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2003年11月30日(日) 行徳浩二氏トップ監督就任企画 行徳エスパルスマニアックス

 清水エスパルスの大木武監督が2ndステージ最終戦をもって退任することとなりましたのでお知らせいたします。なお、天皇杯をはじめとする今季の試合につきましては、行徳浩二コーチが監督となって指揮を執ることとなります。また、来季以降の体制につきましては未定です。

行徳浩二(ぎょうとく こうじ)
●出身地  :静岡県
●生年月日 :1965年1月28日
●サッカー歴:清水第五中→東海大一高校→東海大学→ヴェルダーブレーメ(ブンデスリーガ)→トヨタ自動車
       (1992年6月 現役引退)
●代表歴:  日本ユース代表、日本学生選抜、 日本代表
●指導歴:  1994年2月〜清水エスパルス ユースコーチ
       1997年2月〜清水エスパルス ジュニアユース監督
       1998年2月〜清水エスパルス ユース監督
       2000年2月〜清水エスパルス ジュニアユース(U-15) 監督
       2001年2月〜清水エスパルス ユース監督
●資格:   日本協会公認 C級コーチライセンス(1996年10月取得)
       日本協会公認 B級コーチライセンス(1997年10月取得)
       日本協会公認 S級コーチライセンス(2002年3月取得)

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 以上、公式HPより。密かに指導歴が一部、間違えています(01年はユース監督)。まあ、それはともかく、天皇杯を指揮する行徳監督を徹底解剖!

■指導歴代布陣
97年Jrユース:          98年ユース:           99年ユース:
−−−− 高木純 −山口−−−−− −−−− 高木純 −馬場−−−−− −−−−−塩澤− 鈴木浩 −−−−
−−−桜田−−−−−−大内−−− −−−平松−−−−−−太田−−− −深澤−−−−−−−−−−太田−
−−−− 鈴木隼 −塩澤−−−−− −−−− 佐野真 −吉崎−−−−− −−−− 鈴木隼 −吉崎−−−−−
−村松−−藤田− 佐野裕−渡辺哲  −和田−−池田−−谷川−−白石− −村松− 佐野裕 −池田−−高木−
−−−−−−−神戸−−−−−−− −−−−−−−鶴田−−−−−−− −−−−−−−梅村−−−−−−−

00年Jrユース:          01年ユース:           02年ユース:
−−−−−阿部−−荒田−−−−− −−−−−仁科−−長沼−−−−− −−−−−仁科−−阿部−−−−−
−−−−−−−大瀧−−−−−−− −−−− 杉山浩 −深澤−−−−− −大瀧−−−−−−−−−杉山拓−
−鈴木真−枝村−−赤星−−滝田− −杉山拓−− 渡邊優 −−−日高− −−−−−枝村− 杉山浩 −−−−
−−−篠田−−高柳−−小林−−− −−−森山−−高山−−天野−−− −森安−−高山− 渡邊優 −天野−
−−−−−− 山本海 −−−−−− −−−−−−−浅山−−−−−−− −−−−−− 山本海 −−−−−−

02年サテライト:
−−−−−塩澤−−澤登−−−−−
−平松−−−−−−−−−−太田−
−−−− 鈴木隼−杉山浩 −−−−
−津田−−斉藤−−高林− 高木純
−−−−−−−真田−−−−−−−

 以上、行徳氏が監督として率いた、7チームを並べてみた。私が検索できた公式戦のデータを集計し、出場時間の11傑を並べたものである。ちなみに今年のサテでの出場時間は、太田(1059)、高木純(952)、真田(945)、鈴木隼(914)、杉山浩(890)、津田(837)、平松(779)、塩澤(677)、高林(666)、澤登(657)、斉藤(630)。以下、田中・北嶋・村松と続く。勿論、サテは出場時間が長ければ良いってものじゃないが。


■指導世代
  第1期(市川・平松ら) 1年(ユース1年)
  第2期(池田・太田ら) 2年(ユース2年)
  第3期(高木・村松ら) 3年(ユース2年、Jrユース(中3)1年)
  第4期(深澤・浅山ら) 2年(ユース2年)
  第5期(杉山・高山ら) 2年(ユース2年)
  第6期(阿部・山本ら) 3年(ユース2年、Jrユース(中3)1年)
  第7期(枝村・鈴木ら) 1年(ユース1年)

 もう少し偏りがあるかと思ったが、意外に平均的であった。Jrユースで指導をした第3期と第6期が、よく見てきた学年と言えるだろうか。


■起用選手
  4年:高木純平
  3年:太田圭輔、鈴木隼人、塩澤達也、杉山浩太
  2年:平松康平、池田昇平、吉崎雄亮、村松潤、佐野裕也、深澤良輔、天野数士、渡邊優希、高山純一、
     杉山拓也、仁科克英、阿部文一朗、大瀧義史、山本海人、枝村匠馬

 端的に言えば、上記の布陣で名前が載っている回数のこと。
 純平がトップ。彼が2年生の時、本格的にサイドプレーヤーにコンバートしたのが、行徳氏である。氏は他のU-16日本代表以上に、ユーティリティー性の高い彼を重用した。3年間以上起用されている上位5名は、今年のサテの出場時間でも、上位に食い込む。Jrユース時代は5人共ドリブラーとして鳴らすなど、ボール扱いに長けている点が共通点だろうか。展開力の高い鈴木隼・杉山浩を扇の要として、走力のある高木純・太田・塩澤らを走らせる展開を好む、と言えるかもしれない。
 他では枝村匠馬に注目。行徳氏に起用されたとき、彼はJrユース(00年)で中学2年生、ユース(02年)では高校1年生だったが、関係なく不動のレギュラーとなった。11傑にこそ入らなかったが、01年のユースでも13番目の出場時間、今年のサテライトですら20番目の記録(273分)を残している。なお、下のカテゴリから抜擢された時は、サイドで使われることが多い。


■主な成績
  97年(ユース)  クラブ選手権:予選敗退、高円宮杯:不出場、 Jユース杯:ベスト4
  98年(Jrユース) クラブ選手権:優勝、  高円宮杯:ベスト8
  99年(ユース)  クラブ選手権:ベスト4、高円宮杯:ベスト4、Jユース杯:ベスト8
  00年(Jrユース) クラブ選手権:ベスト16、高円宮杯:優勝
  01年(ユース)  クラブ選手権:5位、  高円宮杯:ベスト8、Jユース杯:ベスト16
  02年(ユース)  クラブ選手権:優勝、  高円宮杯:初戦敗退
  03年(サテ)   Bグループ: 優勝

 行徳氏の特徴を強く物語るのが、この成績。正直言って、充実した戦力を与えたれたのは、98年のJrユース、02年のユースと、トップが混乱してサテとの境界線が無くなってしまった今年のサテライトぐらい。にも関わらず、安定した成績を収めているのは、賞賛に値する。ユースに初めて高円宮杯出場権を掴ませたのも、クラブ選手権初優勝も氏の実績である。一方、00年のJrユースで古典的なスイーパーシステムを採用するなど、リスクを冒さない試合内容は、批判の対象となることもある。


■システム
[布陣]
 基本的には4バックを好むが、それに拘らない柔軟性も持っている。行徳氏は、常に「守備が不安」とこぼすぐらい、まず守備から組織を作っていく監督で、全国で2度の無失点優勝を成し遂げてるという事実が、それを雄弁に物語る。トップの方針に従った今年のサテライトのような例もあるが、基本的には守備の不安を拭いきれない時に、好んで3バックを用いる。3バックを決断した00年のJrユースと01年のユースでは、CB不足の上に中盤がいずれも攻撃に長じた選手であった。

[守備]
 4バック+2枚ボランチで、バイタルエリアをソリッドに固めて、起点を作らせないのが、守備の基本。清水の下部組織は、伝統的に最終ラインまでも攻め上がる波状攻撃の評価が高く、それ故にあっさりとカウンターで沈む、「滅びの美学」にも通ずる華麗さが、見るものを楽しませた。しかし、行徳氏は、この6枚の組織が乱れるのを好まない。SBやボランチが片方ずつ攻め上がるのがせいぜいで、深い位置から質の高いフィードで組み立てられる選手が好まれる。

[攻撃]
 攻撃もノーリスクで多くの人間を割かず、前線だけが素早くフィニッシュまで行くことを心掛ける。中盤で横パスを奪われてターンオーバーされるような、危険を冒さない。奥行きのある攻撃が特色で、ボランチを起点に執拗にサイドに散らしてMFを走らせるか、或いは直接縦に、2トップをゴール前へと走らせる。02年ユースで杉山浩が見せたスルーパスは、質・量共に圧巻であった。そのため、前方では軽量級の選手を厭わず、鈴木浩・長沼・阿部ら長身選手を置く例もあるが、高さを活かして競り勝つというより、相手の最終ラインが揃う前に素早くクロスを入れてくる。そのため、長身選手にも裏に抜ける動きを要求し、実際、それを得意としないポストプレイヤータイプの長沼は、今ひとつ機能しなかった。
 一方で、サイドMFの片方に、縦への突破よりも足下の技術に秀でたタイプを置いて、溜めを作らせることも多い。99年ユースでは左に深澤、01年ユースでは左に枝村の起用例があり、02年は左に大瀧を置いた。今年のサテライトでも、鈴木隼や田中、枝村などがそこで使われている。一方のサイドで試合を創り、片方のサイドのスペースに走力に秀でた選手を飛び込ませたり、ボランチの攻撃参加を導いたりする。また、セカンドトップかトップ下が精力的に動き回ることで、全体の展開にダイナミズムをもたらすが、組織的で思い切ったポジションチェンジは少ない。


■予想布陣
3バック・タイプA:       3バック・タイプB:       4バック:
−−−−−アン−トゥット−−−− −−−−−アン−トゥット−−−− −−−−−アン−トゥット−−−−
−−−− 鈴木隼−杉山浩 −−−− −−−−−− 杉山浩 −−−−−− −アレ−−−−−−−−−−伊東−
−アレ−−−−伊東−−−−市川− −アレ− 鈴木隼 −鶴見−−伊東− −−−− 鈴木隼−杉山浩−−−−−
−− 高木和 −森岡−−池田−−− −−−池田−−森岡−−市川−−− −村松−−森岡−−池田−−市川−
−−−−−−−黒河−−−−−−− −−−−−−−黒河−−−−−−− −−−−−−−黒河−−−−−−−

 左から右につれて、行徳氏がより独自色を出した場合を想定している。

 3バック・タイプAは、01年ユースがモデル。左右WBを共に突破力に長けた選手を置いた場合、中盤中央は展開力のある選手を選択し、サイドが高めになる分、3ボランチに近い形で後方から試合を創ることになる。その分、犠牲になる守備力は、アンカー役(01年ユースなら渡邊)の運動量で償う。市川・伊東・アレックスといった選手の特長と、暫定政権であることを考えれば、これに近い形になるのではないか。
 タイプBのモデルは、01年ユースの末期型。天野の怪我と杉山浩の成長で若干アレンジ、トップ下に杉山浩を入れて中央の攻撃力を向上させる一方、左WBに枝村を入れて、ここで溜めを作ろうとした。左CBが本来SBの森山のため、枝村を追い越して攻撃参加する場面が多く見られた。なお、行徳監督は左右CBに、SBに近い攻撃型の選手を置くことを、あまり躊躇しない(それが有効だったかは、別にして)。今年のサテライトでも、平岡や津田が使われている。左WBに鈴木隼を置いて、左CBにアレックスや津田を置くパターンも考えられるか。トップ下はやはり、展開力重視。
 4バックの場合、行徳氏は、左右の両方に突破型の選手を選ぶのを嫌い、片側は後方からフィードで試合を創れるタイプを起きたがる。そうなると、突破型は市川・アレックスが第一順位だろうから、氏から高く評価される太田・高木純・津田、或いは平岡なども、あまり出場機会を得ないのではないだろうか。また、SBには機動力があり、動きながら守備ができる点を前提にしており、CBをサイドに回すことはなさそう。鶴見や鈴木隼なども、やはり機動力の点で疑問が残る。そうなると左SBは村松が有力になるが…。村松のコンディションを考えると、4バックの線は薄いか。

 なお、氏はFWの空中戦をあまり重視しない。00年などは、前線に長沼と阿部がいながら、クロスに対して、逆サイドの日高がフリーでファーで飛び込むパターンが多かった。従って、サポーターの人気の高い北嶋よりも、アンとトゥットの2トップの可能性が高いだろう(でも、トゥット戦力外になっちゃったからなあ…、北嶋も飛び出し自体は悪くないし、使ってくるかも)。中盤中央からのスルーパスを引き出す動き出しと、それを決める技術が、重要なポイントとなる。
 一方で、兎角、リスクレスの氏が、独自色を極力消して、大木エスパルスを殆ど踏襲する可能性も、否定できない。というか、それが一番可能性が高いかも…。そしたら、個人的には面白くないなあ。



2003年11月23日(日) 大学: インカレ決勝+高山純一マニアックス

03年11月23日13:00開始 国立霞ヶ丘競技場
 2003第52回全日本大学サッカー選手権大会
 駒沢大学 対 筑波大学 ※45分ハーフ

 全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)は、大学三冠の一つで、大学年代最後の大会。全国9地域からそれぞれ選抜された32チームが、トーナメント方式で覇を競う。清水エスパルスの下部組織出身選手も、多くが参加している。
  ユース卒: 梅村芳生(阪南大)、白石直也(静産大)、高山純一(筑波大)
  Jrユース卒:岩本哲也(駒澤大)、大石哲也(浜松大)、古橋勇希(関西大)、山口健(日本大)
        桜田和樹(静産大)、植松弘樹(筑波大)、佐野裕也(筑波大)

 絶対、漏れている選手がいるので、予め謝っておこう。どうも、すいません。
 ユース出身の3人は全員、レギュラーを掴んでいるらしい。決勝は、駒澤が大学三冠、筑波が大会連覇の懸かった試合となったが、ユース出身の一人、高山がその舞台に立つというので、国立まで行ってみることにした。家族などを抜かした一般客の中で、高山目当てというのも、私ぐらいのものだろう(笑)。
 Jrユース出身選手では、岩本(駒澤)に植松・佐野(筑波)の同期3人がメンバー登録されていたが、植松のみが右SBでの出場となった。Jrユースでは控えだった植松だが、当時レギュラーでU-15代表にも選ばれていた2人を差し置いての登場である。



▼布陣
駒沢大学 体育会サッカー部:

−−−−−赤嶺−− 原 −−−−−

−−−−−−−中後−−−−−−−

−−−橋本−−田中−−中田−−−

−筑城−−鈴木−−大澤−−小林−

−−−−−−−牧野−−−−−−−

交代:後半29分:赤嶺→巻、後半38分:橋本→中嶋

筑波大学 蹴球部:

−−−− 鈴木孝−鈴木達 −−−−

−藤本−−−−−−−−−−鎌田−

−−−−−岡田−−兵働−−−−−

−阿部−−高山−−秋葉−−植松−

−−−−−−−来栖−−−−−−−

控え:山田、三角、川端、佐野、町田、武田、遠山
交代:後半36分:鈴木達→町田、後半47分:植松→川端


▼試合結果
 スタメンにクラブユース出身選手が、駒沢が中後のみ、筑波は4人。敢えて、そういう言い方をするが、フィジカルを前面に出し、縦に早いサッカーで相手を押し潰そうとする高校勢っぽい駒澤と、スペースへの大きな展開とそこに走り込む動きが洗練されたクラブっぽい筑波の対決となった。試合は五分五分の展開だったが、前半18分、筑波、スローインを鈴木孝が中盤右で落とすと、兵働が左サイドスペースへダイアゴナルフィード。そこに左サイドからダイアゴナルランで走り込んだ藤本が、スピードに乗って最終ラインの裏に抜け、フリーで放ったシュートがゴール右に決まり、筑波が先制する。
 その後、引き気味になった筑波に対し、駒澤はロングボール攻勢の圧力を増し、CK・FKのセットプレーで好機を作るが、GK来栖の好セーヴと自らのシュートミスによって、ゴールを割れない。前半は、その後も速攻から何度かチャンスのあった筑波だが、後半は守りを徹底。SBの攻め上がりを自粛し、高山を後方で余らせ、1−3−4−2とも言える重厚な守備布陣を布く。この筑波に対し、流れの中では跳ね返され続け、CKも奪えなくなってきた駒澤だが、後半34分、40MほどあったFKをPA内に縦に放り込むと、その中で秋葉にファウルがあったとして、PKが与えられる。しかし、キッカー橋本がこれをフカし、ボールは枠上に。意気消沈する駒澤相手に筑波は余裕を持って逃げ切り、大会二連覇を飾った。

 駒沢大学 0−1 筑波大学 
 得点:前半18分:筑波・藤本淳吾(兵働昭弘・サイドチェンジ)

 
(高山は左SBの阿部と抱擁し、優勝の喜びを爆発! 整列写真では右から3番目。手を組むのは、静岡少年選抜での同僚、岡田(元藤枝東))


▼[高山純一マニアックス]
背番号19・高山純一・DF
 1年・清水商業高(清水Y)・178cm/66kg、'84.08.18生
 独自のオーラで全て解決!! ※以上、大会プログラムより

●シュート 0
●パス総数 9(5)
  前方向 8(4) ×06分、×12分、○29分、○35分、×45分、○57分、○65分、×75分
  横方向 1(1) ○07分
  後方向 0(0)
●ドリブル 0(0)
●ラン   0(0)

●タックル 2(2) ○57分、○77分
●クリア計 21(13)
  頭   17(9) ○00分、○00分、×02分、×04分、○21分、×23分、×24分、◎31分、×37分
           ×39分、◎59分、○63分、◎63分、○64分、×69分、×85分、◎91分
  頭以外 4(4) ○10分、○46分、○48分、○57分
●ブロック 1(−) 72分
●Iセプト 0
●ファウル 2(0) ×08分、×46分

※データの見方:
 パス  :○=味方へのパス、×=味方に渡らなかったパス(相手に奪われる・タッチを割るなど)
 ドリブル:相手を意図的に抜こうとするプレー、ラン:15ヤード以上、ボールを持ち上がるプレー
 タックル:○=ボール奪取、×=奪いに行って交わされるプレー
 クリア :◎=味方に渡したクリア、○=安全なゾーンまでのクリア、×=二次攻撃を許したクリア
 ブロック:相手のシュートやクロスを阻止するプレー
 Iセプト:インターセプト、相手のパスコースを読んで、動いてのパスカット
 ファウル:○=敵陣でのファウル、×=自陣でのファウル

  
(味方の攻撃時は一人余り→カウンターやロングボールの速い攻撃で少数対少数の時はマンマーク→味方が戻ったら、再び一人後ろに余る)

 なんか、選手紹介がなおざりだぞ、高山(笑)。高山といえば、Jrユースから主力として活躍してきたにも関わらず、中3の時を除いて大きい背番号を好んでいるのだが(中2:18→高1:18→高2:19→高3:20→大1:19)、なにか理由があるのだろうか? アンのように「19番が好き!」というわけでもなさそうだし。

 写真を見てもらっても分かるように、ちょっと変わった約束事で守備をしていた高山。そんなに原をフリーにしておいて大丈夫かよ、と思ったが、結果として大丈夫だった(笑)。前半は原と高山の空中戦から好機を作ることの多かった駒澤だが、後半は赤嶺の頭に拘り過ぎ、空中戦に自信のある秋葉に粉砕された。後ろに余る高山は、こぼれてきたボールを頭で掻き出す仕事が多かったが、彼はそれほどヘディングが強いタイプではないので、そのプレー自体の精度は低かった。
 しかし、動きながらの守備は、高山の得意とするところ。盛んに動き回って、ポジションとマークする原との距離を変えながら、乱れることはなかった。恐らく、局面の守備では見劣りする高山が重用されているのは、それを評価されてのことだろう。また、地上戦の最強振りは相変わらずで、シュートブロックを1回、ドリブル突破に2度タックルに行って、共に成功させている。駒澤がひたすらロングボールで空中戦のチームだったので、それを披露する場面は少なかったが。
 残念だったのが、味方からパスを受ける機会が殆どなかったこと。ユースなら、浩太は自分が数人に囲まれれば、必ず高山(か渡邊)にボールを戻して、最終ラインから組み立て直したものだ。もっとも、駒澤が早めに自ゴール前を固める傾向が強く、筑波も速攻志向で、ボランチがプレスに囲まれることは少なかったのだが。いずれにせよ、まだチームの信頼を勝ち取ってるとは言えなそう。そんなわけで、パスの数は極めて少ない僅か9本。それも、殆どが相手のパスミスや味方のクリアミスを、1タッチ・2タッチで繋いだもので、狙いを持ったフィードは皆無だった。
 ともかく、優勝おめでとう、高山! 来年も頑張れ! そして、早めにウチの強化指定選手になってくれ(笑)



2003年11月22日(土) Jユース杯 決勝トーナメント 組み合わせ決定

 東海クラブユースサッカー連盟より。
 ついでにJrユースの高円宮杯の日程を含めた、12月のスケジュールは次の通り。

 12月13日(土)14:00 Jrユース 名古屋港 予選G ジェフユナイテッド市原JrY舞浜
 12月14日(日)15:30 ユース  万博   1回戦 ガンバ大阪ユース
       14:00 Jrユース 名古屋港 予選G サンフレッチェびんご

 12月21日(日)13:30 ユース  長居2  2回戦 大分−養和の勝者

 12月23日(祝)12:00 Jrユース カシマ  予選G コンサドーレ札幌U-15
 12月24日(水)12:00 Jrユース 横浜   1回戦 ※予選2位通過の場合、14:00から
 12月25日(木)13:30 ユース  長居2  準決勝 ※浦和−川崎、市原−愛媛の勝者
 12月26日(金)12:00 Jrユース 西が丘  準決勝 ※予選2位通過の場合、14:00から

 12月28日(日)13:00 ユース  長居ス  決勝
       13:00 Jrユース 国立   決勝

 よりによって、関西でガンバとかよ!
 しかも、勝ってもずっと大阪での試合かよ! 最大、大阪−東京4往復かよ!
 っていうか、つまりガンバは、ウチに勝ったら、ずっとホームかよ!…毎年のことだけど。

 そんななわけで、両者共に勝ち進んだ場合、(観戦者にとって)試練の12月になりそうです。っていうか、社会人には12月24-26日の平日3連戦は無理だって。

後記:
 某鹿サポ姉さんが嘆いてましたが、広島と当たることを考えれば幾分かマシですね。大阪なら、前日のJrユースからのハシゴと考えれば、悪くないですし。それに大分とかになる可能性もあったわけで。まあ、大分ならば観光旅行と考えて、気持ちも切り替えられるのですが。



2003年11月20日(木) 3年生昇格情報 2003年

■阿部文一朗選手、山本海人選手(ともに清水エスパルス ユース)
 来季新加入内定のお知らせ

 清水エスパルスでは来季(2004年シーズン)の新加入選手として、清水エスパルス ユースの阿部文一朗選手、山本海人選手の内定を決定しましたのでお知らせいたします。

阿部 文一朗(あべ ぶんいちろう) FW
 ●出身地  : 静岡県島田市
 ●生年月日 : 1985年4月2日
 ●身長/体重: 182cm/75kg
 ●血液型  : A型
 ●サッカー歴: 六合東サッカースポーツ少年団→清水エスパルスジュニアユース(島田市立六合中学校)
         →清水エスパルスユース(静岡サレジオ高校)
 ●主な成績 : ◎中学2年生時(1999年)
          第14回日本クラブユース選手権(U-15)大会 準優勝
         ◎中学3年生時(2000年)
          高円宮杯第12回全日本ユース選手権(U-15)大会 優勝
         ◎高校1年生時(2001年)
          第25回日本クラブユース選手権(U-18)大会 第5位
         ◎高校2年生時(2002年)
          第26回日本クラブユース選手権(U-18)大会 優勝
          高円宮杯第13回全日本ユース選手権(U-18)大会 1回戦敗退
         ◎高校3年生時(2003年)
          第27回日本クラブユース選手権(U-18)大会 第3位
          高円宮杯第14回全日本ユース選手権(U-18)大会 ベスト8
          第58回国体出場(静岡県選抜・第4位)
 ●代表歴  : 1999年 U-15日本代表
         2001年 U-16日本ユース選抜
         2002年 U-17日本代表
         2003年 U-18日本代表候補
 ●通算成績 : 2003 Jサテライトリーグ 7試合出場1得点

山本 海人(やまもと かいと) GK
 ●出身地  : 静岡県静岡市
 ●生年月日 : 1985年7月10日
 ●身長/体重: 188cm/78kg
 ●血液型  : B型
 ●サッカー歴: 入江サッカースポーツ少年団→清水FC→清水エスパルスジュニアユース(静岡市立清水第八中学校)
         →清水エスパルスユース(静岡学園高校)
 ●主な成績 : ◎中学3年生時(2000年)
          高円宮杯第12回全日本ユース選手権(U-15)大会 優勝
         ◎高校2年生時(2002年)
          第26回日本クラブユース選手権(U-18)大会 優勝
          高円宮杯第13回全日本ユース選手権(U-18)大会 1回戦敗退
         ◎高校3年生時(2003年)
          第27回日本クラブユース選手権(U-18)大会 第3位
          高円宮杯第14回全日本ユース選手権(U-18)大会 ベスト8
 ●代表歴  : 2000年 U-15GKトレーニングキャンプ参加
         2001年 U-16日本ユース選抜・U-18GKトレーニングキャンプ参加
         2002年 U-18GKトレーニングキャンプ参加
         2003年 U-18日本代表

 オフィシャルにて発表されました。2人のプレースタイルついての私の弁は、85年組の選手紹介を参照下さい。
 他の3年生では、DF高柳亮太が、関東大学リーグ1部の東京学芸大生涯学習課程生涯スポーツ専攻に、特別選抜での推薦合格が決まったと報道されている(日刊スポーツ静岡版12月7日)。



2003年11月16日(日) Jユース杯 予選リーグ 柏レイソル戦(H)

03年11月16日14:00開始 清水ナショナルトレーニングセンター J-STEP(H)
 第11回Jユースカップ2003 Jリーグユース選手権大会
 対 柏レイソルユース ※45分ハーフ
 天候:晴、風:中風、気温:25.6℃、湿度:30%、観客数98人

▼布陣
−−−−−−阿部− 篠田悠 −−−−−

− 鈴木真 −−−−−−−−−大瀧−−

−−−−− 山本真 −枝村−−−−−−

− 高野美 −村越−−石垣−−森安−−

−−−−−−−−前田−−−−−−−−

控え:山本海、篠田大、杉山雄、上埜、柴田、谷野、八木
交代:前半28分:石垣→杉山雄(そのままCBに)

柏レイソルユース:

−−−−−−菅沼−−桜井−−−−−−

−−−−船山−−大峡−−柳澤−−−−

−−−−−−−−福地−−−−−−−−

−−須賀−−石川−−柴田−−石田−−

−−−−−−−−諏訪−−−−−−−−

控え:桐畑、濱屋、片寄、遠藤、中臺、石戸、鈴木
交代:後半09分:石田→濱屋、後半26分:船山→中臺、後半34分:桜井→石戸、後半38分:大峡→片寄


▼試合展開

 12時半、清水駅到着。ひかりのダイヤグラムの関係で、これが最適の到着時刻。しかし、清水には「公共機関でエスカレーターの片側を空ける」という文化がないのだろうか。せっかく、国体に合わせて駅の改築工事も完成したというのに。
 時間がたっぷり余ってるので、まあ、歩くことにする。バスもあることはあるのだが、30分以上待つことになるようだ。あっても、早く会場に着くことに、意味はないし。途中、昨日の高校選手権決勝で激戦の末に敗れた清水東高校を通過。大木監督・大榎コーチを応援する垂れ幕に一抹の哀れを感じつつ、恐らく会場から最寄りのコンビニ(でも会場まで徒歩15分)に寄って、到着。もう慣れたもので、少し遠回りしながら、60分しか掛からなかった。その時、駅で30分待ちだったバスが、丁度私の前を通過していった。
 (後記:まさか、その垂れ幕の実質的な命が、残り3日だったとは…。それと、某柏ユース好きの女史が、歩いて帰られたと知って、何とも苦笑から避けられませんでした。そんな物好きは、私と某ひー氏ぐらいだと思ってたのに)

 さて、清水は前節から、出場停止明けの森安が復帰。前節右SBの美臣が左SBを務め、今回も最終ラインは、Jユースカップ初の組み合わせとなった。GKは前節、負傷退場の海人に代わった前田が、そのままゴールマウスを守る。海人はその空中制圧力だけでなく、的確なコーチングで日替わりの最終ラインをサポートしており、影響が心配された。攻撃陣は、左利きの大瀧を右MFに起用する驚きの采配で、6人のタレントを同時に使おうとする苦心の跡が見える。1年生5人、2年生・3年生3人、ユース年代最年長の阿部(4月2日生)がいるにも関わらず、平均年齢16.82歳という非常に若いメンバーである。
 一方の柏は、首位通過を決めているにも関わらず、ほぼベストメンバー。昨日のJ1の神戸戦で同点弾を決めた菅沼まで先発させている。この試合は彼らにとっては消化試合なのだから、もう少し面子を落として、自慢の1年生軍団を試してほしいものなのだが。こっちは大瀧右MFとか、面白布陣を組んでるのに。前回の対戦に比べると、正GK格の諏訪を起用し、菅沼のパートナーは小森からスピードのある桜井に代わった。1年生4人、2年生2人、3年生5人で平均年齢17.09歳。…なんで1年生自慢の柏より、消化試合の柏より、清水の方が若いんだ? 交代も含め、出場した柏の7人の1年生は、5人が世代別代表歴の持ち主、石戸はストライカーキャンプに参加し、無印良品は石田だけである。清水の代表経験者は、真希と前田だけ。


(試合前の挨拶直後。好天に恵まれ、なかなかの客入り。高校選手権と比べてはいけない)

[前半]
 出だしは清水がボール支配率で上回って押し込む展開で、1分には森安の右クロスのクリアから掴んだ大瀧の右CK、阿部の裏で村越が頭で合わせて、初シュートを放っている(枠外)。柏は前回の対戦同様、長いボールをSBの裏に通す戦術を徹底。支配率は清水、好機は同等という流れが続いていたが、8分、柏の船山が左サイドライン沿いに裏へ出したボールは、長すぎて流れるが、なかなかラインを割らない。船山に対する森安は、むしろカウンターを期して前進。石垣がスクリーンしてボールが外に出るのを待とうとしたが、桜井が緩急を付けて掻っ攫われ、縦に20M余りの独走を許す痛恨のミスになってしまう。桜井は、ゴールライン直前でGK前田と微妙な間合いでタイミングを図ると、軽く戻したボールに飛び込んできた大峡が、綺麗にファーに決める。0−1。これが柏の初シュート、初枠内シュートであった。
 横浜二連戦では、最初の枠内シュートでの失点を機に、一気に流れを引き渡す精神的な脆さがあった。この試合でも、直後の9分、失点の原因となってしまった石垣がファウルを犯すと、右45度30Mの須賀のFKを柴田が頭で逸らしたボールが、僅かに枠上に外れる危難があり、マークの緩さに不安を感じさせる。だが、12分に美臣がアンティシペーションで奪って中央へ駆け上がり、左に叩いて阿部が柴田、石田と抜いて左クロス(石川クリア)。13分、PA右角の大瀧のハイキックボレーでのスルーパスから、悠輔が突破して右CKを得ると、大瀧がCKの跳ね返しを自ら拾って右クロス、ファーで石垣が落とし、枝村がこれも足を大きく振り上げてボレーを放ったが、枠外。15分、相手の股抜きパスをカットした大瀧が左に展開、阿部が柴田を抜き去り、上げたクロスがシュータリングになり、GK諏訪がCKにディフレクトする。

 ところが、18分の柏、菅沼のドリブルを村越が潰して、直接FK。PA右角からやや中央寄りの角度で、距離は25Mほど。壁は4枚。ボールには右足の船山、左足の須賀、キック力の柴田が立ったが、選択は近くの船山ではなく、やや離れた位置にいた須賀。壁の左を抜けたボールがそのまま巻いて、ゴールファーサイドに決まる。0−2。一方のサイドを壁で切り(決められたら相手の技量を称えて諦め)、空けたサイドをGKが担当するのが、FK守備の基本である。浩太がいたら、間違いなくブチギレしてたところだろう(参照:01年磐田戦)。これは柏の2本目の枠内シュートであった。
 この2失点目に、下級生の多い清水の精神力は立ち直れない。軽いプレーが相次ぎ、安易な飛び込みでドリブルを許したり、クロスやFKでマークを外される場面が目に付く。それでも菅沼のオフェンスファウルを取る審判に助けられていたが、25分には何でもない一本のパスで菅沼が左サイド裏に抜け出し、森安がどうにかクロスはブロックして、左CKに逃れる。船山の右足キック、飛び出したGK前田はボールに触れず、バックステップで阿部のマークを外した柴田がファーで高い打点で合わせた。が、ボールは落ちきらずにニアポストを直撃。しかし、近くの石川がリバウンドを体で跳ね返し、スライディングで掻き出そうとした村越の努力は、無情にもゴールネット天井へのクリアとなった。0−3。これは柏の3本目の枠内シュートであった。
 元々、サイドの裏をシンプルに狙う柏の攻撃は、相手が前掛かりになった時にこそ、威力を発揮するものである。右サイドでは森安が上がり気味で船山を押し込み、攻撃にも絡んだが、その裏をFWが使って、CBの石垣が引っ張り出され、スピードで置き去りにされた。最終ラインの2枚の裏に突破されてしまうので、ボランチ、特に真希がカバーリングに入らざるを得ず、その守備センスには唸らされるものはあったが、自然と攻撃の起点が低くなってしまった。左では美臣が最終ラインと同じ位置を保ったが、当然、真司は孤立。今年の清水の攻撃は、枝村の左右の捌きが生命線だが、左の真司は囲まれ、右の大瀧はレフティのため、スペースに出してもダイレクトでクロスを上げられず、酷くギクシャクしたものになった。同じく1年生5人を先発して0−4と完敗した、クラブ選手権準決勝を思わせる内容である。一方、柏も、繋ごうとしてカウンターを許す危険を冒さなかったため、3点差にも関わらず(或いは3点差だからこそ)、ロングボール攻撃が中心で、攻撃は単発的であった。

 築館監督は石垣を諦め、地元庵原出身の杉山雄を投入。SBも務めるなど、石垣よりスピードのある雄也だが、相手との間合いが悪く、あまり改善したとは言い難かった。前述の理由に加え、柏の実直なプレスに押され、効果的に繋げない清水は、真希が攻守に八面六臂の活躍を見せる。29分、美臣が奪って攻め上がると、真希が受けて美臣とのワンツーで突破、一気にPA内に進入して小さく横パスを送るが、DFに引っ掛かる。31分の大瀧の左CKでは、DFクリアを真希がPA外で拾って、強烈な25Mミドルを放ったが、GK諏訪がディフレクト。一方、35分に須賀の左アーリークロスを村越と美臣が見送った裏で、柳澤にスライディングボレーを許すなど(枠外)、今ひとつピリッとしない守備が続く。
 「活きた」ボールをもらえない2トップだが、38分、石田のバックパスを阿部が追う。柴田は距離を詰めた阿部に体を寄せられるが、何とか重圧に耐えて、もう一人のCB石川に渡す。しかし、コントロールが定まらず、パスが石川の位置よりゴール方向になったため、右足で受けた石川は体が開いて(柏の)右サイドを見る格好に。そちらには阿部がいるので、当然、パスを返すことはできない。仕方なくGK諏訪に戻すことにしたが、その時に石川の背後(左サイド)にいた悠輔が、急加速。飛び出す諏訪の直前で、小さい振りから放ったシュートは、ゴール左に強烈に突き刺さった。1−3。抜け目のない得点で、反撃の狼煙を上げる。
 だが、狼煙は狼煙で終わる。40分、森安のパスミスを船山がカットして裏へのパス、菅沼が雄也を半身抜いてシュートを放つがGK前田の正面。その後も柏は高速2トップを走らせるが、双方のファウルでブツギレになる締まらない内容のまま、試合を折り返す。

柏         清水エスパルス
7(4) シュート 5(2) ×村越、×枝村、○真希、×悠輔、◎悠輔
2(1) 右クロス 6(3) ×森安、×大瀧、○大瀧、○大瀧、×大瀧、○森安
2(1) 左クロス 2(0) ×阿部、×阿部
0(0) 右側CK 5(2) ○大瀧、×大瀧、×大瀧、×大瀧、○大瀧
2(1) 左側CK 1(0) ×真希
2(−)  犯OS  1(−) 真司
9(−) ファウル 7(−) 石垣、真司、村越、枝村、真希、村越、村越


[後半]
 後半開始早々、枝村が一気に中央突破してPA内に侵入し、最後、右に叩いて大瀧のシュートをブロックされる場面があったが、それ以後は焦りと戦術的課題のために、効果的に横幅を使えない清水に対し、柏は前半と変わらない縦幅を使った速いサッカーで好機を作り続ける。この試合、負ければ(勝点計9)予選グループ勝ち抜きの可能性は1割ほどだろうが、引き分ければ(勝点計10)6割ほどに確率は上がるはず。2点という点差ならば、まずは失点しないことを第一に、隙の出やすい残り15分に勝負を賭けるのも一つの策だと思うが、…監督はそうは考えなかったようで。
 1分に菅沼単独突破、4分に桜井単独突破、5分に菅沼の突破から最後は桜井が、いずれもスピードに乗ってマークを引き剥がしつつシュートを放つが、GK・枠外・GKと点は入らない。その後、互いに中盤を省略した速攻の潰し合いを経過し、13分。森安のファウルで、中央やや左から25MのFK。船山のシュートは壁と前田の腕を越えるが、クロスバーに救われる。15分には、村越のファウルでFKの際に、柏のクイックリスタートが壁に当たると、やり直しの上に雄也の遅延行為とされて、警告。20分、ポストに入った悠輔が後ろから足を引っ掛けられながら、ファウルの笛すら吹かれないなど、意味不明の判定に会場はヒートアップする。
 しかし、時間を経過させたい柏にとっては、それで良かった。ますます単調になる清水の攻撃を、人数を掛けた精力的なプレスで丹念に潰していく。柏もFWの突破力に頼る単調な攻撃すら、徐々に走力が落ちて好機に繋がらなくなってきたが、交代で場を繋ぎつつ、見所のないまま、時計の針を残り15分まで進めることに成功。その時、真希のクサビに戻りながらポストに入った大瀧を、石川が背後から押し倒し、清水にFKが与えられていた。角度は中央やや右、距離は25M。ボールには大瀧と真希、その時、スッと枝村がPA右角の位置にフリーで移動するが、2人は、というより大瀧は、敢えてそれを無視。大瀧は自信を持って、左足で魔法を振るう。壁の右側を低く抜けたボールが鋭く落ち、ギリギリでゴール右に突き刺さった。2−3。勢いは、3点差から1点差まで詰め寄った清水のものである。大阪の奇跡の再現なるか?

 それまでのダレた展開が嘘のように、ボールが回り出す。2点目の前から徐々に見え隠れしていた柏の疲労が、表面化したせいもあろう。36分、相手FKをGK前田が掴むと、彼の魅力の一つであるロングスローで反撃。左サイドを持ち上がる悠輔を美臣がフォローし、真司とのワンツーで裏に抜けて左クロスは惜しくもGK(美臣の初クロス)。38分、中盤で柳澤のファウルで得たFKを、真希がPA内まで放り込み、阿部が頭で落とすと、森安が右足アウトでテクニカルな20Mミドルを放つが、GK諏訪が落ち着いてキャッチ。
 この後、柏は162cmの大峡に代えて、180cmの片寄を投入。石川をボランチに上げて、福地がトップ下に入ったのかな? 正直、展開も筆者も興奮してて、よく覚えてないが、とにかく守備固め。だが、清水の勢いは衰えず、40分、流れた森安の右クロスを真司が折り返すが、これも流れて大瀧がライン直前でスライディングで残す。須賀に奪われたが、中臺へのパスを森安が取り返し、右クロスを阿部が頭でパス、枝村が頭で、恐らくワンツーを狙ったが、長すぎてGK。41分、ノリノリの清水に柏のカウンター炸裂。右から菅沼?の突破から中央で石戸が左に流すと、雄也の横・森安の裏で中臺が完全にフリー。U-16代表の中臺、左60度15Mから試合を決める一撃を放ったが、豪快に「左」へ。今度は清水。42分、遂に出た枝村のスルーパスで、真司が裏に抜けて左クロスという、「これぞ清水ユース」という攻撃にGK諏訪が反応。だがボールをこぼし、阿部が後ろ向きのまま背中で殺到するDFを塞ぎ、小さく戻して大瀧の15Mシュートはライン上でDFがブロック、更に大瀧がスライディングで飛び込むが、これは大瀧のファウルとなる。
 44分、左サイドの真司を走らせる長いボールを、安全第一で濱屋は左CKに逃げる。フォローしていた真希が素早くセットすると、一つ早いタイミングでリスタート。流れで左サイドにいたままの真司に渡し、真司は鋭いクロスを送り込んだが、GK諏訪がクリア。だが、クリアは小さく、PA手前で大瀧が拾い、左足インサイドでゴール中央に送り込む。反応したのは前を向いている柏DFの方だが、咄嗟の反応でクリアは引っ掛かっただけ。村越が押し込もうとし、柏DFが体で食い止める混戦も、悠輔がゴール方向を向いたまま、ボールを掴まえる。一斉に柏DFが殺到するが、悠輔はボールを大切に足下に入れたまま体ごと運び、冷静にネットに収めた。3−3。劇的! 前回の対戦から数えて20本目のCKから、とうとうゴールが生まれた。

 柏も最後の死力を尽くす。47分、石戸?が左コーナー付近で速度を落とし、森安と雄也に囲まれる。時間稼ぎかと思われた瞬間、緩から急に切り替え、グラウンダーのクロスを送る。これを斜めに走り寄った菅沼?が至近距離で合わせたが、当たり損ねてGK前田の正面。なおもボールはこぼれ、コースを塞ぐ前田と動きを妨げる村越・美臣が囲み、最後は誰か(戻ってきた真希か?)がCKに逃れる。須賀の左CKをファーで濱屋が合わせたが、枠を捉えなかった。
 そして、試合は終了。3点差からの同点劇を演じた清水は勝点を10に伸ばし、新潟を得失点差で振り切って決勝トーナメント進出を決めた。各グループ2位の7チーム中5チームが勝ち抜ける中で、5番目の成績であった。

柏         清水エスパルス
11(5) シュート 9(5) ×真司、×枝村、×真司、×真司、◎大瀧、○森安、○枝村、○大瀧
               ◎悠輔
2(0) 右クロス 3(2) ○森安、×森安、○森安
4(2) 左クロス 6(0) ×悠輔、×真司、×美臣、×真司、×真司、×真司
1(0) 右側CK 2(0) ×大瀧、×大瀧
2(1) 左側CK 1(0) △真希
3(−)  犯OS  1(−) 真司
9(−) ファウル 14(−) 森安、阿部、阿部、雄也、森安、村越、枝村、枝村、村越、村越、美臣
               雄也、大瀧、雄也


(試合を終えて。清水の側に疲労がありありと見える。何はともあれ、3年生の引退は先延ばしになった)


▼試合結果
清水エスパルスユース 3−3 柏レイソルユース
 得点:前半08分:柏 ・大峡 浩(桜井正人・ショートパス)
    前半18分:柏 ・須賀健太(直接FK)
    前半25分:柏 ・石川直樹(柴田慎吾・シュートリバウンド)
    前半38分:清水・篠田悠輔
    後半30分:清水・大瀧義史(直接FK)
    後半44分:清水・篠田悠輔
 警告:前半16分:清水・鈴木真司(反スポーツ的行為)
    前半22分:清水・枝村匠馬(反スポーツ的行為)
    後半15分:清水・杉山雄也(遅延行為)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●山本真希 90分出場:シュート1(枠内1)
 何でもできる真希だが、本当に何でもやっていた。豊富な運動量で守備ではカバーリング、攻撃では受け手として、焦りと混乱が支配する拙劣な展開に潤滑油を差し続け、時には自分で持ち運ぶ。柏の縦に速い攻撃にも関係なく、フィールドを往復して、双方のゴール前に顔を出した。

[私撰MIP]
●篠田悠輔 90分出場:シュート3(枠内2、得点2)、クロス1(左1)
 真希とは逆に、消えてる時間も長く、石川・柴田ら巨漢DFに押し潰されることも多かったが、一瞬の隙に決める勝負強さがある。激しい緩急の差で隙を作り出し、その隙にも慌てない冷静さと、確かな技術がある。時々、ポストで技術の高さを垣間見せていたが、捌く判断が速いので、あまり目立たない。
 
●枝村匠馬 90分出場:シュート3(枠内1)
 誕生日。意欲的にゴールに向かい、シュートも狙っていたが、残念ながらバースデイゴールは生まれなかった。今日の枝村度は50%ぐらい。システムの中で活きるタイプなだけに、システムが破綻していると自然とパフォーマンスが落ちるのだが、強引な個人技で流れを引き戻そうとする強さも見せた。

[個人的好印象選手(相手方)]
 菅沼実(3年):まあ、菅沼にしては物足りないけど。連戦にも関わらず、よくも走った。
 福地竜也(1年):様々な箇所で様々な選手を的確にサポートし、中盤の潰し合いを演出した。



2003年11月09日(日) Jユース杯 予選リーグ 横浜F・マリノス戦(A)

03年11月09日14:00開始 横浜F・マリノス戸塚トレーニングセンター
 第11回Jユースカップ2003 Jリーグユース選手権大会
 対 横浜F・マリノスユース(A) ※45分ハーフ

▼布陣
−−−−−真司−−阿部−−−−−

−大瀧−−−−−−−−−−柴田−

−−−−−真希−−枝村−−−−−

−岡村−−村越−−石垣−−美臣−

−−−−−−−海人−−−−−−−

交代:後半06分:海人→前田(そのままGKに)
   後半29分:柴田→悠輔(そのまま右MFに)
   後半39分:岡村→八木(大瀧を左SB、八木を左MFへ)

横浜F・マリノスユース:

−−−−−村岡−−荒井−−−−−

−−−坂井−−−−−−鈴木−−−

−−−−−染宮−−谷口−−−−−

−田中− 加藤広 −佐藤−−天野−

−−−−−−−飯倉−−−−−−−

交代:後半19分:田中→岩田、後半25分:荒井→ハーフナー
   後半30分:鈴木→レアンドロ、染宮→三浦


▼試合展開

 選挙。選挙である。日本も黙ってても皆が豊かな時代は終わりつつあり、これからは世代間対立・階級対立は深刻になっていくことだろう。当然、損をするのは、黙っている層なわけで。さあ、選挙行こう!、と出発前に近くの小学校へ、…並んでるじゃん。よく考えたら自分、だいたい清水遠征の前に寄っててるから、いつも早朝に投票してるんだよなあ。そんなわけで、スルー。政治の決戦も大事だが、サッカーの決戦に遅刻しない方が大切である(結局、ギリギリ19時50分に投票しましたよ)。

 で、サッカーの決戦。クラブ選手権4強同士の試合は、結局試合中は降らなかったものの、生憎の曇天とあって、観客は50名強。静岡で行われている高校選手権予選に集まった観客の100分の1にも満たない数だが、間違いなくこの試合、ユース年代トップクラスの対決である。現在、2試合を残して、首位の柏(勝点10)はほぼ1位通過が決まり、2位を清水が勝点6、横浜が勝点5。2位は7チーム中上位5チームしか勝ち進めないので、勝点12、最低でも勝点10はほしいところ。つまり、両チームもう負けられない。いや、勝たねばならない。正に決戦である。
 しかし、清水には大きなディスアドバンテージがあった。前節、警告を受けた森安の出場停止である。大事な決戦だけに、3年生の高柳を復帰させて村越を右SBに回すなどの起用も考えられたが、築館監督は若手路線を継続。1年生・高野美臣を代役として白羽の矢を立て、さらに右MFにも1年生の柴田を起用。悠輔が外れたものの真希が復帰したため、3年生3人、2年生4人、1年生4人という実に若いメンバーになった。ちなみに、阿部の背番号は何故か18。間違えてアウェイユニを全て洗濯してしまったのか(それにしては、望月=身長175cmの18番ユニでは小さそうだが)、或いは北嶋から早くも来年の18番を託されたのか、謎である。
 一方の横浜は、DFリーダー今田が欠場。前節は警告を受けてないはずだが、怪我か何かが、それとも警告対象を取り違えたか、単に育成目的か。いずれにせよ、代わりに1年生の佐藤が入ったが、前節唯一の1年生・三浦は先発を外れ、ボランチには本来、左SBの3年生・染宮が入った。他は前節と変わらず。3年生5人、2年生5人、1年生1人、ただでさえ選手層は厚いのだから、清水としてはもう少し、手を抜いてほしいところである(苦笑)。

[前半]
 立ち上がりは前節同様、清水が押し込んだ。今田が抜けた横浜最終ラインは、明らかに不安定で、細かいミスを清水の中盤が逃さず、前節より一列上がった真司らのスピードで脅かす。1分にはGK飯倉のパスミスを大瀧が奪い、スルーパスから真希が突進。4分にもCB佐藤のパスミスから、あわやの場面を作っている。
 9分、敵陣左サイドで短いクサビを受けた大瀧、振り向こうかというところで天野から激しいタックルを受けるが、倒れながらスルーパスを送る。審判はアドバンテージを判断、真司が受けてPA内に持ち込む。縦に、天野が空けたスペースを突破した真司、ゴール前に殺到する阿部らにラストパスを送る、と誰もが思ったが、そこはファンタジスタ、角度のない位置からシュートを選択。鋭くファーを狙ったが、GK飯倉も横っ飛びで反応、ディフレクトした。


(12分の好機に至らなかった一場面。アベブンは、背番号18が馴染まないのか不調。某所ではアベブンではなく、ニセブンではないかとの疑いも持たれた(笑))

 押し込む清水は12分、GK海人からの一本のパスから、田中の裏に簡単に枝村が抜け出したが、CB佐藤がカバーリング。その流れで右CKを奪うと、13分、大瀧の蹴ったボールを石垣が中央で競り落としたが、落としただけで右に流れてしまう。それを必死に追い掛けた真司が、最後はスライディングで粘り、右センタリングエリアの大瀧に戻してやり直し、と誰もが思ったが、そこは魔術師、彼にしか見えないものがあった。その魔法の左足を振るうと、低い弾道がGK飯倉の腕を抜けて急激に曲がり、ファーサイドネットに突き刺さる。1−0。大瀧以外の何者ができようか、美しくも破壊的なファインシュートだった。

 1点ビハインドの横浜は、当然、反撃を仕掛ける。直後の14分、鈴木の右クロスを村越が跳ね返すが、その後のクサビのパスを染宮がカット、スペースはあったが判断に迷い、村越のチェックで、FKを得る。坂井の直接FKは上に外れたが、横浜に初シュートが記録される。これを機に、清水が下がり気味になったこともあり、試合は膠着状態に。清水は右サイドで起点を作れず、阿部のポストは絶不調。ならばと、真司のスピードを活かして最終ラインの裏を狙うが、巧妙なオフサイドトラップに引っ掛かる。しかし、横浜も復帰した真希と運動量の回復した枝村に絡め取られ、流れの中で決定機を導けない。
 こうなると、互いに狙いはセットプレーである。清水は28分、阿部の突破から左CKを得ると、枝村がショートコーナー、大瀧の左クロスにファーへ石垣ら数人が飛び込むが、谷口が驚異的な跳躍力で強引にゴールライン外に逃れた。横浜は31分、坂井の右CKを中央が頭で流し、ファーで誰か(…)のシュートは当たり損ねたが、それが幸いしてニアの佐藤が至近距離で右足を合わるも、ゴール左に外れてしまう。
 36分、横浜は左MFの坂井が内側で受けてパス、空けた左スペースにボールにボランチの染宮が流れるが、清水も柴田・美臣の2人が振られることなく、進路を塞ぐ。1対2の状況、少し溜めた染宮は緩から急に切り替え、1年生2人の間を強引に突破、だが、それを読んだ枝村が、ボランチの位置からの一気のカバーリングで距離を詰め、PA左端で肩から潰しに掛かり、染宮は堪らず倒れる。審判の判定は、…PK。プレー的にも、位置的にも、非常に厳しい判定。染宮自らが、このPKをきっちりとゴール右に決め、横浜が同点に追いついた。1−1。前半31分での初の枠内シュートは、前回と全く同じである。

 そして、前回同様、またも横浜の圧倒的な攻勢が始まる。元より高円宮杯では3人が3年生で固められていた最終ラインが、今日は1人もいない急造のもの、安定しているはずもない。加えて、染宮に破壊された右サイドは1年生コンビ、負った傷は容易に修復できない。横浜の左MF坂井は、自由を得て躍動、38分に右CKから加藤広のヘッドを導き(枠上)、39分にはミドル(右外)に続けて、谷口のパスから左クロスを送り込むが、GK海人の広い守備範囲。42分にもゴール前で沈み込む危険な左クロスを送り込んだが、鈴木の半歩手前で石垣がクリア、2人は交錯し、鈴木には警告が与えられている。
 救いは前回と違い、中盤中央で枝村・真希が互角に競り合えていること。岡村・大瀧も鈴木・天野のスピードとキープ力に対抗し、横浜の起点は清水の右サイドに絞られ、幾分守りやすかった。逃げ切れたかに思われた44分、石垣のクリアを高い位置で荒井に拾われ、速攻。そのまま持ち込む荒井の進路を村越が塞ぐと、フォローする後ろの谷口へ。谷口が軽い溜めから最終ラインの裏にふわりとしたパス、そしてゴール至近距離に荒井が飛び込む。荒井はGK海人の動きを見て、右足ボレーでゴール右を狙った。だが、完全に体重は右(ゴール左)に傾いていた海人は、左手一本のありえないセーヴでCKにディフレクトし、今日も決定機を阻止してみせた。坂井の右CKも海人が抑え、ここで前半終了の笛。前回よりマシとはいえ、最後の15分間で浴びたシュートは6(枠内2)、与えたCKは5(成功2)、一方の清水はやはり双方共に0だった。

横浜FM      清水エスパルス
8(2) シュート 3(2) ○真司、◎大瀧、×枝村
4(0) 右クロス 2(1) ○真希、×真司
5(1) 左クロス 4(0) ×真司、×大瀧、×真希、×真司
3(2) 右側CK 2(1) ○大瀧、×大瀧
2(0) 左側CK 2(0) ×枝村、△枝村
0(−)  犯OS  3(−) 真司、真司、真希
7(−) ファウル 9(−) 大瀧、村越、柴田、阿部、大瀧、柴田、村越、大瀧、枝村


[後半]
 後半頭も前回同様。前半は大人しかった鈴木・天野の右サイドが起点となり、1分には岡村の裏に抜けた村岡が、鋭いターンで村越の軽い守備をあっさり抜き去り、丁寧にマイナスで折り返したボールを谷口が右足を合わせたが、ゴール左に外れた。
 その後も押し気味に進める横浜だが、4分、裏を狙ったフィードに「オッケー」と叫び、GK海人がPA外に飛び出す。その動きは速かったが、村岡もFWとして譲れず、2人は交錯。海人は倒れ、主審は村岡の反則と判断、警告を下す。ほぼ五分の状況だっただけに、警告は辛い判定。すると、不服な村岡に続けて赤紙が示される。異議での2枚目?(前半に既に1枚目を受けていたのかもしれない)で、村岡退場。以後、横浜は10人での戦いを強いられたが、清水も海人が再起不能で、前田に交代する。
 横浜も簡単には譲らず、清水の攻撃は7分にロングフィードを枝村がPA外からボレー(左枠上)、10分に阿部が右サイドに流れてミドル(GKこぼすも詰めた真司がオフサイド)と、単発。だが、一人少ないハンデは、拮抗しているからこそ、どうしようもなく効いてくる。前半、ハイプレッシャー下で完全に消えていた柴田・美臣の1年生右サイドが、ボール回しに絡めるようになり、フィールド全体を使ったパス回しが復活。13分には、大瀧から枝村が左に叩き、阿部が抜け出してクロス、PA中央に飛び込んだ真司・枝村には合わなかったが、流れたボールに柴田が追いつき、角度のない位置からゴールを狙うが、ファーに位置した天野に止められる。だが、清水への流れは、加速する。
 16分、中盤右サイドで柴田が、真希と組んでプレスを掛け、田中から奪うと、そのままライン際を20M余りを疾走。そして、右端から浅い最終ラインの裏を横切るクロスを送る。これは阿部の速さを遺憾なく引き出し、ファーサイドに完全に抜け出すと、遅れたCBが追いつく前にトラップする余裕を得て、GK飯倉の位置したゴール左の狭いスペースに豪快に決めた。2−1。遂に均衡破れる。

 続けて17分、前掛かりになった横浜のクサビのパスを跳ね返して速攻。自陣中央でそれを受けた枝村、ボールを相手の左側から通し、自らは右側からスピードで抜いて、ハーフサークル。顔を上げて状況確認、スピードのある2トップが最終ラインを押し込む姿は見えただろう。だが、枝村の選択は、50Mループシュート。裏へのパスを警戒し、前に出ていたGK飯倉の腕を越えると、衆目が見守る中、静かにボールはネットに収まった。3−1。枝村以外の誰ができようか、それは、ベッカムの伝説の52Mロングシュートを思わせるほど。その間だけ時の流れが遅くなったようだった。枝村は、高々と片手を振り上げる。
 試合は、ほぼ決した。だが、横浜は諦めない。19分、岩田を投入、4−3−2にすると、まずは20分、荒井の右サイド突破からのクロスで、右CKを得る。枝村のゴールの余韻が覚め止まぬ中、坂井のキックに対してファーに流れた加藤広を、油断したかフリー。高い打点からヘッド、飛び出していたGK前田は、全く反応できない。が、Jrユースからの僚友・石垣が、バイシクルクリアで掻き出し、ゴールを割らさず。
 これで目が覚めたか、清水は22分に柴田のスローインを枝村がボレーで右クロス、更に阿部がボレーでシュートを放つが、GK飯倉セーヴ。続けて、大瀧の左クロスを佐藤に跳ね返されると、自ら拾って今度は阿部にクサビ、阿部は数人を引き寄せて右に捌き、柴田が突破してまたもゴールを狙うが、これはDFにブロックされる。

 攻めるしかない横浜は、25分、遂に192cm、ハーフナー大作戦を敢行。更に33分には、岡村と激しいスピード合戦を繰り返した鈴木に代えて、レアンドロ(マルコス“マルキーニョス”ゴメス・ド・アラウージョの弟らしい)を投入し、岡村に止めを刺しに掛かる。同時に三浦を投入して、3−4−2に。しかも、3バックの左右の加藤広・天野も積極的に攻め上がる、特攻体勢。これが安達魂である。
 対する清水は、サイドをスピードを活かして攻める、リスクの少ないサッカーを展開し、33分には悠輔が早いタイミングで入れた右クロスを、阿部がボレーで狙うがヘロヘロシュート。で、油断させておいて?、DFに当たって戻ってきたボールを再びボレーでズドン。ニアのゴール右を狙ったが、GK飯倉の素晴らしい反応で防がれる。39分、レアンドロのスピードに苦しむ岡村を見て、遂に築館監督が決断。下級生のみで構成される守備陣に、3年生を入れて落ち着きを与える。即ち、八木を左MFに投入して、左SB大瀧! これぞ築館采配。一応、サテライト浜松大戦で経験はあるが。だが、大瀧はレアンドロの足下の技術にも完全に対応し、中央にも鋭い読みでカバーに入るなど、本当にチームに落ち着きをもたらしてしまう。
 着々と時計の針を進めさせる清水は、45分の枝村の左CKに、ファーの遠い位置で石垣?が合わせたが、飛び出したGK飯倉を抜けるも、坂井がカバーに入ってゴールを阻む。すると、46分、枝村がファウル、PA右角から10M程離れた位置で、逆に横浜のセットプレー。だが、坂井のキックを跳ね返し、右サイドで受けた天野に対し、八木が深くスライディングタックルを放つ。しかし、天野はその荒々しいタックルを跳ね飛ばし、坂井へとパス。前線に残っていた長身選手たちが、そのクロスを待つ。しかし、坂井は、軽く中にスライドし、素早く左足キック。そう、坂井の利き足は左足、そこはニアに強シュートを放てるエリアである。GK前田の反応遅れ、低く鋭いシュートが、ゴール右下に決まった。 3−2。
 なおも攻めたい横浜であったが、48分には、逆に真司→真希→真司とワンツーで突破を仕掛け、右の悠輔に叩いて折り返しのクロスに自ら飛び込むと、ヘッドは左に外れる。そして、49分38秒、タイムアップ。勝ち点を9に伸ばした清水が、首の皮1枚、2位突破に望みを繋いだ。

横浜FM      清水エスパルス
5(2) シュート 9(6) ×枝村、○阿部、×柴田、◎阿部、◎枝村、○阿部、○阿部、○石垣
               ×真司
8(2) 右クロス 7(4) ×阿部、◎柴田、○枝村、×枝村、×柴田、○悠輔、○悠輔
2(0) 左クロス 5(1) ○阿部、×岡村、×大瀧、×岡村、×枝村
3(1) 右側CK 2(0) ×大瀧、×大瀧
0(0) 左側CK 2(1) ×枝村、○枝村
0(−)  犯OS  6(−) 真司、真司、阿部、八木、真司、??
3(−) ファウル 9(−) 阿部、枝村、岡村、??、村越、真司、岡村、村越、枝村

 それにしても、全く横浜との対戦は、常に好ゲームを提供してくれるものだ。退場もあって計5点が入ったが、どれもユースレベルを越えた素晴らしいゴールだった(染宮のPKは微妙だが、2人を抜いた突破は実に鋭かった)。今、巷では高校選手権予選で盛り上がってるが、もしこの試合にTV中継があれば過剰評価に繋がり、結果として、選手を潰すかもしれない。それを考えると、クラブユースはこれでいいのだと、つくづくと感じた。


(試合後の挨拶。清水の面子は、左から大瀧、八木、村越、枝村、石垣、悠輔、前田、真司、阿部、真希、美臣。横浜は佐藤が治療中で、8人しか残っていない。激闘だった)


▼試合結果
清水エスパルスユース 3−2 横浜F・マリノスユース
 得点:前半13分:清水・大瀧義史 (鈴木真司・ポストプレー)
    前半36分:横浜・染宮克勇 (PK)
    後半16分:清水・阿部文一朗(柴田和也・右クロス)
    後半17分:清水・枝村匠馬 (なし)
    後半44分:横浜・坂井洋平 (天野貴史・ショートパス)
 警告:前半10分:清水・枝村匠馬 (ラフプレイ)
    前半42分:横浜・鈴木健太 (ラフプレイ)
    後半04分:横浜・村岡樹里 (ラフプレイ)
    後半04分:横浜・村岡樹里 (異議)
    後半33分:横浜・飯倉大樹 (反スポーツ的行為)
 退場:後半04分:横浜・村岡樹里 (警告2回)

 試合内容については、横浜F・マリノスユース・ジュニアユース応援サイト、DASHも合わせて、ご覧下さい。


▼選手寸評

[私撰MVP]
●枝村匠馬 90分出場:シュート3(枠内1、得点1)、クロス1(成功0、左1)
 これが100%枝村匠馬だ。ユース年代随一を誇る横浜の中盤との対決が、潜在能力を十分に引き出した。谷口との空中戦、速い2トップへのカバーリング、サイドに流れる動き、全てが光ったが、それらも50Mロングシュートを彩る副菜に過ぎない。偶然ではない証に、枝村は昨年の愛媛戦でも、これを決めている。

[私撰MIP]
●大瀧義史 90分出場:シュート3(枠内3)、クロス2(左2)
 真司や真希と盛んに入れ替わって中盤を創りつつ、前回の対戦で苦しめられた天野の攻め上がりを遮断。豊富な運動量とキープの技術は攻守に効いていたが、大瀧の場合も得点を抜きにしては語れまい。技術と威力を兼ね備えたゴラッソなゴールは、バルセロニスタの某N氏も満足させことだろう(笑)。

●石垣勝矢 90分出場:シュート1(枠内1)
 競り勝った後のクリアの精度など、このレベルではもう一つ、繊細さがほしいどころだが、横浜のハーフナー大作戦に真っ向から対抗するなど、高さを披露。それだけでなく、1点を救ったカバーリングやアンティシペーションにも光るものがあった。凶悪なコーチングが戻ってきたのも、嬉しい限り。

[個人的好印象選手(相手方)]
 坂井洋平(2年):国体決勝録画を見て、化けたなあと思ってたが、鋭い左足は本当に驚異だった。
 荒井信哉(3年):裏に抜ける速さを広い幅で示し、単独で起点となっていた。普通に走って速いし。



2003年11月08日(土) JY: 高円宮杯 東海予選 名古屋グランパスエイト戦

03年11月08日10:15開始 名古屋市港サッカー場
 高円宮杯 第15回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会 東海大会
 兼 第35回東海地区中学生サッカー選手権大会
 対 名古屋グランパスエイト ※30分ハーフ

▼布陣
−−−−−−町田−−長沢−−−−−−

−−小出−−−−−−−−−−小泉−−

−−−−−−神田−−池田−−−−−−

− 桑原卓−佐野克 −岩本−−渥美−−

−−−−−−− 山崎晃 −−−−−−−

交代:後半00分:町田→滝戸 (そのままFWに)
   後半09分:小出→杉山和(そのまま左MFに)

名古屋グランパスエイトジュニアユース:

−−−−− 胡桃沢 −福田−−−−−−

−−−−−−−−魚住−−−−−−−−

−−石原−−土屋−−福島−−堀切−−

−−−−内田−−後藤−−森本−−−−

−−−−−−−− 岡 −−−−−−−−

交代:後半17分:堀切→花井


▼試合展開

 朝5時起きとか、眠いってんだよ、まだ暗いっつーんだよ。名古屋で10時15分開始というのは、清水からでも遠いだろうが、東京からはそりゃ強行軍なわけで。神奈川在住の某K氏は、深夜バスで前日出だったそうだ。お疲れさまです。途中、新幹線が停まるようになった品川で眠気覚ましにエスプレッソを買ったら、フタがしてあったのに移動中にこぼれたようで、2/3ぐらいになっていた。300円近くしたのに…。
 のぞみに乗って名古屋到着。金山経由、地下鉄名古屋港駅でバスターミナルへ。時刻表を見ると…、出たばかりで20分待ち。嘘だろ? 試合開始まであと45分。漸くバスが出ても、バス停ごとに乗るわ乗るわ、降りるわ降りるわ、信号に引っ掛かるわ引っ掛かるわ。健康のため、バス停一つ分ぐらいなら歩きましょう。10時08分頃に会場着。焦って、走って、どうにか間に合った。良かった。

 さて、対グランパス最終決戦である。名古屋の今年の中学3年生は、小学生から強い、強いと言われてきた世代。しかし、久々の黄金世代と言われる清水は、02年春のナイキカップ予選、02年冬のジュビロカップと、その名古屋に2戦2勝。クラブ選手権では、磐田に不覚をとった名古屋に対し、東海王者となって、全国でもベスト4の結果を残している。ただ、03年冬の東海中学生選抜サッカー大会では、18人中10人がグランパスの愛知選抜が、同じく10人がエスパルスで占める静岡選抜を、3−0の完勝で下している。
 清水は夏に比べると、幾らかメンバーが代わった。右SBを桑原彬から渥美に、ボランチに唯一の早生まれ選手・神田を抜擢。そして、長沢をFWで起用した。長沢クライフェルト化計画を(勝手に)目論む筆者としては、喜ばしい起用である(笑)。一方の名古屋は、主力の吉田・中西が不在。福島や後藤は戻ってきているので、Jrユース卒業というより、怪我か何かがあったのかもしれない。実際、吉田は松葉杖で戦況を見守った。いずれにせよ、戦力的には清水有利である。
 なお、今回の観戦記では、私より知識も豊富なお二方が書かれたものもありますので、そちらも合わせてご覧下さい。→川端氏タナカ氏

[前半]
総評:立ち上がりこそ、名古屋が攻める時間があった。10分には、GK山崎がクリアミス、更に中途半端に飛び出して福田に抜け出され、ガラ空きのゴールにシュートをファーポストが防ぐ、という場面があったが、次第に清水が優勢に。清水の中央の4枚は盤石の安定感で、高い位置でボールを奪うと、巧みに左右に捌いて試合を組み立てた。前線の2人、特に長沢はポストとしては機能しており、次々にサイド攻撃を引き出したが、フィニッシュ時に展開が遅くなる悪癖が顔を覗かせ、ゴールを割ることはなかった。名古屋は10分の場面を除くと、ミドルとアーリークロスがあったのみ。

名古屋       清水エスパルス
3(0) シュート 5(3) ×町田、○池田、○小出、×神田、○長沢
1(0) 右クロス 5(1) ○小泉、×小泉、×小泉、×小泉、○小泉
0(0) 左クロス 7(2) ×小出、○小出、×桑卓、×町田、○桑卓、×小出、×小出
1(0) 右側CK 0(0)
0(0) 左側CK 0(0)
1(−)  犯OS  0(−)
6(−) ファウル 2(−) 神田、小出


[後半]
13分:サイドに大きく開いて先行する小泉を、やや内側からフォローする渥美に対して、中盤右寄りでボールを持つ池田からパスが出る。渥美は軽く持ち上がると、速いタイミングで左足アウトサイドでのアーリークロス。名古屋DF、タイミングを狂わされたか、ヘディングクリアをカブり、裏で待つ滝戸が素早いワントラップからシュートを放つ。だが、これはGK正面、しかしリバウンドは長沢の元へ。長い足で抑ると、反転から丁寧な右足シュート、それがゴール左に決まり、清水が先制する。1−0。

総評:後半頭は、名古屋が猛攻。特に清水の右サイドを起点にされるが、中央の4枚は盤石で、名古屋の攻める時間が長かったにも関わらず、揺るぐことはなかった。すると、逆に速攻からエース(?)長沢が先取点を奪う。その後の清水は、攻撃はスピードのある左右MFにほぼ任せ、盤石の中央4枚に加えて両SBも守備を重視し、逃げ切りを図る。名古屋の攻撃をミドル2本に抑えるなど、それはほぼ成功していたが、終盤FKから森本にヘッドを許すと、続く福島のグラウンダーの右CKに、ニアで胡桃沢がフリー。しかし、シュートは枠上に外れ、残り時間は殆どなく、清水が対名古屋Jrユース3連勝を飾った。


(ほぼ全ての攻撃が長沢を経由した。これは中盤に下がって、ダイレクトでクサビを右の小泉に流そうとする場面)


(左CKからヘッドを狙うも、懸命に体を伸ばしてGK岡がクリア。長沢にはボールが低すぎたのか、体を折り曲げてます(笑))


(こちらは滝戸のポスト。恵まれた身体能力を活かし、僚友の和毅に落として攻め上がりを引き出す)

名古屋       清水エスパルス
4(1) シュート 6(3) ×小出、○滝戸、◎長沢、○和毅、×和毅、×小泉
1(0) 右クロス 1(1) ○渥美
3(0) 左クロス 3(0) ×和毅、×和毅、×和毅
1(1) 右側CK 0(0)
1(0) 左側CK 2(1) ○池田、×池田
3(−)  犯OS  0(−)
3(−) ファウル 4(−) 長沢、小出、桑卓、小泉


(勝ち進めるチームは常に一つ。代表で一緒になることも多いグランパスの吉田が、松葉杖に支えられて出迎える)


▼試合結果
清水エスパルスジュニアユース 1−0 名古屋グランパスエイト
 得点:後半13分:清水・長沢駿(なし)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●池田康彦 60分間出場:シュート1(枠内1)
 神田とのコンビは高さに不安も予想されたが、名古屋が繋ぐサッカーを志向してたこともあり、むしろ2人の足下と対人コンタクトの巧さが際立つ結果となった。特に池田は奪ってからの展開は速く、同時に味方の走り込みがよく見えており、スピード豊かなサイド攻撃の起点にもなった。

[私撰MIP]
●岩本大 60分間出場
 名古屋が中盤の潰しを嫌ってハイボールで狙ってくれば、佐野・桑卓の出番。その穴を的確に埋めたのが、岩本だった。例えサイドに競り合ったボールを流されても、幅広くカバーするセンスには驚嘆。ロングフィードの質も高かったが、時折狙いすぎて危ない場面を作ることもあった。

●長沢駿 60分間出場:シュート2(枠内2、得点1)
 185cmになったようだ。競り合いの強さとボールキープ時の懐の深さを垣間見せたが、課題を与えられてるのか、少ないタッチで捌くポストプレーが殆ど。最後はさすがに読まれたが、視野も精度もなかなかのものだった。FWとしては強引さに欠ける点は気になったが、清水のクライフェルトへと視界良好。

[個人的好印象選手(相手方)]
 後藤雄平(中3):素早いカバーと正確なスライディングが印象的。3月10日生まれ。
 福島新太(中3):守備に追われたが、時折センス溢れるパスで脅かした。1月28日生まれ。


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他の試合:
JUVENTUDE F.C 3−0 桑名市立陵成中学校
 得点:25尾藤、29新川、49杉山貴
 SH数(枠内):15(7)−2(0)
 CK数(成功):3(0)−0(0)


四日市中央FC 0−4 スポーツクラブ岐阜VAMOS
 得点:01西沢、29西沢、33大塚、35西沢
 SH数(枠内):7(4)−13(8)
 CK数(成功):2(0)−2(1)

四日市中央FC:          スポーツクラブ岐阜VAMOS:
−−−−−高田−−遠藤−−−−− −−−−−吉浦−−佐光−−−−−
−伊藤−−−−−−−−−−亀山− −西沢−−−−−−−−−−大塚−
−−−−−中村−−佐竹−−−−− −−−−−花井−−遠藤−−−−−
−下田−−中森−−加藤−−水谷− −丹下−−大澤−−岩本−坂井田−
−−−−−−−田中−−−−−−− −−−−−−−宇野−−−−−−−
30:加藤→黒田、佐竹→内田    53:遠藤→益田、佐光→山下
40:伊藤→眞田          57:吉浦→森野
51:亀山→片


ヤマハジュビロ浜北 1−1 FC. FERVOR愛知
     (PK戦 3−4)

 得点:31伊藤(FERVOR)、59水野(浜北)
 SH数(枠内):22(7)−7(2)
 CK数(成功):10(7)−1(0)
 クロス(成功):17(9)−4(2)

ヤマハジュビロ浜北:       FERVOR愛知:
−−−−−稲葉−−鈴木−−−−− −−−−−喜田−−伊藤−−−−−
−−−−−−−水野−−−−−−− −−−−−−−山下−−−−−−−
−平塚−−山田−−今枝−−広野− −宮原−−桜井−−加藤−−諏訪−
−−−永井−−水川−−大堀−−− −−−平田−−古賀−−川本−−−
−−−−−−−村松−−−−−−− −−−−−−−安藤−−−−−−−
37:大堀→市野          24:諏訪→加藤
                 55:山下→清水
                 58:平田→吉田

[個人的好印象選手]
 平塚雄樹(浜北・中3):飛び出しのタイミングと速さでサイドを完全に粉砕。これで持続力があれば…
 古賀好高(FERVOR・中3):サイドは崩されたが、中央で高さと強さと粘りを発揮、精度を落とさせた。



2003年11月03日(月) Jユース杯 予選リーグ 横浜F・マリノス戦(H)

03年11月03日14:00開始 静岡市清水蛇塚スポーツグラウンド
 第11回Jユースカップ2003 Jリーグユース選手権大会
 対 横浜F・マリノスユース(H) ※45分ハーフ

▼布陣
−−−−−−阿部− 篠田悠 −−−−−

− 鈴木真 −−−−−−−−−上埜−−

−−−−−−大瀧−−枝村−−−−−−

−−岡村−−村越−−石垣−−森安−−

−−−−−−− 山本海 −−−−−−−

交代:後半17分:上埜→八木(篠田悠を右MF、真司をFW、八木を左MFへ)

横浜F・マリノスユース:

−−−−−−村岡−−荒井−−−−−−

−−−−坂井−−−−−−鈴木−−−−

−−−−−−三浦−−谷口−−−−−−

−−田中− 加藤広 −今田−−天野−−

−−−−−−−−飯倉−−−−−−−−

交代:後半17分:村岡→岩田、後半37分:荒井→佐藤


▼試合展開

  雨×蜘蛛×蛇塚
 いや、クモとか文字を見るのも嫌な人がいたら、ご免なさい。でも、デカイ、デカイっスよ、蛇塚のクモ。写真に撮って、このHPにUPしようとも思ったが、さすがにそれはグロ画像になりそうで、やめた(笑)。某T氏のご厚意で、車での到着。相変わらずの坂道を山登りした先では、芝と管理棟は綺麗だが、周囲のネットとついでにゴールネットもクモの巣だらけだった。
 トップの広島サテとの練習試合で三保が使われたため、蛇塚に変更。その処置自体に不満はないのだが、ならばトップと時間をズラしてくれれば、両方見られたのに…。最近はJリーグの後座にJユースカップの試合をやるようなクラブもあるというのに、どうもウチのクラブはズレている。そのトップだが、4−1で快勝!という声もあったようだが、高2の高柳にミドルを決められたのは、憂慮すべき事態だと思うぞ。


(ここは、どこの秘境ですか?)

 清水は、湘南戦後半6分以降の布陣を、そのまま適用。ううむ、中1日の試合なだけに、少しは変更してくるかと思ったのだが。ここは選手の若さに期待しよう。継続して起用されないと、見えてこないものもあるし。真希が帰ってくる前の最後の試合、Jユースカップから使われるようになった、石垣・悠輔・上埜・岡村といった下級生の頑張りに注目。
 一方の横浜は、3試合を終えて2分1敗と非常に厳しい状況に追い込まれている。とはいえ、柏との1分1敗は主力9人を国体の事前準備に送り込んだ結果であり、湘南との1分も怪我人の多さに泣かされたもの。この日は怪我から元U-17日本代表の鈴木に、元U-16代表で国体優勝GKの飯倉も復活し、ボランチに唯一の1年生である三浦が抜擢された他は、ベストメンバーとなった。谷口が復活した分、広島を最後まで追い込んで、結局ベスト4となったクラブ選手権より、強力な陣容になったかもしれない。


(選手入場。両チームに一人ずつ、遠近感を狂わす輩がいますな。共に鶴見よりデカイ)

[前半]
 事前の展望記事で、筆者はこう書いたものだ。「似通った相手なだけに、むしろ異なる部分=自分たちの特長を出せた方が勝つだろう。清水の場合は、やはりサイドの攻防において上回りたいところだ」 開始1分、早速ロングFKから193cm加藤広が頭でオープニングシュートを放ったものの、その後は潰し合いを経て、左サイドの高速2年生コンビが徐々に主導権を掴み出す。
 4分、早くも真司が左から切れ込んでシュート体勢!は、今田のブロックに阻まれたが、フォローした大瀧が左クロス、阿部が足下で受けて後ろに戻したが、これは枝村に合わず。しかし、9分、枝村のスルーパスからまたも真司が左サイドを切り刻み、角度のない位置からシュートを狙うが、GK飯倉が弾き返す。それを大瀧がフォロー。柔らかい左クロスを送り込むと、競った阿部が小さく右に落としたところに悠輔、頭上のボールに右足を高く上げ、やや内角をねらい えぐりこむように打つべし! アクロバティックな体勢から放ったと思えない、シャープなシュートがゴール左を襲ったが、飯倉が素晴らしい反応でこれを抑えた。続く10分にも、枝村が奪取からスルーパス、またまた真司が左サイドに抜け出し、左クロスを阿部が再度左に叩いて、真司の左クロスリピートにニアの大瀧が左足ボレー。しかし、左に外れた。
 14分、クリアを悠輔が奪って二次攻撃、小さく叩いて大瀧のミドルはDFがブロックするが、高く弾んだボールを枝村が身長を利用して抑え、左にチェンジサイドすると真司がダイレクトクロス。GK飯倉、意表を突かれフィスティングをミスするが、清水FWが詰め切れず。更に18分、真司のパスから阿部が突破、加藤広のファウルを誘うと、PA左角35Mから枝村が直接狙うが、ファーの上角を正確に突いたシュートをGK飯倉ディフレクト。24分にも悠輔の突破を今田が倒し、ハーフラインから村越のFKに阿部が頭で合わせたが、これも飯倉が抑える。続く大瀧の左CKは森安が中央、頭で流し、ファーの石垣がボレー狙うが枠の左。とはいえ、清水は真司を軸に、ドリブルとダイレクトパスを交えたテンポの速いサッカーで、横浜の応対を後付けにしていた。
 更に攻める清水は27分、左サイドから突破を仕掛けた真司が、DFの対応を見て反転、ボールを戻すと、受けた大瀧からサイドを疾走する岡村へとスルーパス。岡村の左クロスは今田に跳ね返されるが、大瀧が素早くフォロー、小さく真司に預けたつもりが、PA外・左45度30Mから鮮烈なミドル。観衆の度肝を抜く猛烈な弾道だったが、ファー上角の狙いにGK飯倉が反応、ディフレクトして逃れる。

 横浜は28分に一瞬の隙、裏を狙ったスローインに村越がボールが滑ったか、キックミスすると、荒井が拾って即シュート。だが、ニアポストに嫌われる。その後は清水が両サイドを使った攻撃を仕掛けていたが、31分。横浜は右に流れた村岡がドリブル突破を仕掛けるが、抜かれかけた岡村と真司が何とかスピードで追いつき、村岡はフォローする鈴木に戻す。半円状にパスが谷口を経由して坂井に渡ると、森安が対応。互いに間合いを探りながら、徐々に斜めに左外へ動いていたが、坂井は急加速で森安を一瞬外し、ゴール前を横切る速いクロスを送る。GK海人とCBは中央の荒井に釣られ、誰も触れずにファーに流れると、村岡がガラ空きのゴールに詰めて、横浜が先制する。0−1。ちなみにこれが、前半31分、初の横浜の枠内シュート。30分までは、シュート数7対3(枠内シュート数5対0)と圧倒していた清水、不意を突かれての失点だった。

 試合再開、村越や岡村が後ろから、「(今までの展開を)続けていこう!」と声を掛ける。しかし、サッカーはそう簡単なものではない。事前の展望記事で、筆者はこうも書いている。「類似するシステムを採用し、実力も拮抗する相手だけに、中盤の主導権争いが鍵を握るだろう。予想される潰し合いに負ければ、一方的な試合もありうる」 波に乗る横浜は出足で完全に清水を上回り、圧倒的に攻勢。押し込まれた清水は、自然とロングボールが増えるが、空中戦の1対1で全く勝てない。そもそも身長で上回るのが、真司(169cm)−天野(165cm)の1カ所しかなく、中央での競り合いに悉く負けたのが痛かった。今更ながら、真希の不在を痛感させられる。
 34分、悠輔のポストを強引に潰した谷口が中央突破、左に捌いて田中の角度30度35Mシュートはキレがあったが、GK海人。37分、鈴木が右コーナーフラッグ付近でキープし、CKを誘い出すと、キッカー田中の選択はショートコーナー。戻されたボールから右クロスを入れると、ゴールに向かって巻くボールをファーで加藤広が合わせ、ボールはネットに吸い込まれた。が、判定はオフサイド。39分、スルーパスで抜け出した村岡は海人の飛び出しが潰すが、続く左CKを加藤広が落とし、DFクリアを拾って今田のミドルは左に外れる。ここが勝負の時と、横浜監督・安達っあんと清水監督・築館っあんの大声が響き渡る中、横浜は41分に右、左とCKの好機を得るが、荒井が落としたボールに反応できない。ならばと43分、田中のシュートがDFのワンタッチあって、掴んだ右CK、今度は荒井が直接ヘディングシュートで狙ったが、GK海人がフィスティング。それを鈴木が後ろに戻し、誰か(…)がミドルで狙ったが、左に外れる。
 その後、ロスタイムは殆どなく、命辛々折り返し。30分〜45分の15分間に、横浜からシュート9本(枠65本)、CK5本(成功4本)の猛攻を浴び、その間、清水には1本のシュートも、クロスも、CKも、オフサイドすら記録されなかった。

横浜FM      清水エスパルス
12(6) シュート 7(5) ○真司、○悠輔、×大瀧、○枝村、○阿部、○真司、×石垣
4(1) 右クロス 2(0) ×上埜、×上埜
4(0) 左クロス 8(4) ×真司、○大瀧、○大瀧、○真司、○真司、×真司、×岡村、×岡村
3(1) 右側CK 2(1) ×大瀧、○大瀧
3(3) 左側CK 0(0) 
2(−)  犯OS  3(−) 阿部、真司、阿部
8(−) ファウル 10(−) 悠輔、村越、上埜、阿部、村越、悠輔、岡村、??、悠輔、阿部


[後半]
 ハーフタイムに何らかの対策が打たれるかと期待されたが、或いはベンチの思惑以上に横浜の圧力は強いのか、流れは全く変わらない。開始0分、FKから谷口に後半初シュートが記録されると、ワンタッチあって左CK。ファーに流れるが、これもワンタッチあって、横浜のスローインとなる。1分、素早く投げ入れた横浜、裏に天野が待って受けると、対応した村越に左と見せて右に切り返し、シュート。しかし、前に進んだため角度が消え、鋭いシュートはニアポストを直撃する。天野は続く2分にもオーバーラップから右クロスを送り、ニアで村岡が頭で擦らす、惜しい場面を作っている。
 4分、荒井のスルーパスから、村岡が石垣に走り勝ってGKと1対1になるが、シュートはゴール右に外れる。焦りからか、それともとにかくシュートを打ってカウンターを食らわないようにとの思慮か、横浜はなにしろシュートが枠を捉えない。こうなると、攻め疲れが見え始めた横浜に隙が見え始め、8分に大瀧→阿部がヒールで戻して反転→大瀧がスルーパス→第三の動きの悠輔が抜け出す、という良い形を作りかけるが、GK飯倉が正しい判断で飛び出し、悠輔のファウルを誘って、これを潰した。だが、11分にも森安が粘って起点を作り、横に叩いて上埜が右クロス。阿部が競り合う飯倉の上からヘッドを叩き付けるが、勢いなく、カバーに入っていた天野がクリアした。後半10分までに横浜は8本のシュートを放ったのだが、全て枠を外している(つまり前半30分からの25分間で、シュート17本・枠内6)。

 11分に村岡がイエロー、17分に両者一人ずつ選手交代があり、流れは徐々に変わっていく。横浜はプレーに精度がなくなり、プレスも弱まったことで、清水はグラウンダーのパスを繋げるようになり、中盤の支配を回復した。とはいえ、守勢の清水に疲れがなかったはずもなく、サイドのフリーランに乏しかった。そこで、枝村と阿部が積極的にサイドに流れ、どうにか試合を組み立てる。18分、村越の長いFKを受けた真司が溜め、左に流して阿部のミドルは大きく上に外れたが、21分には海人が蹴ったボールに阿部が下がってポストに入ると、余裕を持って左へと捌く。大瀧が更にサイドへ流すと、八木からの縦パスで真司がスピードに乗って、PA内に切れ込んでシュートを放ったが、読んだGK飯倉の飛び出し。24分には、悠輔の奪取から、ボールを受けた真司がボールに触れないマルセイユターンで前を向くと、その間に前へ出た枝村へ。阿部にスルーパスを送るが、惜しくもオフサイドの判定。
 27分、スローインから悠輔を経由して真司がドリブルで切れ込むが、DFに弾き返される。だが、PA手前にこぼれたボールを石垣が前に出てフォロー、小癪なサイドステップで翻弄し、左に捌くと八木が左クロスを送ったが、これはファーに流れ、クリアが悠輔に当たって横浜のスローインに。28分、しかし、悠輔のチェックでルーズになったボールに反応した大瀧が、PA外ほぼ中央25Mから思い切り良くミドルを放つ。中央から右外に逃げる弾道は、GK飯倉の守備範囲、…に思われたが、加藤広の脇に当たって軌跡変更。飯倉の腕の届かない右サイドネットに突き刺さった。1−1。押し切れない清水だったが、幸運を味方にして試合を振り出しに戻す。

 これで横浜も攻めに出ざるを得ない。29分に、天野のアーリークロスを村越が跳ね返すが、岩田が拾って鈴木を経由して戻したところ、谷口がミドルを放ったが、枠を外す。9分に谷口が40MのFKからヘッドを放って以来、実に20分ぶりのシュートだった。攻撃にリズムがあるのは、清水の方。31分、クリアを拾った八木のドリブルからパスが出て、真司が突っ込むが、GK飯倉のナイス飛び出しに阻まれる。38分には、悠輔から繋いで枝村が右サイドスペースを突破、斜めに送るスルーパスがゴール正面で阿部に通った、に思われたが判定はオフサイド。阿部は遅れて飛び出していたので、右に開いて待ち、パスが出た後はオンサイドに戻ろうとしていた真司が対象にされたとは思うが…。この間、激しいコーチング合戦を繰り広げていた両監督だが、横浜の安達監督はDFの佐藤を用意、今田をボランチに上げ、長身の谷口をFWに動かし、冷静にパワープレイ可能な布陣を築いていた。
 41分、横浜FKの跳ね返しから速攻、八木→岡村→八木と渡って左サイドを突破し、左クロスがファーに流れたが、悠輔はボールをキープできない。疲れと焦り横浜の粘りで、良い形の一歩手前で潰される場面が続く。横浜は44分、シュートブロックから右CKのチャンスを掴み、田中のキックにファーで谷口が合わせたが、僅かに上。この時、時計は45分を回り、ロスタイムに突入した。
 最後の攻撃を仕掛けたのは、横浜。前に入れ替わってPA内左に流れた今田だが、森安の対応を見て、後ろに戻す。そこに坂井、鋭く巻き込む左クロスを入れたが、途中で味方の谷口の側頭部に当たってしまう。これはアンラッキー、かと思いきや、再びPA内左の今田の元へ渡り、結果としてオッケー。今度はフリーの今田、左足で激しく回転するクロスを送ると、ファーポスト前で待つ岩田の顔面に直撃、これはアンラッキーと思いきや、上手くボールの勢いが殺されてネットに吸い込まれた。1−2。マリノスイレブンは法悦境、清水は意気沮喪。何故にサッカーの神様は、常に両者の対戦に、劇的な幕切れを用意しているのだろうか。ちなみにこれが、後半45分、初の横浜の枠内シュートであった。
 その後、ロスタイムは20秒もなく、46分31秒にてタイムアップ。非常に痛い2敗目となった。真希が戻ってくる残り2試合、決勝トーナメント進出のために必要な勝点は、恐らく「6」である。


(ピンボケですいません。挨拶を早々に済ませ、ベンチに戻る選手。リベンジの機会は、1週間後だ!)

横浜FM      清水エスパルス
12(1) シュート 4(3) ○阿部、×阿部、○真司、◎大瀧
4(1) 右クロス 2(1) ○上埜、×大瀧
3(1) 左クロス 4(1) ×八木、×八木、○八木、×枝村
2(1) 右側CK 1(0) △大瀧
2(0) 左側CK 1(0) ×枝村
1(−)  犯OS  3(−) 阿部、阿部、真司
11(−) ファウル 8(−) 村越、森安、悠輔、村越、村越、八木、岡村、森安


▼試合結果
清水エスパルスユース 1−2 横浜F・マリノスユース
 得点:前半31分:横浜・村岡樹里(坂井洋平・左クロス)
    後半28分:清水・大瀧義史(なし)
    後半44分:横浜・岩田修 (今田傑 ・左クロス)
 警告:前半29分:横浜・天野貴史(遅延行為)
    後半03分:清水・森安洋文(ラフプレイ)
    後半11分:横浜・村岡樹里(ラフプレイ)
    後半21分:横浜・岩田修 (ラフプレイ)


▼選手寸評
[私撰MVP]
●枝村匠馬 90分出場:シュート1(枠内1)、クロス1(成功0、左1)
 今日の枝村匠馬度は70%ぐらいか。運動量は完全に復活。それに伴い、全ての攻撃は枝村を経由するほど、絶対的な存在感を取り戻した。あらゆる場所に顔を出しながら、適材適所の仕事ができるのが大きい。次節、恐らく真希が復帰するが、何でもしてくれる真希に任せ過ぎず、この存在感を保てるか、注目だろう。

[私撰MIP]
●鈴木真司 90分出場:シュート3(枠内3)、クロス4(成功2、左4)
 真司のセンスは高速過ぎて、味方すら付いてこれないことがままあるのだが、この試合は親友枝村と同じ高速ドリブラーの岡村の支援を得て、潜在能力のスロットルを広げることに成功した。特に前半30分間は、対面の同学年でU-17代表の天野をドリブルとダイレクトプレーで圧倒。守勢時の消え方は問題だが、凄いよ。

●山本海人 90分出場:被シュート24(枠内7、失点2)
 2失点とも、あと一歩で防げた悔やまれる失点だったが、雨の中で慎重に、だが時に大胆に最後の砦を守った。裏を狙う速さに思い切った飛び出しで対応し、繰り返されるセットプレーには積極的に体を張った。生半可なミドルじゃ涼しい顔で受け止める、或いは見送る、その態度がとても素敵。

[個人的好印象選手(相手方)]
 今田傑(3年):加藤広の高さも目立ったが、決定機を防いだのは今田の読みとライン統率だった。
 鈴木健太(3年):右サイドに限定しない多彩な動きとキープで、横浜の攻撃に幅を与えた。



2003年11月01日(土) Jユース杯 予選リーグ 湘南ベルマーレ戦(H)

03年11月01日15:00開始 清水エスパルス三保グラウンド
 第11回Jユースカップ2003 Jリーグユース選手権大会
 対 湘南ベルマーレユース(H) ※45分ハーフ

▼布陣
−−−−−阿部− 篠田悠 −−−−

−大瀧−−−−−−−−−−上埜−

−−−−−真司−−枝村−−−−−

−篠田大−村越−−石垣−−森安−

−−−−−−−海人−−−−−−−

控え:前田、高柳、高野美、岡村、柴田、谷野、獅子内
交代:後半00分:大瀧と真司のポジションを入れ替える
   後半06分:篠田大→岡村 (そのまま左SBに)
   後半29分:篠田悠→獅子内(そのままFWに)
   後半44分:真司 →谷野 (そのまま左MFに)

湘南ベルマーレユース:

−−−−−永里− 中村友 −−−−

−−−−−−−宮崎−−−−−−−

−鶴見− 宇佐川 −飯塚−−田辺−

−−−齋藤−−渡部−−鈴木−−−

−−−−−−−徳永−−−−−−−

交代:後半15分:宮崎→北村、後半36分:飯塚→吉川、中村友→加藤


▼試合展開

 三連休の初日と最終日に2試合というのは、やってる選手達も大変だろうが、観る方も結構、大変である。私の場合、清水での試合の方がアウェイだし。本来なら、浜松の実家に泊まって楽をしたいところだが、この日は都合悪く、東京で飲み会を予定。たらふく呑むためだけに戻るのは少し馬鹿馬鹿しいが、まあ、それも人の世というヤツなのであろう。そして、実際にたらふく呑んで、終電で帰ったわけだが。

 さて、湘南と、ホームでの再戦である。清水の方は、メンバーだけ見ると、先週の柏戦から右MFが谷野から上埜に変わっただけの格好だが、実際には大きな変更点が。左MFを大瀧のままにして、真希のいないボランチに動かしたのは、普段はFWの真司! しかも、枝村ワンボランチで真司が前目というわけではなく、普通にフラットに並んだ。これが一体、どうなることか。メンバー表によると、先発の平均年齢は17.18歳。
 一方の湘南。前回の対戦と比べると、代わったのは藤田→飯塚だけ(清水は高柳→石垣、真希→悠輔、谷野→上埜の3人)。しかし、システムは3−5−2に変更、サミア直伝?のフラット3で中盤を厚くし、プレス合戦を仕掛ける。1年生は齋藤・宮崎の2人だけだが、2年生6人、3年生3人の若いメンバーで、先発の平均年齢は16.64歳と、清水よりも半年以上も若い。それ以上に、平均身長が171.9cmと小さく(清水は174.8cm)、トルシエ日本と同様に中盤で勝負を仕掛けたいところだろう。


(試合前の整列。凸凹な清水(特に先頭の2人)に比べ、湘南は平均して小さい)

[前半]
 試合は、どこか様子見で慎重に始めたい清水の機先を制そうと、湘南が選手全員、積極的な動きを見せる。フォアプレスで満足にボールを回させず、潰し合いに持ち込むと、4分に左サイド鶴見のスローインを最終ラインの裏で待つ中村友が受け、そのまま独走。左60度PA直前で放ったミドルは右下隅を狙ったが、清水のGKは海人、そこはキチンとキャッチする。
 以後も互いに高いラインを保ち、中盤の潰し合いに終始。11分に、GK海人のロングキックを阿部が競り落とし、枝村が正確なトラップからスルーパス、阿部のシュートがゴールを揺らしたが、これはオフサイド。渡部のライン統率が冴え渡る。ならば清水は、渡部の判断の間に合わないタイミングでパスを出したいところだが、激しいプレスに晒されて、なかなかPA周辺で起点を作れない。そのため、両SBが攻撃参加できず、厚みが生まれなかった。13分に枝村のクサビから阿部のポスト、戻して真司が30Mミドルで漸く初シュートが記録されるが、後が続かない。17分に清水が大瀧、19分に湘南が中村友が高いラインの裏を取るが、互いにDFの寄せが早く、決定機に結びつかなかった。

 27分、湘南は3月30日生まれ田辺の右アーリークロスに、またも中村友が裏に抜け出すが、素早く飛び出したGK海人が188cmの体でコースを完全に塞ぎ、そのまま交錯して跳ね返す。すると清水も28分、左の大瀧から枝村→悠輔→枝村と捌いて右へと展開、角度30度から阿部が強烈な20M砲を発射するが、GK徳永の好守。これで試合が動き出し、清水は大瀧の左サイドに起点を作って、FWとMFが繋がり出す。
 しかし、湘南は中央3枚のDFの集中が途切れず、最後の一線を崩さない。逆に36分には、宮崎のクサビを受けた中村友がトラップで村越のチェックを外し、永里にスルーパスを送る場面があったが、惜しくもオフサイドの判定に阻まれる。清水は38分に、大輔がアンティシペーションして奪ったボールを枝村がチェンジサイド、上埜のクロスに阿部と悠輔の2枚が飛び込む場面があったくらいで、これもGK徳永の判断の良い飛び出しに防がれる。
 湘南にとって、得点こそ奪えないものの、中盤の潰し合いが続いて互いにゴール前の場面の少ない展開は、前半としては望むべきものだったろう。だが、42分、湘南の最終ラインでのパス回しに悠輔が食いつくと、奪われた鈴木が悠輔のドリブルに食いつき返し、左CKに。前半3本目のCKは、初めての枝村サイド。やや緩いボールを低く蹴り込むと、ファーに流れながら「空中戦最強」石垣が折り返す。叩き落とさず、高さを保って戻したボールを、ニアポスト付近の村越は競り勝つことに専念すれば、あとは頭で押し込むだけで良かった。1−0。
 その後、湘南はFKの好機があったが、中央から右に流して齋藤の狙ったシュートは大きく上に外れる。非常に良い時間帯に先制した清水が、余裕を持って試合を折り返した。

湘南        清水エスパルス
2(1) シュート 3(3) ○真司、○阿部、◎村越
1(1) 右クロス 2(0) ×大瀧、×上埜
2(0) 左クロス 5(1) ×枝村、×大瀧、○大輔、×大輔、×大瀧
0(0) 右側CK 2(1) ×大瀧、○大瀧
1(1) 左側CK 1(1) ◎枝村
3(−)  犯OS  4(−) 大瀧、阿部、阿部、大輔
5(−) ファウル 6(−) 上埜、森安、悠輔、阿部、悠輔、上埜


[後半]
「見えねえよ」

 序盤は湘南のプレスが復活し、再び潰し合い。だが、2分に大輔のロングフィードから裏に抜けた阿部がループ(枠上)、5分にドリブルする宇佐川の横パスをカットした枝村が、逆に50Mを持ち上がり、小さく右に流して上埜が右クロス(渡部クリア)と、余裕のある清水の方が効果的であった。前半、真司のボランチは破綻はなく、特に運動量の点で守備面では効いていた面もあったのだが、後半に大瀧をボランチに戻すと、両ボランチの展開力が高まり、また大瀧と枝村が交互にトップ下に上がってキープ力を生かすことで、左右中央に起点を作れるようになってきた。
 10分には、ポストに入った悠輔が粘る間に、森安が中盤中央に攻め上がってボールを受ける。そこから、阿部に再びクサビ、戻して枝村がサイドチェンジ、大瀧が受けて左クロス、枝村がPA内に飛び込んでダイレクトボレー。全て2タッチ以下で繋ぐ鮮やかな攻撃だったが、GK徳永が素早くコースを塞ぎ、ゴールを割らせない。湘南は11分、中村友が石垣を交わして30Mを突破、ループを放つが枠上へ。
 13分にも湘南は、鶴見が左サイドから突破するが、中に切り返したところを森安がカットし、ボールは枝村へ。枝村に宮崎と宇佐川がチェックに来るが、タックルを弾き飛ばして、体勢を崩した2人を抜き去る。そのままハーフウェイラインまで持ち上がってから、左サイドへとスルーパス。そこに親友・真司が抜け出し、こちらも早い判断で、最終ラインの裏を転がす左クロスを送る。悠輔は左から斜めに走り込み、GKの位置を見て、小さく左足を振り抜くと、低く強いシュートをファーサイドへ突き刺した。2−0。悠輔のユース初ゴールは、凄みは殆どない、簡単な場面で簡単に決めたゴール。だが、基本に忠実な自然な動きは、目を見張るものがあった。

 畳み掛ける清水は、真司と岡村の高速左サイドコンビが、次々に左サイドを切り刻む。攻勢時のこの2人の圧力は、強力であった。18分には、大瀧→枝村と繋いで岡村が受けると、真司とのワンツーで縦に抜け出し、左クロスに悠輔ボレーはDFブロック、だが岡村自ら拾ってシュートを放ったが、これもDFが防いだ。岡村は縦突破に留まらず、直後の19分には、左サイドからアーリークロスを上埜がマイナスに戻し、大瀧が痛烈ボレー。GK徳永、素晴らしい反応で防ぐ。
 対する湘南は21分、枝村のクサビのパスを読んだ永里が、正面に突っ込んでカット、その勢いで枝村を抜き去る。左に叩いてフリーの鶴見は右に切り返し、シュートエリアに入ったが、選択したのは左クロス、ニアに斜めに入ったボールへ中村友が飛び込む。しかし、GK海人も飛び込み、シュートをブロック。だが、中村友は素早く立ち上がり、転がったボールにゴールライン寸前に追いついて、左角度5度から再度シュートを放つ。十分に力の込められたシュートだったが、同じく素早く立ち上がったGK海人が、自らの体重でボールの勢いを殺し、ライン上でゴールを阻んだ。
 だが湘南は、北村投入で前半消えていた永里がトップ下に下がると、そこを起点に徐々に攻撃の形が見えてきた。23分にも永里は、トップ下の位置から石垣を切り返しでコースから外し、ミドルを放っている(海人キャッチ)。互いに次の1点を狙って、攻守が目まぐるしく変わる面白い展開が続いた。
 一方、清水の起点は、やはり左。24分、中盤左サイドの岡村が前方の真司にクサビを当てると、自慢の快速で疾走、単純なワンツーで簡単にサイドを破ると、上げた左クロスに阿部が左足ボレーで合わせる、完璧に崩した形。だが、肝心のシュートが当たり損ねでヘロヘロ。しかし、体勢を崩されていたGK徳永は弾き返すのが精一杯で、そしてリバウンドは運悪く阿部の元へ。後ろ向きで受けた阿部だが、反転、…の最中に左足一閃。一つ早いタイミングに徳永は対応しきれず、ボールは右サイドに突き刺さる。3−0。

 清水は続けて26分にも、クサビのボールをPA右角で受けた悠輔、反転してスルーパスを送ると、右スペースにいつの間にか枝村。ピンポイントクロスで狙った先のニア、爆撃機・阿部の豪放そのもののダイビングヘッドが炸裂する。決まったかに思われたが、GK徳永の反応速く、これを弾き、こぼれたボールをDFがクリアした。悠輔は、これでお役ご免。獅子内は彼自身の動きは悪くなかったが、結果として清水の攻撃は一段落する。やや引き気味に守りながら、縦に速いカウンターで前方のスペースを脅かすことで、逃げ切りを図った。湘南も36分にリベロの渡部をボランチに上げ、引いた清水に対しボール支配を回復する。
 すると、攻勢時には問題なかった攻撃的な左サイドに、徐々に穴が見えてくる。33分には、ロングフィードの空中戦で、岡村が北村に競り負け、それに釣られた村越の裏へと中村友が走り込む。ドリブルは石垣がタックルで右CKに逃げるが、鶴見のキックが低く入ると、これをクリアできずに混戦。そこから誰か(…)がシュートを放つと、GK海人の腕は及ばなかったが、右ポスト前に立っていた岡村?がクリアし、事なきを得る。清水も39分、大瀧のスルーパスから左に流れた阿部が後ろに戻すと、真司を経由して岡村がアーリークロス。それをファーで上埜が「普通に左足で狙えよ!」的な技巧派の本領発揮、強烈な右足アウトサイドボレー。観衆に驚嘆の声を上げさせたが、僅かに右に外れた。
 今度は湘南。42分、やはり右サイド(清水の左サイド)を起点にして、中央に繋いだボールを宇佐川?が左へと展開。中に絞っていた清水DFはスペースに流れた永里を完全にフリーにしており、仕方なくクロスを跳ね返すことに集中。十分に縦に抉って上げたクロスは、ゴール前を横切って転がる速いボール。森安はカットできず、ニアに飛び込んだ加藤に石垣が競り合い、GK海人もシュートに備える。が、意図的かは不明だが結果としてスルー。ファーで待つ北村がガラ空きのゴールに蹴り込み、一矢報いる。3−1。北村は喜ぶそぶりも見せず、ボールを拾ってセンターサークルへと戻っていった。
 だが、その後に大きな動きはなく、湘南が前半同様に終盤に得たFKも、鶴見が外してしまった。快勝を飾ったが、高円宮・滝二戦、全クラ大分戦、プリンス磐田戦・藤枝東戦などと同様に、残り5分で完封勝利に失敗してしまった点は、自省してほしいところだ。


(試合終盤。こちら側はまだマシだが、暗くて見えづらかった。阿部がトップ下に下がって、クサビを左に捌いた場面)

湘南        清水エスパルス
10(6) シュート 12(8) ×阿部、○枝村、×枝村、◎悠輔、○岡村、○大瀧、○阿部、◎阿部
               ○阿部、○大瀧、×獅子、×上埜
2(0) 右クロス 2(1) ×上埜、○枝村
5(3) 左クロス 12(8) ×岡村、○大瀧、○真司、◎真司、○岡村、○岡村、○岡村、×枝村
               ×岡村、○枝村、○岡村、×真司
1(0) 右側CK 1(0) ×大瀧
2(0) 左側CK 2(0) ×枝村、△枝村
1(−)  犯OS  0(−)
7(−) ファウル 9(−) 悠輔、森安、阿部、森安、岡村、枝村、枝村、森安、岡村


▼試合結果
清水エスパルスユース 3−1 湘南ベルマーレユース
 得点:前半43分:清水・村越大三 (石垣勝矢・ポストプレー)
    後半13分:清水・篠田悠輔 (鈴木真司・左クロス)
    後半24分:清水・阿部文一朗(なし)
    後半42分:湘南・北村尚人 (永里源気・左クロス)
 警告:後半44分:清水・岡村総一郎(ラフプレイ)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●枝村匠馬 90分出場:シュート2(枠内1)、クロス4(成功2、右1左3)
 今日は80%枝村匠馬ぐらい。質と量の両面で動きが良く、前線は左右中央の全てに顔を出し、パスにクロスにシュートに、攻撃に絡んだ。得意の大きな展開にドリブルスピードも速く、欠けていたのは強烈なミドルぐらいか。守備でも頑張っていたが、フィルター役を任せられるには粘りが足りない。

[私撰MIP]
●岡村総一郎 39分出場:シュート1(枠内1)、クロス6(成功4、左6)
 余りある攻撃力で主導権を握り、真司と組む守備も破綻を来さなかった。その快速を存分に発揮、80Mを往復する持久力もさすが。岡村の速さにパスを完璧に合わせた真司も見事だった。一方で的確にファーに合わせるアーリークロスなど、今までと違った大きな展開も見せている。守備の脆さがなければ、MVP。

●阿部文一朗 90分出場:シュート5(枠内4、得点1)、クロス1(右1)
 前半こそ高いラインに苦しんだが、DFラインの平均身長は172cmということで、パスさえ供給されればマークは一切問題にしなかった。パスの来ない時は、サイドに流れて自らの突破で起点になるなど、工夫が見える。阿部と悠輔の2人が絡む機会が少ないので、その点が課題だろうか。

[個人的好印象選手(相手方)]
 中村友昭(2年):最後まで掴みきれなかった。速いだけでなく、いやらしい動きができる選手。
 渡部翼(2年):前半は高いラインと鋭い読みでパスを遮断した。それはボランチとしても同様。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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