いまこそ、玉婚式を)
きんのゆびわ
(足が痛い)
