冒険記録日誌
DiaryINDEX|past|will
| 2004年08月04日(水) |
ソウル・アドベンチャー スプリンターを守れ(わきあかつぐみ&冒険企画局/社会思想社) |
ゲームブック雑誌、ウォーロック23号に掲載されているパラグラフ160程度のゲームブックです。 主人公はジョニー毛島。正義と平和を愛する心は誰にも負けない。争いは好まないがいざと言う時は、超一流の射撃の腕で任務を真っ当するというコテコテのハードボイルドキャラです。今回の使命は、ソウルオリンピックに参加するためにカリブ海の小国からやってきた短距離スプリンター“ドン”を護衛するというもの。 選択誌の分岐のみでルールはとっても簡単なストーリー重視の作品ですね。
なんてとんでもない! 中身はナンセンスギャグのオンパレード。とにかく、読んでいて脱力のあまり腰が砕けました。 例えば街中でビルの上から頭上めがけて植木鉢が落下してくるシーンで、「ビルの窓にはりつく」という選択誌を選んでみると、主人公はなぜかビルの外側をよじ登り始めます。(^^;)植木鉢に続いて落ちてくる鉄アレイをやり過ごし、最後に屋上近くで旋回するヘリコプターに捕まると、皆が祝福してくれるというエンドを迎えるのです。(意味がわからない人は、クレイジークライマーという言葉でネット検索してみましょう) 黒服のヒットマンと戦って相手を倒したときは、ヒットマンの遺言で彼の育てていた(ストーリーに無関係の)小さな女の子の面倒を見るというエンディングとなるなど、とにかくゲームがよく別世界の展開に変わってしまうのです。本来のストーリーなんて、どうでもいいみたい。 さらにはシーンと無関係に「おうさまにあう」という場違いな選択誌があるので、選んで見ると「ざんねんながら、モウシマのぼうけんの、しょ、は、きえてしまいました。(エンド)」というバッドエンドだったり。 猛スピードのタクシーの中。車のブレーキは、ヒットマンの手によって壊されていた。という絶対絶命のシーンで、「ドミノ・ピザに注文する」を選択すると、ピザ屋のバイクが救助にきてくれたり(ちなみにそば屋に注文すると配達が遅れて助からない)、しかもその宅配の兄ちゃんが、犯人の追跡をしてくれ、あげく「しっかりつかまってな。ニトロを使う!」と言いながら爆走を始めたり。 とにかく、わかりません。わかりません。さっぱりわかりません。という展開がテンコモリなのです。 週間ファミ通のスタッフがPSソフトの“サウンドノベルツクール”のサンプル用に作ったような出来と言うか、ネタギレと徹夜明けでちょっといっちゃったゲームブック作家の脳みそが生み出した悪夢というか。うーむ。他出版社にだって、ここまで狙って電波なゲームブックはありません。とにかく凄いです。
まあ、なんですねぇ。海外作品にもT&Tソロシナリオ(2002年03月26日の日記で紹介済)のような、不条理なギャグに満ちた、なんじゃこりゃー的な作品もあるわけですから、その日本版と思えば理解できるか・・・・・・な。 T&Tソロシナリオにだってファンがいるのですから、この作品もギャグセンスさえ合致する人なら楽しめると思います。
|