冒険記録日誌
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2022年06月07日(火) クソゲー・オブ・ザ・オレ 第8位

たけたろう「クソゲー8位は、なんとファイティングファンタジーシリーズからの登場ですよ。あのシリーズにクソゲーがあるのですか?」
山口プリン「そこは読み手がどう考えるかだと思うよ。親切設計のゲームに馴れた、現在の感覚からすると、シリーズの大半の作品が理不尽な死にゲーだしな。まあ、今回紹介するのは違う理由からなのだけど。」
たけたろう「ほうほう。今回は、どんな問題があるのでしょう。」


クソゲー第8位 【さまよえる宇宙船】

ジャンル  スタートレック的な世界観のSF
発売元  社会思想社
執筆者  S.ジャクソン
発売日  1985年9月20日
パラグラフ数  343(341〜343は戦闘ルールの説明なので、実質340)
ゲームの構造  1方向システム。ファイティングファンタジーシリーズではあるが、7人分もの技術点と体力点を管理する必要がある。
過去の冒険記録日誌  2002年4月14日に感想、2005年5月12・13日にリプレイあり

ポイント
 働いたら負けかな。

物語の概要
 宇宙船トラベラー号はブラックホールをつきぬけて未知の宇宙に飛び込んでしまった。帰り道の情報を求めて各地の惑星を探索し、何としても地球へ帰還するのだ。

定番の結末(パラグラフ339番より)
 これが正しいブラックホールだったのかどうか知る日は永久に来ない。入射角か、速度か、手に入れた情報か、なにがまちがっていたにせよ、トラベラー号は空間から二度と姿を見せない。君の冒険は失敗に終わったのだ。

主な登場人物
 主人公:宇宙船トラベラー号の船長

〔主人公の部下達。トラベラー号には、他にも航宙士等、モブとして多くのクルーがいる。〕
 科学官:惑星で起こった事の分析やら機械の修理やらに幅広く対処してくれる。
 医務官:未知の病原菌等に対処する他、各惑星を離れる時に皆の体力を回復してくれる。
 技官:科学官といまいち違いがわからないが、こっちは活躍する機会が少ない。
 保安官:戦闘のプロ。船の秩序を守るイメージがあるが、そんな立場での出番はない。
 警備員1・2:戦闘以外には役に立たない。まあ、保安官も同じなのだけど。
 
クソ要素
 本作最大の特徴である6人もの部下の存在だが、固有能力を生かして活躍してくれるキャラクターは科学官と医務官くらいで、ルールの煩雑さの割にそのシステムが生かしきれていない。保安官と警備員は戦闘で活躍できることが固有能力といえるが、それだけに技術点が低いと存在意義が無くなってしまう。科学官、医務官、技官は、戦闘時は技術点がー3になるペナルティがあるが、実際にプレイしてみた時は、技術点12の医務官(戦闘では技術点9)の方が、保安官より強いという残念な状態になってしまった。
 攻略については、地球に帰る為の情報を収集することがクリアに必要ではあるが、各惑星で得られる情報には偽物がまざっており、その真偽が判別不可能である。死んで覚えて行くしかないのは、ファイティングファンタジーシリーズの定番ではあるが、ラストまで引っ張った挙句のゲームオーバーになるのでダメージが大きい。
 そして、本作品の真のクソポイントは他にある。重大なネタバレにつながるので、リプレイの方で説明。今後プレイする可能性がある方は読まないようにしてください。

総評
 スタートレックを意識したような世界観ではあるが、いまいち冒険に華を感じない。悪の帝王みたいな存在がいないせいなのか、はたまた翻訳のせいなのだろうか等々、いろいろ理由を考えたが、どうも部下達が、主人公と同じく名前がない無個性な存在であることが原因ではないだろうかと思うに至った。仲間同士の会話なども発生しないので、ドラマ性を感じないのだ。一方で、各惑星はどこも政治や環境などに個性があるので、惑星の調査はなかなか楽しい。
 運任せの攻略については、ラストで失敗すれば、「運命の森」のように最初の地点に戻れるようにすると良かったのかもしれない。部下が多すぎるので、警備員はカットしても良かったのではないだろうか。などと考えてしまった。作り方次第では、シリーズの中でも良作として評価されていたかもしれないと思う惜しい作品である。


ちょっとリプレイ(ネタバレ注意)
たけたろう「私は既にクリアしていますよ。詳しくは、2005年5月12・13日の冒険記録日誌を見てくださいね。」
山口プリン「そうそう、最善の選択肢、いわゆる真の道でクリアしたのだったな。全員が技術点7、体力点14でもクリアできることを見事実証できて良かったじゃないか。」
たけたろう「サイコロすら一度も振る必要がなかったですからね。鬼畜なファイティングファンタジーシリーズの作品で、低能力でもクリアできたというのは凄い事なんですけどね。そうは思うのですけどね……。」
山口プリン「何か引っかかる言い方だな。」
たけたろう「このルートだと、惑星はほとんど素通り。戦闘もなく、何の危険もなく、淡々と宇宙を進んでいくだけ。部下はみんな出番なし。これって、どうなんでしょう。」
山口プリン「まさに、働いたら負けってやつだ。」
たけたろう「本の表紙にもなっている、闘技場での殺人ロボットとの戦いとか、印象的なエピソードが全て、実は無駄足ルートだったわけですよ。虚しさすら感じてしまう。」
山口プリン「クリアできても、それは楽しいのか、という事だな。いくら真の道と言っても、スリルがまったくないのは、冒険とは言わないもんな。ストーリーを盛り上げるやり方は、いくらでもあったはずだから、やっぱり勿体ない作品だと思うよ。」


山口プリン |HomePage

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