冒険記録日誌
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2021年09月12日(日) サスペクト(北村成一/JICC出版局)

 海外パソコンゲーム原作のミステリーゲームブック第3弾です。
 この本は表紙が、化け物じみた顔をした人間たちがこっちを見ているという怖い絵なので、読むのを敬遠していたのですが、他のシリーズ2作が面白かったので、食わず嫌いをやめて挑戦。やっぱり面白かったです。
 ちなみにゲームブックの舞台が、仮面舞踏会で起こった殺人事件だから、みんな変な姿をしていた表紙だったようです。でもやっぱり、怖いよ。
 今回の主人公は、3作目だけ違って、売れない絵描きをしている青年ケリー。叔母の主催する仮面舞踏会に招待され、郊外にある叔母の豪邸までやってきたのですが、パーティの場で叔母が主人公に隠していたことがばれて、主人公は大勢の前で思わず叔母を怒鳴ってしまう。すると、そのすぐ後に、叔母は何者かに殺害され、主人公は犯人の疑いをかけられてしまうといった内容です。
 警察には通報されましたが、外は降雪がひどく、警察が到着するまでに1時間かかります。トムはその間に真犯人を見つけて容疑を晴らす必要があります。
 今回のゲームは、双方向システムで屋敷の中を自由に歩き回れるので、本当に読者が、事件を捜索している気分を味わえます。ルールはフラグチェックの他に時間経過を示すポイントもあって、時間切れになると何らかの結末を迎えるわけです。
 実は真犯人が最後までわからない場合、ハッピーエンドにはもちろんなれませんが、主人公は証拠不十分で最終的には釈放される結末です。しかし、中途半端に犯人を指摘して、それが間違っていたり、相手を論破できないと、逆に自分がますます非難されるという最悪のバッドエンドになります。なので、捜査は慎重さも求められ、時間ばかりを気にしてられないという、ジレンマがあるのです。
 実際のプレイでは、最初から疑わしい人間がいるので、犯人はすぐにわかります。しかし、証拠を見つけないといけない。皆の前で訴えても、とぼけられて終わりです。トリックを発見して、叔母の隠し部屋を発見してと順調に捜査が進めば、叔母の孤独な立場や、叔母の主人公に対する愛情を発見して、主人公の心を揺り動かすという、双方向システムでは珍しい、ドラマティックさがありました。
 他の2作のような渋い魅力はないですけど、これはこれでゲーム性と物語性を兼ね備えた、推理系ゲームブックの傑作と言える作品です。


山口プリン |HomePage

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