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2003年09月21日(日) Jユース杯 予選リーグ 湘南ベルマーレ戦(A)

03年09月21日14:00開始 馬入ふれあい公園サッカー場
 第11回Jユースカップ2003 Jリーグユース選手権大会
 対 湘南ベルマーレユース(A) ※45分ハーフ

▼布陣
−−−−−真司−−阿部−−−−−

−大瀧−−−−−−−−−−谷野−

−−−−−真希−−枝村−−−−−

−篠田−−高柳−−村越−−森安−

−−−−−−−海人−−−−−−−

交代:後半00分:篠田→高野(そのまま左SBに)
   後半31分:谷野→柴田(そのまま右MFに)

湘南ベルマーレユース:

−−−−−永里− 中村友 −−−−

−−−鶴見−−−−−−藤田−−−

−−−− 宇佐川 −宮崎−−−−−

−斎藤−−渡部−−鈴木−−田辺−

−−−−−−−徳永−−−−−−−

交代:後半00分:宇佐川→吉川、後半17分:田辺→高瀬

 ※湘南のメンバーは某ベルマーレサポ氏のご協力によるもの。感謝。


▼試合展開

 熱は余り出ないものの、頭痛が長引く悪質な風邪に悩まされて3日間寝込んだ筆者。おかげで横浜国立の惨劇に立ち会わなかったのは、幸運といえるのかどうか。純粋なチームの完成度の差が如実に表れただけの試合を、惨劇と言ってよいかは分からないけれども。
 折しも台風来襲中。病み上がりにも関わらず、「昨日までは暑かったし」という極めて意味のない根拠で半袖を着た筆者は、レインコートを着た観戦中はともかく、後に東海道線で震えることになる。トップチームで傷ついた心を癒されたいのか、嵐の中でも観客は100名ほど。トップに傷つけられているのは、湘南サポも同じらしい、…はあ。会場の馬入ふれあい公園サッカー場は、かのナイジェリア代表がW杯キャンプを行った由緒正しきグラウンドなのだが、ナイジェリア代表の練習の激しさを物語るように(嘘)、或いは本当に馬を芝に入れたんじゃないかと思えるぐらい、芝が荒れ放題。特に両ゴール前とセンターサークル付近は芝が禿てぬかるんでおり、ボランチはボールコントロールに苦しめられた。
 清水は夏のベストメンバーを変えずに、緒戦を迎えた。阿部・大瀧・森安の国体選手も揃って先発する一方、篠田悠・高野一の注目の両名は姿を見せず。結局、高円宮杯のメンバーからも外れたようなので、まだ選手登録が間に合っていないのだろう。一方の湘南も国体選手の永里が登場したが、メンバー攻勢は夏から大きく入れ替わった。主力の3年生がそれほど引退したわけではなさそうだが、1年生の宮崎・鈴木を抜擢。システムも4−4−2に変えてのスタートとなった。

[前半]
 序盤の攻防は一進一退。互いに単純なボールコントロールミスが多く、雨の影響を感じさせる。6分には森安がダイレクトで上げた右クロスを、湘南DFがクリアミス。混戦となるが、最後は大きく蹴り出す。しかし、その森安が7分、サイドチェンジのパスを追い掛けようとして転倒、鶴見の25M独走を許し、最後のシュートはファーに外れた。これで流れを掴んだ湘南は10分、中村友の右クロスに篠田がクリアミス、幸運な右CKの好機を得る。鶴見が蹴った速いボールを、ファーに離れて位置した斎藤が直接ボレーシュート。これがGK海人の位置を逆を付いて鮮やかに決まり(田辺の肩を掠めて軌跡が変わったとする説もあり)、湘南が先制する。0−1。
 大はしゃぎの湘南選手とベンチ。だが清水は直後の11分、ロングボールを湘南選手が僅かに触って、やはりラッキーな左CKを得る。このボールを追い掛けていた大瀧が一つ早いタイミングでショートコーナーを選択、枝村が左クロスを入れたが、DFが跳ね返す。だが、再び枝村が拾ってスルーパスを送ると、CKの位置から戻りつつあった大瀧が受けて反転、再度左クロス。GK徳永がキャッチしたかに見えたが、雨と泥と回転で滑りやすいボールは無情にも彼を裏切り、スライディングで突っ込んだ村越がそれをネットに押し込んだ。1−1。こちらは淡々と自陣に戻る清水イレブン…(少しは喜べよ)。

 これで流れを掴んだ清水は、攻勢を強める。13分、谷野のクロスにファーで飛び込んだ阿部のヘッドがジャストミート、GK徳永がハイボールを巧くディフレクトしてCKに逃れる。16分、真希→大瀧と繋いで戻したボールを篠田がチェンジサイド、阿部が頭で競り勝って落とし、谷野がドリブルを仕掛けるが、DF入ってこれもCKへ。19分、大瀧のパスを枝村が受けると、そこに真希が走り込んでスイッチ、25Mの距離からのドリブルシュートに威力はあったが、ファーに外れた。21分、谷野が一人交わしてPA内に切れ込み、右クロスはDFに引っ掛かるが、阿部が強引に割り込んでシュートまでいくが、ニアサイドネット。
 湘南は清水の速いテンポのパス回しに後手に回り、展開を創れないでいたが、22分、阿部のオフサイドで得た間接FKを清水PA内に蹴り込んで高柳のクリアミスを誘い、左CKを得る。鶴見がニアに合わせたボールは跳ね返されるが、それを拾って二次攻撃。永里がポストから戻して渡部が受けるが、トラップが乱れて阿部が奪取。力ずくで渡部を抜き去ってスルーパスを送ると、飛び出した真司に綺麗に通る。PA内まで独走したところでシュートを放ったが、ぬかるんだフィールドに体勢を崩し、ファーサイドに外れてしまう。しかし、ここまでのブン、シュート以外は完璧である。

 更に清水は24分、枝村が奪ってドリブル、右に開いた阿部にスルーパスを送ると、阿部がサイドを縦に勝負しながら、意表を突いて強烈なシュート。これは僅かに上に外れるが、28分、右ライン際で突っかけた谷野が戻すと、PA角でフォローした真希が素早くスルーパスを送る。これに上手く回り込んで抜け出した阿部が、ゴールを向きながらダイレクトでシュート。…抜け出す形は完璧、シュートの質も高かったが、肝心のコースがGK正面。更に大瀧がこぼれ球をフォローして押し込もうとしたが、当たり損ねてGKキャッチ。…ここまでのブン、シュート以外は完璧である。
 湘南は33分、永里がポストから反転、シュートを放つと、滑るボールに海人がキャッチできずにDFはクリアする。だが、湘南はこれを拾って左に展開、鶴見がPA内に切れ込んでシュート、これがスライディングでブロックに行った森安の足に当たり、あわやオウンゴール。鶴見の右CKは、今度はPA外中央の宮崎に合わせ、トラップからシュートを狙ったが、清水の出足が上回ってゴールへと飛ばさない。
 37分、スローインから真希がドリブルを仕掛け、弾んだボールをヒールで後ろへ(この試合、両チームから宮本を思わせるお洒落ヒールが何度か見られた)。大瀧の左クロスをGKこぼすが、DFクリア。39分、左サイドの展開から真希が大きくチェンジサイド、森安がハーフライン付近で受ける。これに対するプレスが一瞬遅れ、スルスルと前に出た森安はアーリークロスを選択。矢のようなボールに対し、単身飛び上がった阿部が高い「点」で合わせるが、僅かに軌跡を変えたのみでGKを惑わすに能わず、その腕に収まる。
 以後は試合は動かず、枝村のFKのリバウンドから大瀧が打ったシュートが大きく上に外れたところで、前半は1−1の同点で折り返した。悪コンディションで不確定要素が多く、予断ならない試合である。

湘南        清水エスパルス
5(3) シュート 12(5) ×大瀧、◎村越、○阿部、×真希、×阿部、×真司、×阿部
               ○阿部、○大瀧、×枝村、○阿部、×大瀧
4(1) 右クロス 5(2) ×森安、○谷野、×谷野、×森安、○森安
1(0) 左クロス 8(0) ×真希、×枝村、×大瀧、×大瀧、×真司、×大瀧、×真司
               ×篠田
3(2) 右側CK 3(0) ×大瀧、×大瀧、×大瀧
1(0) 左側CK 2(0) ×枝村、△大瀧
1(−)  犯OS  1(−) 真司
2(−) ファウル 8(−) ??、枝村、大瀧、村越、大瀧、真司、森安、真司


[後半]
 後半、清水は競り合いに強さを見せるなど随所に好プレーを見せていた篠田に代えて、1年の高野を投入。一方の湘南は宇佐川に代えてDFの吉川、斎藤をボランチに田辺を右WBにそれぞれ一列上げ、3−4−2−1にシステムを変えてきた。
 これに戸惑ったか、試合は再び一進一退に。3分、それまで高柳に制空権を奪われてきた永里が遂に競り勝ち、素早く左サイドに叩いて速攻。森安のプレスが掛かる前に抜け出した鶴見がサイドを抉り、クロスを送るがファーへと流れる。しかし、ルーズボールに反応した田辺が至近距離からトラップ&シュート。が、そのトラップの刹那に飛び出した海人と交錯し、ボールは左に外れた。左CKは、海人が片手一本でPA外に掻き出す。
 一方の清水は6分、高野のクサビのパスに阿部が反転してシュートに行ったが、当たり損ね。…ブンはシュート以外は完璧なのだが…。9分には右に開いた阿部のクロスをファーでDFがクリアし、左CKに。枝村が蹴ったボールはファーにこぼれ、高柳がフォローして右クロスを入れたが、これを跳ね返されて速攻。前線に残る永里まで渡るが、ここで残っていた真希が速やかにチェックに入り、CKに逃れる。真希はDFでも十分に通用するところを見せつけた。

 15分、左サイドから阿部が突破を図ると、中に切れ込んだ地点で大瀧がスイッチ、PA手前45度からミドルを放つ。やや威力に欠けたが、滑りやすいボールをGK徳永は受けずにフィスティング。PA外にクリアしたボールを拾ったのは、しかし森安。切れ込む森安に湘南DFのチェックが遅れ、再び放たれたミドルに再び徳永が反応したが、クリアしきれずにPA内に転がるボールは阿部の前。豪快に叩き込まれた逆転弾が、阿部を無得点で終わった国体の呪縛から解放した。2−1。でも、喜び方は淡々。
 逆転された湘南の方も、いよいよ攻めに出た。システム上、数的有利になりやすいサイドから、強気にドリブルを仕掛けて死力を尽くす。18分、藤田のドリブルが谷野のファウルを誘い、左50度20Mから鶴見のFKに誰かが頭で合わせたが、枠の上。21分、交代投入された高瀬のドリブルを高野がタックルに入って右CKに逃げ、鶴見のキックを吉川が頭で合わせたが、ファーに外れる。22分、再び高瀬のクロスを海人がパンチングで逃げるが、中村友が拾ってドリブルシュートは海人が抑える。
 その間、清水は大瀧を軸に左サイドから素早い攻撃を仕掛けていたが、28分、中盤から左に展開したボールから突っかけた真希が、早いタイミングでスルーパス。中央からPA内左へと巧く抜け出した阿部、その足下に飛び込んだGKをジャンプして転倒すると、判定はPK。サテで沢登に学んだのか、国体で狩野に学んだのか、怪しいPKを獲得すると阿部自ら確実に決めて、3−1。クラブ選手権の東海大会と全国大会で、2回連続してPKを外した阿部だが、この呪縛からも解放できたようだ。

 続けて30分、左サイドから真司と大瀧が絡んで速攻。ボールを中央に戻すと枝村が駆け込むが、左への切り返しにボールが地面に囚われ、DFのチェックを受ける。ルーズになったボールを、しかし枝村は軽く右足で前に押し出す。そこに真希が走り込み、裏に抜けながら低いシュートを放ったが、GKこれを弾く。そこに真司、横転したGKを尻目にガラ空きのゴールへちょこんと押し込もうとしたが、ボールの勢いに負けたのかニアに外してしまう。
 32分、鶴見のクロスは村越が跳ね返し、森安が受ける。それを鶴見が奪い返してPA内に切れ込むと、横から回り込んだスライディングに倒れるが、湘南ベンチの激昂も空しく、ノーファウルの判定。清水も34分、真司が空中戦で競り落とすと、阿部が戻して柴田がサイドチェンジ、大瀧のシュートは右に外れる。36分、枝村の右クロスに阿部のワントラップシュートは、当たり損ねてGK正面。…やっぱり、呪縛に囚われてるかも。

 このあたりで、いよいよ雨足が強くなり、2点リードで精神的にも余裕ができた清水の選手たちは、少々ハイに。村越がクロスをヒールでクリアしたり、真希は審判の気づかないところで相手選手と小競り合いを起こしたり、真司は一度ファウルになりながら次の瞬間に再び足裏を見せてスライディングして警告をもらったり、その直後に森安がボールを奪われた藤田を後ろから押し倒して警告をもらったり、…。怪我と退場がなかったことは、本当に幸運だった。
 ロスタイム、清水の電光石火の速攻。ほぼ中央から素早く真希、枝村と縦に繋いで、PA内右側にスルーパスを送る。そこへDFの外側から回り込んだ阿部がフリーで突っ込んだ。インサイドでファーに流し込むだけでハットトリックとなる完璧なお膳立てに、阿部は勢いに乗り過ぎたかインステップで強シュート。そして、ボールはアウトに掛かって、ニアに外れる。これを不思議に思うか、「やはり…」と思うかは、恐らく阿部のプレーを見続けた時間によるだろう(苦笑)。
 何にせよ、これで試合終了。大事な緒戦で確実に勝点3を奪い、Jユースカップ好発進となったと同時に、高円宮杯に向けて調整が順調だと感じさせた。

湘南        清水エスパルス
6(2) シュート 12(8) ○阿部、○大瀧、○森安、◎阿部、×大瀧、◎阿部、○真希
               ×真司、×大瀧、○阿部、○阿部、×阿部
2(0) 右クロス 8(1) ×高柳、×真司、×阿部、×高柳、×谷野、○枝村、×柴田
               ×柴田
6(1) 左クロス 4(0) ×大瀧、×高野、×大瀧、×大瀧
3(1) 右側CK 2(0) ×大瀧、×大瀧
2(0) 左側CK 2(0) ×枝村、×枝村
2(−)  犯OS  2(−) 村越、谷野
3(−) ファウル 8(−) 谷野、谷野、??、??、真司、真司、森安、真希


▼試合結果
清水エスパルスユース 3−1 湘南ベルマーレユース
 得点:前半10分:湘南・斎藤貴之 (鶴見聡貴:右CK)
    前半11分:清水・村越大三 (なし)
    後半15分:清水・阿部文一朗(なし)
    後半28分:清水・阿部文一朗(PK)
 警告:前半44分:湘南・宮崎明浩 (ラフプレー)
    後半28分:湘南・徳永雅俊 (異議?)
    後半39分:清水・鈴木真司 (ラフプレー)
    後半40分:清水・森安洋文 (ラフプレー)


▼選手寸評

●村越大三 CB、90分出場、シュート1(得点1、枠内1)
 相変わらず荒い部分があってヒヤヒヤさせられるが、空中戦・地上戦の双方で1対1に完勝。得点も奪った。積極的でありながら潰しの確実性が増してきており、フィードの質も確か。良いタイミングで声を出して士気を高めるなど、守備の柱に成長しつつある。

●高柳亮太 CB、90分出場、クロス2(右2)
 村越ほど完璧とはいかなかったが、相手のキーマンである永里を殆ど封じきった仕事の大きさは、同等の評価が与えられるべき。特に空中戦で存在感が大きく、相手のサイド攻撃を片手落ちにした。中盤との連携も良く、ラインを高く保ち続けた。

●山本海人 GK、90分出場
 清水の得点場面を見ても分かるように、ミスの許されないGKには非常にやりづらい悪コンディションだったが、パンチングを主体に的確な状況判断を示した。キャッチできない分、より広く、より高い守備範囲で貢献しており、新境地を開いたと言えるかもしれない。

●阿部文一朗 FW、90分出場、シュート11(得点2、枠内8)、クロス1(右1)
 文中にも書いたが「シュート以外は完璧」。そのシュートにしても総数の半数近くを一人で放ち、枠内率73%という誇るべき数字を残しているのだが、大外しの印象が強いのは何故だろう。要はGKの裏をかく狡猾さが足りないのだが、そうなったらブンらしくない気がしないでもない。

個人的好印象選手(湘南):鶴見聡貴(2年)、藤田貴史(3年)


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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