冒険記録日誌
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2021年04月16日(金) ギリシャ神話アドベンチャーゲーム1 アルテウスの復讐(P.パーカー他/社会思想社) その15

 再び航海は続く。そして次なる寄港地、テラ島に上陸したときに奇妙な事件が起こった。
 テラ島を1人で探索していると、前方に見える崖が突如として崩れ始めたのだ。そしてその時、崖の下には屈強な戦士、鍛冶屋の姿をした足の悪い男、冠をかぶった女の3人の男女がいた。
 「助けてくれ!」
 3人はいっせいに叫んでいる。しかし、拙者は急いで駆けつけても1人しか助けられる時間はないだ
ろう。とっさにそんな冷静な判断を下した私は、誰を助けようかと吟味した。
 「そんな暇があったら早く助けろ!」
 屈強な戦士が拙者の心を読んだかのように叫ぶ。その顔を見て驚いた。彼は我が守護神アレスではないか。
 そうなると、他の2人も神々ということだろう。おろらくこれは拙者を試しているのだ。きっとここは重要な選択肢に違いない。
 まずは、軍神ともあろうアレスが本気で助けを求めるとは考えにくい。よって助けるなら、足の悪い男か冠をかぶった女だ。次に先程「ヘラが君の守り神なら」という選択肢があったので、女はヘラ神の可能性が高い。以前、拙者がヘラの儀式を邪魔して彼女を怒らせていることを思い出した。ご機嫌をとるチェンスかもしれんが、彼女からは褒美がもらえないかもしれない。
 消去法で鍛冶屋を助けることに決めた。
 「待ってろ!拙者が助けに行く」
 拙者は身の危険も顧みず、崖から落ちてくる石つぶての中を突進して、鍛冶屋を抱えあげようとする。だがもうもうたる砂塵に思わず一瞬目を閉じてしまう。
 目を開けると崖崩れなど初めから無かったかのように、あたりは静かになっていた。戦士も女の姿も消え、鍛冶屋1人が微笑んで立っていた。彼は雷鳴のような轟く大声で言った。
 「賢明な判断だ。よくぞ鍛冶の神ヘパイストスを救おうとしてくれた。褒美をやろう」
 ヘパイストスの腕の中に剣と鎧と盾があらわれ、拙者に手渡してくれた。簡素なデザインながら、しっかりとした作りで惚れ惚れするような一品だ。

 剣(攻撃点4)、鎧(防御点4)、盾(防御点4)
*さらにこれらの武具は、神や神にかかわる生き物と戦う場合には全て6点にアップする。

 大きな収穫に喜びいさんで船に戻る。いよいよ次はクレタ島まで一直線だ。
 だが、ここで運を使い果たしたのか、次の航海は大嵐にみまわれた。ポセイドンとは中立の関係にもどっているので、彼の庇護が受けられない。名誉点を6点も使って、嵐を静めるようポセイドンに祈ったが、嵐が静まる気配はなかった。おまけに船の揺れにとられて、武器と防具と道具を一つずつ海に落としてしまう。(ここは予備の武具とブローチを無くしたことにする)
 そんな嵐も七日が過ぎてやっと静まった時、船は航路を大きくそれてキテラという島の傍までたどり着いた。
 船長が憔悴した様子で島に寄航して休息しようと拙者に申し出てきたが、拙者はいい加減に一刻も早くクレタ島につきたいところだ。すまぬが、もう寄り道をせずにクレタ島に行ってくれぬかと頼みかえした。船長は残念そうにため息をつく。
 「そうですか。しかたありません。美の女神アフロディテの支配するキテラの島は、船員の休息にはぴったりだったのですが残念だ」
 拙者は甲板にでて船員に号令を出した。
 「キテラ島はもうすぐ!ぐずぐずするな、いそいで船を寄せるんだ!」
 おお、キテラ。麗しの島よ。お持ちくだされ、拙者はすぐにアフロディテ殿のもとへ参るでござるぞ。

 キテラの島は想像どおりに、南国の花々が咲き乱れる楽園のような姿であった。ゆっくりと動く船の上、拙者はなかば恍惚といってもいい気持ちで、港に広がるおだやかな海面を眺めていた。
 ふいに、悲鳴が静寂を引き裂いた。見ると少し沖の方の海面で小さな手漕ぎボートに乗った若い女がいた。ボートは尖った岩場に打ち寄せられて、今にもバラバラになりそうだ。
 女人の危機とあって、拙者は勢いよく海に飛び込ぶ。
 「待ってろ!今助けに行くからげぼぁごぼごぼげぼがほごぼぶぉ…」
 不運にも飛び込んだときに船のロープが足に絡まってしまった。たちまち拙者は溺れてしまう。
 見守っていた船員達が拙者の苦境を見てはやし立てる。人身御供となるアテネの若者達まで笑っている。なんたる恥。なんたる屈辱。(恥辱点が2点増える)
 もがいていると誰かが拙者の腕をつかみボートに引き上げた。礼を言う間もなく、水を吐き出して新鮮な空気をとろうと、必死であえぐ。
 「まあ、すっかり濡れてしまったわね。でも私を助けようとしたのは感心よ。この次はもっとうまくやりなさい。おばかさん」
 聞き覚えのある声に拙者が顔をあげると、美の女神アフロディテがウィンクをして姿を消した。
 
 そんな事件のあとに上陸したものの、美女の歓迎もなくキテラ島は意外に静かだった。
 嵐で傷んだ船の修理に忙しい船員達をあとに、島内の探索をしてみるが、静かどころか住民の気配すらしない。
 しばらくすると難破船の生き残りのような姿をした老人が目に入った。拙者と目が会うと老人は急いで駆け寄ってきて物乞いをはじめる。
 想像していたキテラ島とは、なんともそぐわない光景だ。少々ゲンナリしながら食料を与えてやると老人は大喜びで舌なめずりをした。
 「こりゃ凄い。まるで神々の食べるアンブロシアみたいに旨そうな食べ物だ」
 老人はチーズをむさぼりながら喋る。
 「アンブロシアを食べると神々の血管内に霊液が生じる。だが、霊液は足から流れ出すかもしれない」
 なんのことだろう?老人に尋ねてみたが、老人は食い散らかすとさっさと立ち去ってしまった。(名誉点を1点増やす)

by銀斎


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