冒険記録日誌
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| 2004年08月03日(火) |
2000年の奇跡(奥谷道草/白夜書房) |
パズル雑誌クロスワードランドの2000年3月号に載っているはみ出しゲームです。 “2000年の奇跡”は推理物でして、もはやお馴染みのシャーロックゲームズが主人公となっています。頼りない困津田警部から、体育館内で発生した殺人事件の解決を依頼されるところからゲームは始まります。 体育館のマップを見ながらパラグラフ総当りで捜査をして、最後に自分で推理するようになっているのも、従来のシャーロックゲームズと同じです。
ところが本作品は2000年初のはみ出しゲーム。そのせいで作者がはりきったのかわりませんが、非常に良く作られています。 なにしろ5人の容疑者達が変わった設定で導入部から、おやっと思わせるのです。なにせ容疑者全員が超能力者なのですから。 殺害された被害者はオカルト嫌いの大月教授で、彼は超能力者達のインチキをあばいてきた男。彼は有名なオカルト雑誌ウーム(まさにうーむ…な名前だ)の企画にのって、この自称超能力者の5人とともに体育館で3日間の隔離生活を行っていたわけです。
そんなわけで殺害現場の検証から、超能力容疑者達への聞き込みまで、全て体育館の中でこなして行きます。 「私の念力で殺した」と威張る親父からコギャルみたいな双子、怪しげな予言をする女性と、どいつも胡散臭い奴らばかりです。あと一人見つからないなと思っていたら「私がテレパシーで宇宙人に依頼したせいだ」とおびえる若者が体育館の隅に隠れていました。
一方、大月教授の死体は体育館の高い天井の中央に、フックとロープで吊り下げされた状態で発見されており、機械もない状態でどうやってそんなことが出来たかも調べなくてはなりません。まさか本当に超能力のせいなのかと、疑いたくなるほどです。 大月教授の所持品からは、彼らの一人が元手品師だったことなど、超能力者達の調査記録を発見。ゲーム中には伏線となるヒントが巧みに織り込まれていたのですが、ダミーとなる情報もあるようで、結局誰が犯人かわかりませんでした。
しかし、それでもギブアップする前に、ゲームの問いに対して自分なりの回答を出すことにしておきました。
問い1:犯行に超能力は使われているか? いいえ。(理由は超能力を使ったという証拠もない。証拠が不必要でも良いなら、何でもありになるので推理は成り立たないから)
問い2:犯人は単独犯か? いいえ。(理由はあとで述べる)
問い3:どのようにしてロープをフックかけたか? それは・・・プラズマのせいである!(^^;)
問い4:犯人は誰か? 双子のコギャル(理由はアリバイの証言が曖昧な為。しかし殺害のトリックはわからない。やはりプラズマのせい?)
さて、回答を見てみますと・・・・・・、オオッ!そんな大胆なトリックが!なるほどビックリ! ちゃんとヒントはあったのに気がつかなかったぞ。これは脱帽です。いやはや、こんなに面白いシャーロックゲームズは初めてだ!
そんなわけで皆さんにも是非読んでいただきたい作品なのですが、残念ながら今となっては極めて入手困難な作品です。バグ情報も書いておきますので読みたい方は国会図書館で読んで下さいな。(我ながらいじわるだ)
*バグ情報*
ゲーム進行に影響はないが、パラグラフ63の「丹波氏にアリバイについて訊く──66へ」と「事件に関して気づいたことを尋ねる──28へ」の飛び先が反対となっている。
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