冒険記録日誌
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2009年08月04日(火) 地層階級王国1 まほろばの壁を越えて(高野富士雄/双葉文庫)

 まだ未読だった「地層階級王国1」を遊んでみました。
 作者の高野富士雄さんは、一時期は2ヶ月に1冊ペースでゲームブックを発表したという驚異的な多作作家です。
 正直彼のゲームブックは、キャラクター重視のゲーム性が二の次という感じで私好みじゃないのですが、双葉社のゲームブック作家陣の中でも人気がある方です。ネットでもこの作品は好意的に語られています。ただし、現役ゲームブックファンの感想というより、ゲームブックを昔遊んだことがある方が、当時気に入っていた作品を懐かしむような内容でしたね。

 んで、この作品。元々は漫画が原作で、それを双葉社が企画していたテレホンアドベンチャー(テレホンサービスを利用してゲームブックを遊ぼうというもので、今なら携帯アプリでゲームブックする企画に近いのかな)に移植され、さらにそれをゲームブックにしたという、メディアミックスしまくりの作品です。
 ファミコンゲームとのタイアップ作品も多いし、やっぱり双葉社のゲームブックってゲームブック業界の中では、今でいうライトノベル的な立場だよなぁ、と思ってしまいます。
 テレホンアドベンチャー版はCD化されており、私はそれも持っています。以前の冒険記録日誌(2005年02月01)でも感想を書きました。

 地層階級王国1がどんな話しかというと、飛行機とか平気で飛べる広い地下世界が舞台。そこでは地上の世界というものは伝説程度にしか考えられていません。地底世界では戦争が絶えまなく続いており、主人公は少年飛行艇乗りで戦争に参加していました。プロローグで主人公は敵国の上空で撃沈。不時着して意識を失っていたところを敵国の少女チェルトに助けられ、主人公はチェルトとともに彼女の信じる平和な地上世界を目指して旅をするというお話しです。CD版とゲームブック版は細かい設定やら登場人物やらストーリー展開やらがいろいろ変わっていますが、この目的だけは一緒です。
 CD版は週刊少年ジャンプにありそうなシリアスな冒険ものだったのですが、ゲームブック版は遊んでみるとちょっとまったり感がありますね。これはCDにいた3人目の仲間「ゼロ」が、ゲームブック版では「ねこまんまのポチ」というふざけた猫の着ぐるみみたいな生物に変わっているせいでしょうなぁ。ムードメーカーといえば聞こえはいいけど、いつも「お腹すいたニャー」と言ってるだけで本当にまるで役にたたないよ、こいつ。
 あと最初は、戦争だとか反政府軍だとか兵士の監視を抜けてとか、反戦的なメッセージ感の漂うムードが、後半からいつのまにか新世界の入り口を塞ぐ魔王との戦いというまったく別物の内容に変わって、ストーリーがぐだぐだな感じに。CD版はもうちょっとストーリーが締まっていたのになぁ…。
 まあ、ゲームブック版の雰囲気もこれはこれで悪くはないし、なによりヒロインのチェルトの可愛い描写がCD版より5割増なので許すか。

 あとゲーム性ですが、難易度はやや簡単。所持金の管理は割りとシビアかな。武器と乗り物を購入するだけでいっぱいいっぱいなのに、食料も買わないといけないのがきつい。おまけに、ねこまんまのポチはすぐに腹を減らしてHPが減るし。
 あと戦闘システムがちょっとメンドイ。ランダム要素があるのはいいけど、もっと簡単でいいと思う。
 高野富士雄作品の面白さはキャラクター小説的な面にあると思うので、なかなかクリア出来ないようならルールを適度に簡略化して、読み物として楽しむのもありかと思います。


山口プリン |HomePage

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