冒険記録日誌
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2012年04月01日(日) 百年眠りの冬(大杉水京/東宝出版事業室)

 かなりマイナーなゲームブックです。
 ゴジランドゲームブックというレーベルの第一作目ですが、このレーベル自体ゲームブックファンでもコレクターくらいしか存在を知らないのではないでしょうか?(ちなみに第二弾の「ショコラ色の恋」は、2002年10月30日の冒険記録日誌で紹介済)
 しかし、元々マイナーなゲームブックの世界で、評判の良い最近のゲームブックなどには手をつけずに、こんな本を選んで遊んでいる私のような人種もマイナーレベルではいい勝負かもしれませんね。

 さて、内容です。
 1ページ1パラグラフの漫画形式のゲームブックで、全150パラグラフ。ルールもなく純粋な分岐小説として楽しみます。
 主人公はナックルという一匹狼の盗賊で、依頼人に会うため某国にやってきたところからゲームは始まります。酒場にやってきた衛兵を蹴散らして、出会った依頼人はなんとこの国の大臣。彼は、この国を脅かす“百年眠りの冬”という強大な化け物に、国王の命令により生贄にされようとしている王子を、誘拐して救ってほしいというもの。
 漫画の雰囲気は劇画調で、一応中世ヨーロッパ風ファンタジーを舞台にしたであろうとは思うのですが、無国籍感があちらこちらに漂っています。
 中世風に剣と兜で武装した衛兵が襲ってくるのを、裸に皮ジャンを着たワイルドな格好の主人公がパンチとキックで倒す。アメコミの登場人物みたいな姿で、空を飛んだり、姿を消す奴もいたり、城はどこぞの古代遺跡のようなデザイン。主人公とクサレ縁の信用できない美女も、飛び入りで登場という感じ。
 北斗の拳やコブラ、ルパン三世といったあたりの影響を受けているのかなといった印象を受けました。
 数か所の迷路ゲーム以外に謎解き要素はありません。正体を隠して演技で命乞いしたら剣で刺されたりと、選択肢により死ぬときはあっさり死ぬので、何度かゲームオーバーになるかもしれませんが、それでも30分もあればクリアできるボリュームです。
 あと、”百年眠りの冬”の正体は結局なんだったんだろ?ドラゴンなのか精霊なのか。対決シーンを読んでも、派手だけど抽象的だったからちょっとわからなかったな。

 以上ですが、今となってはどうみてもコレクター向けの本なので、無理をして入手を勧めるような内容ではありません。
 しかし、以前にネット古書店で25,000円の買取価格が本書についていて、仰天した覚えがあるので、古本屋でみかけたらとりあえず確保しておくとお得かもしれませんよ。


[追記]
 平成25年12月のヤフオクに本書が出品されていましたが、なんと落札価格が44,500円でした。みかけたら即入手すべし!です。


山口プリン |HomePage

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