冒険記録日誌
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| 2008年07月01日(火) |
スペース・ハリアー −ホワイトドラゴンの勇者−(塩田信之/双葉文庫) |
人気3Dシューティングを原作としたゲームブックです。 原作は僕は大好きでした。当時としては凄いあの擬似3Dの中を高速で次々に襲いかかってくるモアイやらドラゴンを見て、鳥肌ものの衝撃を受けたものです。スペース・ハリアーやりたいだけのためにセガサターン買ったくらいですから。 ただし、ゲームブックとなると話は別です。PRGや探偵もののゲームと違い、シューティングゲームとゲームブックは相性が悪そうですからね。そのまま移植するわけにはいきません。創元推理文庫からシューティングゲームを原作とした名作ゲームブック、「ゼビウス」が出ていますが、これは原作ゲームの世界観を生かしたRPGになっていましたね。 ところが、この「スペース・ハリアー −ホワイトドラゴンの勇者−」の作者は爽快感あるあのシューティング要素までなんとかゲームブックに移植したいと考えたようです。
物語は、現実世界でスペース・ハリアーを遊んでいた少年が、ゲーム世界に吸い込まれてしまい、救世主として冒険をする羽目になるという、双葉ゲームブックにはよくあるパターンのものです。 ゲームスタート前に体力、敏捷力、超能力、武器など5つの能力値を、32ポイントの中から自由に割り振って決めます。いわゆるRPG的な戦闘ルールはなく、ゲーム中は敏捷力+サイコロ2個で13以上か?などと尋ねられて分岐するようになっています。ポイントが足りなければ、敵の体当たりなどを受けて体力が減少したり、敵を破壊するのに失敗するなどといった仕組みです。おもしろいのはTVゲーム画面に見立てた9マスの中で主人公の立ち位置を決めるというシステムです。図にすると
「−−− |ABC| |DEF| |GHI| −−−」
という感じになっていて、ゲーム中では、A→C→I→Gと回って弾幕を回避するか、Eの地点でひたすら避けるか?などといった選択肢に利用されています。少しでもスペースハリヤーらしさを出そうという考えなのでしょう。
ゲームが始まると、敵の本拠地に向かうまでいくつかの味方のベースキャンプに立ち寄る以外は、ひたすら、敵をかわしたり、破壊したりのシーンが続きます。比較的、進路は自由に決めることができ、クリアまでかかる時間は同じ双葉ゲームブックの中では短めです。またマルチエンディングになっているので、途中で補強した武器や主人公の決断いかんで、終わり方が結構変わってしまいます。総じて何度も遊べる作品といえるでしょう。
このドラゴンランドという独特の世界で、ヒロイン以外の登場人物が目立たないというのが、ちょいと個人的には残念ですが、シューティングゲームそのものをゲームブックに移植したという意味では、一番の作品ではないでしょうか。
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