冒険記録日誌
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2017年01月03日(火) |
たけたろうの冒険番外編 ──剣士対妖怪 魔境の秘薬 その1── |
(ネタバレ注意。プレイ予定の人は読まないでください。)
霧雨の中を私は走っていました。神無月の江戸の町はすっかり夜も更けて、私の足音のみが闇にこだましています。絞り出すように唇から声がもれてしまいます。 「ともみ……。私が助けますから待ってくださいよ」 7日前のことです。 生まれてこの方、病気らしい病気をしたこともない、腹違いの妹のともみが、高熱を出して倒れたのです。床にはいったともみに、必ず治るから大丈夫と励まします。 いつものちょっときつめの目も今は見る影もなく、ぼんやりとして私を見つめています。 「兄貴…じゃない、お兄…様…。ありがとう」 それだけつぶやくと、ともみはまた寝入ってしまいました。 キャラまで変わっているじゃないですか! それに、このところお粥すらロクに食べていません。あのともみに食欲がないなんて!
いろんな医者に診てもらいましたが、みなが首を振って、あと半月くらいの命だといいます。最後に診た医者が話した、横網町の居酒屋にいるヌラという老人なら治療法を知っているかもしれないという言葉にかけて私は走っているのです。 居酒屋で遭遇した老人は、すでに私の用件を知っているようでした。 「お武家様。あなた様の求めている薬は、この人間の世界にはございますまい。あの病を治せるのは、魔境の秘薬のみにございます。」 老人は小判ほどの大きさの金属の護符を私に差し出しながら、天狗党という蕎麦屋を訪ねるように教えてくれました。 ともみの為です。老人に礼を言った後、再び町を夜通し走りました。朽ち果てた蕎麦屋にたどり着き、店の中で酒を飲んでいる大男に護符を見せて頼み込みます。 大男は黒い翼とくちばしのカラス天狗に姿を変えて、私を抱えると大空に飛び上がりました。眼下に広がる大地を見て、高所恐怖症の私はギュっと目をつむります。 ええい!ともみの為だ!今回の冒険は最後までやり遂げますよ!
技術ポイント 10 体力ポイント 16 所持金 小判20枚 所持品 刀 残り日数 16日 (ルールでは技術ポイントは9+サイコロ1個、体力ポイントは15+サイコロ1個で決める。残り日数とは、妹が病に耐えられる日数で、15日+サイコロ1個で設定。)
カラス天狗は、人里離れた一軒の百姓家の前に私をおろすと、また飛び去っていきました。 これからどうしたらいいのでしょう? 途方に暮れていると、百姓家の傍の牛小屋から物音がしたので、覗いてみます。ちょうど牛が出産しているところでした。 しかし、生まれた子牛は、私をみつめて「北の洞窟にいくことだ。そこに求めるものがある」と言うと、いきなり死んでしまいました。ええっ? 母屋の方に入ってみると、なにやら身分の高そうな侍が待っていました。 「ふむ。それはクダンという妖怪だな。予言が終わると死んでしまうのだ。」 侍はそう教えてくれ、旅に必要な薬やら食料やら数珠やら短刀やらを売ってくれるそうです。さらに日付のわかる時計を私にくれます。江戸時代で日付もわかる懐中時計なんて、高級品もいいとろではないでしょうか?それにしても何の自己紹介もないのですが、このお侍さん、何者なんでしょ? 小市民のたけたろうとしては、時計なんていただいては、何か買わなくては申し訳ない気持ちになります。 売り物は買い占めてもお釣りが出るくらいなので、気前よく全部買いました。残りは小判4枚ですが、ここは魔境だからこの後お金を使う事も少なそうですし。 そう思いながら北に向かって街道を歩いていると、広くて深そうな川に遮られました。 「渡し賃は5両」と書かれた立札がかかっています。
いきなり、所持金が足りません。(汗)
続く
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