冒険記録日誌
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| 2003年06月25日(水) |
送り雛は瑠璃色の(思緒雄二/創土社) |
難しい。 いや、ゲームの難易度とかではない。 そういう意味なら、一般のゲームブックより簡単にクリアできた。 しかしその感想を書くのは難しい。
まずシステム面の話しから。ルールは非常にシンプルである。 “霊力点”という能力値。そして時間をチェックするのみである。サイコロも使わない。 これくらいなら記憶すれば、電車や車の中で気軽に読むことも可能だ。 ゲームの進行は、時間帯によって強制イベントが発生するほかは、町のデパートや公園、神社、学校、友人の家などを調査すること。その繰り返しだ。 ちなみにゲーム内で経過する時間は思ったより短く、一度のプレイでは全体の中のほんの一部しか経験することができない。 続いて大雑把に設定を書くと、舞台は現代日本である。 歴史部所属で性格は少し変わっているものの、普通の中学生達が主人公で、彼らが時間がたつにつれて魑魅魍魎の同居する世界に入り込んでしまうというもの。 それだけ書くと、創元推理文庫の「ティーンズパンタクル」と同じようだが、内容はまったく違う。「ティーンズパンタクル」は、生徒をすり替えながら少しずつ学園をのっとっていく、異界からきた魔女の親子が敵。対する主人公の大島いずみは霊能力と剣道で鍛えた力で戦うという非常にわかりやすい話しである。一方「送り雛は瑠璃色の」の設定は謎が多い。未読の人の楽しみをそいではいけないので内容は書かないが、少なくても一度のプレイで、物語の全容をつかむことは不可能だ。何度も読んでも完全に理解するのは難しい。 クリアするというより、物語を読み解こうとすることがこのゲームブックの楽しみ方だろう。
そして私自身の感想だが、それなりに楽しめた。が、いまいち雰囲気が好きになれなかったというところだ。 同じ思緒雄二のゲームブック「顔のない村」は、ファイティングファンタジーのルールと本作品のシステムを組み合わせたようなシステムだったが、こちらは素直に怖いと思えたしワクワクした。私の場合、本作品のように抽象的な謎かけに満ちた世界は苦手というか、物語の中に入り込めないようだ。 世間のゲームブックファンの評判が非常に高いのは知っているが、これは好みの問題としか言いようがない。 送り雛のファンに申し訳ないが、中にはこんな偏屈な人間もいるんだな。と読み流していただきたい。
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