冒険記録日誌
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ゲームブック同人誌を作ろうというお話しが、サイロス館長の掲示板を中心に進行中です。 私は本格的な同人誌を作ったことはありませんが、記憶をほじくりかえすと、学生時代の文化祭でコピー刷りの簡単な同人誌を一度だけ作ったことを思い出しました。人気漫画とかのパロディ作品を書くのは性に合わないので、オリジナルショートショート小説ばかり書いていましたけど。 ちょっと懐かしくなったので、一話だけ以下に抜粋。今見ると、微笑ましくて少々恥ずかしいね。
<けんちゃんシリーズ その5>
ひ・と・で たけたろう著
ぽっかぽっか陽気の夏の日。けんちゃんは、お父さんとお母さんと海に行きました。 けんちゃんは海が初めて。 うちよせる波にけんちゃんは、大はしゃぎをしながら浜辺を走り回っています。 お父さんとお母さんは、けんちゃんに暖かい眼差しを向けながら、ビニールシートに座ってくつろいでいました。 「岩場の向こうに行ってくるねー」 けんちゃんが遠くから大声をあげると、お父さんとお母さんは「危ないから気をつけるんだよ」と言い、すでに岩場に向かって走り始めたけんちゃんに手を振りました。
しばらくの時が経ちました。 空から眩しい太陽の光を浴びながら、そよ風を受けてくつろいでいるうちに、お父さんとお母さんはいつしか眠ってしまったようです。 「お父さん、お母さん!大変!人が死んでいるよ」 いつの間にか戻ってきた、けんちゃんの声で目を覚ましたお父さんとお母さんは、ビックリして「一体なにを見たんだい」と聞き返しました。 「手!砂のうえに茶色い手があったの」 それを聞くとお父さんは笑い出しました。お母さんも微笑んでいます。 「けんちゃん。それは海の生き物さ。ヒトデっていうんだよ」 「そうなの?ふーん。さっきは砂を掘っていたら出てきたからびっくりしたんだ」 「それはお昼寝していたのかもしれないわ。気になるなら元通りに砂に戻してあげたらいいわね」 と、お母さんも優しく言いました。 「わかった、そうする!」 けんちゃんは元気よく返事をすると、岩場の方へ駆け戻っていきます。 その様子を見送りながら、お父さんとお母さんは顔を見合わせて、ぷっ、と思わず吹き出してしまいました。
「おこしちゃってごめんね。ヒトデさん。元通りにするから、ゆっくり寝てね」 けんちゃんはヒトデさんに、砂をかけてあげました。 ついでにドロンとした目をした頭にも、砂をかけて埋めてあげました。
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