冒険記録日誌
DiaryINDEXpastwill


2005年11月13日(日) たけたろうの冒険 ──FF13・フリーウェイの戦士編 その1──

 時は20XX年、世界は脅威の疫病に包まれ人類の85%が死滅した…わずかに生き残った人々は水と食料を求めて争い、暴力だけが支配する弱肉強食の時代へと突入した。この物語は、破滅の時代を駆け抜けた熱き者達の闘いの記録である。

******

 この荒廃した世界で秩序を求める人々が集まった町、サン・アングロから一台の車が飛び出した。車の中はまだ若い金髪の美女が一人で運転をしている。
 彼女は町の指令を受けて、久しぶりにサン・アングロから車で外に出たのだ。たけたろうという人物を迎えるために。
 たけたろうは、はるか遠くに位置するニューホープの町から、食料不足に悩むサン・アングロへ穀物の種を携えてくる。いわば救世主の役割を担う男。
 
───本当は私が、ニューホープまで出向いて冒険しても良かったけどね。

 女はしっかりハンドルを握り、ガラガラの荒野の道路を走らせながらくすっと笑った。
 そのとき、キラリと視界の端で光るものが目に入る。反射的に車をかわしたが、こちらに向かって飛んできたロケットランチャーが至近距離で爆発した。車は見事に2回転の横転をして道端に止まった。
 女はすぐに車から飛び出したが、横転の衝撃で体がまだいうことを聞かずに立ち上がれない。前を見上げるとモヒカン頭の男が2人ニヤニヤ笑いながら立ちふさがっっていた。その暴漢たちは「アニマル様親衛隊だ!」とか「汚物は消毒だぁ」といいながら火炎放射器で女の乗っていた車を燃やし始める。
「何をするのよ!」
 女の抗議に男たちはナイフを取り出して、舌で舐めてみせた。
「ひゃっはー、ここはとぁさねぇぜぇ…ヒデッぶ!」
「おい、女だ。それも上玉じゃないか。へっへっ、こりゃ楽しめそうだぁ…あべし!」
 ズボンに隠した拳銃で、すぐに2人を撃ち殺していた。

───このアンバーを甘く見るんじゃないわよ!

 服についた誇りを叩き落として立ち上がる。視線を移すと愛車は見事に燃え盛っていた。

───しょうがないわね。ここでたけたろうさんを待つしかないわ。通信によると彼はダッジ・インターセプターに乗ってやってくるらしいし、すぐにわかるでしょ。

 女はため息をつくと、ニューホープの方角をじっと見つめて待ちはじめた。 
 

***数日前***


 ここはニューホープの町。私はたけたろうです。そして今、困っています。
 ニューホープの偉い人に呼び出されて、サン・アングロまで行ってくれと頼まれたのです。
「…というわけでサン・アングロとは、穀物の種と引き換えにガソリン1万リットルを譲りうけることになった。だが知ってのとおり、ここニューホープからサン・アングロまでは、広大な無法地帯が横たわる。そこでたけたろう君、君の力が必要なのだ」
 町長が私にそう話すと、周囲の偉い人たちも重々しく頷きます。
 ぷるる、嫌ですよ。そんな怖い冒険。町の外には暴走族とか、武装した強盗とかが沢山いるんですもん。
 私が断ると町長がさらに頼み込んできます。
「そういわないでくれ、頼む。君には冒険の為に特別に改造した車、ダッジ・インターセプターを進呈しよう」
 それくらいじゃあ、安心できませんよ。
「機関銃だけでなく、鉄びし投射機、オイル噴霧機まで装備しよう」
 いや、まだまだ足りません。
「ええい、ロケットランチャーも4本つけよう!さらに使命を達成できたら、君の銅像を町の中央に作るぞ!」
 ううっ、そこまで言われると悪い気はしないなぁ。引き受けようかなぁ。
「引き受けてくれるか!よかったよかった!」
 町長は飛び上がって喜びました。


<たけたろう>
技術点  7
体力点 26
運点   7
荷物:治療薬10個、所持金200クレジット、ナイフ、食料、方位磁石など

<ダッジ・インターセプター>
火力点  7
装甲点 26
装備:機関銃、ロケットランチャー(4発分)、鉄びし投射機(3回分)、オイル噴霧機(2回分)、スペアタイヤ(2本)、ガソリン(ポリタンク1杯分)


 こうして私は重装備のダッジ・インターセプターに乗り込みました。
 ニューホープの町を守る入り口のゲートが、徐々に開き始めます。
「頼むぞ。たけたろう君」
 町長は私の手をしっかりと握り締めて、激励してくれます。町の人々も見送りに着てくれていい気分です。じゃあ、いってきますよ。
 私はアクセルを思いっきり踏むと、ニューホープから弾丸のように飛び出しました。
 ぐんぐん町が遠くなり、ジョーのガソリンスタンドという店をすっ飛ばして、私は高速道路に入ります。廃墟とはいえ、まだまだ道はしっかりしているので安心して飛ばせます。たちまち速度は時速190キロになりました。
 武装した赤いシボレーが一台ばかり襲撃してきましたが、ロケットランチャー一発をお見舞いしてあっさり撃退します。快調快調♪
 このまま、一気にサン・アングロまで行ってしまいましょう。

 そのとき、ニューホープから無線で通信連絡が入りました。
「もしもし、たけたろうです!どうぞ」
「こちら、ニューホープ。先ほど、暴徒どもに町を襲撃された!すぐに撃退したが、シンクレア議長が誘拐されている。そちらも気をつけられたし。どうぞ」
「了解!でも、こちらは、このまま高速道路を飛ばすので問題ないと思いますよ。どうぞ」
「それはまずい。ダッジ・インターセプターにはガソリンがあんまり積んでいないんだ。そのままじゃガス欠になるぞ。町に降りてガソリンを探すんだ。どうぞ」
「ええっ、聞いてないですよ!なんでガソリンを積んでないのですか!どうぞ!」
「町のガソリンが不足しているから、サン・アングロまでガソリンをもらいに行くのだろうが。まあ、とにかく頑張ってくれ!以上、通信終わり」
 ガガガガガー、と雑音の鳴る無線のマイクを、ダッシュボードに叩きつけました。
 どうにも、なにか騙された気分ですよーーー。


続く 


山口プリン |HomePage

My追加