冒険記録日誌
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| 2003年08月06日(水) |
運命の巻物(リンダ・ロウェリー作/世界文化社) その3 |
<ゲームブック愛の物語 ─出会い─> あなたは魔法使いの遺言にしたがって、魔法の洞窟を目指します。 鳥の案内にしたがって、森の中で分け入ると───木の根元で絹の服を着た若い男が眠っているのに出会いました。 「やあ、おはよう」 あなたが接近すると、若者は目を覚まして屈託のない笑顔を浮かべて言います。 「この地図を捜しにきたのかい?」 彼が取り出したのは、魔法の洞窟への道筋を書いた地図だったのです。 「それはわたしが隠していたものだ」 鳥はそうしゃべると、急降下して地図をひったくろうとしたが、彼はひょいっと身をかわしました。 「僕はショーって言うのさ。地図は返すよ。昨日たまたまこの木のうろで見つけたんだ」 ショーの白い歯がキラリと輝きました。 「ブリスフォードとキャンデールの国境あたりにこの洞窟があるようだけど、ブリスフォードは私の生まれ故郷なんだ。実は、私はブリスフォードの王と王妃の息子なのさ。もっとも今の支配者は、征服者アンガーだけどね」 あなたはぽかんとしました。こんなところで王子様に出会うなんて! 「これといって用事もないし、僕も同行するよ。このあたりの辺境の地には詳しいんだ」 あなたの心は揺れました。 ───想像もつかないわ。わたしが王子様と旅を共にするなんて。それにわたしが魔法使いと知れたらきっと嫌われるわ。 「ご親切にありがとう。でもご心配なく。一人でも大丈夫ですわ」 「待ちなさい。結婚して下さいと頼んでいるわけでもないのに。僕はただ冒険がしたいんだ」 「ミアリィ。すてきな若者じゃありませんか。この若者に一緒についてきてくれるように頼むのです」 「ワーム(鳥の名前)ったら。あなたまでそんなこと言って」 ショーは灰色の瞳を輝かせてあなたを見つめ、あなたは真っ赤になってうつむいたのでした。
******************************************* いきなり王子様登場です。 美形というだけで、疑いもなく王子様と信用するあたり、ミアリーさんはアンガーの元で世間を知る機会がなかったのでしょう。不憫ですが、疑う選択肢もないので読者にはどうすることもできません。
続く
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