ぼくたちは世界から忘れ去られているんだ

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2002年06月17日(月) 荊かきわけてみつけたものはなんだったんだろう。
 わたしを殴る言葉と、わたしを撫でる言葉が、勢ぞろいしてわたしのところへやってきた。言葉たちは無言で、わたしを睨んでいた。無言なのだけれど、それらは言葉だから、実に雄弁にさまざまなものどもを語り、わたしを殴り、わたしを撫でる。
「わたし」という言葉が、けものぢみた目でこちらを睨んでいた。「わたし」はいつも何も語らない。ただそこにいて、わたしに目で語りかける。
「わたしを、語りなさい」とだけいう。わたしはその命令に従って、文章を書き、吐き出し、あざを見せる。わたしの醜態を見て、不快だと思う人がいるかもしれない。けれどわたしはこうするしかできないのだ。

 言葉をかき分けて、一人の少女がやってきた。
「ねえ」
 そういったっきり、彼女はだまっている。わたしは彼女に何かいおうとする。だけれど言葉がわたしを威圧する。


 少女は語り始める。わたしへのさまざまな思いを。彼女はわたしに云う。
「あなたはいいね。楽でしょう?」
 「楽」がこちらを向いた。「楽」がわたしを殴りつける。


 それでもわたしは何も云えずに、ただ、そこに、立ち尽くして。



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