しゃぼん暮らし
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2004年08月29日(日) ちやおフェス

小学館まんがまつり
ユイとふたり池袋へ


約束のイベントなのでいたしかたない

人混み

ユイはおおきなお姉さんたちの渦にのまれてゆく

人気限定販売所のながい列にいて背後の夫婦が
あかいワンピースとロマンスグレイ、が派手に言い合いを
始めた おふたり背が高く声おおきいです
愛娘アリサとやらを間にはさんで列が終わるまで
それは続いて
退屈しなかった


2004年08月27日(金) ペタンク

ペタンク、

を御存じだろうか

柏会(老人会)と子供会の一騎打ち


南仏ではじまったゲームという
すこしのちからで楽しめる

朝早くから老人達が公園の地面に線をひいて
待っていた

かわるがわる
鉛の球を投げあげるわたしたち

そのうち
小雨


さしいれの飲み物を買いに
アリガ老人と近所の商店へ
ふたつの籠にいっぱいにしてもらっていたら
傘がさせない









2004年08月25日(水) 『わたしが死んだ夜』

お湯のなかで頁をひらくと
するりと身体をすべりこませてきた

「読んでごらん」
と言うと

このひとは

目次、という字が読めなかった

ぬるいお湯と、本にはさみこまれるようにして
たどたどしく目次を読む


「‥こうか、さつじん、‥わたし、が、しんだ、よ、るリンゴ、ひとつ、‥こ、か、い、ん‥‥‥よるが、あばく、ひぐれに、しよけいの、たいこが、なる‥しぬ、に、はお、しい、ひ‥‥つま、が、き える、ひ‥」


ウィリアム.アイリッシユ
の短編集を再読

一日にひとつだけの短編をお風呂で読んだりすると
贅沢な気分であります




2004年08月24日(火)

無線機の箱がみっつ並んでいた

街道に出て
トンネルにさしかかる







うすやみでも
記号の壁


あと‥メートル


ここではんぶん

緊急用電話機


途中

どこも

早朝なので車の行き来はそれほど
ない
わたしのみつめるトンネルのひだはあかるい
息はくるしくない



トンネルをでると
同じように無線機の箱がみっつ並んでいる










2004年08月23日(月) かたむすび

早朝散歩から

走ることにする


なじんでくる

毎朝
ゆっくり走っていると
すこしずつ眠りになじんできた

もどってくる



ここからは
アスリート日記です

なんてね


2004年08月21日(土) 地下鉄

地下鉄から
おりたら眩暈がした

汗をかいていた
身体が捩れるようになっている

這うようにして歩く

しかし地下鉄は優しい

つめたくてやさしかった

夏たおれるのは地下鉄がいい、
と思った

階段をのぼったらもう方向がわからない
どこかへむかおうとしていたらしく
その途中で誰か知らないひとに声をかけられ
知らない人が集まってくれて

事務室へ

駅員さんたちが皆しんせつで
毛布をかけてくれる



ときおり
電車が止まってひとびとが吐き出される音が
聞こえていた

かすかに



2004年08月19日(木) 『流れる星は生きている』

ユイの学校の課題のため
図書館へ

+せんそう+
について調べよう、という夏休みの課題
国語の本には「ちいちやんのかげおくり」(あまんきみこ)などが
もう載っているのだなあ

手頃なものがない、と、
そもそも、てごろって、と思い

いわさきちひろの絵本『戦火のなかの子どもたち』を
探したが貸し出し中

地雷に傷ついたこどもたちの写真集など
手もなくミルクを飲んだりしているのを
何の気なしにながめている娘達


結局
ナガサキの義父さんのお話を
電話で聞いてまとめる



『流れる星は生きている』(藤原てい)を
手にとったら
再読のはずなのに

やたら夢中に


なんだろ
命がけでなにかをかくす、という事を
考える


2004年08月18日(水) 『転生』

『転生』(貫井徳郎)を読みはじめて
完読

この後
不眠にまかせて
夫の本棚のミステリをどしどし速読


2004年08月15日(日) 『木』

旅の途中の人に会いに
東京駅へ


時間があったので八重洲の本屋へ
うえからしたまでゆっくりと見るなんて
...ああ、こんな事ひさしぶり、
なんだかそれだけでいい気分になってしまう
読みたい本が何もない


かろうじて
『木』(幸田文)を買って
うすいうすい文庫本
きっと家に何冊もあるのだ


あめあがりの道を歩いた

涼しい

話しながら
おかしいな、遠縁のひとみたい、
と思っていた


2004年08月14日(土) 幻灯2

横浜
ひろたさんは空港へ迎えにきていた
予告なしで驚く

眠そうにしている
姉妹にひっつかれて
すこし目覚めた顔をする

なんとなく思い出す




近所を流れる川へ

夏の川の儀式です

特設
たくさんの灯籠

はんにやしんきよう

私たちの神様はいないんだけど
もぐりこんで

係のおじさん達がどんどん手渡して
「あ、これ、うちのだ、代理で頼むよ」


姉妹は暗い草を踏んで
そろりそろりとすすんでゆく

川のなかで

男のひとが待っていて
受けとって水に浮かべるのだ
下半身ゴム胴長のひと 
「かわってください」と言いそうになる


いくつもの灯籠が
流れてゆく


あかりが動く

川のはやさがわかる


2004年08月13日(金) 鉄路と夏草

空港へ


時間に余裕があったのて゛
弟はとおまわりして走ってくれた


じりじりと日差しの照りつける道


むきだしの線路に沿って


2004年08月11日(水) 『青空』

母が『青空』(海老沢泰三)を読んでいた
母が読むのはたいてい長編
いつも分厚い本をひらいている
骨太な歴史物が多い

母の口から
横山秀夫とかとならんで
小川洋子の名前が出て驚く
先日はじめて読んだという

「ねぇ、えみ、なんでこのひとはこんな事が考えられるの?」

母と小川洋子の話をするなんて

面白かった事である


2004年08月10日(火) さいごのピース

姉は半日かけて

パズル
をしている

細かい作業が好きなひと


横から妹が
ちょっかいをだしては
じゃまをする

わざと踏んづけたり
変な唄をうたったり



一番最後のひとかけらがない
あとひとつ




「わたしのパンツのなかにはないよね」と
これは妹


2004年08月09日(月) 煙、花、眠剤

本番一日目

煙×

フェスの、朝まで討論会があったのだが
わたしは帰らねばならず
あわてて乗った電車は

逆方向に走った





本番二日目

煙◎

バラシをしていたら遅くなって
いただいた花束がしおれてきた
打ち上げもゆきたかったけれど胸が苦しく
ドラマ工房をあとにする
金沢駅コンビニの
仏花売場のバケツのそばにへたりこんで
水に手をつっこんでティッシュを何度も
巻きつけ巻きつけ
終電を待った

乗り込む前
ホームの蛇口に手をあてて
水をすくい
かけた

横抱きにして乗った





眠れない日が続くことになる

あのときの音や光がよみがえってくる

ひとからもらった薬を飲んでみたのだが
だめだった
自分が依存してしまう様子が
よくわかる


そうしているうちに

身体の痣や傷はどんどん
もとに戻ってゆくのだ


2004年08月08日(日) 真夏HM

2004.8.6/7/8

金沢芸術村ドラマ工房にて
HMサミットに参加

劇団新人類人猿http://www.amy.hi-ho.ne.jp/psfin/


御来場ありがとうございました


2004年08月06日(金) 無人改札のハムレット

始発で帰り
最終で稽古場へ

いなかのでんしゃ

金沢の病院へ御見舞いにゆきたかったけれど
この調子では再会はかなうまい
蓄音機館にもゆきたかったけど

とぼんやり

今あのひとやこのひとが

いなくなったらどうしよう、とか
あらゆるひとの事を何故か
つよく焦がれるように思う

そして停電





ドラマ工房

二本立てのもうひとつのHMとつなぎを
あわせて稽古


いろんな作業をしていたら
朝になった

本番の日の朝


音響の大谷さんはこのまま残って
音の仕込みをするらしい

私たちは朦朧としつつ途中コンビニで買い物をして
真夏の早朝、まぶしいひかりである
ほんとうの若者、若者のなかの若者、さやかちゃんの笑顔が
とろとろに眠そうである
若山家へつくと、たくろうが朝ご飯をしゃっしゃっと作っていたようだ
いい匂いの、きれいな

なにか


なんとかいうものを

はんぶん眠っていて
わからない


2004年08月05日(木) ロスコ・スモーク・マシン

今回
裏で煙を出す係
もやることに

世界に白煙を

の夏


出がわるい

後ろに扇風機を固定したりして
何度か試してみる


東京チーム山崎さんが到着
不思議な楽器とともに
今回、音叉のシーンではじめて使ってみるのだ

楽器をかこんでしばし音色に耳をかたむけている




時間って




「みえない音がすんでいるんだ」



2004年08月04日(水) 赤い犬

うまく眠れない

昨夜
最終で帰ってきて駅から歩いていると
闇夜に赤い犬が見えた

いる
ちょうどひとの膝のあたりだ
茂みのなかに

怖かったけど

なにかすごくなっとくしてしまって
いるいる、と思ってみていた

近くには寄らなかった


わたしより劇団のみんなは
眠っていない
直前の様々にこまかい仕込み
裏手の配慮
回廊に透明なテープを貼ってゆく
靴音だけが生きるシーンは真暗闇になる
危ないので
木と木のすきまをすべてふさいでゆく



フェスが始まろうとしている

今回三団体の照明をすべて手がける
宮向さんが客席で眠っている




それにしても
ドラマ工房の空間のうつくしいこと

もと紡績工場跡の劇場に
わたしたちは無数のラジカセをもちこみ
コードを舞台上に縦横に這わせ
紙ヒコウキを一機ずつ投げてゆく
回廊からしろい、かるい、うつくしいものも
降ってくる
この
降ってくる音もいいのだ

白煙

フラッシュ



いのちなきもののなんてうつくしいことだろう


ニンゲンいらないんじゃないかと思えてくる

すくなくともこころのあるニンゲンは





この日は
もうどの日でもいいんだけど

終電に乗り遅れ
神社で蝉の脱皮をみてるから大丈夫、と言ったが
うろうろしてると危ないと、演出家その他にとめられて
駅前のファミレスで始発を待つ事に

夏休みファミレス
旅人達や恋人達がおしゃべり
若者達が受験勉強とかしていました
ぼんやりと
わたしは進行表を熟読したり
いっしょに朝まで蝉のだっぴをみてくれそうな幾人かのひとを想ったり
しました

夜明けのころ
女の子ふたりが店を出ながら
「ちょっとあかるいよ」「あかるいねぇ、ごめんね」
と言った



夜明けの金沢駅改築中の
きらきらとガラス張り

実家につくと
娘達はぐっすり
おまえたちの悪夢のなかでおかあさんおどる、でもすこし横になるよ、
と埃っぽい物置の暗い廊下のすみで隠れるように
眠っていたら案の定すぐ見つかって

「ママーなんでこんなとこにねてんのー」
さんざん笑われる

しかたがないので起きあがって読経を

こちらへくると毎朝
お勤めする

三人で読むと面白い


2004年08月03日(火) 青空教室

すばらしき納屋の世界

父親の工房には切り株や石や動物の角が
あふれていた

散髪の日
ちいさな姉妹を前に
じいちゃんはスケッチブック
髪型を応相談

「はい、デザインA予約ね」


木彫りの鳥のペンダント
あたらしいゴーグル
的あてゲーム



昼、スーパーで
高校時代の演劇部顧問の先生とばったり再会
驚く
杖をついていらしたけど声は変わらない
気骨、ということを思う声だ
やはり苦い、苦いことを言われている
今なんだ
今だから会えた、と思う



深夜
稽古で
「表現として、カタチにしないこと」と
言われる
難しい
淑恵さんの目玉がきれいでおそろしい


2004年08月02日(月) ばたあし

よく晴れている

姉妹とプールヘ
果敢にも大人用プールで練習する姉妹

このあたりから
日中は姉妹とさんざん遊び
寝かしつけてから金沢ドラマ工房へ
稽古や作業を終えて
深夜、あるいは朝帰り
また姉妹と遊び
稽古へゆき
また遊び
稽古へ
振り子のような生活

時間が粒々になってゆく




なつかしい七尾線で劇場へ通うのは
楽しかった


田舎の列車で
かえるひとびとと
ゆくひとびとと
反対方向へ走った

扉が手動である
そして必ず、ある地点で、ほんの数秒、停電するのである

わたしが知っていた




ひとりだ







2004年08月01日(日) 遺跡

空路ふるさとへ

空港には弟が迎えにきてくれていた
去年のふるさとは雨ばかりだった、
今年はあついね、と

弟はその昔
やせっぽちのボクサーだったのに
今はあうたびに父親らしくなって
ちいさな姉妹の扱いもうまい

実家につくと
さっそくじいちゃんの自転車でレイは野原へ
水溜まりで遊んで
校倉造りの屋根にのせてもらってきた
らしい
「むかしのいえ、むかしのいえ」

すごい遺跡があるらしい

知らなかった


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