冒険記録日誌
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2017年01月01日(日) |
たったひとりのサバイバル・ゲーム!極寒の雪山を脱出せよ(トレイシー・ターナー/角川書店) |
あけましておめでとうございます! さて、新年最初のゲームブックレビューは、「たったひとりのサバイバル・ゲーム!極寒の雪山を脱出せよ」です。最近、発売されたばかりの、パラグラフ数100ちょいの児童向けゲームブックです。 関係ないけど、新年早々に雪山の冷えた空気を吸いこんで、初日の出を迎えると気持ち良いでしょうね。 感想の方に入りましょう。 本の帯にも「いざというときのサバイバル知識が身につくゲームブック」と銘打たれているシリーズですが、今回の舞台は雪山となりました。 前回のジャングル編や砂漠編の時は、いざというときっていつだよ?という気もしたのですが、日本で遭難するとすれば大抵山岳地帯なので、今回は本当に使えるかも? 南アルプスのアンデス山脈に家族と一緒にトレッキング旅行にきた主人公は、吹雪にあって家族とはぐれてしまい、雪山で一人ぼっちというところからゲームはスタートします。 単純な分岐小説タイプのゲームブックで、主人公が自力で人里までたどり着いて救助されたらゲームクリアというのは、他のシリーズと同じです。 今回の危険は、毒虫や水不足ではなく、睡眠時の体温の確保などになるわけですが、今回も他のシリーズ作品と同じく、動物には近づかない、危険な行動は避ける、の2点を守っていればクリアは簡単です。舞台は変わったものの、第三弾ともなるとちょっとマンネリ気味かもという気もしました。いや、サバイバルの原則は、そうそう変わるものでもないでしょうから、当然といえば当然ですけど。 コラムのコーナーで紹介されていた、アンデス山脈に飛行機が不時着したウルグアイのラグビーチームの実例のように、生き残るために死んだ他の遭難者の人肉を食べるべきか?といったシュチエーションがゲーム中にあったりすると、ぐっと印象的になるけど、さすがに児童書でそれはなかった。
ちょっと気になったのは、あまり迷う必要のない選択肢が時々出てくること。 例えば「寝る前に火を熾すべきかどうか?」という選択肢は、熾さない理由は面倒だというだけですから、火を熾せるのなら熾した方が良いわけで、雪山ならなおさらです。作中の主人公は低温からくる、体のだるさと戦っているから、本来は苦しい選択なのでしょうが、プレイヤーには関係ないので、ただ安全策を選べばいいわけです。 コンドルが食べている肉を横取りしようかという選択肢も、コンドルに襲われたり、肉が腐っている可能性を考えれば当然スルーするわけで、ここは主人公が腹をすかせている点をもっと強調してほしかった。 これが能力値のあるゲームブックなら、「火を熾す気力がわくか、サイコロを2個振って根性ポイントと比べよ」と判定したり、「残り体力点があと2点だから、肉を食べないと餓死するかな?」と悩ましい感じにできると思うのですが、このシリーズはわかりやすさを優先しているから仕方ないか。
ちなみに自分の初プレイでは、砂漠編にもあった、安全地帯で救助を待ってクリアというパターンになりました。素人が遭難したら、現実にはこれが正解でしょうね。 もちろんこれは真のエンディングではないので、二回目に挑戦したのですが、今度は傷の手当をどうするかの選択を誤って、エンディング目前で死んでしまいました。クリアは簡単と思っていたのに、油断大敵だった。 なんだかんだ言ってもサクサク遊べるし、ゲームが終わっても別ルートを試したり、パラグラフの合間に沢山書かれた豆知識コラムも楽しめます。児童書ゲームブックとして今回も十分に楽しめるのではないでしょうか。
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