冒険記録日誌
DiaryINDEX|past|will
| 2005年04月25日(月) |
悪夢のマンダラ郷奇譚 その10 |
(ネタバレ注意。プレイ予定の方は読まないで下さい)
意識がだんだん戻ってくる。すっかり見飽きた、草でできた動物の巣のような場所で私は真っ裸で寝ていた。傍らにはゴリラが幸せそうに寝ている。 バナナをムシャムシャと食べてから巣から抜け出し、巨大な木々のそびえる熱帯ジャングルをあてもなくさまよう。 予想どおり、前方から数人の原住民らしい男達がやってきた。トーテムは何かと聞かれるので、今度はヘビと答えてみる。 すると男達は歓迎して村に招いてくれた。酒やら蒸した芋やら豚肉を振る舞われる。これもムシャムシャと食べた。 世話になった礼をいって、村から出て行こうとすると、案の定だが男達は私を呼び止める。 「ちょっと、待て。これから旅を続けるのならどんな魔物にであうか分からない。この剣を持っていきなさい」 こうして勇者の剣とついでに腰蓑をもらった私は、魔女ランダのところへ行った。勇者の剣で脅して媚薬を剥ぎ取ると、意気揚揚と森を抜ける。
よし。ここまではこのパターンで固定していいだろう。
道はやがて、霧につつまれた墨絵のような山岳地帯に入りこんできた。裸の身には霧が寒くてこたえる。 途中で行商の太ったおばさんが道の向こう側からやってきた。おばさんは立ち止まって、私をじろじろと眺めて言った。 「まあ、あんたはなんて格好をしているんだね。そんな姿で王様の宮殿に行きでもしたら、すぐ捕まってしまうよ!ちょうど売り物のチャイナ服があるから買わないかい」 今回はおばさんからチャイナ服を強奪するという選択肢を選んでみた。おばさんはあっさりひっくり返って、手足をジタバタとさせる。意外にも何も失わずに簡単にチャイナ服が手に入っではないか。 まるでチャイナ服はオーダーメイドのように体にピッタリとして着心地がいい。まだ起き上がれないおばさんの罵り声を無視して、さらに山を登りつづけた。 やがて道が分岐していたので、前回と違う道を進んでみる。 すると道幅が徐々に狭くなってきて崖にへばりついているような格好になってきた。もはやロッククライミングだ。引き返す選択肢もあったが、少し意地になって先へ進む。 ああっ、足が滑ってバランスが崩れて、霧の谷へまっさかさまに落ちていった。 私の意識も深いモヤに包まれる。
どのくらい気を失っていただろうか。 目を醒ますと急いであたりを見回す。半ば覚悟していたのだが、予想と違ってここは235ではなかった。 私は白いフワフワしたものの上に横たわっている。気絶している間にチャイナ服は脱がされて、かわりにドテラのような着物を着せられていた。 「気がついたようじゃの。わしもどうせ暇じゃから、ゆっくりしていきなさい」 私に話し掛けてきたのは、杖を握ってローブを着た白髭の老人という、いかにもな姿をした仙人だった。その姿を見て、ここが雲の上にいるのだというのが徐々に理解できてきた。 「どうじゃ、しばらくわしと話しでもせんか。質問があったらなんでも聞いてよいぞ」 そりゃ、願ってもない。もちろんマンダラ郷を脱出する方法を聞いて見るが、仙人はプイとそっぽを向いてしまった。 「単刀直入というのも良し悪しじゃの。そんな簡単に教えられると思うか。甘いぞ、おぬし」 なんでも聞いてよいと言ったのはそっちのくせに! 腹ただしい思いをぐっと堪えて、今度はあの阿弥陀様のことを聞いてみる。 「なんと、おぬしは阿弥陀君に言われてマンダラ郷にきていたのか。阿弥陀君とは懐かしいのう。元気にしておったかな」 仙人は今度は嬉しそうだ。私は阿弥陀様のペテンに引っ掛かって、目的だった媚薬を自分の世界に持ち帰れない状況を話した。 すると仙人は面白そうに話した。 「くっくっくっ。阿弥陀君もなかなか策士じゃからな。よいか、おぬしはもてなくて悩んでいたのであろう。媚薬など所詮、一時的な効果にすぎん。薬の効果が薄くなれば、結局のところは元通りだ。それより、おぬしが生まれ変わって魅力的な人間になれば、相手がほおっておかん。つまりじゃな。おぬしは今、人格改善の旅をしておるのじゃ」 仙人には面白いかもしれないが、そのために何度も殺されるこっちはたまったもんじゃない。人格改善なんてどうでもいいから、元の世界に返してほしいものだ。 「その言葉には意味がない」 仙人はそんな私の意見にぴしゃりと言った。 「生まれ変わりとマンダラ郷の脱出は、表裏一体のものなのだ。まだまだこれから大変じゃよ」 私は納得できなかった。そんな勝手な話しがあるわけがない。だまされた。詐欺だ。インチキだ。責任者を呼べ。と仙人に尚も食い下がる。これには仙人も少々困ったようだ。 「ふむ、そうか。責任者に会いたいのか。責任者といえば、やっぱり阿弥陀君だろうなぁ。では望みを叶えてやろう」 しまった。と思ったときはもう遅い。私は雲を突き抜けて、今度こそ深い谷底に落ちていった。 235へ進む。
235
「あーあ、やられてしまったのか。やれやれ、時間を巻き戻さねばならん。そなたは、まったく救いがたい奴じゃのう」 意識を取り戻すと、暗闇の中で、あのゴミ捨て場で出会った阿弥陀様がぼやいていた。 阿弥陀様の指示どおり、もう一度パラグラフ1へと進んでやり直す。
(なんちゅー終わり方じゃ、と思いながら)続く
|